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離婚後の共有名義を解消する方法|財産分与・売却など実務的な選択肢


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年1月14日
 

離婚後の共有名義不動産をどうする?

離婚後も、元夫婦の自宅が共有名義のままになっている。
この状態は、司法書士の実務では非常によく見かけます。

「子どもの学区の関係で売れない」
「とりあえず住み続けているだけ」
「いつか話し合えばいいと思っている」

しかし、共有名義を放置すること自体が大きなリスクです。
この記事では、離婚後に不動産が共有名義のまま残ってしまった場合について、

  • 放置すると何が起きるのか
  • 共有状態を解消する現実的な方法
  • 売却以外の「登記による解決策」
  • 実際に名義変更で解決したケース

を、登記実務の専門家である司法書士の視点で解説します。

離婚後に共有名義を放置するリスク

共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態です。
離婚後もこの状態が続くと、次のような問題が生じます。

① 自由に売却・処分できない

共有不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できません
一方が「売りたい」、もう一方が「売りたくない」と言えば、そこで止まります。

② 将来さらに権利関係が複雑になる

共有者の一方が亡くなると、その持分は相続人に承継されます。
元配偶者+その再婚相手や子どもが関係者になると、話し合いは一気に難航します。

③ 金銭負担が不公平になりやすい

実務では、

  • 片方が住み続けている
  • もう片方が固定資産税だけ払っている

といったケースも少なくありません。
この不満が後から大きなトラブルに発展します。

④ 心理的にも「縁が切れない」

名義が共有のままだと、売却・修繕・保険など、
何かあるたびに元配偶者と連絡が必要になります。

専門家の立場から言えば、
「共有名義は、早めに解消する前提で考えるべき状態」です。

離婚後の共有名義を解消する4つの方法

共有状態を解消する方法は、主に次の4つです。
それぞれメリット・デメリットがあります。

方法①財産分与により単独名義に【登記による解決】

最も王道で、司法書士としてまず検討する方法です。

内容

離婚に伴う財産分与として、
一方の持分をもう一方に移転し、単独名義にする方法です。

メリット

  • 売却せずに済む(住み続けられる)
  • 離婚後の財産分与であれば贈与税がかからない
  • 権利関係がシンプルになり、将来の不安がなくなる

デメリット

  • 登録免許税(固定資産評価額×2%)がかかる
  • 住宅ローンが残っている場合は調整が必要

「売るしかない」と思い込んでいる方が多いですが、
登記で解決できるケースは非常に多いのが実情です。

関連:離婚による不動産名義変更の手続き全体像

方法② 売買による清算(持分の買い取り)

一方が、相手の持分を金銭で買い取る方法です。

ポイント

  • 実質は「売買」に近い整理になる
  • 資金調達(自己資金・ローン)が必要
  • 内容次第では贈与税・譲渡所得税の検討が必要

向いているケース

  • 明確な金額合意ができている
  • 買い取る側に資金力がある
方法③ 共同で売却処分する

共有者全員の同意のもと、不動産を売却して現金化し、
持分割合に応じて分配する方法です。

メリット

  • 共有関係を完全に解消できる
  • 公平な金銭分配が可能
  • 市場価格での売却が期待できる

デメリット

  • 住み続けることができない
  • 売却時期・価格について全員の合意が必要
  • 譲渡所得税がかかる可能性がある

向いているケース

  • どちらも住む予定がない
  • 公平に現金で分けたい
  • 他の解決方法が難しい
方法④ 共有持分だけを第三者に売却する

相手との交渉がどうしても難しい場合、
自分の持分だけを第三者に売却する方法もあります。

注意点

  • 市場性が低く、価格は安くなりがち
  • 買取業者・投資家が中心
  • 新たな第三者と共有関係になるリスク

最終手段です。推奨される方法ではありませんが、やむを得ない場合の方法です。

【実務事例】名義変更で解決したケース

ケース①:妻と子が住み続けたい

  • 離婚後、元夫と1/2ずつ共有
  • 子どもの学区の関係で売却不可
  • 元夫は「関わりたくないが、損はしたくない」

財産分与として元夫の持分を妻に移転
登記完了後、共有関係は完全に解消
元夫は将来の関与・責任から解放

ケース②:妻がローン完済して自分名義に

  • 離婚後、元夫と1/2ずつ共有
  • 住宅ローンが残っており、夫名義
  • 妻は自分ではローンが組めなかった
  • 妻が親からお金を借りて夫のローンを完済

ローン完済後、抵当権を抹消
財産分与として元夫の持分を妻に移転
妻の単独名義となり、共有関係を解消

このように、売却せずに登記で解決する選択肢は現実的です。

FAQ(よくある質問)

離婚後、共有名義はよくあることですか?

はい。実務では非常に多く見られます。

離婚時に「いったん住み続ける」「子どもが大きくなるまで売らない」といった事情があると、名義を動かさずに共有のままにしがちです。

ただし共有は、「何か決めるたびに相手の同意が必要」という構造なので、時間が経つほど現実的に動かしづらくなります。

特に、離婚後に再婚・転居・相続など環境変化があると、当初の合意が崩れ、トラブル化しやすいのが特徴です。

共有名義のまま住み続けても問題ありませんか?

住むこと自体は可能ですが、将来トラブルになるリスクが高いです。

共有名義のままでも居住はできますが、次の"火種"が残ります。

  • 売却できない/売却時に同意が必須(片方が反対したら止まる)
  • 修繕・リフォーム・火災保険など、住まいの意思決定で揉める
  • 固定資産税・管理費・ローンの負担割合が曖昧になりやすい
  • 相手に相続が発生すると、共有者が相続人に入れ替わり一気に難易度が上がる

「今は困っていない」ほど放置しがちですが、共有は「困ったときに一気に詰む」タイプの問題です。早い段階で、出口(単独名義化/売却/買い取り等)を決めておくのがおすすめです。

相手が共有解消に応じません。どうすれば?

