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贈与契約書の書き方|不動産贈与のひな形・必要事項・注意点

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《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年4月1日
 

不動産の贈与を行う際、「贈与契約書」は欠かすことのできない書類です。口頭での約束だけでも法律上は贈与が成立しますが、後になってトラブルになったり、税務調査で贈与の事実を証明できなかったりするケースは少なくありません。

不動産の贈与では、契約書の記載のしかたによって、登記がスムーズに進むか、税務上の説明がしやすいかが変わります。ここでは、贈与契約書に入れておきたい基本事項、登記に向く書き方の注意点、公正証書に向く場面、税金の要点を実務に沿って整理します。

贈与契約書とは

贈与契約書とは、財産を無償で譲り渡す「贈与」について、贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)の間で取り交わす契約書類です。

民法第549条では、贈与は当事者の一方が「ある財産を無償で相手方に与える」意思表示をし、相手方がこれを受諾することで成立すると定められています。つまり、口約束だけでも贈与契約自体は成立します。

しかし、書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除いていつでも撤回できるとされています(民法第550条)。不動産のような高額な財産の贈与では、契約書を作成しておくことが実務上不可欠といえるでしょう。

なぜ不動産の贈与に契約書が必要なのか

不動産の贈与で契約書を作成すべき理由は、主に次の4つです。

①贈与の撤回を防止できる
書面による贈与は、民法上撤回ができません。贈与者・受贈者の双方にとって、契約内容を確定させる意味があります。

②贈与登記(名義変更)の添付書類となる
法務局へ贈与を原因とする所有権移転登記を申請する際、「登記原因証明情報」として贈与契約書が必要になります。契約書がなければ、名義変更の登記を行うことができません。

③税務上の証拠になる
贈与税の申告や、税務調査の際に「いつ・誰から誰に・何を贈与したか」を客観的に証明する書類として機能します。特に、毎年の暦年贈与を行っている場合は、年ごとの贈与契約書を作成しておくことで「定期贈与」(まとまった金額を分割して渡す約束)と認定されるリスクを軽減できます。

④相続トラブルの防止
贈与者が亡くなった後、他の相続人から「本当に贈与があったのか」と争いになることがあります。契約書があれば、贈与の事実と内容を明確に証明できます。

不動産の贈与契約書に記載すべき事項

不動産の贈与契約書に決まった書式はありませんが、以下の事項は必ず記載する必要があります。

必須の記載事項

項目記載内容
贈与の意思表示贈与者が財産を無償で贈与し、受贈者がこれを受諾する旨
贈与の日付契約の締結日。実際に名義変更を行う日(履行日)を別途定める場合はその日付も記載
贈与者の情報住所・氏名(印鑑証明書と一致する現在の住所を記載。登記記録上の住所と異なる場合は、名義変更の前提として住所変更登記が必要です)
受贈者の情報住所・氏名
贈与する不動産の表示登記事項証明書(登記簿謄本)の記載に合わせて正確に特定する

不動産の表示方法

不動産の贈与契約書では、対象物件を登記事項証明書の記載と完全に一致させることが重要です。記載が異なると、登記申請が受理されない場合があります。

土地の場合

  • 所在(○○市○○町○丁目)
  • 地番(○○番○○)
  • 地目(宅地・田・畑など)
  • 地積(○○.○○㎡)

建物の場合

  • 所在(○○市○○町○丁目○○番地○○)
  • 家屋番号(○○番○○)
  • 種類(居宅・事務所など)
  • 構造(木造瓦葺2階建など)
  • 床面積(1階○○.○○㎡、2階○○.○○㎡)
ご注意:マンション(区分建物)の場合は、「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」の3つを記載する必要があります。記載が複雑になるため、登記事項証明書を手元に用意してから作成することをおすすめします。

追加で記載しておくとよい事項

以下の事項は法律上の必須ではありませんが、記載しておくとトラブル防止に役立ちます。

  • 所有権移転登記を行う旨(受贈者が登記手続きに協力する義務)
  • 登記費用の負担者(実務上は受贈者が負担するケースが多い)
  • 公租公課(固定資産税等)の負担の取り決め
  • 持分の贈与の場合は持分割合

贈与契約書のひな形(不動産用)

以下は、不動産(土地・建物)の贈与契約書のひな形です。実際のご利用にあたっては、対象不動産や当事者の状況に合わせて内容を調整してください。

贈与契約書贈与者 ○○○○(以下「甲」という。)と受贈者 ○○○○(以下「乙」という。)は、以下のとおり贈与契約を締結した。

第1条(贈与)
甲は、甲の所有する下記不動産を乙に贈与し、乙はこれを受諾した。

【不動産の表示】
(土地)
所 在 ○○市○○町○丁目
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 ○○○.○○㎡

(建物)
所 在 ○○市○○町○丁目○○番地○○
家屋番号 ○○番○○
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 ○○.○○㎡
    2階 ○○.○○㎡

