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相続における預金残高証明書の取得方法|必要書類・注意点


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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最終更新日:2026年6月8日

預金の残高証明書の取得方法(要点まとめ)

● 残高証明書とは:金融機関が「指定した日現在の預貯金残高」を公式に証明する書類です。相続では、遺産分割や相続税申告の基礎資料にするため、通常は被相続人の死亡日を基準日として請求します。

● 通帳だけでは不十分なことも:未記帳の入出金・定期預金の既経過利息(未収利息)・同一銀行内の他の口座を見落とすおそれがあるため、正確な残高は金融機関の証明が確実です(争いがなく相続税申告も不要なら通帳で足りる場合もあります)。

● 口座凍結後でも取得可能:死亡により口座が凍結されても、相続人であることを証明できれば残高証明書の発行手続自体は可能です(取扱い・必要書類は金融機関ごとに差があります)。

● 必要書類:被相続人の死亡が分かる戸籍(除籍)謄本・相続人の戸籍謄本・相続関係の分かる戸籍等・本人確認書類・印鑑(実印が多い)・印鑑証明書。法定相続情報一覧図があれば多くの金融機関で戸籍束の代わりに使え、手続が楽になります(印鑑証明書など追加書類が別途必要なことも)。

● 金融機関ごとの違い:受付方法(窓口・郵送・相続窓口が中心)や手数料の単位(1通あたり/支店ごと発行で増える)が異なります。1通あたり数百円〜1,000円程度が一つの目安ですが、依頼前に「何通・どの単位で発行されるか」を確認すると安全です。

● 相続税を見据えるなら:残高だけでなく既経過利息(経過利息計算書として別途発行されることも)取引明細(入出金明細)もあわせて取得します。暦年課税の生前贈与加算の対象期間が延びる改正もあり、相続税申告が見込まれる場合は税理士にご相談ください。

● 取りに行く前の注意:残高証明書の請求は、金融機関に死亡が伝わり口座凍結のきっかけになります。公共料金の引落し等が止まるため、事前に引落し口座の変更などの段取りをしておくと安心です。

遺産整理業務の完全ガイド|預貯金・不動産・株式の相続手続きを司法書士が丸ごと代行

【保存版】銀行預金の相続手続き|口座凍結後の流れ・必要書類

預金の残高証明書を取得する4つの手順

1取引金融機関を特定する

通帳・キャッシュカード・郵便物・ネットバンクのメール等から、被相続人が口座を持っていた金融機関(銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫・JA等)を洗い出します。心当たりが分からない場合は、可能性のある金融機関を個別に特定し、その金融機関の全支店を対象に口座の有無を確認します(全店照会)。相続時の口座照会制度も活用できます。

2必要書類をそろえる

被相続人の死亡が分かる戸籍(除籍)謄本・相続人の戸籍謄本・相続関係の分かる戸籍等・請求する人の本人確認書類・印鑑(実印が多い)・印鑑証明書を準備します。複数行に請求するなら、法務局で法定相続情報一覧図を取得しておくと多くの金融機関で戸籍束の代わりに使えて効率的です。ただし一覧図は戸籍収集と法務局の審査で発行まで時間がかかるため、急ぐ場合は最小限の戸籍で先行して請求することもできます。

3金融機関の相続窓口で請求する

各金融機関の相続手続き窓口に死亡を届け出て、残高証明書を請求します。基準日として被相続人の死亡日を指定します。なお、死亡を伝えた時点で口座は凍結され、公共料金の引落しやATM入出金ができなくなるため、事前に引落し口座の変更などの段取りを済ませてから動くのが安全です。相続税申告を見据える場合は、あわせて既経過利息(経過利息計算書として別途発行されることも)取引明細(入出金明細)の取得も依頼します。受付方法・手数料・発行単位は金融機関により異なるため、事前に確認しておきます。

4発行された証明書を相続手続きに使う

発行された残高証明書を、遺産分割協議や相続税申告の財産把握の基礎資料として使用します。記載内容(基準日・残高・既経過利息)に漏れがないか受領時に確認します。預金の払戻し(解約)そのものは、別途、金融機関所定の相続届・戸籍・印鑑証明書・遺産分割協議書または遺言書などで進めます。

相続手続では、不動産の名義変更(相続登記)と並んで、預貯金の把握と整理が必ず課題になります。遺産分割協議を適正に進めるためにも、また相続税の申告が必要になる可能性がある場合にも、金融機関が発行する預金残高証明書は重要な資料です。

この記事では、司法書士の実務の視点から、残高証明書の意味、取得手順、必要書類、金融機関ごとの違い、注意点をまとめます。

1. 通帳の記帳だけでは不十分な理由(残高証明書が必要な場面)

「通帳を見れば残高は分かる」と思われがちですが、相続実務では通帳記帳だけで足りないケースが少なくありません。主な理由は次のとおりです。

1-1. 未記帳の入出金がある

死亡直前の引落し・振込・ATM出金などが、通帳に記帳されていないことはよくあります。「死亡日時点の正確な残高」を押さえるには、金融機関の証明が確実です。

1-2. 既経過利息(未収利息)が反映されない

定期預金などは、前回利払日から死亡日までの利息(既経過利息)が発生しますが、通帳残高だけでは把握できません。相続税の検討が必要な案件では、利息を含めた評価が求められます。

