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銀行解約の代行費用相場|信託銀行と司法書士の料金比較


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年2月5日
 

銀行解約・預貯金相続手続の代行費用相場

親が亡くなり、銀行口座が凍結された。預金の相続手続を専門家に頼むといくらかかるのか、信託銀行と司法書士の費用を徹底比較し、最適な選択ができるよう解説します。

銀行口座凍結と相続手続の現実

大切な家族が亡くなった後、多くのご遺族が最初に直面する壁が、金融機関の口座凍結です。被相続人(亡くなった方)の預貯金は、死亡の事実が金融機関に把握された時点で、原則として口座が凍結(ロック)され、引き出しや公共料金の引き落としさえもできなくなります。

この凍結を解除するには、民法および金融実務に基づいた厳格な手続が必要です。本記事では、預金相続手続の代行費用について、信託銀行と司法書士の料金体系を具体的に比較し、皆様が最適な選択をするための判断材料を提供します。

なぜ銀行口座は凍結されるのか

口座凍結の法的背景

平成28年(2016年)12月19日の最高裁決定により、「預貯金も遺産分割の対象となる」と判例変更されました。これにより、金融機関は遺産分割協議が成立するまで、または全相続人の同意がない限り、一部の相続人だけに払い戻しを行うことができなくなりました。

もし銀行が安易に一部の相続人に払い戻しを行えば、後から他の相続人に訴えられ、二重払いのリスクを負うことになります。口座凍結は、銀行にとっての防衛策なのです。

なお、遺産分割が終わる前でも、各相続人が当面の生活費や葬儀費用の支払い等のために必要な資金を確保できるよう、一定の上限の範囲で払戻しを受けられる制度(いわゆる「仮払い」)が用意されています。詳しくは預貯金の仮払い制度をご覧ください。

解約手続の標準的な流れ

凍結解除には、一般的に以下のステップが必要です。この工程の多さが、専門家報酬の根拠となっています。

  1. 相続の届出: 銀行窓口へ死亡の事実を告げます。この時点で口座は完全に停止します。
  2. 必要書類の交付受領: 銀行所定の相続届(または払戻請求書)を受け取ります。銀行ごとに書式が異なるため、複数の銀行に口座がある場合は、それぞれで手続が必要です。
  3. 公的書類の収集: 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書を集めます。転籍を繰り返している場合、全国の自治体から取り寄せる必要があり、数十通に及ぶこともあります。
  4. 遺産分割協議書の作成: 誰がどの預金を取得するかを話し合い、書面化し、全員が実印を押します。
  5. 書類提出と審査: 銀行で書類審査が行われます。不備があれば再提出となります。
  6. 払戻しの実行: 指定口座への振込、または小切手等で受領します。

必要書類について詳しく知りたい方は、預金の相続手続きに必要な書類一覧|金融機関での手続きガイドをご覧ください。

専門家に依頼する場合、依頼者は基本的に「印鑑証明書の取得」のみを行い、残りの煩雑なプロセスをすべて任せることができます。

銀行預金の相続手続きについてより詳しく知りたい方は、【保存版】銀行預金の相続手続き|口座凍結後の流れ・必要書類を司法書士が解説をご覧ください。

専門家に依頼する場合の費用体系

銀行解約手続を依頼する先は、主に「信託銀行」と「司法書士」の2つです。両者の費用体系は根本的に異なり、ここを理解していないと数十万円単位で損をする可能性があります。

※司法書士以外の他士業への依頼も考えられますが、ここでは代表として司法書士と比較します。

財産額連動型(信託銀行に多い方式)

遺産の総額に対して一定の料率(%)を掛けて報酬を決定する方式です。遺産額が大きければ大きいほど報酬が高くなります。

【重要】最低報酬110万円の壁

多くの信託銀行が最低報酬額を110万円(税込)に設定しています。たとえ遺産が2,000万円のみでも、料率計算ではなく最低報酬の110万円が適用されます。

信託銀行・銀行グループによっては、相続人の人数や財産内容を限定した"簡易型(固定報酬型)"サービスもあります。適用条件により金額が大きく変わるため、見積時にサービス種別を確認しましょう。

さらに、この110万円には「司法書士への登記報酬」や「戸籍取得の実費」は含まれていないことがほとんどです。不動産がある場合は、さらに10万円〜20万円の追加費用が発生します。

遺産総額(評価額)報酬料率(税込目安)備考
5,000万円以下最低報酬 110万円多くの銀行で一律設定
1億円以下1.65% 〜 1.54%固定費が加算される場合あり
1億円超 〜 3億円以下1.10% 〜 0.88%資産規模により漸減

※報酬料率は各社で異なる

定額積み上げ型(司法書士に多い方式)

