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離婚後の名義変更を放置するとどうなる?リスク・期限と早期対策


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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作成日:2026年1月14日 最終更新日:2026年7月12日

離婚後の名義変更を放置するとどうなる?(要点まとめ)

● 放置の4大リスク:元配偶者による売却・担保設定、借金による差押え、相続発生による関係者の増加、住宅ローンと名義のズレの固定化という4つのリスクがあります。

● 財産分与の請求期限は5年:家庭裁判所に請求できるのは、離婚成立が2026年4月1日以降なら5年以内、2026年3月31日以前なら2年以内です(改正民法768条2項・経過措置)。

● 登記はいつでも可能だが早いほど安全:期限は裁判所に請求できる期間の話で、当事者間の合意があれば名義変更登記自体は後からでも可能です。ただし放置するほどリスクと税務上の問題が増えます。

● 費用の目安:登録免許税は移転する不動産(持分)に対応する固定資産税評価額×2.0%。司法書士報酬はおまかせパック99,000円(税込)〜です(実費別途)。

● 銀行・車は別手続き:銀行口座・住宅ローンは各金融機関、車は運輸支局での手続きです(当センターは不動産登記の専門)。

離婚・財産分与による不動産名義変更の手続きガイド(必要書類・費用・Q&A・流れ)

「離婚したけれど、家の名義は元配偶者のまま…」
「住み続けているのは自分なのに、このままで問題ない?」

結論から言うと、"放置は危険"です。離婚後の不動産は、名義・ローン・税金が絡み合い、時間が経つほど解決が難しくなります。特に、財産分与を家庭裁判所に請求できる期限(離婚成立が2026年4月1日以降なら5年以内・2026年3月31日以前なら2年以内)を過ぎると、選べる選択肢が減り、余計な税負担やトラブルにつながりやすくなります。

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関連記事:住宅ローン残債のある家を離婚後に名義変更する具体的な手順は「住宅ローンが残る家の名義変更|離婚・借り換え・費用を司法書士が解説」をご覧ください。借り換え・債務引受・売却の3つの方法と銀行承諾の取り付け方、無断で名義変更した場合のリスクまでをまとめています。

放置するとどうなる?4つの深刻なリスク

リスク1:元名義人が売却・担保設定できる「理論上の危険」

住んでいる側が実質的に「自分の家」と思っていても、登記上は元配偶者が所有者として公示された状態が続きます。財産分与の合意により当事者間では所有権が移っていても、移転登記をしなければ、後から登記を得た第三者や差押債権者に権利を主張できない場合があります。理論上は、元名義人が勝手に売却話を進めたり、担保(抵当権)を付けて借入をしたりする余地も残ります。

最悪の場合、住み続けられない状況に陥るリスクもゼロではありません。

実務での事例:

元配偶者が新たな借入のために、離婚後も名義に残っている不動産を担保に入れようとするケースは珍しくありません。第三者への処分や担保設定がされる前であれば移転登記を急ぐなどの対応を検討できますが、すでに第三者名義の登記や差押えの登記が入ってしまうと、解決の難易度は大きく上がります。

リスク2:差押え・破産で「巻き込まれる」

元配偶者に借金トラブルが起きると、差押え等で不動産が巻き込まれる可能性があります。「財産分与で受け取るはずだった家」が、名義変更していないだけで不利な状況に陥るのは、現場でも起こり得る典型的なパターンです。

リスク3:相続が発生して"関係者が増える"

さらに厄介なのが、時間が経ってから相手に相続が起きるケースです。財産分与が決まらないまま元配偶者が亡くなると、不動産の権利関係は相続人に承継されます。合意が済んでいて登記だけが未了の場合でも、登記手続は相続人に引き継いでもらう必要があり、交渉相手が「元配偶者」から「相続人複数」に変わります。ここから一気に解決が遠のきます。

よくある困難事例

離婚から10年後、元配偶者が亡くなり、その再婚相手と子供(会ったこともない)が相続人に。名義変更の協議が必要になったものの、連絡も取りづらく、手続きが長期化してしまう…というケースは決して珍しくありません。