1-3. 同一金融機関内の「見落とし」を防ぐ

同じ銀行の中に、普通預金以外にも定期預金・投信・外貨・ローン等がある場合、通帳だけでは全体像が見えません。残高証明書の請求時に、対象商品を網羅的に確認できることがあります(銀行により範囲・出し方は異なります)。

2. 口座凍結と、残高証明書が取得できることは別の話

金融機関は、預金者の死亡を把握すると、払い戻し等を止める(いわゆる口座凍結)運用をします。これは、相続人間のトラブルや二重払いを防ぐための保全措置です。

一方で、凍結後でも一般に、相続人であることを証明できれば、残高証明書の発行手続自体は可能です。ただし、窓口での取扱い・必要書類は金融機関ごとに差があり、同じ銀行でも支店で案内が揺れることがあります。事前に「残高証明書の請求に必要な書類一式」を確認してから動くのが安全です。

※口座凍結後の預金相続手続きについて詳しくは、【保存版】銀行預金の相続手続き|口座凍結後の流れ・必要書類を司法書士が解説をご覧ください。

3. 事前準備:必要書類の考え方(ここで手戻りが起きやすい)

残高証明書の請求で最も時間がかかるのは、実際には「書類集め」です。金融機関が見ているポイントは、要するに次の2つです。

  • 口座の名義人である被相続人が亡くなっていること
  • 請求者が相続人(または正当な権限者)であること

3-1. 典型的に求められる書類

金融機関で差はありますが、よく求められるのは次のセットです。

  • 被相続人の死亡が分かる戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続人の現在の戸籍謄本
  • 被相続人と相続人の相続関係の分かる戸籍謄本等(上記以外のもの)
  • 手続する人の本人確認書類
  • 印鑑(実印を求められることが多い)
  • 印鑑証明書(期限付きの運用が多い)

3-2. 法定相続情報一覧図を使うと、手続が一気に楽になる

複数の金融機関に請求する場合、戸籍束を毎回提出するのは負担が大きいです。そこで有効なのが、法務局で取得できる法定相続情報一覧図です。

  • 基本的にはどの金融機関でも、戸籍謄本等の代用として利用可能
  • 窓口確認の時間が短くなり、手戻りも減りやすい
  • 相続登記と同時に作ることが多く、全体の段取りが良くなる

4. 金融機関ごとの違い(実務でつまずきやすいポイント)

ここは「各行の最新案内」が前提ですが、実務上の傾向として、次のような違いが出ます。

4-1. 受付方法:窓口中心か、郵送・アプリ対応か

郵送やWebで完結できる銀行もある一方、窓口手続が基本の金融機関もあります。同じ銀行でも、口座の種類(融資・外為・投信)や相続関係の複雑さで、結局窓口対応になることがあります。

4-2. 手数料:1通いくら/支店数で増える など

「1通〇円」の分かりやすい設定の銀行もあれば、「支店ごとに発行=支店数×通数」のように、コストが膨らむことがある銀行もあります。

料金は改定があるため、依頼前に見積りの取り方(何通・どの単位で発行されるか)を確認すると安全です。

5. 相続税も見据えるなら「残高」だけでなく、ここまで取る

相続税の申告が必要になる可能性がある案件では、残高証明書を取る段階で次の2点を意識しておくと、後のやり直しが減ります。

5-1. 既経過利息(未収利息)の記載

定期預金等は、死亡日時点の利息が財産評価に影響します。金融機関の依頼書にチェック欄がある場合は、既経過利息を記載する選択を検討します。

5-2. 取引明細(入出金明細)の取得期間

税務の観点では「点(残高)」より「線(資金移動)」が重要になることがあります。また、贈与の持ち戻し期間が段階的に延びる制度改正もあるため、実務上は3年より長めの期間で明細取得を検討する場面が増えています(案件により税理士と連携して判断します)。

6. 残高証明書を取りに行く前に知っておくべき注意点(凍結の影響)

残高証明書の請求は、金融機関に死亡の事実が伝わる契機になります。次の点は、依頼者に必ず説明しています。

6-1. 公共料金等の引落しが止まる可能性

凍結が入ると、引落しが止まり、滞納扱いになることがあります。引落口座の変更(生存家族の口座へ)を先に済ませると安全です。

6-2. 貸金庫が使えなくなる可能性

貸金庫契約がある場合、死亡の把握後に利用制限がかかることがあります。通帳の引落し履歴等から貸金庫使用料が見えることもあるため、先に有無を確認しておくと段取りが崩れません。

6-3. 借入金が見つかり、相続放棄の検討が必要になることがある

残高証明書や照会の過程で、ローン等の負債が判明することがあります。負債が多い場合は、相続放棄(原則3か月)の検討が必要になるため、早期の資料収集が重要です。

※相続放棄の手続きや注意点について詳しくは、【相続放棄と相続登記の完全ガイド】手続き・費用・注意点をご覧ください。

7. 司法書士に依頼する場面の目安(コストの考え方)