第2条(所有権移転登記)
甲及び乙は、本契約に基づく所有権移転登記手続きを速やかに行うものとする。

第3条(費用負担)
本契約に伴う登記費用その他一切の費用は、乙の負担とする。

以上の契約を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

令和○年○月○日

(甲)贈与者
住所 ○○○○○○○○
氏名 ○○○○    ㊞

(乙)受贈者
住所 ○○○○○○○○
氏名 ○○○○    ㊞
ご注意:上記はあくまで一般的なひな形です。未成年者への贈与や負担付贈与(ローンの引受けなど)の場合は、追加の条項が必要になります。個別の事情に応じた契約書の作成は、司法書士等の専門家にご相談ください。

贈与契約書作成のポイントと注意点

署名・押印について

贈与契約書の署名は、当事者が自筆で行うことが望ましいといえます。パソコンで作成した契約書であっても、署名欄は手書きにしておくと、後日の証拠力が高まります。

贈与者は実印での押印をおすすめします。贈与登記の申請では贈与者(義務者)の印鑑証明書の添付が必須であり、登記申請書または委任状の押印と印鑑証明書の印影が一致している必要があるため、贈与契約書も合わせて実印で押印すると間違いが少ないです。受贈者は認印でも法律上は有効ですが、双方が実印を押印しておくのが確実です。

収入印紙について

通常の贈与契約書(対価のない無償の贈与)であれば、印紙税は200円で足ります。贈与契約書は印紙税法上、記載金額のない第1号文書として扱われるためです。

ただし、負担付贈与など文書の記載内容によって印紙税額の整理が変わり得るため、個別の確認が安全です。

契約書の保管

贈与契約書は原本を2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ保管するのが基本ですが、貰う側のみ原本を所持することも実務ではよくあります。どちらにしても贈与税の申告や、将来の相続時に必要になる場合があるため、大切に保管しておきましょう。

贈与契約書を公正証書にするメリット

贈与契約書は私文書(当事者間で作成した書類)のままでも有効ですが、公証役場で公正証書として作成することで、より高い法的効力を持たせることができます。

公正証書にする主なメリット

①証拠力が高い
公正証書は公証人(法律の専門家)が作成する公文書であるため、裁判においても高い証拠力が認められます。「本当に贈与したのか」「本人の意思だったのか」という争いを未然に防ぐ効果があります。

②本人確認や作成経過が明確になる
高齢の方が贈与者となる場合、後日「贈与当時に判断能力がなかった」と主張されるリスクがあります。公正証書であれば、公証人が本人確認と意思確認を行ったうえで作成するため、後日の争いを抑えやすくなります。

③原本が公証役場で保管される
公正証書の原本は公証役場に20年間保管されます。契約書を紛失したり、改ざんされたりするリスクがありません。

なお、贈与の日付を客観的に残したい場合は、公正証書のほか、私文書に確定日付を付与する方法もあります。いずれにしても、特に高齢の方が当事者となる場合や、将来の紛争が懸念される場合に検討価値があります。

公正証書をおすすめするケース:高齢の贈与者からの贈与、高額な不動産の贈与、相続人間で争いが予想される場合、暦年贈与を長期間にわたって行う場合など。当事務所では、贈与契約書の公正証書作成から登記申請までを一括でサポートする生前贈与公正証書パックもご用意しています。

不動産の贈与にかかる税金

不動産の贈与を行う場合、贈与契約書の作成だけでなく、税金面の検討も重要です。「名義変更するだけなのに税金がかかる?」でも解説していますが、不動産の贈与では主に以下の税金がかかります。

贈与税

贈与税は、1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除110万円を超える場合に課税されます。受贈者が贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納付します。不動産の場合、その評価額は原則として路線価方式または倍率方式により算定されます。贈与税の詳しい仕組みや税率表は「贈与税について」をご覧ください。

贈与税の課税方式には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。

項目暦年課税相続時精算課税
基礎控除年間110万円年間110万円(2024年~)+累計2,500万円の特別控除
税率10%~55%(累進課税)特別控除超過分に一律20%
対象者制限なし60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫へ
届出不要選択届出書の提出が必要(一度選択すると戻れない)
相続時の取扱い生前贈与の加算期間が段階的に7年へ延長(相続開始日により異なる)贈与財産を相続財産に加算して精算(年110万円以下の部分は加算不要)
2024年の改正ポイント:相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除以下の贈与は申告不要で、かつ相続時の加算対象にもなりません。また、暦年課税では生前贈与の加算期間が将来的に7年へ延長されますが、相続開始日の時期によって加算対象期間が段階的に異なるため、現時点では「一律7年」と書かない方が正確です。どちらの課税方式が有利かは、財産の状況や将来の相続を含めた総合的な検討が必要になるため、税理士への相談をおすすめします。

登録免許税

贈与による所有権移転登記を申請する際に納付する国税です。

税額 = 固定資産評価額 × 2.0%

たとえば、固定資産評価額が1,000万円の不動産であれば、登録免許税は20万円となります。なお、相続を原因とする登記の場合は0.4%ですので、贈与の場合は相続に比べて5倍の税率が課されることになります。

