ネット銀行の預金相続(要点まとめ)
● 口座の探し方:ネット銀行は通帳・キャッシュカードが発行されないことが多く、相続人が口座の存在に気づきにくいのが最大の悩みです。被相続人のメール受信箱の銀行名検索・スマホのアプリ一覧・確定申告書の利息記録・郵便物などから口座の有無を確認します。
● 全国一括照会の活用と限界:2025年4月開始の預金保険機構「相続時預貯金口座照会」(口座管理法に基づく制度)を使えば、1か所の窓口から全国の口座有無を一括照会できます(手数料5,060円・税込)。ただし対象は被相続人がマイナンバーを紐づけ(付番)していた口座のみで、分かるのは口座の有無であり残高は含まれません。
● 手続きは原則すべて郵送:店舗がない(イオン銀行を除く)ため、書類のやり取りは原則郵送です。死亡連絡の窓口は楽天銀行が電話、PayPay銀行・auじぶん銀行がWeb受付フォーム、ソニー銀行が電話・フォーム、住信SBIネット銀行(d NEOBANK)が電話など各行で異なります。
● 戸籍・必要書類:被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本/相続人全員の現在戸籍・印鑑証明書(原則6か月以内の原本)/遺産分割協議書(または遺言書)が主な書類です。法定相続情報一覧図の写しは6行とも戸籍束の代わりに利用できます。
● 残高証明書(1通あたり):手数料は1通あたりで各行異なり、相続手続き時の住信SBIネット銀行は無料、ソニー銀行440円、楽天銀行524円、auじぶん銀行550円、PayPay銀行は郵送880円(PDFは無料)、イオン銀行1,100円が目安です(いずれも税込・改定され得るため公式で確認を)。通常の払戻し手続き自体は6行とも無料です。
● 払戻しまでの期間:書類提出後の払戻しは、ソニー銀行で郵送受取の場合おおむね1〜2週間、PayPay銀行は書類到着後約2週間、その他の行も数週間から1〜2か月程度と幅があります。郵送のやり直しが必要だと延びるため、提出前の入念なチェックが重要です(最新の目安は各行公式でご確認ください)。
● 仮払い・まとめて依頼:6行とも民法909条の2の仮払いに対応し、遺産分割前でも単独で『口座の相続開始時の残高×自分の法定相続分×3分の1(1金融機関あたり150万円が上限)』を払戻しできます。不動産があれば相続登記と預金解約をまとめて司法書士に依頼でき、戸籍収集の二度手間を省けます(相続税の申告は税理士、相続人間の紛争は弁護士の業務)。
ネット銀行に口座をお持ちの方が亡くなった場合も、従来の銀行と同様に預金の相続手続きが必要です。ネット銀行には店舗がない(または店舗数が限定的な)ため、手続きは電話・Web受付・郵送が中心で来店が不要なのが大きな特徴です。この記事では、楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行・ソニー銀行・auじぶん銀行・イオン銀行の主要ネット銀行6行を取り上げ、各行の公式サイトの情報をもとに、手続きの流れや注意点をご説明します。
ネット銀行に共通する相続手続きの流れ
ネット銀行の預金相続手続きも、基本的には「死亡連絡 → 書類案内 → 書類収集・提出 → 審査・払戻し」の流れで進みます。ただし、従来型の銀行と異なり、原則としてすべてのやり取りが電話と郵送(またはWeb受付フォーム)で完結する点が最大の特徴です。銀行預金の相続手続き全般については銀行預金の相続手続き|口座凍結後の流れ・必要書類で詳しくご説明しています。
| 段階 | 内容 | 6行共通の概要 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 死亡連絡・口座凍結 | 電話またはWeb受付フォームで口座名義人の死亡を届け出ます。届出後、被相続人名義のすべての口座が凍結され、入出金や自動引き落としが停止されます。 |
| 第2段階 | 書類案内の受領 | 銀行から「相続手続きのご案内」と所定の届出書が郵送で届きます。案内に沿って必要書類を確認し、収集を開始します。 |
| 第3段階 | 書類収集・提出 | 戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書などを準備し、銀行所定の届出書とともに郵送で提出します。ネット銀行は原則すべて郵送での受付です。 |
