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元配偶者が名義変更に応じないときの対処法(要点まとめ)
● 応じなくても名義変更できる:所有権移転の登記手続を定めた調停調書・審判書・確定判決があれば、相手の協力なしに単独で登記を申請できます(不動産登記法63条1項)。
● 解決までの流れ:まず説得・話し合い、まとまらなければ家庭裁判所の財産分与調停、それでも決まらなければ審判・訴訟へと段階的に進めます。
● 期限は5年:家庭裁判所への財産分与の請求は離婚成立から5年以内です(改正民法768条2項。2026年4月1日より前に成立した離婚は2年)。
● 調停調書の条項が登記可否を左右:不動産の特定と「所有権移転登記手続をする」旨の給付条項が必要です。成立前に司法書士の確認を受けると安全です。
● 相談先の使い分け:調停・訴訟で相手方と争う場面の代理は弁護士、名義変更の登記申請は司法書士の業務です。
離婚のときに「家はあなたに渡す」と決めたはずなのに、元配偶者が名義変更に協力してくれない――。こうしたご相談は、司法書士の実務では決して珍しくありません。
相手が応じなくても、調停・審判・訴訟という法的な手続きを踏めば、最終的に名義変更を実現できます。財産分与による所有権移転の登記手続を定めた調停調書・審判書・確定判決があれば、相手の協力なしに、あなたが単独で名義変更の登記を申請できるからです(不動産登記法63条1項)。
この記事では、放置するリスクの整理から、説得で解決する現実的な方法、家庭裁判所の調停・審判、訴訟・判決による登記まで、司法書士が実務の流れに沿って解説します。
共有名義のまま名義変更していない方へ
離婚後も夫婦共有名義のままになっている不動産を解消する方法(財産分与による単独名義化・売却など)は、別記事で詳しく解説しています。
→ 離婚後の共有名義を解消する方法|財産分与・売却など実務的な選択肢
名義が元配偶者のまま、または共有名義のままになっていると、次のような問題が現実に起こります。
売却・担保設定・差押えのリスク
元配偶者の単独名義のままなら、不動産全体が知らないうちに売却・担保提供・差押えの対象になるリスクがあります。共有名義の場合も、元配偶者の持分が売却や差押えの対象になることがあります。さらに、元配偶者が再婚後に亡くなると、新しい配偶者や子が相続人となり、合意形成は一段と難しくなります。
家庭裁判所に財産分与を請求できるのは離婚成立から5年以内
話し合いがまとまらないまま期限を過ぎると、家庭裁判所に財産分与の調停・審判を申し立てることができなくなります(改正民法768条2項。2026年4月1日より前に成立した離婚は2年)。
関連:離婚後の名義変更を放置するとどうなる?リスク・期限と早期対策/離婚後の名義変更タイミングと税金の違い
「応じない相手」と向き合う前に、次の3点を整理しておくと、この後に取るべきルートがはっきりします。
もっとも重要な分かれ目です。すでに合意があるのに登記に応じないのか、そもそも合意ができていないのかで、進め方が変わります。
登記では「なぜ名義が移るのか」(登記原因)が重要です。離婚にともなう名義変更の多くは財産分与ですが、状況によっては売買・贈与の扱いになることもあり、税金・必要書類が大きく変わります。財産分与による所有権移転登記には、移転する持分に対応する固定資産税評価額×2.0%の登録免許税がかかります(財産分与としてもらう側には贈与税が原則かかりません)。
関連:離婚・財産分与による不動産名義変更の手続きガイド/離婚による不動産名義変更の必要書類
住宅ローンが残っている案件では、これが協力を拒む主な原因になっていることが多くあります(このほか、評価額や税負担・代償金をめぐる認識の違いが原因のこともあります)。
ローンが残っている場合は、金融機関への確認と、登記・ローンを安全な順番で進める設計が必要です。あわせて、通常の共同申請による名義変更では、相手(登記義務者)側の書類——登記識別情報(権利証)と印鑑証明書——が必要になる点も押さえておきましょう。
いきなり裁判所に行く前に、まずは説得で解決できないかを検討します。実務では、伝え方と段取りを変えるだけで相手が動くケースが少なくありません。
拒否している相手の本音は、「損をしたくない」「責任だけ残るのが怖い」「感情的に応じたくない」「単純に面倒」のいずれかに集約されます。そこで、次のように伝えると動くケースがあります。