なお、2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続人には、相続および所有権の取得を知った日から3年以内に、相続登記する義務があります。相続人が増えるほど、こうした手続きの調整はさらに難しくなります。

リスク4:ローンと名義がズレたまま固定化する

住宅ローンが残っていると、名義変更は「登記だけ」では終わりません。金融機関の承諾・審査・借換や債務引受など、順番を間違えると行き詰まる領域です。

債務引受や借換えには金融機関の審査・承諾が必要で、結果は収入・信用状況・担保評価などによって判断されます。

当センターの特徴:

金融機関の承諾や融資実行が関係する場合に、登記申請との順序や日程を整理したうえで名義変更を進めます。債務者変更・借換え・団体信用生命保険の取り扱いは、借入先の金融機関へ直接ご確認ください。住宅ローンが残っている場合の考え方も併せてご覧ください。

また、家を夫婦の共有名義のまま離婚後も放置しているケースにも注意が必要です。共有のままでは不動産全体の売却や大きな変更に元配偶者の同意が必要になり、相手の持分だけが売却・差押え・相続の対象になるリスクも残ります。詳しくは「共有名義のまま離婚した場合のリスクと解消する方法」で解説しています。

財産分与の請求期限は5年(2026年4月改正施行済み)|離婚時期で異なる

財産分与を家庭裁判所に請求できる期間(調停・審判等の申立期限)は、改正民法768条2項により「離婚の時から5年以内」とされています。この改正法は2026年4月1日に施行済みです。ただし経過措置があり、2026年3月31日以前に成立した離婚には従前どおり「離婚の時から2年以内」が適用されます。つまり、財産分与の請求期限は離婚の成立時期によって異なります。

財産分与請求期限のタイムライン

2026年4月1日以降に成立した離婚: 離婚の時から5年以内に調停・審判等を申し立てる必要(改正民法768条2項)
2026年3月31日以前に成立した離婚: 従前どおり離婚の時から2年以内(経過措置)
注意点: 期限を過ぎても当事者間の合意があれば登記自体は可能な場合もあるが、合意内容を書面で明確にしておくことが重要

重要:期限(2年または5年)を過ぎたら「もう名義変更できない」?

ここは誤解が多い点です。

期限の正しい理解:

  • 制限されるのは、財産分与を"裁判所で争う"期限です(離婚の成立時期により2年または5年)
  • 当事者間で財産分与が成立している/合意できるなら、後から登記をすること自体は実務上可能です

税務上の注意:

期間を過ぎたことだけで直ちに贈与扱いになるわけではありませんが、合意時期・分与の目的・対象財産・分与額が不明確だと、財産分与としての説明が難しくなります。離婚協議書などの書面を整えたうえで進めてください。なお、通常の財産分与では、財産をもらう側に贈与税は原則かかりません。もらう側の不動産取得税は取り扱いが分かれるため都道府県税事務所に、分与する側は譲渡所得税がかかる場合があり、元自宅で一定の要件を満たすと3,000万円特別控除を利用できる可能性があるため、税理士にご相談ください。

離婚の名義変更はいつ動くのがベストかについても詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

ケーススタディ:相談で多い3つの事例

ケース1:住んでいるのは妻、名義もローンも夫のまま

よくある悩み: 「今は払ってるのに名義が夫」「夫が再婚したらどうなる?」

放置リスク: 売却・担保・差押えのリスクが残る

対応: 早期に財産分与登記とローン債務の整理を進める必要があります

ケース2:離婚から3年経過、「期限が過ぎた」と言われた

よくある悩み: 「もう手遅れ?」

現実: 2026年3月31日以前に成立した離婚では、離婚から2年を過ぎると家庭裁判所に財産分与の処分を求めることは原則としてできません。ただし、元配偶者が任意に合意する場合は、登記ルートが残ることがあります

対応: まずは現状を整理し、可能な手続きと税務リスクを確認することが重要です

ケース3:元配偶者の借金が発覚、差押えが心配

よくある悩み: 「財産分与でもらうはずの家が危ない」

現実: "急ぎの整理"が必要。状況により法的保全手段の検討も(弁護士の専門領域)

