亡くなった方の不動産の登記簿(登記事項証明書)に「根抵当権」の登記が残っていることがあります。事業資金の借入などのために設定される根抵当権では、債務者が亡くなった場合、相続開始(死亡日)から6か月という、他の相続手続きにはない登記の期限が問題になります(民法第398条の8)。この記事では、債務者が亡くなると根抵当権はどうなるのか、「完済している」「債務が残っている」「事業を継いで借入を続けたい」の3つのケース別に、必要な登記・費用・期限の考え方を司法書士がわかりやすく解説します。
● 根抵当権とは:極度額(上限額)の範囲で借入と返済を繰り返せる「枠」の担保です。特定の借入に紐づかないため、元本確定前は借入残高がゼロになっても消滅せず、登記を消すには抹消登記が必要です。
● 6か月ルール:債務者が亡くなった場合、相続開始後6か月以内に「指定債務者の合意の登記」をしないと、元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。期限は「知った日」ではなく死亡日を基準に計算します。
● 急ぐのは「同じ根抵当権で取引を続けたい場合」:その場合のみ、6か月以内に合意の登記まで済ませる必要があります。続けない場合、期限経過の主な影響は「新たな借入が担保されなくなる」ことにとどまりますが、既存の契約や保証・当座貸越への影響は金融機関にご確認ください。
● ケース別の登記:①完済済み→相続登記+根抵当権の抹消登記 ②債務は残るが借入は続けない→相続登記+必要に応じて債務者の変更登記 ③事業を継いで借入を続ける→6か月以内に指定債務者の合意の登記まで(前提の相続登記・債務者の変更登記を含む)。
● 費用の骨子:所有権の相続登記は固定資産税評価額×0.4%(司法書士報酬はプランにより66,000円〜・適用条件あり)。債務者の変更登記・合意の登記・抹消登記の登録免許税は各不動産1個につき1,000円です。
- 根抵当権とは?普通の抵当権との違い
- 債務者が死亡すると根抵当権はどうなる?(元本確定6か月ルール)
- まず確認:あなたはどのケース?(3つの分岐)
- ケース別の手続きの流れと必要な登記
- 登記にかかる費用(登録免許税・司法書士報酬)
- 6か月を過ぎたら/放置するとどうなる?
- 当センターのサポート内容
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
根抵当権とは?普通の抵当権との違い
根抵当権(ねていとうけん)とは、極度額(上限額)を定めて、その範囲内で入れ替わる複数の債権をまとめて担保する担保権です。事業資金のように「借りては返す」を繰り返す継続的な取引のために使われ、会社経営者や個人事業主の自宅・店舗・事業用不動産に設定されていることがよくあります。
普通の抵当権との違い
抵当権と根抵当権の違いの基本は「抵当権とは?設定・抹消の手続きと費用」でも解説しています。また、住宅ローンなど普通の抵当権が付いた不動産の相続については「抵当権付き不動産を相続したらどうする?」をご覧ください。この記事は根抵当権に絞って解説します。
相続のとき、根抵当権に特有の問題が起きる理由
- 完済していても登記は消えない:元本確定前の根抵当権は「枠」の担保なので、借入残高が一時的にゼロになっても消滅しません。元本確定後に担保される債務をすべて完済した場合は根抵当権自体が消滅しますが、いずれの場合も登記記録は抹消登記を申請するまで残り続けます。消すには、金融機関の協力を得て抹消登記をする必要があります。
- 債務者が亡くなると「元本確定」の期限が動き出す:次の章で解説する6か月ルールです。事業を引き継いで借入を続けたい場合、この期限に間に合うかどうかで、その後の手続きと費用が大きく変わります。
債務者が死亡すると根抵当権はどうなる?|元本確定6か月ルール(民法第398条の8)
相続開始時にあった借入は、そのまま担保され続ける
