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登記原因証明情報とは何か?名義変更で必要な書類をやさしく解説


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年12月26日
 

登記原因証明情報とは何か?名義変更で必要な書類をやさしく解説

不動産の名義変更をする際、「登記原因証明情報」という書類が必要になります。この記事では、登記原因証明情報とは何か、なぜ必要なのか、どのように作成すればよいのかを分かりやすく解説します。

登記原因証明情報とは?

登記原因証明情報(とうきげんいんしょうめいじょうほう)とは、不動産の名義変更(所有権移転登記)を申請する際に提出が求められる書類の一つです。簡単に言えば、「なぜ名義を変えることになったのか」という原因(売買や相続など)と、実際に権利が移転した事実を証明するための情報をまとめた書面です。

不動産登記法(法律)でも権利に関する登記を申請するときは、その原因を証明する情報を提供しなければならないと定められており、名義変更の真実性を保証するために必要となっています。

わかりやすく言うと

登記原因証明情報には「どのような理由で所有者が変わったのか」を示す内容が書かれます。たとえば不動産を贈与した場合は贈与契約にその内容が書かれていますし、相続で名義変更する場合は故人が亡くなった事実や相続人との法的関係性が理由になります。

こうした名義変更の理由と事実を証明するための書類が登記原因証明情報なのです。

なぜ必要なの?どんなときに使うの?

登記原因証明情報が必要とされるのは、不動産の権利が移動するときです。名義変更の申請時にこの書類を提出することで、登記官(法務局の担当者)に対して「本当に正当な原因で権利が移りましたよ」と説明・証明する役割を果たします。

これにより、不動産登記簿の内容が正しく信頼できるものとなり、将来その不動産を取引する第三者も安心できるようになります。

具体的にどんな場面で必要になるか

基本的には所有者名義が変わるあらゆるケースです。代表的なのは以下のような場合です。

✅ 登記原因証明情報が必要なケース

  • 相続による名義変更:不動産の所有者が亡くなり、相続人へ名義を移す場合(相続登記)
  • 贈与による名義変更:親から子へ無償で不動産を譲る場合(生前贈与)
  • 離婚に伴う名義変更:離婚の際に夫名義の不動産を妻に移転する場合(財産分与)
  • 売買による名義変更:不動産を第三者に売却し、買主に名義を移す場合(不動産取引)

これらのケースでは必ず登記原因証明情報を用意して提出する必要があります。逆に言えば、「所有権保存登記」のように権利の新規設定で誰からも権利を受け継がないケースなど、特殊な場合を除いて基本的に登記原因証明情報は欠かせません。

一般の名義変更手続きでは、「なぜ名義が変わるのか」を証明する書類が常に必要になると覚えておきましょう。

誰が作るの?自分でできる?

登記原因証明情報は証明書として役所から取得するものと、自らが作成するものがあります。

自分で作成する場合

契約書のコピーやひな形(テンプレート)を利用して書類を作ることができます。実際、インターネット上には登記原因証明情報の書式や文例のテンプレートが公開されており、自分で書類を準備する際に参考にできます。たとえば法務局が公開している報告形式の雛形PDFなどを利用して、必要事項を埋めれば作成自体は難しくないでしょう。

⚠️ 注意が必要なポイント

内容に不備があると登記申請がスムーズにいかないため注意が必要です。特に売買や贈与の場合は登記義務者(名義を手放す側)の署名または記名押印が求められるなど形式も決まっています。

専門家に依頼する場合

多くの場合、名義変更の手続きを専門家(司法書士)に依頼すると、司法書士がこの書類を代わりに作成してくれます。司法書士に依頼した場合は自分で用意する必要はなく、書類不備の心配も少ないでしょう。

実情としては...

「自分でも作れるけれど、正確さが求められるのでプロに任せる人が多い」というのが実情です。初めて名義変更をする方で不安があれば、無理に自作せず専門家にお願いするのも賢明です。

登記原因証明情報のよくあるパターン(相続・贈与・売買など)

登記原因証明情報の内容は、名義変更の原因(ケース)ごとに異なります。以下に代表的なケースと、それぞれどんな書類が「原因証明」として使われるかを紹介します。

不動産名義変更に必要な書類は手続きの内容によって異なります。相続・贈与・離婚・売買など、ケースごとに準備すべき書類が変わってきます。例えば、相続なら戸籍や遺産分割協議書、贈与なら贈与契約書、離婚なら財産分与契約書、売買なら売買契約書、といったように原因に応じた書類が登記原因証明情報となります。