段階的に「合意形成→調停→最終手段」を検討します。

実務的には、次の順で考えると現実的です。

① 合意形成(交渉)
相手が拒否する理由は「損したくない」「面倒」「感情」「ローン不安」が多いです。費用負担、税金、ローン整理、売却時期などを"見える化"すると動くケースがあります。

② 第三者(司法書士)を間に入れる
当事者同士だと感情でこじれやすいので、手続きの話に変換できるのが強みです。「登記で必要なこと」「合意書のポイント」を整理し、相手の不安(悪用・責任残り)も潰せます。

③ 家庭裁判所(調停・審判)/裁判手続
合意が難しい場合は、調停で"登記に使える合意"を作るのが近道になることがあります。どうしてもまとまらない場合は最終的に裁判手続で共有関係を解消する選択肢もあります。

子どもが成人するまで待つのはアリ?

事情としては理解できますが、「待つほど権利関係は複雑化」しやすいです。

よくあるのが「学区の都合で売れない」「子どもが独立したら整理する」というケースです。ただ、待っている間に起きやすいリスクがいくつかあります。

  • 相手が再婚し、協力が得にくくなる
  • 転職や収入変動で、買い取り・借換えが難しくなる
  • 片方に相続が発生し、共有者が増える
  • 住み続ける間の費用負担(税・ローン・修繕)が不公平になり揉める

「待つ」なら、最低限 ①いつまでに ②どう整理するか ③費用負担はどうするか を書面で固定し、出口戦略を作っておくのが安全です。

住宅ローンが残っていても持分移転できますか?

「登記はできても、ローン問題が残る」ため、金融機関調整が重要です。

法律上、持分移転登記そのものは可能でも、ローン契約上は銀行の承諾が必要だったり、契約違反リスクがあったりします。特に注意したいのは以下です。

  • 名義だけ妻に移しても、ローン債務者が夫のままだと危険(責任のねじれ)
  • 債務引受・借換え・連帯保証の解消など、銀行の審査が必要なことが多い
  • 銀行が承諾しない場合は、売却や住替えも含めた代替案が必要

この論点は、登記とローンを同時に「安全な順番」で設計するのがコツです。
詳しくはこちら

持分移転の費用はいくら?

評価額・持分割合・不動産数で変わります。目安は「登録免許税+司法書士報酬+実費」です。

離婚に伴う持分移転でよく出る費用項目は次の通りです。

  • 登録免許税(原則:固定資産評価額×2%がベース)
  • 司法書士報酬(事務所・難易度・ローン有無で変動)
  • 実費(登記事項証明書、評価証明、郵送費など)

共有持分の移転は、単独名義の移転よりも「持分」「評価」「当事者関係」の確認が増えやすいので、ケースによって差が出ます。

贈与税はかかりますか?

離婚後の財産分与として合理的な範囲なら、原則として贈与税はかからない整理になります。

ただし注意点もあります。

  • 財産分与でも、明らかに過大だと贈与扱いと評価されるリスクがゼロではない
  • 離婚から時間が経ちすぎている場合、経緯や書面が弱いと贈与に見られる可能性がある
  • 不動産取得税など、税目によって扱いが異なることがある

税金は前提条件で結論が変わるので、当事者の状況に応じて(必要なら税理士連携も含め)整理して進めるのが安全です。

自分で手続きできますか?

「合意が明確で、ローンがなく、書面が整っている」なら可能性はありますが、共有は難易度が高めです。

共有名義の解消は、以下が揃っていないと詰まりやすいです。

  • 不動産の特定(地番・家屋番号)
  • 持分割合の確認(登記簿の内容と一致しているか)
  • 財産分与の合意内容(書面の有無・記載の精度)
  • ローン・抵当権の有無
  • 相手の協力(本人確認・印鑑証明等)

途中で止まると時間もコストも増えるため、「自分でやる/専門家に任せる」の判断は早めがおすすめです。
自分でできるかの判断基準はこちら

放置すると何年後が一番危険?

「相続が発生した時点」と「ローンや借金トラブルが起きた時点」で一気に難しくなります。

共有名義の放置は、普段は静かでも、次のタイミングで急に爆発します。

  • 元配偶者が亡くなって相続人が共有者になる
  • 元配偶者が借金・差押え・破産などに巻き込まれる
  • 住んでいる側が修繕や売却をしたいのに、同意が取れない
  • 子どもが独立し、売却しようとしたら相手が反対する

つまり「いつか整理する」は危険で、整理できるうちに整理するのが最も安上がりです。

まず何から相談すべき?

まずは「4点セット」を整理すると話が早いです。

無料相談や問い合わせの前に、次をメモしておくと最短で方向性が出ます。

  • 登記名義と持分割合(登記事項証明書で確認)
  • 住宅ローンの有無(債務者・残高・金融機関名)
  • 現在の居住状況(誰が住んでいるか/家賃相当や負担)
  • 離婚時の合意書面の有無(離婚協議書・公正証書など)

この4点が分かれば、「登記で単独名義化できるか」「売却が現実的か」「ローン整理の必要があるか」が判断しやすくなります。

まとめ

離婚後の共有名義は、
「今は困っていない」ほど危険です。

売却だけでなく、登記による解決という選択肢があります。

共有状態をどう整理すべきか、司法書士が中立の立場でご案内します。

早めの相談が、最も負担の少ない解決につながります。

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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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