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不動産の名義変更(所有権移転登記)をするときに、申請書類の説明で「住所証明情報」という耳慣れない言葉が出てきて戸惑う方は少なくありません。これは難しい書類のことではなく、ひとことで言えば「新しく所有者になる人の住所を公的に証明する書類」のことで、多くのケースでは住民票の写しがこれにあたります。この記事では、司法書士が、住所証明情報とは何か・誰の住所証明情報が必要か・どの書類を使えるか・取得方法や注意点までを、一般の方向けにわかりやすく解説します。
● 住所証明情報とは:名義変更(所有権移転登記)で、新しく所有者になる人の住所を公的に証明する添付書類です。
● 誰の住所か:所有権を取得する人(買主・受贈者・相続人など)の住所です。売る側・贈る側は印鑑証明書などで本人確認・意思確認を行います。
● 使える書類:個人は住民票の写しが基本(戸籍の附票や印鑑証明書でも可)。法人は会社法人等番号の提供で省略できます。
● 種類別:相続は相続人、売買は買主、贈与は受贈者、財産分与は財産を取得する側の住民票が必要です。
● 有効期限:住民票・戸籍の附票には登記上の作成期限の定めがありません(印鑑証明書の「3か月以内」とは異なります)。
● 取得時の注意:マイナンバー(個人番号)の記載がないものを取得します。費用は1通300円程度が目安です。
● 根拠:不動産登記令第7条と別表(所有権の保存・移転の登記の添付情報)に定められています。
住所証明情報とは、不動産の名義変更(所有権移転登記)や新築建物の登記(所有権保存登記)を申請するときに、新しく登記名義人になる人の住所を公的に証明するために提出する添付書類のことです。登記の世界では添付する書類を「添付情報」と呼び、住所証明情報はそのうちのひとつです。
聞き慣れない専門用語ですが、実際に提出する書類の中身は身近なもので、個人の場合は住民票の写しが代表例です。法務局に対して「新しく登記名義人になる人の住所は、この公的な書類に記載された住所です」と示すための書類だと考えればわかりやすいでしょう。名義変更では、住所証明情報のほかに登記原因証明情報や登記識別情報といった添付情報も必要になります。
登記簿(登記記録)には、その不動産の所有者の氏名と住所が記録されます。この住所を正確に記録するために、客観的な公的書類で住所を裏づける必要があります。これが住所証明情報の役割です。
もし住所証明情報がなければ、実際には存在しない住所や、本人とは違う人の住所で登記がされてしまうおそれがあります。住所証明情報は、登記簿に記録される住所を公的な書類で裏づけ、登記名義人の表示を正確に保つための大切な仕組みです(誤った登記やなりすましの防止は、登記識別情報・印鑑証明書・本人確認などとあわせて図られます)。法律上も、不動産登記令第7条および別表(所有権の保存・移転の登記の添付情報の欄)で、住所を証する情報の提供が定められています。
名義変更でよく誤解されるのが「誰の住所証明情報を出すのか」という点です。住所証明情報が必要なのは、これから所有者になる人(=所有権を取得する人)です。登記の用語では「登記権利者」と呼ばれ、具体的には買主・受贈者・相続人などがこれにあたります。
反対に、不動産を手放す側(売主・贈与者など=登記義務者)については、住所証明情報ではなく印鑑証明書などで本人確認・意思確認を行います。つまり、所有権移転登記では「もらう人(取得する人)の住所」を証明するのが住所証明情報、と覚えておくとよいでしょう。
個人が登記名義人になる場合、住所証明情報として次のような書類を使えます。実務では住民票の写しを使うのが一般的です。
登記申請書(申請情報)に、新しく名義人になる人の住民票コード(11桁)を記載すると、登記官が住民基本台帳ネットワークで住所を確認できるため、住民票の写しの添付を省略できます(不動産登記令第9条・不動産登記規則第36条第4項)。ただし、住民票コードはマイナンバー(個人番号・12桁)とは別の番号で、マイナンバーでは省略できません。また、住民票コードを正確に確認するには結局「住民票コード入りの住民票の写し」を取得する必要があるため、実務上は住民票をそのまま添付するのと手間はあまり変わらず、利用される場面は限られます。
会社などの法人が不動産を取得して登記名義人になる場合は、法人の住所(本店所在地)を証明します。実務では、申請情報に会社法人等番号を記載するのが原則で、これにより法人の住所証明情報(登記事項証明書)を別途添付する必要はありません。会社法人等番号を持たない法人や外国法人などでは別の書類が必要になるため、個別に確認が必要です。
※費用は自治体によって異なります。コンビニ交付では窓口より安くなる場合があります。
名義変更(所有権移転登記)には、相続・売買・贈与・財産分与などさまざまな原因があります。いずれの場合も、住所証明情報が必要なのは新しく所有者になる人です。原因ごとに整理すると次のとおりです。