ケース必要な書類内容・ポイント
相続・戸籍謄本
・相続関係説明図
・遺産分割協議書
故人から相続人への権利移転を証明する書類を提出します。相続関係を証明するために被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。具体的には「相続関係説明図」(家族関係を示す図)や「遺産分割協議書」がこれに当たります。遺産分割協議書を使う場合は、法定相続人全員が内容に合意し実印を押したもの(印鑑証明書の添付も必要)を用意します。これらの書類により、「誰が亡くなり、誰がその不動産を相続することになったか」を証明します。
贈与・贈与契約書贈与契約書が典型的な登記原因証明情報になります。たとえば親から子へ不動産を贈与する際に作成した契約書があれば、その契約書(またはその写しに贈与者が署名押印したもの)を提出します。契約書がない場合でも、いつ誰から誰にどの不動産を贈与したかを記載し、贈与者(譲渡人)が署名押印した書面を作成すれば代用可能です。
離婚
(財産分与)
・戸籍謄本
・財産分与契約書
(離婚協議書)
財産分与契約書(離婚協議書のうち不動産の分与に関する部分)が登記原因証明情報となります。離婚の合意内容として不動産の名義を夫から妻に移すことを記載し、双方が署名押印した契約書を用意します。協議離婚の届出前に財産分与の協議が成立した場合には、離婚日が原因日となるので、離婚日の記載のある戸籍謄本が必要となります。契約書がなければ、離婚の際に不動産を譲渡する合意があったことを示す書面(譲渡人・譲受人双方署名)を別途作成する形になります。
売買・不動産売買契約書不動産の売買契約書のコピーに売主が署名押印したものを提出すれば、登記原因証明情報となります。口頭での売買で契約書が存在しない場合は、売主・買主、取引日、物件情報などを記載し、「○年○月○日に代金支払いが完了し、所有権が移転した」ことを売主が確認した書面を作成して提出します(このように契約書以外に改めて作成するものを報告形式の登記原因証明情報といいます)。

ご覧のように、名義変更の原因に応じて証明に使う書類が異なるのがポイントです。それぞれのケースで、「何をもって権利が移ったと証明するか」を考え、適切な書類を用意しましょう。

もし該当する契約書がない場合でも、必要事項を盛り込んだ書面を作成すれば対応可能です。不安な場合は、法務局が公開している報告形式の雛形PDFなどを利用して作成することもできます。

書き方のポイントと注意点(一般的なアドバイス)

報告形式の登記原因証明情報を作成・提出する際には、以下のような一般的なポイントに注意しましょう。

✅ 記載必須項目チェックリスト

  • 登記の目的:例「所有権移転」
  • 登記原因:例「令和○年○月○日 贈与」「令和○年○月○日 相続」など日付と事由
  • 当事者の氏名:権利を得る人(甲)と権利を失う人(乙)
  • 対象不動産の表示:所在地や地番など登記簿通りの記載
  • 権利移転の事実:いつ契約が成立し、いつ権利が実際に移転したか
  • 確認文言:「上記のとおり相違ありません」と明記し当事者双方(少なくとも登記義務者)が署名または記名押印

これらの情報が欠けていると受理されない恐れがあるため、漏れがないよう注意しましょう。

① 不動産の表示は正確に

土地や建物の所在や地番、家屋番号などの物件の表示は、必ず登記簿どおり正確に記載します。登記簿謄本(登記事項証明書)を見ながら、一字一句間違えないように写してください。ここに誤りがあると、登記官がどの不動産のことか特定できず手戻りになってしまいます。

② 権利が移転した事実を明確に

特に売買契約書に所有権移転の特約(代金の支払いが条件)がある場合はその旨も記載しておく必要があります。単に「売買契約を結んだ」というだけでなく、「代金の支払いが完了し、その結果所有権が移転した」といった事実まできちんと書きます。

権利が実際に動いたタイミングをはっきり示すことで、登記官にとっても内容が明確になります。売買や贈与の場合は「いつ契約が成立し、いつ権利が実際に移転したか」という事実関係を具体的に記載しましょう。