債務者が亡くなっても、根抵当権がすぐに消えたり、借入が帳消しになったりすることはありません。亡くなった時点で残っていた借入(相続開始の時に存する債務)は相続人に承継され、引き続きその根抵当権で担保されます(民法第398条の8第2項)。
6か月以内に「指定債務者の合意の登記」をしないと、元本が確定する
問題は「これから先の借入」です。相続人が事業を引き継ぎ、同じ根抵当権を使って新たな借入を続けるためには、「今後どの相続人が負担する債務を担保するか」を根抵当権者(金融機関)と根抵当権設定者(不動産の所有者)の合意で定め、その登記をする必要があります。この合意で定められた相続人を「指定債務者」と呼びます。
元本確定の6か月ルール(民法第398条の8第4項)
指定債務者の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。期限を過ぎてから、さかのぼって合意の登記をすることはできません。
期限の基準は「死亡日」(「知った日」ではない)
相続手続きの期限の多くは「知った日」「知った時」から数えますが、この6か月は、相続人が死亡を知った日ではなく実際の死亡日を基準に計算します(法律上の期間計算では死亡日当日は数えず、翌日から6か月を数えます。満了日が分かりにくい場合は個別にご確認ください)。戸籍の収集や遺産分割協議に時間を使っているうちに期限が近づいていた、ということが起きやすい構造です。
「元本確定」とは?確定すると何が変わるか
元本の確定とは、その根抵当権が担保する元本の範囲が固定され、それ以後に新たに発生する借入(元本債権)が担保に加わらなくなることです。確定した元本の利息・遅延損害金などは、極度額の範囲内で引き続き担保されます。確定すると次のようになります。
- 新しい借入は担保されない:確定後に借りたお金は、その根抵当権では担保されません。「借りては返す」ための枠としては使えなくなります。
- 担保される債務を完済すれば、抹消できる:確定後の根抵当権は、特定の債務を担保する普通の抵当権に近い状態になります。確定した元本とその利息・遅延損害金をすべて完済すれば、抹消登記が可能になります。
なお、この6か月ルールによって確定する場合、担保される元本の範囲は「6か月が経過した時点」ではなく、相続開始(死亡)の時点の債務にさかのぼって固定されたものとみなされます。
つまり、元本確定は「悪いこと」とは限りません。事業をたたむ方・借入を続けない方にとっては、多くの場合、完済から抹消へ向かう通過点です(既存の契約への影響は金融機関にご確認ください)。急ぐ必要があるのは、根抵当権の枠を使い続けたい場合だけです。
まず確認:あなたはどのケース?(3つの分岐)
どのケースに当たるかで、必要な登記と急ぎ度が変わります。登記簿(登記事項証明書)の乙区で根抵当権の内容(極度額・根抵当権者・債務者)を確認したうえで、次の3つに当てはめてください。
なお、6か月ルールが問題になるのは元本の確定前に債務者が亡くなった場合です。確定期日の到来などにより死亡前にすでに元本が確定していた根抵当権では、指定債務者の合意の登記は問題になりません。確定しているかどうかは登記簿だけでは判断しづらいこともあるため、あわせて金融機関に取引状況を確認すると確実です。
ケースA借入は完済している/もう利用しない → 相続登記+根抵当権の抹消登記
6か月ルールに追われる必要は通常ありません。金融機関に連絡し、保証や当座貸越なども含めて担保される債務が残っていないことを確認したうえで、抹消に必要な書類を受け取り、相続登記とあわせて抹消登記をします。
ケースB債務が残っているが、新たな借入は続けない → 相続登記(+必要に応じて債務者の変更登記)
承継した債務の返済を続けます。債務者の変更登記を行うかどうか・いつ行うかは金融機関との協議で決まります。6か月の経過で元本は確定しますが、その主な影響は新たな借入が担保されなくなることです。完済後に抹消登記をします。