亡くなった方(被相続人)の不動産を相続する場合、住所証明情報として必要なのは新しく名義人になる相続人の住民票です。複数の相続人で共有名義にする場合は、新しく名義人になる相続人全員分の住民票が必要です(代表者1人分では足りず、法務局で補正になりやすい点に注意してください)。なお、相続登記では別途、被相続人と相続人のつながりを証明する戸籍一式や、被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)が必要になりますが、これらは住所証明情報とは役割が異なる書類です(詳しくは相続登記の必要書類のページをご覧ください)。
不動産を売買したときは、買主(新しい所有者)の住民票が住所証明情報になります。売主側は印鑑証明書などで意思確認を行うため、住所証明情報としての住民票は原則不要です。
不動産を贈与したときは、受贈者(もらう人)の住民票が住所証明情報です。夫婦間の贈与や親子間の贈与でも考え方は同じで、財産をもらう側の住所を証明します。
離婚にともなう財産分与で不動産の名義を変える場合は、財産を取得する側の住民票が住所証明情報になります。
住所証明情報の中心となる住民票の写しは、次のような方法で取得できます。ご自身の状況に合った方法を選びましょう。
STEP 1取得方法を選ぶ
住民票の写しは、(1)住所地の市区町村の窓口、(2)マイナンバーカードを使ったコンビニ交付、(3)郵送請求、(4)一部自治体のオンライン申請、などで取得できます。すぐ手元に必要な場合は窓口やコンビニ交付が便利です。
STEP 2「マイナンバーの記載なし」で請求する
登記の添付書類として使う場合は、マイナンバー(個人番号)の記載がないものを取得します。窓口やコンビニ交付の画面で「記載しない」を選びます。マイナンバー入りのものは登記には使えず、取り直しになるため注意してください。
STEP 3必要な記載事項を確認する
住所証明としては、本籍や続柄の記載は基本的に不要です(相続登記など別の目的で必要になる場合を除きます)。氏名・住所が正しく記載されているかを確認しましょう。
STEP 4登記申請書に添付して提出する
取得した住民票の写しを、登記申請書とあわせて法務局に提出します。原本還付(提出した原本を返してもらう手続き)を希望する場合は、コピーに「原本に相違ありません」と記載し、申請人が署名または記名押印して添えます(書類の種類によっては原本還付できないものもあります)。
住民票の写しの発行手数料は1通300円程度が目安です(自治体によって異なり、コンビニ交付では安くなる場合があります)。戸籍の附票や印鑑証明書もおおむね同程度です。
ここでの300円程度は住所証明情報(住民票)の取得費用です。不動産の名義変更(登記)には、これとは別に登録免許税(国に納める税金)が固定資産税評価額に応じてかかるほか、ほかの必要書類の取得費や、司法書士に依頼する場合の報酬が発生します。費用全体の目安は名義変更の費用のページでご確認ください。
住民票にマイナンバー(個人番号)や住民票コードが記載されていると、登記の添付書類としては不適切とされます。取得の際は必ず「マイナンバーの記載なし」で請求してください。
住所を証明する目的では、本籍や続柄の記載は必要ありません。ただし相続登記では、被相続人と相続人のつながりを示すために戸籍一式が別途必要です。これは住所証明情報とは役割の違う書類なので混同しないようにしましょう。
住所証明情報として使う住民票や戸籍の附票には、登記上の作成期限(有効期限)の定めがありません。これは、売買・贈与などの共同申請で登記義務者が提出する印鑑証明書が「作成後3か月以内」と決められているのとは異なる点です(なお、相続登記で遺産分割協議書に添える相続人の印鑑証明書には、この3か月の期限はありません)。とはいえ、住所が古くて現在と異なる場合は手続きに支障が出ることもあるため、できるだけ新しいものを用意しておくと安心です。登記に使う書類の期限については、必要書類の有効期限のページもあわせてご確認ください。
名義変更でよく出てくる「住所がつながらない」というトラブルは、住所証明情報とは別の問題です。これは、登記簿に記録されている旧所有者(売主など)の住所が、引っ越しなどで現在の住所と一致しなくなっているケースを指します。この場合は、前提として「登記名義人住所変更登記(住所変更登記)」が必要です。前の住所のままでは名義変更の申請が受け付けられず、実務でよくある「足止め」のひとつになります。なお、住所や氏名の変更登記は令和8年(2026年)4月1日から義務化されており、変更があった日から2年以内に申請しないと、正当な理由がなければ5万円以下の過料の対象になります(施行日より前に住所が変わっていた場合は、令和10年3月31日までが申請期限です)。新しく所有者になる人の住所を証明する住所証明情報とは目的が異なるため、混同しないように整理しておきましょう。