| 第4段階 | 審査・払戻し | 銀行が書類を審査し、問題がなければ代表相続人の指定口座へ預金が払い戻されます。 |
死亡連絡の方法と対応チャネルの違い
ネット銀行への死亡連絡は、電話が中心ですが、一部の銀行ではWeb受付フォームにも対応しています。住信SBIネット銀行は24時間365日の電話受付に対応しており、夜間・休日でも連絡が可能です。
| 比較項目 | 楽天銀行 | 住信SBI ネット銀行 | PayPay銀行 | ソニー銀行 | auじぶん 銀行 | イオン銀行 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 死亡連絡の方法 | 電話 | 電話 24h | Web受付フォームWeb | 電話 | Web受付フォーム(電話も可) Web | 電話・店頭 |
| 電話受付時間 | 9:00〜17:00 (平日・土日祝) | 24時間365日 | Web受付のため 電話不要 | 9:00〜17:00 (土日祝含む) | Webフォーム主体 (電話も可) | 9:00〜18:00 (年中無休) |
| 書類提出方法 | 郵送 | 郵送 | 郵送 | 郵送 | 郵送(原則) ※条件付きWeb完結可 | 郵送(原則) |
必要書類の比較
6行共通で必要な主な書類(遺産分割協議書がある場合)
ネット銀行での預金相続に共通して必要な書類は、従来型の銀行とほぼ同じです。書類の詳しい取得方法については預金相続に必要な書類一覧もご参照ください。
- 銀行所定の相続届出書(各行で名称が異なります)
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印押印)
- 相続人全員の印鑑登録証明書
- 手続きを行う相続人の本人確認書類
銀行ごとの主な違い
| 比較項目 | 楽天銀行 | 住信SBI ネット銀行 | PayPay銀行 | ソニー銀行 | auじぶん 銀行 | イオン銀行 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 所定届出書の名称 | 銀行所定の届出書(郵送で送付) | 「相続届」 | 銀行所定の届出書(郵送で送付) | 銀行所定の届出書(郵送で送付) | 「相続届」 | 「相続手続依頼書」 |
| 印鑑証明書の有効期限 | 6か月以内 | 6か月以内 | 6か月以内 | 6か月以内 | 6か月以内 | 6か月以内 |
| 法定相続情報一覧図 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 |
| 原本還付 | 返却可能 ※メモ同封で依頼 | 要問合せ ※原本提出必須 | 返却可能 | 返却可能 | 返却可能 ※完了後に書類返送 | 返却可能 |
残高証明書の発行手数料
相続税の申告や遺産分割協議の前提として、被相続人の死亡日時点の残高証明書が必要になる場合があります。ネット銀行の残高証明書の手数料は銀行ごとに大きく異なります。
| 項目 | 楽天銀行 | 住信SBI ネット銀行 | PayPay銀行 | ソニー銀行 | auじぶん 銀行 | イオン銀行 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 残高証明書 | 524円(税込) | 無料(相続手続き時) 無料 | 880円(郵送) PDF:無料 | 440円(税込) | 550円(税込) | 1,100円(税込) |
| 手続き自体の手数料 | 6行すべて、通常の相続手続き(払戻し)は無料 | |||||
口座凍結と仮払い制度
6行すべてにおいて、銀行が口座名義人の死亡を知った時点で口座が凍結されます。ネット銀行の場合、口座振替やデビットカードの自動決済も停止されるため、各種サービスの支払い方法を早めに切り替える必要があります。
仮払い制度(預貯金の払戻し制度)
6行すべてが、2019年7月施行の改正民法(909条の2)に基づく預貯金の仮払い制度に対応しています。遺産分割が整う前でも、葬儀費用や当面の生活費として一定額を引き出すことが可能です。
| 項目 | 内容(6行共通) |
|---|---|