③ 当事者の署名・押印を忘れずに

⚠️ 重要:署名・押印は必須

作成した登記原因証明情報には、登記によって不利益を受ける側(登記義務者)の署名または記名押印が必須です。つまり、売買なら売主、贈与なら贈与者、財産分与なら元の所有者など、名義を渡す側の人が「内容に相違ありません」と確認して署名/押印する部分を設けます。

これがない書面は認められませんので注意してください。相続の場合は遺産分割協議書に全員の署名押印が必要なのと同じイメージです。

④ 契約書の原本還付と報告形式の使い分け

売買契約書や贈与契約書など元々ある契約書を提出する場合、法務局で手続きをすればコピーに「原本と相違ない旨や記名押印し」原本を手元に戻してもらう(原本還付)ことが可能です。

一方で、契約書の詳細(売買代金や細かな特約事項)を公開したくない場合は、報告形式の登記原因証明情報(必要事項だけを書いた書面)を別途作成して提出する方法があります。報告形式で提出した書面は法務局に保管されて返却されませんが、代わりに契約書のプライベートな情報を公開せずに済むメリットがあります。

自分で提出する際は、どちらの形式にするか検討し、契約書の内容を見られても問題ないかどうかも考慮すると良いでしょう。

⑤ 提出タイミングと他の書類との整合

登記原因証明情報は登記申請書と一緒に法務局へ提出します。提出前に、他の添付書類との内容に矛盾がないか確認しましょう。

申請書に記載した登記原因(日付や事由)と、この証明情報の内容が一致していることも重要なチェックポイントです。書類間の整合性が取れていないと、補正を求められる原因になります。

ポイントまとめ

要は、決められた事項を正確に書き、当事者が確認・署名した書類であれば問題ありません。不安な場合はひな形を活用したり、過去の例を調べたりして、漏れがないよう準備しましょう。

登記手続きに必要なほかの書類もあわせて確認しよう

登記原因証明情報は、不動産名義変更の申請に必要な書類の一つに過ぎません。他にも様々な書類を用意する必要がありますので、抜け漏れのないようチェックしましょう。以下は共同申請による所有権移転登記の必要書類です(贈与・離婚・売買等)。

書類名内容・役割
登記申請書登記の内容を記載する申請用紙。名義変更する人が作成します。
登記原因証明情報本記事で解説している書類。原因(売買・相続等)と権利移転の事実を証明します。
登記識別情報通知
(権利証)
現在の不動産の権利証に相当する情報。旧来の「権利証」をお持ちの場合はそれを提出、近年登記された物件なら12桁の識別番号(通知書)を提出します。
印鑑証明書権利を渡す側(売主や贈与者など)の実印の証明書。発行後3か月以内のものが必要です。
住民票
(または戸籍附票)
新しく所有者になる人(相続人や買主など)の現在の住所を証する公的書面。登記簿に登録する住所になります。
固定資産評価証明書登録免許税の計算に使うため、不動産の評価額が記載された証明書。市町村役場で発行を受けます。
委任状司法書士など代理人に手続きを依頼する場合のみ必要。本人が手続きするなら不要です。

さらに追加で必要になる場合も

上記は代表的な書類です。実際にはケースによって追加で書類が必要になることもあります。

このように、名義変更登記には登記原因証明情報以外にも多数の添付書類が求められます。事前に必要書類のリストを確認し、不備なく揃えてから法務局へ申請しましょう。

まとめ:迷ったら専門家に相談を

ここまで、登記原因証明情報について概要から作成のポイントまで説明してきました。内容をまとめると、「不動産の名義変更時になぜ権利が動いたかを証明する重要書類」であり、「名義変更の原因に応じて適切な書類を作成・提出する必要がある」ということです。

専門家への依頼をおすすめする理由

初めて手続きをする方にとっては、書式や必要事項の確認など少しハードルが高いかもしれません。もし書類作成に不安がある場合は、無理せず専門家(司法書士)の力を借りることをおすすめします。

司法書士に依頼すれば、登記原因証明情報を含め必要書類の大半を司法書士側で用意してくれる場合もあり、依頼者自身で集めたり作成したりする負担が大きく軽減されます。実際、登記申請を司法書士に依頼した場合には司法書士が登記原因証明情報を作成してくれるので、自分で用意する必要はありません。

不動産の名義変更は大切な財産に関わる手続きです。登記原因証明情報の作成に迷ったときや、「自分でやってミスをしたらどうしよう…」と不安なときは、遠慮なく専門家に相談しましょう。

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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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