ケースC事業を相続人が引き継ぎ、同じ根抵当権で借入を続けたい → 6か月以内に「合意の登記」まで
もっとも急ぐケースです。法律上6か月以内が求められるのは指定債務者の合意の登記ですが、その前提となる登記が必要なため、亡くなった方が所有者を兼ねていた場合は、所有権の相続登記・債務者の変更登記・合意の登記という3つの登記を一連で死亡日から6か月以内に進めることになります。すぐに金融機関へ連絡し、並行して相続登記の準備を始めてください。
亡くなったのが「所有者だけ」の場合(債務者は別にいる)
たとえば「債務者は父が経営する会社で、父は自宅を担保として提供していた」というケースでは、亡くなったのは所有者(根抵当権設定者)であって、債務者でも根抵当権者でもありません。この場合、元本確定の6か月ルールは適用されず、根抵当権はそのまま存続します。必要なのは不動産の所有権の相続登記で、相続した方が担保提供者の立場を引き継ぎます。
ケース別の手続きの流れと必要な登記
ケースA:完済済み|相続登記+根抵当権抹消登記
- 金融機関に連絡:債務者が亡くなったこと・借入を完済していることを伝え、根抵当権の抹消に必要な書類(解除証書など)を受け取ります。
- 所有権の相続登記:戸籍の収集・遺産分割協議を経て、不動産を相続する方の名義に変更します。
- 根抵当権の抹消登記:新しい所有者と金融機関が共同で抹消を申請します。
なお、亡くなる前にすでに解除・完済によって根抵当権が消滅していた(登記だけが残っていた)場合は、相続登記を経ずに相続人から抹消登記を申請できることもあります。消滅の時期が死亡の前か後かで前提となる登記が変わるため、進め方は個別にご確認ください。
金融機関から交付される書類には有効期限のあるもの(会社の代表者に関する証明書など)が含まれることがあるため、受け取ったら早めに登記まで進めるのが安全です。抹消登記の手続き自体の詳しい解説は「抵当権抹消登記を自分でやる方法」をご覧ください。
ケースB:債務が残る・借入は続けない|相続登記+必要に応じて債務者の変更登記
- 借入などの金銭債務は、相続放棄をしない限り、法定相続分に応じて相続人全員に承継されます。遺産分割協議で「長男がすべて返済する」と決めることはできますが、それは相続人の内部の取り決めで、金融機関に対しては、金融機関を交えた債務引受の契約をしない限り主張できません。
- 登記簿上の債務者を、亡くなった方から相続人へ改める「債務者の変更登記(相続)」を行うことがあります(登記する場合、原則として相続人全員が債務者となります)。この登記の要否や申請の時期は、返済・債務引受の進め方や金融機関の意向によって変わるため、協議のうえ決めます。
- 今後の返済方法(誰がどのように返すか)は金融機関との協議事項です。6か月が経過すると元本は相続開始時にさかのぼって確定しますが、その主な影響は新たな借入が担保されなくなることです(既存の契約・保証への影響は金融機関にご確認ください)。完済後に抹消登記をして根抵当権を消します。
ケースC:事業承継で借入を続ける|6か月以内に3つの登記
指定債務者の合意の登記をするには、その前提となる登記を先に済ませておく必要があります。以下は、亡くなった方が債務者と不動産所有者を兼ねていた場合(もっとも多いパターン)の3段構えです。債務者と所有者が別人で、債務者だけが亡くなった場合は、①の所有権の相続登記は不要です。まず登記簿で「所有者」「債務者」「根抵当権者」の三者を切り分けて確認してください。
- 所有権の相続登記:不動産の新しい所有者(=根抵当権設定者の地位を引き継ぐ方)を確定させます。
- 債務者の相続による変更登記:登記簿上の債務者を、相続人全員に変更します。