当事者同士のやり取りには感情が絡みます。相手への不信感から「言われた書類には判を押したくない」となることも珍しくありません。
実務では、司法書士が中立的な立場で書類と流れを整えただけで、止まっていた手続きが動き出すケースも珍しくありません。
※司法書士は、どちらか一方の代理人として相手方と交渉することはできません。
説得を尽くしても話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の手続きに進みます。調停や審判で、あなたが不動産を取得し相手が登記手続をする内容が決まれば、相手が協力しなくても登記はできます。なお、調停・審判では、代償金の支払いや売却など、不動産の取得以外の分与方法が定められることもあります。
不動産の名義変更(権利に関する登記)は、登記で権利を得る側と失う側が共同で申請するのが原則です(不動産登記法60条)。相手が応じないと登記が進まないのは、この原則があるためです。
しかし、調停で財産分与が成立して調書に記載されると、その記載は確定判決(財産分与などの事項では確定した審判)と同一の効力を持ちます(家事事件手続法268条1項)。そして、登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、勝訴した側が単独で申請できると定められています(不動産登記法63条1項)。
つまり、「所有権移転登記手続をする」旨の条項が入った調停調書があれば、元配偶者が法務局に来なくても、書類を出さなくても、あなた単独で名義変更の登記を申請できます。相手の登記識別情報(権利証)や印鑑証明書も不要になります。
調停で合意に至らない場合、手続きは審判に移行し、裁判官が財産分与の内容を決めます。確定した審判書(+確定証明書)でも、調停調書と同じように単独申請が可能です。相手が調停に出席しなくても審判へ移行して手続きが進み得るため、無視・拒否が続いても完全に行き詰まるわけではありません(どのような分与内容になるかは、財産全体をふまえた裁判所の判断によります)。
ここが実務上もっとも重要なポイントです。調停が成立しても、調書の条項が登記に使える形になっていなければ、単独申請はできません。次の3点がそろっているかが分かれ目です。
「登記に協力する」といった抽象的な条項だけでは、単独申請が認められないおそれがあります。裁判所で成立した調停条項だからといって、そのまま登記に使えるとは限りません。調停成立前の段階で、条項案を登記実務の目で確認しておくことが重要です。当センターでも条項案の事前確認に対応しています。
拒否理由に応じた提案で、当事者間の合意を目指す
合意内容を法務局で通る形に整理し、共同申請で名義変更
調停委員を介した話し合い。成立すれば調停調書で単独申請
確定した審判書・確定判決により、相手の協力なしで名義変更登記
訴訟が選択肢になる典型は、次の2つの場面です。
「登記手続をすべきことを命ずる確定判決」を得れば、調停調書と同じく、勝訴した側が単独で名義変更の登記を申請できます(不動産登記法63条1項)。訴訟の途中で和解が成立した場合の和解調書や、相手が請求を認めた場合の認諾調書も、確定判決と同一の効力を持つため(民事訴訟法267条)、同様に単独申請が可能です。
無条件の登記手続条項であれば、登記申請という意思表示を命ずる判決が確定したとき(調停・和解が成立したとき)に、相手が登記申請の意思表示をしたものとみなされます(民事執行法177条1項)。これを意思表示の擬制といいます。
このおかげで、判決の後に別途強制執行の手続きをとる必要はなく、原則として執行文の付与も不要です。確定判決の場合は判決正本(謄本)と確定証明書、確定審判の場合は審判書謄本と確定証明書を添付して登記を申請します。調停調書・和解調書は成立と同時に効力が生じるため、確定証明書は不要です。ただし、「金銭の支払いと引換えに登記する」といった引換給付や条件付きの条項になっている場合は、例外的に執行文の付与が必要です。この見極めも、登記実務を知る司法書士が事前に確認すべきポイントです。
弁護士と司法書士の役割分担
調停・審判・訴訟で代理人を立てて相手方と争う場面の代理は、弁護士の業務です。当センター(司法書士)は、名義変更の登記申請の代理と、登記に必要な書類の作成を業務範囲としています。紛争性が高い場合は弁護士にご相談ください。調停調書・判決が確定した後の名義変更登記は、当センターで対応します。