取得する人が海外に居住していて日本に住民票がない場合は、住民票の代わりに、在外公館(日本の大使館・領事館)が発行する在留証明書などを住所証明情報として使うことがあります。また、令和6年(2024年)4月1日以降、海外にお住まいの方が新たに所有権の登記名義人になる場合は、国内における連絡先(国内連絡先事項)の提供も必要です。外国籍の方はローマ字氏名の確認も必要になるため、事前に確認しておきましょう。
住民票の取得自体は、ご本人であれば市区町村の窓口やコンビニ交付で簡単に行えます。費用を抑えたい方や、書類の種類が少ないシンプルな名義変更であれば、ご自身で取得して申請することも可能です。
一方で、相続のように関係者が多い場合や、必要書類が複雑な場合は、「どの書類が・誰の分・何通必要か」の判断を誤ると登記が通らず、やり直しになることもあります。当センターでは、必要書類のご案内から、住民票などの代理取得、登記申請までを一貫してサポートしています。手続きに不安がある方や、平日に役所へ行く時間が取りにくい方は、司法書士へのご依頼もご検討ください。名義変更に必要な書類の全体像は名義変更の必要書類のページ、費用の詳細は名義変更の費用のページでご確認いただけます。
なお、当センターは不動産の登記手続き(相続登記・贈与登記・財産分与登記・売買登記)を専門としています。相続税の申告などの税務は税理士の業務範囲となりますので、必要な場合は税理士にご相談ください。
住所証明情報は、名義変更(所有権移転登記)で新しく所有者になる人の住所を証明する添付書類で、個人の場合は「マイナンバー記載なしの住民票」を用意するのが基本です。ただしこれは名義変更に必要な書類の一部にすぎません。実務でつまずきやすいのは、登記簿上の住所と現在の住所がつながらないケース、相続人が転居・転籍を繰り返しているケース、数次相続で書類が一気に増えるケースなどです。住民票だけで判断せず、登記記録・戸籍・附票を一体で確認する必要があります。手続きに不安がある場合や、平日に役所・法務局へ行く時間が取りにくい場合は、登記手続き全体を司法書士へご依頼ください。
Q. 住所証明情報とは、具体的に何の書類ですか?
名義変更(所有権移転登記)で、新しく所有者になる人の住所を公的に証明する添付書類です。個人の場合は住民票の写しが代表例で、戸籍の附票や印鑑証明書を使うこともあります。
Q. 相続登記では誰の住民票が住所証明情報になりますか?
不動産を相続して新しく名義人になる相続人の住民票です。被相続人(亡くなった方)の住民票除票や戸籍は、住所証明とは別の目的で必要になる書類です。
Q. 住所証明情報に有効期限はありますか?
住所証明情報として使う住民票や戸籍の附票には、登記上の作成期限(有効期限)の定めはありません。一方、売買・贈与などの共同申請で登記義務者が提出する印鑑証明書は「作成後3か月以内」のものが必要です。なお、相続登記で遺産分割協議書に添える相続人の印鑑証明書には、この3か月の期限はありません。
Q. マイナンバーが記載された住民票でも使えますか?
使えません。登記の添付書類には、マイナンバー(個人番号)の記載がない住民票を取得してください。窓口やコンビニ交付で「記載しない」を選べます。
Q. 本籍や続柄の記載は必要ですか?
住所を証明する目的では、本籍や続柄の記載は原則不要です。ただし相続登記では、別途、戸籍一式で相続関係を証明する必要があります。
Q. 法人が不動産を取得する場合の住所証明情報は?
実務では、申請情報に会社法人等番号を記載するのが原則で、これにより法人の住所証明情報(登記事項証明書)を別途添付する必要はありません。会社法人等番号を持たない法人や外国法人では別の書類が必要になるため、個別に確認が必要です。
Q. 売主(不動産を手放す側)の住所証明情報も必要ですか?
所有権移転登記では、住所証明情報が必要なのは新しく所有者になる人(買主・受贈者・相続人など)です。売主など手放す側は、印鑑証明書などで本人確認・意思確認を行います。
Q. 住民票が取れない(海外在住など)場合はどうすればよいですか?
日本に住民票がない場合は、在外公館が発行する在留証明書などを住所証明情報として使うことがあります。また、令和6年4月1日以降、海外居住者が新たに所有権の登記名義人になる場合は、国内連絡先事項の提供も必要です。具体的な書類は事情により異なるため、事前にご確認ください。
Q. 住民票コードを使えば住民票の提出を省略できますか?
はい。登記申請書(申請情報)に、新しく名義人になる人の住民票コード(11桁)を記載すれば、住民票の写しの添付を省略できます(不動産登記令第9条・不動産登記規則第36条第4項)。ただし、住民票コードはマイナンバー(個人番号・12桁)とは別の番号で、マイナンバーでは省略できません。また、住民票コードを確認するには結局「住民票コード入りの住民票の写し」を取得する必要があるため、実務上は住民票をそのまま添付するのと手間はあまり変わりません。
最終更新日:2026年6月9日
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