- 指定債務者の合意の登記:根抵当権者(金融機関)と根抵当権設定者(新しい所有者)が「相続人◯◯を指定債務者とする」と合意し、その登記をします。この合意に、後順位の抵当権者など第三者の承諾は不要とされています(民法第398条の4第2項の準用)。
6か月の期限が法律上直接かかるのは③の合意の登記です。ただし、合意の登記は②の債務者の変更登記をした後でなければ申請できないため(不動産登記法第92条)、実務では①〜③を一連の手続きとして期限から逆算して進めます。
合意の登記まで終えると、相続開始時にあった債務に加えて、指定債務者がその後に負担する債務も担保される状態を維持できます。ただし、この合意は「相続開始後の新たな債務を誰について担保するか」を定める手続きであり、この登記だけで、他の相続人が承継した既存の債務が指定債務者に一本化されるわけではありません。特定の相続人だけに債務をまとめるには、金融機関の承諾を得た免責的債務引受などを別途行います。
実務では、合意書などの書式を金融機関側で用意してもらえることが多いため、まず金融機関に「事業を引き継ぎ、借入を続けたい」と伝えることがスタートです。なお、融資取引を継続できるかどうかや借入の条件は、金融機関の審査・判断によります(当センターが担当するのは登記手続きです。融資のご相談は金融機関へお願いします)。
6か月は意外と短い
戸籍の収集に1〜2か月かかることも珍しくなく、そこから遺産分割協議・金融機関との協議・書類の準備と進めると、6か月はぎりぎりになりがちです。事業用の借入がある相続では、できる限り早く手続きに着手することをおすすめします。
登記にかかる費用(登録免許税・司法書士報酬)
費用は「実費(登録免許税など法律で決まっている費用)」と「司法書士報酬」に分かれます。
登録免許税(実費)
このほか、戸籍・住民票・固定資産評価証明書・登記事項証明書などの取得実費がかかります。なお、相続登記の登録免許税には免税措置があり、評価額100万円以下の土地の相続登記や、相続登記をしないまま相続人が亡くなった場合の一定の登記(数次相続)は、2027年(令和9年)3月31日まで免税となる場合があります(租税特別措置法第84条の2の2。土地が対象で、建物には適用されません)。
司法書士報酬
- 所有権の相続登記:66,000円(税込)〜の3プランをご用意しています。プランごとに相続人の人数・不動産の数・評価額などの適用条件があります(詳しくは不動産名義変更の費用をご覧ください)。
- 債務者の変更登記・指定債務者の合意の登記:不動産の数や金融機関とのやり取りの内容により事案ごとの個別見積りです。お見積りは無料です。
- 根抵当権の抹消登記:個別見積り(無料)です。参考として、金融機関から書類が交付される通常の抵当権抹消登記は司法書士報酬16,500円(税込)で承っています(抵当権抹消費用)。
6か月を過ぎたら/放置するとどうなる?
6か月を過ぎても「手遅れ」ではない
- 借入を続けない方:元本確定の主な影響は、相続開始後の新たな借入がその根抵当権で担保されなくなることです。既存の契約や保証・当座貸越への影響が気になる場合は金融機関に確認しつつ、返済を続け、完済後に抹消登記をすれば完了です。
- 事業の借入を続けたかった方:確定した後に合意の登記をすることはできませんが、金融機関の再審査・承諾を得て新しい根抵当権を設定し直す方法はあります。ただし、同じ極度額・条件で設定できるとは限らず、設定登記の登録免許税だけでも極度額×0.4%(極度額3,000万円なら12万円)と、合意の登記(不動産1個につき1,000円)に比べて費用負担が大きくなります(このほか契約関係の費用がかかることもあります)。期限内に合意の登記を済ませれば、こうした再設定の費用・手間は生じません。
なお、相続による債務者の変更登記がされたうえで6か月が経過した場合、元本が確定したことは登記簿の記載から明らかなため、別途「元本確定の登記」をしなくても、抹消などの次の手続きに進めるのが原則です。
放置するとどうなる?