| 計算式 | 相続開始時の預金残高 × 1/3 × 法定相続分(請求する相続人1人あたり) |
| 上限額 | 前項の計算式で算出した金額と150万円のいずれか低い方(同一銀行内の複数支店は合算して1金融機関あたりで判定) |
| 必要書類 | 被相続人の出生〜死亡の戸籍(または法定相続情報一覧図)、請求者の戸籍謄本、各行所定の本人確認書類・届出印 ※印鑑証明書・実印の要否は銀行により異なります。詳細は各行にお問合せください |
各行の独自サポートサービスと特徴
ネット銀行はそれぞれ独自の特徴を持っています。各行の相続手続きにおけるポイントをまとめます。
- 死亡連絡は電話で受付(WEB受付の案内もあり)
- 残高証明書は524円(税込)と比較的安価
- 原本返却は「原本返却希望」のメモ同封で対応
- 楽天証券にも口座がある場合は別途手続きが必要
- 24時間365日電話受付で夜間・休日も連絡可能
- 相続手続き時の残高証明書が無料
- SBI証券にも口座がある場合は別途手続きが必要
- 2025年10月よりサービスブランドが「d NEOBANK」に移行(商号は2026年8月3日に「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ変更)
- Web相続受付フォームで電話不要で連絡可能
- 残高証明書はPDF発行なら無料
- 書類提出後約2週間で払戻し完了
- 旧ジャパンネット銀行からの口座も同様に手続き可能
- 残高証明書が440円と最安水準
- 書類到着後3〜5営業日で払戻しと比較的スピーディ
- 相続人のソニー銀行口座がある場合は一部商品を除き資産をそのまま引継ぎ可能
- 原本書類は手続き完了後に返却
- Web受付フォームから申請・書類アップロード可能
- 所定条件を満たせば約5営業日でWeb完結(郵送不要)
- 原則は郵送手続き(約2週間)
- 残高証明書は550円(税込)、取引明細表は無料
- 店舗(イオン内)での対面相談も可能な唯一のネット銀行
- 書面の授受が原則2回必要(1回で完了する場合もあり)
- WAON残高は返金されるがWAONポイントは消滅
- 遺産整理業務(有料代行サービス)を提供
法定相続情報証明制度の活用
法務局が無料で発行する「法定相続情報一覧図の写し」は、6行すべてで戸籍謄本の代わりとして利用できます。ネット銀行の手続きはすべて郵送のため、分厚い戸籍の束を郵送する負担を減らせる点でも一覧図の活用は有効です。制度の概要は法定相続情報証明制度の活用方法と手続きの流れをご覧ください。
手続き全体の所要期間の目安
| 比較項目 | 楽天銀行 | 住信SBI ネット銀行 | PayPay銀行 | ソニー銀行 | auじぶん 銀行 | イオン銀行 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 書類提出〜払戻し | 1〜4週間 | 2〜4週間 | 約2週間 | 3〜5営業日 ※取引内容により2〜3週間 | 約2週間 ※条件付き約5営業日 | 2〜4週間 ※書面授受が2回の場合あり |
従来型の銀行(メガバンク・地方銀行)との主な違い
ネット銀行の預金相続手続きは、メガバンクや地方銀行と基本的な流れは同じですが、ネット銀行特有の注意点があります。メガバンクの手続きについてはメガバンク3行の預金相続手続き比較、地方銀行については地方銀行の預金相続手続き比較で詳しくご説明しています。
| 比較項目 | 従来型の銀行(メガバンク・地方銀行) | ネット銀行(本記事の対象6行) |
|---|---|---|
| 手続き方法 | 窓口対面+郵送が中心 | 電話・Web受付+郵送(来店不要) |
| 死亡連絡 | 来店・電話・一部Webフォーム | 電話が中心、PayPay銀行・auじぶん銀行はWebフォーム対応 |
| 書類の不備対応 | 窓口で即日補正が可能 | 郵送のやり直しが必要(時間がかかる) |
| 口座発見のしやすさ | 通帳・キャッシュカードが手がかりになる | 通帳なし、メールやアプリで確認が必要 |
| 残高証明書の手数料 | 770円〜2,200円程度 | 住信SBIネット銀行は相続時無料、他行も440円〜880円程度 |
| 対面相談 | 窓口で相談可能 | イオン銀行のみ店頭相談・店頭連絡が可能 |