不動産取得税

贈与で不動産を取得した場合、都道府県に対して不動産取得税を納める必要があります。

税額 = 固定資産評価額 × 3%(住宅・宅地の場合、2027年3月31日までの軽減税率)

なお、宅地の場合は課税標準が固定資産評価額の2分の1に軽減されます(2027年3月31日まで)。相続による取得では不動産取得税は非課税であるため、この点も贈与と相続の大きな違いの一つです。

不動産贈与にかかる税金の具体例

固定資産評価額1,000万円の宅地を贈与する場合の費用をまとめると、以下のようになります。

税金の種類計算式金額
登録免許税1,000万円 × 2.0%20万円
不動産取得税(宅地)1,000万円 × 1/2 × 3%15万円
贈与税贈与財産の評価額に応じた累進課税別途計算が必要
収入印紙代贈与契約書に貼付200円

贈与契約書と贈与登記(名義変更)の関係

不動産の贈与は、贈与契約書を作成しただけでは完了しません。贈与によって所有権が移転したことを法的に確定させるためには、法務局で所有権移転登記(贈与登記)を行う必要があります。

贈与登記に必要な書類

書類取得者備考
贈与契約書当事者が作成登記原因証明情報として使用
登記識別情報通知(または登記済証・権利証)贈与者不動産取得時に発行されたもの
贈与者の印鑑証明書贈与者発行から3か月以内のもの
受贈者の住民票受贈者新しい所有者の住所を証明
固定資産評価証明書市区町村登録免許税の計算に使用
委任状当事者司法書士に依頼する場合

必要書類の詳しい解説は「生前贈与による不動産名義変更の必要書類まとめ」をご覧ください。

贈与登記の手続きの流れ

不動産の贈与から名義変更完了までの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 贈与契約書の作成 ― 贈与者・受贈者間で合意し、契約書を締結
  2. 必要書類の収集 ― 登記識別情報、印鑑証明書、住民票、評価証明書等を準備
  3. 登記申請書の作成 ― 法務局へ提出する申請書を作成
  4. 法務局へ申請 ― 管轄の法務局に登記を申請
  5. 登記完了 ― 法務局での審査・完了までの期間は、申請先の法務局や時期により異なりますが、概ね2~4週間前後が目安です。完了後、受贈者に登記識別情報が発行されます

贈与登記の手続きの全体像については、「不動産の生前贈与による名義変更手続きガイド」で詳しく解説しています。

贈与の非課税特例(主なもの)

不動産の贈与に関連する代表的な非課税特例・控除を紹介します。該当する場合は贈与税の負担を大幅に軽減できる可能性がありますので、贈与契約書の作成前に確認しておくとよいでしょう。詳しくは「贈与税がかからないで名義変更できるか?」もあわせてご覧ください。

夫婦間の居住用不動産の贈与(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産(またはその取得資金)を贈与する場合、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円が控除されます。

つまり、最大2,110万円までは贈与税がかかりません。ただし、贈与税の申告は必要です。

住宅取得等資金の贈与の特例

父母や祖父母など直系尊属から、住宅の新築・取得・増改築のための資金を贈与された場合、一定額まで非課税となります。

  • 省エネ等住宅:1,000万円まで非課税
  • 一般住宅:500万円まで非課税

この特例は2026年12月31日までの適用期限がある点にご注意ください。

ご注意:「住宅取得等資金の非課税特例」は購入資金(金銭)の贈与に対する特例です。親が所有する土地・建物など不動産そのものを直接贈与する場合には適用されません。不動産の現物贈与を検討されている方はご注意ください。

当事務所の贈与登記サポート

当事務所(司法書士法人 不動産名義変更手続センター)では、不動産の生前贈与に関する手続きを一括でサポートしています。

プラン内容費用(税込)
おまかせパック贈与契約書の作成、必要書類の収集、贈与登記の申請まで99,000円~
公正証書パック上記に加え、贈与契約書を公正証書で作成198,000円~

※上記は司法書士報酬(基本料金)です。登録免許税等の実費は別途かかります。

贈与契約書の作成から登記完了まで、必要な手続きをすべてお任せいただけます。全国の不動産に対応しており、ご来所が難しい場合は郵送やオンラインでのお手続きも可能です。

料金の詳細は「贈与登記費用・料金プラン」をご覧ください。

不動産の贈与・名義変更に関するご相談は無料です

贈与契約書の作成から登記申請まで、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

不動産の贈与契約書は、贈与の事実を証明し、名義変更登記を行うために欠かせない書類です。作成にあたっては、不動産の表示を登記事項証明書と正確に一致させること、署名押印を適切に行うことが重要です。

また、不動産の贈与では、贈与税・登録免許税・不動産取得税といった税金面の負担も大きくなりがちです。どの課税方式を選ぶか、非課税特例が使えるかどうかを含め、事前にしっかりと検討しておくことが大切です。

贈与契約書の作成や贈与登記の手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家にご相談いただくことで、安心して手続きを進めることができます。

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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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