残高証明書の取得自体は相続人が行えますが、実務では次のようなケースで専門家の関与が効果的です。

  • 金融機関が複数で、平日に動けない
  • 戸籍が多く、連続性の判断に不安がある
  • 相続人が海外在住、疎遠、連絡調整が難しい
  • 貸金庫・融資・投信などが絡み、銀行側の要求が重くなっている
  • 相続登記と同時に、財産調査~払い戻しまで一括で進めたい

相続登記と預金手続は、必要書類が重なる部分が多いので、同じ戸籍一式をベースに一体で組み立てると全体が早く・安全に進みやすいです。

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まとめ:残高証明書は「遺産分割の前提」を固める資料です

預金残高証明書は、単に残高を知るためだけの書類ではありません。遺産の範囲を確定し、相続人間の公平性を担保し、登記・税務を含めた手続を前に進めるための基礎資料になります。

一方で、取得の動きが口座凍結や貸金庫制限につながることもあるため、生活費・引落し・貸金庫の有無など、周辺事情を確認してから進めるのが安全です。手続が複雑な場合は、早めに専門家へ相談すると、手戻りと時間コストを抑えられます。

預金の残高証明書に関するよくあるご質問

Q. 預金の残高証明書とは何ですか?

金融機関が、指定した日現在の預貯金残高を公式に証明する書類です。相続では、遺産分割や相続税申告の基礎資料にするため、通常は被相続人の死亡日を基準日として請求します。通帳のコピーだけでは死亡日時点の正確な残高や定期預金の既経過利息までは確認できないことがあり、正式な資料が必要な場面では残高証明書が確実です。

Q. 通帳があれば残高証明書は取らなくてよいですか?

通帳だけでは不十分なことが多いです。死亡直前の未記帳の入出金が反映されていなかったり、定期預金の既経過利息(未収利息)が分からなかったり、同じ銀行内の他の口座を見落とすおそれがあるためです。ただし、相続税の申告が必要なく、相続人全員が通帳の記載内容で合意できる場合は、残高証明書を取らずに通帳のコピーで遺産分割を進めるケースもあります。

Q. 口座が凍結されていても残高証明書は取得できますか?

取得できます。金融機関は預金者の死亡を把握すると払戻し等を止める(口座凍結)運用をしますが、凍結後でも、相続人であることを証明できれば残高証明書の発行手続自体は可能です。ただし窓口での取扱い・必要書類は金融機関ごとに差があるため、事前に必要書類一式を確認してから動くと安全です。

Q. 残高証明書の発行に必要な書類は何ですか?

金融機関により差はありますが、一般に被相続人の死亡が分かる戸籍(除籍)謄本・相続人の戸籍謄本・相続関係が分かる戸籍等・請求する人の本人確認書類・印鑑(実印を求められることが多い)・印鑑証明書が必要です。金融機関は「名義人が亡くなっていること」と「請求者が相続人であること」を確認しています。

Q. 法定相続情報一覧図があると手続きは楽になりますか?

楽になります。複数の金融機関に請求する場合、毎回戸籍束を提出するのは負担が大きいですが、法務局で取得できる法定相続情報一覧図は、多くの金融機関で戸籍謄本等の代わりとして利用できます(印鑑証明書・本人確認書類・遺産分割協議書などは別に求められることがあります)。ただし一覧図の発行には戸籍収集と法務局の審査で時間がかかるため、急ぐ場合は最小限の戸籍で先に残高証明書を請求することもできます。相続財産に不動産があれば、相続登記の準備とあわせて作成しておくと使い回しやすくなります。

Q. 残高証明書の手数料はいくらですか?

金融機関によって異なります。1通あたり数百円〜1,000円程度が一つの目安ですが、「支店ごとに発行=支店数×通数」でコストが膨らむ銀行もあります。経過利息計算書や取引明細は別料金になることもあります。料金は改定されることがあるため、依頼前に「何通・どの単位で発行されるか」と手数料を確認しておくと安全です。

Q. 残高証明書はいつの時点の残高が記載されますか?

相続手続きでは原則として被相続人の死亡日を基準日として請求します。死亡日時点の財産が、遺産分割や相続税評価の対象になるためです。普通預金は死亡日現在の残高を、定期預金・定額貯金などは元本に加えて死亡日までの既経過利息も確認できるよう、請求時に基準日を死亡日と指定し忘れないよう注意します。

Q. 相続税の申告がありそうな場合、残高証明書のほかに取っておくものはありますか?

残高(点)だけでなく、資金の動き(線)を示す取引明細(入出金明細)を取っておくと、後のやり直しが減ります。また定期預金等は既経過利息が財産評価に影響するため、依頼書に記載欄があるか、経過利息計算書を発行できるかを確認します。暦年課税の生前贈与加算の対象期間が延びる改正もあり(相続開始日により対象期間が異なります)、相続税申告が見込まれる案件では税理士にご相談ください。

この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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