状況に応じた各行のポイント
- 楽天証券にも口座がある場合は証券の相続も別途必要
- 原本返却は自動ではなくメモの同封が必要
- 死亡連絡は電話が基本(WEB受付の案内もあり)
- SBI証券にも口座がある場合は証券の相続も別途必要
- 残高証明書が無料のため、相続税申告で有利
- 24時間電話受付なので急ぎの凍結に対応可能
- Web受付フォームで24時間連絡可能
- 相続に必要な残高証明書はPDF版では不十分な場合があり、郵送版の取得を推奨
- PayPay残高はPayPay銀行とは別の手続き
- 外貨預金がある場合は為替レートのタイミングに注意
- 払戻しが3〜5営業日と比較的早い
- 手続き期限はないが早めの返送が推奨
- Web受付フォームで申請・書類アップロードが可能
- 所定条件を満たせば約5営業日でWeb完結(郵送不要)
- 三菱UFJ銀行・三菱UFJ eスマート証券にも口座がある場合は別途手続き
- 書面授受が2回あり、全体で2〜4週間かかる場合がある
- 唯一店舗での対面相談が可能(イオンモール等に店舗あり)
- WAON残高は返金されるがWAONポイントは消滅する点に注意
- 口座の存在を事前に把握する:通帳がないネット銀行は相続人が見落としやすいため、メール・アプリ・確定申告書などから口座の有無を確認する
- 手続きはすべて郵送:ネット銀行は原則来店不要だが、書類不備があると郵送のやり直しで時間がかかるため、提出前の入念なチェックが重要
- 印鑑証明書・戸籍謄本の有効期限に注意:印鑑証明書は6行すべて「発行から6か月以内」の原本が必要。戸籍謄本の有効期限は銀行により異なり、住信SBIネット銀行は6か月以内の原本(コピー不可)を要求。複数行の手続きを並行する場合は有効期限の管理が重要
- 法定相続情報一覧図を複数枚取得する:郵送で原本を送付するため、返却を待つ時間を考慮して銀行数+αの枚数を取得しておく
- 残高証明書は手数料を比較する:住信SBIネット銀行は相続時無料、ソニー銀行は440円と安い一方、銀行によって数百円〜の差がある
- 証券口座の有無も確認する:楽天証券・SBI証券・三菱UFJ eスマート証券など、同グループの証券口座がある場合は別途手続きが必要
本ページは、各銀行の公式サイトの情報をもとに作成しています。最新の手続き内容・手数料・必要書類は各銀行の公式サイトでご確認ください。
参考: 楽天銀行「相続のお手続き」| 住信SBIネット銀行「相続手続」| PayPay銀行「相続のお手続き」| ソニー銀行「相続のお手続」| auじぶん銀行「相続」| イオン銀行「相続のお手続き」
ネット銀行の預金相続に関するよくあるご質問
ネット銀行は通帳やキャッシュカードを発行しないことが多く、相続人が口座の存在に気づかないケースが少なくありません。被相続人のメール受信箱で銀行名を検索する、スマートフォンの金融アプリ一覧を確認する、確定申告書の利息記録や郵便物を見るといった方法で口座の有無を調べます。さらに2025年4月に開始された預金保険機構の「相続時預貯金口座照会」(口座管理法に基づく制度)を使えば、1か所の金融機関窓口から全国の口座有無を一括照会できます(手数料5,060円・税込)。ただし対象は被相続人がマイナンバーを紐づけ(付番)していた口座に限られ、分かるのは金融機関名・支店名・口座番号などの有無で、残高は含まれません。
連絡方法は銀行ごとに異なります。Web受付フォームや専用ダイヤルでの受付が基本で、店頭がある銀行では窓口でも申し出が可能です。楽天銀行は電話受付、PayPay銀行・auじぶん銀行はWeb受付フォーム、ソニー銀行は電話・フォーム、住信SBIネット銀行(d NEOBANK)は電話での受付です。なお d NEOBANK などの提携サービスを利用していた場合は、各サービスの相続案内もあわせてご確認ください。チャネルや受付時間は変更されることがあるため、各行の公式サイトで最新の連絡方法をご確認ください。
6行に共通する主な書類は、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本、相続人全員の現在の戸籍謄本、相続人全員の印鑑登録証明書(原則発行から6か月以内の原本)、遺産分割協議書(協議分割の場合。遺言書があれば遺言書で代替)、銀行所定の相続届出書です。届出書の名称は「相続届」「相続手続依頼書」など各行で異なります。戸籍や印鑑証明書の有効期限・原本の要否は銀行により扱いが異なるため、実際の必要書類は各行から届く案内書で必ず確認してください。