対応: 緊急性が高いケースでは、すぐに専門家に相談することが重要です

「離婚から時間が経ってしまった…」という方も、合意の時期や書面の有無によっては登記できる場合があります。現状の整理から、お気軽にご相談ください。

3つの解決策:早期対応が鍵

解決策①:財産分与登記で名義を早期に"正しい状態"へ

離婚協議書・公正証書・調停調書など、根拠書面を整えて所有権移転登記を行います。

登録免許税は移転する不動産(持分)に対応する固定資産税評価額×2.0%です。当センターの司法書士報酬は、財産分与による名義変更のおまかせパック99,000円(税込)公正証書パック198,000円(税込)が基本料金です(登録免許税などの実費は別途。物件数・土地の筆数などによって加算が生じる場合があります)。費用の全体像は名義変更の費用ページをご覧ください。

なお、住宅ローンが残っていない(完済済みの)家であれば、金融機関の承諾を得る必要はありません。ただし、完済後も抵当権の登記が残っている場合は、財産分与登記とは別に抵当権抹消登記が必要です。

財産分与登記の基礎知識では、手続きの全体像を詳しく解説しています。

解決策②:ローンがあるなら「銀行→登記」の順番を設計する

住宅ローンが残っている場合は、以下の流れで進める必要があります:

  • 不動産の名義(所有権)を誰に移すか、ローンの債務者を変更するか(債務引受・借換え)、連帯保証や団体信用生命保険をどうするかを、それぞれ分けて整理する
  • 金融機関への事前相談と承諾取得
  • 承諾が取れない場合の代替策(売却・住替え等)の検討

この"詰まりやすいポイント"を先に潰してから、登記に進むことが重要です。

解決策③:協議が難しければ、調停・審判(期限内)へ

期限(離婚の成立時期により2年または5年)を意識し、協議が難しければ早めに裁判所手続へ移行することを検討します。

財産分与調停はご本人でも申し立てられます(裁判所が申立書式と記載例を公開しています)。ただし、元配偶者との交渉や裁判所手続きを代理人に依頼する場合は、弁護士にご相談ください。当センターは、調停や審判で内容が決まった後の登記手続きを担当します。

なお、「元配偶者と連絡が取れない」「名義変更に協力してもらえない」という場合も、状況に応じて取れる手段があります。対処法は「元配偶者が名義変更に協力してくれないときの対処法(説得・調停・判決)」で詳しく解説しています。

まず揃えるべき書類と確認事項

名義変更を進める前に、以下の書類と情報を整理しましょう。

項目 内容
離婚の合意書類 離婚協議書、公正証書、調停調書、審判書など(不動産の特定や財産分与の合意が確認できるもの。記載内容によって共同申請か単独申請かが変わります)
不動産の情報 登記簿謄本、固定資産税納税通知書など
住宅ローン情報 金銭消費貸借契約書、返済予定表、残債額確認書など
登記関係の書類 登記識別情報(権利証)、渡す側の印鑑証明書、受け取る側の住民票、固定資産評価証明書など
住所・氏名の変更有無 登記簿上の住所・氏名が現在の住民票・戸籍と異なる場合は、前提として変更登記が必要(2026年4月1日から義務化・変更日から2年以内)