申立期間内(離婚成立から5年以内・2026年4月1日より前の離婚は2年以内)であれば、話し合いができなくても家庭裁判所に財産分与調停を申し立てられます。あなたが不動産を取得する内容の調停が成立するか、審判が確定すれば、相手の協力なしで名義変更の登記を単独申請できます。内容証明郵便での通知は必須ではなく、期限が迫っている場合は先に調停を申し立てます。DVや接触への不安がある場合は、直接連絡せず弁護士や支援機関にご相談ください。
はい。財産分与を定めた調停調書は確定判決(確定した審判)と同一の効力を持ち(家事事件手続法268条1項)、「所有権移転登記手続をする」旨の給付条項があれば単独で登記を申請できます(不動産登記法63条1項)。ただし条項の書き方や不動産の特定が不十分だと単独申請できないことがあるため、成立前に司法書士へ条項案の確認を依頼すると安全です。
財産分与でどちらかの単独名義に変える、売却して代金を分けるなどの解消方法があります。共有のまま放置すると、売却や活用に相手の同意が必要な状態が続きます。詳しくは離婚後の共有名義を解消する方法で解説しています。
調停・訴訟で代理人を立てて相手方と争いたい場合や、条件交渉を依頼したい場合は弁護士が適しています。当事者間の合意が成立した後の契約書・登記原因証明情報の作成や、名義変更の登記手続きは司法書士が担当します。当センターは登記申請の代理と登記に必要な書類の作成を業務範囲としています。紛争性が高い場合は弁護士にご相談ください。
相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。申立費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なります)です。
家庭裁判所に財産分与の調停・審判を申し立てられるのは、離婚成立から5年以内です(改正民法768条2項。2026年4月1日以降に成立した離婚に適用され、それより前の離婚は2年)。期限を過ぎても、当事者双方の合意があれば財産分与を原因とする名義変更ができる場合がありますが、税務上の扱いを含めて慎重な検討が必要です。
財産分与による所有権移転登記には、移転する持分に対応する固定資産税評価額×2.0%の登録免許税がかかります。財産分与としてもらう側には贈与税が原則かからず、分与する側には不動産が値上がりしている場合に譲渡所得税がかかることがあります。当センターの報酬は、名義変更をお任せいただくおまかせパック99,000円(税込)、離婚協議書を公正証書で作成する場合の公正証書パック198,000円(税込)が基本料金で、登録免許税などの実費は別途必要です(不動産の数や前提となる住所・氏名変更登記の有無などにより加算が生じる場合があります)。詳しくは費用ページをご覧ください。
住宅ローンが残っていても、所有権移転登記そのものが法律上できないわけではありません。ただし、多くのローン契約では所有権の移転に金融機関の事前承諾が必要とされており、無断で名義だけを変えると契約違反として一括返済を求められるおそれがあります。債務者変更や借換えを含めて、事前に金融機関へ相談してください。詳しくは住宅ローンが残っている場合の離婚による名義変更で解説しています。
「相手方(被告)は申立人(原告)に対し、本件不動産について財産分与を原因とする所有権移転登記手続をする」という登記手続を内容とする給付条項と、登記事項証明書のとおりの不動産の特定(物件目録)が必要です。「登記に協力する」といった抽象的な条項だけでは、単独申請が認められないおそれがあります。
相手の協力が得られ、必要書類がそろう場合は、ご自身で申請できる可能性があります。手順は離婚による名義変更を自分で行う方法で解説しています。相手が応じない場合は調停・判決を経た単独申請となり、書類の要件も厳格になるため、司法書士への相談をおすすめします。
元配偶者が名義変更に応じない問題は、感情ではなく「登記で動かせる形」に持ち込めるかがすべてです。
当センターでは、合意後の登記書類の作成から、調停調書・判決による単独申請の登記まで、実務の流れを見据えてご案内しています。無料相談では、現在の名義や合意・裁判所書類の有無などのご事情を伺い、手続きの流れ・必要書類・お見積りをご案内します。
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