行った作業の量や数に応じて報酬を加算していく方式です。預金口座の数、不動産の数、相続人の数など、具体的な作業量で費用が決まります。

遺産額が多くても、手続がシンプルであれば費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。

手続項目報酬単価(税込目安)備考
基本報酬(遺産承継)25万円 〜 30万円遺産整理業務として受任する場合
戸籍謄本等収集33,000円 〜4〜5名まで。以降1名につき加算
遺産分割協議書作成55,000円 〜相続人の数や財産の複雑さで変動
銀行預金解約代行55,000円 〜 66,000円1金融機関あたり
証券口座解約・移管88,000円 〜株式の売却を伴う場合は別途
不動産名義変更(登記)49,500円 〜1申請・1不動産あたり

費用対効果の徹底比較シミュレーション

具体的なケースで、信託銀行と司法書士の費用を比較してみましょう。

ケース①:一般的な核家族の相続(シンプルケース)

【設定】
・被相続人:父
・相続人:母、子2名(計3名、関係良好)
・遺産:自宅(評価額2,000万円)、A銀行1,000万円、B銀行500万円、C信用金庫300万円
・遺産総額:3,800万円
信託銀行の場合

基本手数料:110万円(最低報酬)
不動産登記費用:約10万円(別途)
合計:約120万円

※遺産額に対して約3.1%

司法書士の場合

戸籍収集:33,000円
協議書作成:55,000円
登記:66,000円
預金解約(3行):198,000円
合計:約35万円

※信託銀行の約3分の1

シンプルなケースでは、司法書士に依頼する方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いことがわかります。浮いた85万円は、遺族の生活費や今後の供養に使うことができます。

ケース②:富裕層・多資産ケース(複雑ケース)

【設定】
・被相続人:父(会社経営者)
・相続人:母、子3名(計4名)
・遺産:自宅・アパート(8,000万円)、預金5行(5,000万円)、株式・投資信託(2,000万円)
・遺産総額:1億5,000万円
信託銀行の場合

基本手数料:約225万円(1.5%)
不動産登記費用:約20万円(別途)
合計:約245万円〜

※各信託銀行の適用料率によって前後します。

司法書士の場合

基本報酬(財産額連動型):120万円〜150万円
合計:約120万円〜150万円

※信託銀行の半額程度

資産規模が大きくなっても、司法書士の方が割安になる傾向は変わりません。ただし、資産規模が大きい場合、信託銀行は「資産運用のアドバイス」や「二次相続対策」などの付加価値を提供することを強みとしています。

単に手続を終わらせることが目的であれば、司法書士の優位性は明確です。

報酬以外にかかる「実費」とは

専門家に依頼する際、見積書には「報酬」とは別に「実費」が記載されます。これは誰がやっても(自分でやっても)必ずかかる費用です。

実費項目目安金額詳細
登録免許税不動産評価額の0.4%法務局に納める国税。2,000万円の土地なら8万円
戸籍謄本等交付手数料1通 450円〜750円除籍謄本・改製原戸籍は750円。数十通集めると2〜3万円
登記事項証明書1通 600円不動産の現状確認のために必要
固定資産評価証明書1通 300円〜400円登録免許税計算のために必要
残高証明書発行手数料1通 500円〜2,000円銀行ごとに異なる。相続税申告に必須
郵送代・交通費数千円〜書類のやり取りにかかる費用

専門家の見積もりで「約30万円」と提示されていても、登録免許税や戸籍代を含めると、支払い総額は40万円、50万円となることがあります。契約前に必ず「実費は概算でいくらくらいか」を確認することが重要です。

金融機関別の手続難易度と注意点

すべての銀行手続が同じではありません。特に注意が必要な金融機関について解説します。

ゆうちょ銀行の特殊性

ゆうちょ銀行は、相続手続において「貯金事務センター」による集中処理を行っているため、手続に時間がかかることで知られています。

  • 窓口で「相続確認票」を提出し、後日、必要書類の案内が届く
  • 書類を整えて再度窓口へ提出
  • 貯金事務センターへ送付・審査(2週間〜1ヶ月)
  • 「払戻証書」が届いたら、再度窓口へ行き換金

一般的な銀行であれば郵送で完了することも多いですが、ゆうちょ銀行は原則として窓口対応が起点(一部Web受付もあり)となるため、手間がかかります。

ゆうちょ銀行の相続手続きについてより詳しく知りたい方は、ゆうちょ銀行の相続手続きガイドをご覧ください。

メガバンク・地方銀行

三菱UFJ、三井住友、みずほ等のメガバンクは、相続センター(集中処理部署)が整備されており、比較的スムーズです。地方銀行や信用金庫は、地元の支店担当者が親身に対応してくれるケースが多い一方、独自のローカルルールが存在することもあります。

ネット銀行

楽天銀行、PayPay銀行等の店舗がない銀行は、すべて郵送とWebでのやり取りとなります。書類に不備があった場合の修正が郵送往復となるため、時間がかかりやすい傾向があります。

司法書士に依頼する本質的なメリット

費用面でのメリットは前述の通りですが、司法書士に依頼する本質的な価値は「安全」と「公正」にあります。

遺産整理受任者としての中立性

相続人間で最もトラブルになりやすいのが、「代表相続人が預金を使い込んでいないか」という疑心暗鬼です。司法書士が業務を受任すると、お客様の要望によっては以下のようなプロセスで透明性が保たれます。