必要書類の詳細については、別ページで詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1: 離婚後、名義変更しないとどうなりますか?
元配偶者が理論上は売却・担保設定できる状態が続きます。また、元配偶者に借金問題が起きた場合の差押えリスク、相続が発生した場合の関係者増加など、様々なリスクが生じます。
Q2: 財産分与の期限(2年または5年)を過ぎたらもう無理ですか?
期限を過ぎると、家庭裁判所に財産分与の処分を求めることは原則としてできなくなります。一方、当事者間で合意できれば、期限後でも財産分与として登記できる場合があります。期限経過のみで直ちに贈与扱いになるわけではありませんが、合意時期や分与額の根拠を説明しにくくなるため、書面を整えたうえで税務上の取り扱いは税理士にご相談ください。
Q3: 元配偶者が勝手に売却できますか?
登記名義が元配偶者のままであれば、理論上は売却や担保設定が可能です。実際に売却が成立するかは様々な要因によりますが、リスクがゼロではないため、早期の名義変更が推奨されます。
Q4: 元配偶者の借金で差押えされることはありますか?
名義が元配偶者のままであれば、元配偶者の債務による差押えの対象となる可能性があります。財産分与の合意があっても、名義変更が完了していなければリスクは残ります。
Q5: 住宅ローンが残っていても名義変更できますか?
住宅ローンが残っていても、所有権移転登記そのものが法律上できないわけではありません。ただし抵当権はそのまま残り、多くのローン契約では無断で所有権を移転すると契約違反となるおそれがあります。債務引受や借換え、連帯保証・団体信用生命保険の変更には金融機関の審査・承諾が必要になるため、必ず事前に借入先へ相談してください。
Q6: 銀行口座や住宅ローンの名義はいつまでに変更すべきですか?
法律上の一律の期限はありませんが、離婚後できるだけ早く手続きするのが安全です。銀行口座の氏名(旧姓に戻した場合)や住所の変更は各金融機関の窓口・アプリで、住宅ローンの名義・債務者の変更は借入先金融機関の承諾を得て行います。放置しても口座がただちに凍結されることはありませんが、本人確認書類と口座名義の不一致で振込や解約などの取引に支障が出ることがあります。住宅ローンを名義と支払いの実態がズレたまま放置すると、契約違反や滞納のリスクにつながります。当センターは不動産登記の専門ですので、銀行手続きの詳細は各金融機関にお問い合わせください。
Q7: 車の名義変更はしないとどうなりますか?
自動車の名義変更(移転登録)は、普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会で行います。普通車は原則として変更原因が生じた日から15日以内の申請が必要です。車検証上の所有者が元配偶者のままだと、売却や廃車の際に元配偶者の譲渡証明書・委任状が必要になるほか、自動車保険や自動車税の通知にも支障が出ることがあります。当センターは不動産登記の専門ですので、車の手続きの詳細は運輸支局やディーラーにご確認ください。
Q8: 離婚後の名義変更はどの順番で進めればよいですか?
①離婚協議書・公正証書などの書面を整える、②住宅ローンが残っていれば金融機関に相談して承諾を得る、③登記簿上の住所・氏名が現在と異なる場合は変更登記を済ませる(2026年4月1日から義務化・変更日から2年以内)、④不動産の財産分与登記を申請する、⑤銀行口座・車・保険などは各機関で個別に手続きする、という順番が基本です。離婚前と離婚後のどちらで動くべきかを含めた詳しいタイミングは「離婚の名義変更はいつ動くのがベストか」で解説しています。
Q9: 住宅ローンが残っていない家の名義変更は簡単ですか?
住宅ローンがなく、抵当権の登記も残っておらず、元配偶者の協力と必要書類がそろっている場合は、ローンが残る案件より格段に進めやすくなります。離婚協議書・公正証書などの合意書面、登記識別情報(権利証)、印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書などを揃えて法務局に申請します。ただし、権利証の紛失、住所・氏名の変更登記、抵当権抹消などがあると追加の手続きが必要で、完了までの期間は書類の収集状況や法務局の処理状況によって変わります。

自分で手続きする場合の注意点

財産分与登記は、法律上は本人が自分で行うことも可能です。しかし、以下のような点で専門家のサポートが有効です:

  • 登記申請書の作成には専門知識が必要
  • 書類に不備があると何度も法務局に足を運ぶことに
  • 住宅ローンがある場合は金融機関対応が複雑
  • 税務上の問題を見落とすリスク

自分で手続きする場合の詳しい注意点もご覧ください。

まとめ:放置せず、期限前に動く

不動産の名義・住宅ローンの債務者・今後の居住や売却の方針を一致させておくことが、離婚後のトラブルを減らします。リスクが現実化してからでは遅く、手段も費用も増えがちです。まずは「名義」「ローン」「書面(協議書等)」「期限(離婚の成立時期により2年または5年)」を整理して、早期に対策を取りましょう。

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この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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