残高証明書の手数料は1通あたりで各行に差があります。住信SBIネット銀行(d NEOBANK)は相続手続き時の残高証明書が無料、ソニー銀行は440円、楽天銀行は524円、auじぶん銀行は550円、PayPay銀行は郵送版880円(PDF版は無料)、イオン銀行は1,100円です(いずれも税込)。手数料は改定されることがあるため、最新額は各行の公式サイトまたは窓口でご確認ください。相続税申告に残高証明書が必要な場合は、申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月以内)を考慮し早めに申請してください。
6行いずれも、銀行が口座名義人(被相続人)の死亡を知った時点で、相続財産を保全するため対象口座の取引が原則として停止(凍結)されます。役所への死亡届で自動的に凍結されるわけではありません。ネット銀行の場合、口座振替やデビットカードによる自動決済も停止するため、サブスクや公共料金など継続が必要な支払いは早めに代替の決済手段へ切り替えてください。
期間は各行で幅があります。ソニー銀行は郵送で受け取る場合おおむね1〜2週間、PayPay銀行は公式で書類到着後約2週間とされており、その他の行も数週間から1〜2か月程度が目安です。ネット銀行は来店して書類の不備をその場で補正できず、不備があると郵送でのやり直しとなり日数がかかります。戸籍収集の期間も含めると全体では1〜2か月以上を見込み、提出前に記載漏れ・添付忘れがないか入念に確認してください(最新の目安は各行公式でご確認ください)。
6行とも民法第909条の2に基づく仮払い制度に対応しており、葬儀費用や当面の生活費として、各相続人が単独で『口座の相続開始時の残高 × その相続人の法定相続分 × 3分の1』(ただし1金融機関あたり150万円が上限)の範囲で払戻しを請求できます。なお家庭裁判所による保全処分(家事事件手続法第200条第3項)もありますが、これは遺産分割の審判または調停の申立てがされていることが前提のため利用場面は限られます。葬儀費用など急ぎの資金需要には、まず各行で完結する民法909条の2の仮払いを第一の選択肢として活用してください。
使えます。法務局が交付する「法定相続情報一覧図の写し」は6行すべてで戸籍謄本の束の代わりとして利用でき、分厚い戸籍を郵送する負担を減らせます。一覧図の交付を受けるには、前提として被相続人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍を収集して法務局へ提出する必要がありますが、法務局の交付手数料は無料で、必要枚数を取得できます。ネット銀行は郵送で原本を送付し返却まで時間がかかるため、口座のある銀行数+αの枚数を取得しておくと手続きを並行して進められます。
預金口座とは別に手続きが必要です。楽天銀行なら楽天証券、住信SBIネット銀行ならSBI証券のように同じグループの証券会社がある場合や、auじぶん銀行と提携する証券会社に口座がある場合は、それぞれの会社で別途、相続手続きを行う必要があります。ソニー銀行で相続人にもソニー銀行口座がある場合は、一部商品を除き資産をそのまま引き継げるケースもあります。口座の見落としを防ぐため、被相続人の取引状況を一通り確認しておくことをお勧めします。
頼めます。ネット銀行の預金解約に必要な「連続した戸籍謄本」「印鑑証明書」は、法務局での不動産の相続登記に必要な書類と大部分が重複します。銀行手続きと相続登記を同じ司法書士へまとめて依頼すれば、戸籍収集の二度手間を省けます(相続税の申告は税理士、相続人間の紛争解決は弁護士の業務です)。2024年4月から相続登記は義務化され、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内(遺産分割で取得した場合はその成立日から3年以内)に登記せず、正当な理由もない場合は10万円以下の過料の対象となり得るため(不動産登記法第76条の2・第164条第1項)、預金相続と同時に登記まで進めるのが実務的です。