  1. 司法書士が全預金を解約し、預り金口座に入金
  2. 司法書士報酬や実費、相続にかかった諸経費や未払いの費用などの精算
  3. 遺産分割協議書で決まった通りに各相続人の口座へ1円単位で正確に振込
  4. 詳細な計算書(収支報告書)を相続人全員に送付

このプロセスにより、親族間の無用な争いを防ぐことができます。これが「遺産承継業務」の最大の付加価値です。

法定相続情報一覧図の活用

司法書士は、収集した戸籍をもとに法務局で「法定相続情報一覧図」を取得します。これは戸籍の束の代わりになる公的な証明書です。

これが1枚あれば、銀行ごとに戸籍の束を出し入れする必要がなくなり、複数の銀行で同時に手続を進めることができます。一般の方が自分でこの図を作るには専用ソフトでの作図や法務局への申出が必要でハードルが高いですが、司法書士に依頼すれば標準サービスとして作成してもらえることが多いです。

不動産相続登記とのワンストップサービス

2024年4月から相続登記が義務化されました。不動産がある場合、いずれにせよ司法書士への依頼が必要となります。

「銀行は自分でやるので、登記だけお願いします」という依頼も可能ですが、戸籍収集などの基礎調査は重複するため、まとめて依頼した方がトータルの費用は割安になります(セット割引等が適用される場合が多い)。

「自分でやる」vs「専門家に頼む」判断基準

お金を払ってでも専門家に頼むべきかを判断するための基準をご紹介します。

自分でやっても良いケース(難易度:低)

  • 相続人が配偶者と子だけで、仲が良い
  • 被相続人の本籍地が変更されておらず、戸籍がすぐ集まる
  • 銀行口座が1〜2行で、平日日中に銀行へ行く時間がある
  • 不動産がない(または自分で登記に挑戦する気概がある)
  • 遺産額が少額で、費用をかけると手元に残らない

専門家に頼むべきケース(難易度:高)

  • 平日日中に時間が取れない:銀行窓口は9時〜15時。会社を何度も休むコストの方が高くつく
  • 被相続人の転籍が多い:明治・大正生まれの親の場合、戸籍が5〜6箇所にまたがることも
  • 兄弟姉妹が相続人である:甥・姪が代襲相続人になるなど、関係者が多数になり、戸籍収集が極めて複雑
  • 疎遠な相続人がいる:直接連絡を取りたくない場合、司法書士が手紙の代筆や連絡窓口になれる
  • 不動産の名義変更が必要:セットで頼むのが合理的
  • 正確な分配を希望する:金銭トラブルを絶対に避けたい

良い司法書士の選び方

検索結果で上位に出てくる事務所が必ずしも最良とは限りません。以下のポイントをチェックして問い合わせることをお勧めします。

チェックポイント

  • 相続を専門・得意としているか: 相続案件の実績が豊富な事務所を選ぶべきです
  • 料金体系の明示: ホームページに「報酬表」があり、財産連動型か定額型かが明確か。特に「最低報酬」の設定を確認
  • 遺産からの精算に対応しているか: 着手金を現金で用意しなくても、解約後の預金から差し引いてくれる事務所は心強い
  • 初回相談の対応: 司法書士本人が面談してくれるか。専門用語を使わず、わかりやすく説明してくれるか

当センターに相続手続きをご依頼の場合のプラン

当センターでは、お客様のニーズに合わせて以下のプランをご用意しています。

預貯金の相続のみご依頼の場合

銀行や信用金庫などの預貯金の解約・名義変更手続のみをご依頼いただけるプランです。

詳しくは預金の相続手続き(解約・名義変更)の料金プランをご覧ください。

預貯金の他、不動産や株・有価証券、その他の遺産全部の手続きをご依頼の場合

預貯金だけでなく、不動産の名義変更、株式や投資信託の解約・移管、その他すべての相続手続を一括してご依頼いただけるプランです。

詳しくは相続手続フルサポートプランをご覧ください。

まずは見積もりだけでも比較してみてください

信託銀行の見積もりを持ってきていただければ、どれくらい安くなるか試算します

まとめ:時間は「買う」ことができる

銀行解約の代行費用について、大手信託銀行の「最低110万円」と比較し、司法書士の「25万〜35万円(定額型)」がいかに合理的であるかを解説してきました。

相続手続は、大切な人を失った悲しみの中で行うには、あまりに事務的で冷徹な作業です。慣れない戸籍の文字を読み解き、銀行の硬い対応に疲弊する時間は、故人を偲ぶための時間ではありません。

数万円〜数十万円の費用はかかりますが、それは「面倒な作業からの解放」だけでなく、「法的リスクの回避」と「家族間の平和」を買うための投資です。

特に、預金だけでなく不動産が含まれる場合や、相続関係が少しでも複雑な場合は、迷わず司法書士の無料相談を活用することをお勧めします。専門家は、あなたが抱える「見えない不安」を、具体的な「解決策」へと変えるための羅針盤となるはずです。

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監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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