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《この記事の監修者》
司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら)
最終更新日:2026年2月5日
相続手続では、不動産の名義変更(相続登記)と並んで、預貯金の把握と整理が必ず課題になります。遺産分割協議を適正に進めるためにも、また相続税の申告が必要になる可能性がある場合にも、金融機関が発行する預金残高証明書は重要な資料です。
この記事では、司法書士の実務の視点から、残高証明書の意味、取得手順、必要書類、金融機関ごとの違い、注意点をまとめます。
「通帳を見れば残高は分かる」と思われがちですが、相続実務では通帳記帳だけで足りないケースが少なくありません。主な理由は次のとおりです。
死亡直前の引落し・振込・ATM出金などが、通帳に記帳されていないことはよくあります。「死亡日時点の正確な残高」を押さえるには、金融機関の証明が確実です。
定期預金などは、前回利払日から死亡日までの利息(既経過利息)が発生しますが、通帳残高だけでは把握できません。相続税の検討が必要な案件では、利息を含めた評価が求められます。
同じ銀行の中に、普通預金以外にも定期預金・投信・外貨・ローン等がある場合、通帳だけでは全体像が見えません。残高証明書の請求時に、対象商品を網羅的に確認できることがあります(銀行により範囲・出し方は異なります)。
金融機関は、預金者の死亡を把握すると、払い戻し等を止める(いわゆる口座凍結)運用をします。これは、相続人間のトラブルや二重払いを防ぐための保全措置です。
一方で、凍結後でも一般に、相続人であることを証明できれば、残高証明書の発行手続自体は可能です。ただし、窓口での取扱い・必要書類は金融機関ごとに差があり、同じ銀行でも支店で案内が揺れることがあります。事前に「残高証明書の請求に必要な書類一式」を確認してから動くのが安全です。
※口座凍結後の預金相続手続きについて詳しくは、【保存版】銀行預金の相続手続き|口座凍結後の流れ・必要書類を司法書士が解説をご覧ください。
残高証明書の請求で最も時間がかかるのは、実際には「書類集め」です。金融機関が見ているポイントは、要するに次の2つです。
金融機関で差はありますが、よく求められるのは次のセットです。
複数の金融機関に請求する場合、戸籍束を毎回提出するのは負担が大きいです。そこで有効なのが、法務局で取得できる法定相続情報一覧図です。
ここは「各行の最新案内」が前提ですが、実務上の傾向として、次のような違いが出ます。
郵送やWebで完結できる銀行もある一方、窓口手続が基本の金融機関もあります。同じ銀行でも、口座の種類(融資・外為・投信)や相続関係の複雑さで、結局窓口対応になることがあります。
「1通〇円」の分かりやすい設定の銀行もあれば、「支店ごとに発行=支店数×通数」のように、コストが膨らむことがある銀行もあります。
料金は改定があるため、依頼前に見積りの取り方(何通・どの単位で発行されるか)を確認すると安全です。
相続税の申告が必要になる可能性がある案件では、残高証明書を取る段階で次の2点を意識しておくと、後のやり直しが減ります。
定期預金等は、死亡日時点の利息が財産評価に影響します。金融機関の依頼書にチェック欄がある場合は、既経過利息を記載する選択を検討します。
税務の観点では「点(残高)」より「線(資金移動)」が重要になることがあります。また、贈与の持ち戻し期間が段階的に延びる制度改正もあるため、実務上は3年より長めの期間で明細取得を検討する場面が増えています(案件により税理士と連携して判断します)。
残高証明書の請求は、金融機関に死亡の事実が伝わる契機になります。次の点は、依頼者に必ず説明しています。
凍結が入ると、引落しが止まり、滞納扱いになることがあります。引落口座の変更(生存家族の口座へ)を先に済ませると安全です。
貸金庫契約がある場合、死亡の把握後に利用制限がかかることがあります。通帳の引落し履歴等から貸金庫使用料が見えることもあるため、先に有無を確認しておくと段取りが崩れません。
残高証明書や照会の過程で、ローン等の負債が判明することがあります。負債が多い場合は、相続放棄(原則3か月)の検討が必要になるため、早期の資料収集が重要です。
※相続放棄の手続きや注意点について詳しくは、【相続放棄と相続登記の完全ガイド】手続き・費用・注意点をご覧ください。
残高証明書の取得自体は相続人が行えますが、実務では次のようなケースで専門家の関与が効果的です。
相続登記と預金手続は、必要書類が重なる部分が多いので、同じ戸籍一式をベースに一体で組み立てると全体が早く・安全に進みやすいです。
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預金残高証明書は、単に残高を知るためだけの書類ではありません。遺産の範囲を確定し、相続人間の公平性を担保し、登記・税務を含めた手続を前に進めるための基礎資料になります。
一方で、取得の動きが口座凍結や貸金庫制限につながることもあるため、生活費・引落し・貸金庫の有無など、周辺事情を確認してから進めるのが安全です。手続が複雑な場合は、早めに専門家へ相談すると、手戻りと時間コストを抑えられます。

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