- 売却・融資の場面で支障になる:完済していても、登記が残っている限り、買主や融資する金融機関から抹消を求められるのが通常です。
- 時間が経つほど手続きが複雑になる:相続を重ねると、所有者側・債務者側の関係者が増え、必要な戸籍や協力を得るべき人が増えていきます。
- 何十年も放置すると「休眠担保権」化する:金融機関の合併・解散などが重なると、抹消の相手方を探すことから始めることになります。詳しくは「休眠担保権の抹消とは?古い抵当権を消す方法」をご覧ください。
- 相続登記自体にも3年の期限(義務)がある:相続および所有権の取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化されており、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となることがあります(相続登記しないとどうなる?)。
当センターのサポート内容
司法書士法人 不動産名義変更手続センターでは、根抵当権付き不動産の相続について、次の登記手続きをサポートしています(全国対応)。
- 所有権の相続登記(戸籍収集・遺産分割協議書の作成から申請まで)
- 債務者の相続による変更登記の申請代理
- 指定債務者の合意の登記の申請代理(金融機関から交付された書類の登記面での確認を含みます)
- 根抵当権・抵当権の抹消登記の申請代理
- 相続放棄の申述書類の作成(債務が財産を上回ることが疑われる場合)
6か月の期限があるケースでは、所有権の相続登記→債務者の変更登記→合意の登記までをまとめて段取りします。報酬は事案により個別見積り(お見積り無料)です。
なお、融資取引を続けられるか・借入の条件は金融機関の判断となるため、金融機関にご相談ください。相続税の申告・評価は税理士に、相続人間で争いがある場合は弁護士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
根抵当権が直ちに消えたり、借入が帳消しになったりすることはありません。一方で、亡くなった時点で残っていた借入は相続人に承継され、6か月の期間も死亡日から進み始めます。相続開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記をしなければ元本が確定し、それ以後の新しい借入はその根抵当権では担保されなくなります(民法第398条の8)。同じ根抵当権で取引を続けたい場合だけ、期限内の手続きが必要です。
自動では消えません。元本確定前の根抵当権は「枠」の担保のため、借入残高が一時的にゼロでも存続します。元本確定後に担保される債務をすべて完済した場合は根抵当権自体が消滅しますが、登記記録は抹消登記を申請しない限り残り続けます。金融機関から書類を受け取り、抹消登記をして初めて登記簿から消えます。相続と同時に進める場合は、所有権の相続登記をしたうえで抹消登記をする流れが基本です(亡くなる前にすでに解除などで消滅していた場合は、相続登記を経ずに申請できることもあります)。
「手遅れ」ではありません。期限の経過で元本は確定しますが、その主な影響は新たな借入が担保されなくなることで、担保される債務を完済すれば抹消もできます。事業の借入を続けたかった場合も、金融機関の再審査・承諾が得られれば、根抵当権を設定し直す方法があります。ただし同じ条件で設定できるとは限らず、設定登記には極度額×0.4%の登録免許税がかかるため、期限内の合意の登記(不動産1個につき1,000円)より費用負担は大きくなります。
債務者(会社)に相続は発生していないため、元本確定の6か月ルールの適用はありません。根抵当権はそのまま存続します。必要なのは不動産の所有権の相続登記で、相続した方が担保提供者(根抵当権設定者)の立場を引き継ぎます。
借入などの債務が不動産・預貯金などのプラスの財産を明らかに上回る場合は、相続放棄も選択肢になります。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。どちらが有利かは財産と債務の全体を把握したうえでの判断になります。当センターでは相続放棄の申述書類の作成をサポートしています(相続放棄した不動産はどうなる?もご覧ください)。
根抵当権の抹消は可能ですが、それ以外は事実上難しいと考えます。債務者の変更登記や指定債務者の合意の登記は、金融機関の担保が継続するので、ご自身で手続きされることを金融機関が認める可能性は低いと考えます。
まとめ
根抵当権付き不動産の相続のポイントは次のとおりです。
- 根抵当権は「枠」の担保。完済しても自動では消えず、消すには抹消登記が必要
- 債務者が亡くなると元本確定の6か月ルールが動き出す。期限は「知った日」ではなく死亡日を基準に計算する
- 6か月以内の「指定債務者の合意の登記」が必要なのは、同じ根抵当権で取引を続けたい場合だけ。続けない場合は、被担保債務の残りを金融機関に確認したうえで、落ち着いて相続登記と(完済後の)抹消登記を進めれば足りる
- 事業を継ぐ場合は、所有権の相続登記→債務者の変更登記→合意の登記を一連で死亡日から6か月以内に(法定期限が直接かかるのは合意の登記)。金融機関への連絡と戸籍収集をすぐに始める
- 期限を過ぎても根抵当権の設定し直しという道はあるが、登録免許税(極度額×0.4%)の負担差が大きい
- 放置は売却・融資の支障や休眠担保化のもと。相続登記の3年義務もあわせて早めの対応を
当センターでは、根抵当権付き不動産の相続登記と、債務者の変更登記・指定債務者の合意の登記・抹消登記をまとめてサポートしています。期限が気になる方は、まず無料相談をご利用ください。
