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「不動産を売りたいのに権利証(登記識別情報)が見つからない」「家を贈与したいのに権利証をなくしてしまった」——そんなときに登場するのが「本人確認情報」です。権利証や登記識別情報をなくしても、不動産の売買・贈与・名義変更ができなくなるわけではありません。司法書士が「本人確認情報」という書類を作成することで、手続きを進められます。この記事では、本人確認情報とは何か・費用の相場と当センターの料金・作成の要件から、実際の見本(記載例)まで、司法書士がわかりやすく解説します。
● 本人確認情報とは:権利証(登記識別情報)を提供できないときに、司法書士・弁護士などの資格者代理人が、申請人が登記名義人本人であることを確認し、その内容をまとめて登記官に提供する書類です(不動産登記法第23条第4項第1号)。
● 費用の相場:本人確認情報の作成費用(司法書士報酬)は5万円〜15万円程度が目安です(事案により異なります)。
● 当センターの費用:本人確認情報の作成は100,000円(税別)=110,000円(税込)です(名義人おひとりあたり。複数の場合は人数分が目安)。
● いつ必要か:売買・贈与・財産分与・抵当権抹消など、権利証や登記識別情報が必要な登記で、それらを紛失・失効・失念・不通知などで提供できないときに使います。
● 相続では原則不要:相続登記では権利証は原則不要のため、本人確認情報も通常は必要ありません。
● ほかの方法:本人確認情報のほかに「事前通知制度」「公証人の認証」という方法もあります。
● 見本:本ページの最後に、本人確認情報の記載例(見本・記載例1〜4)を掲載しています。
本人確認情報とは、不動産の売買・贈与・名義変更などの登記で、本来必要な権利証(登記済証)や登記識別情報を提供できないときに、その登記を代理する司法書士などの資格者代理人が、「申請人が確かに登記名義人本人である」ことを面談・書類で確認し、その内容をまとめて作成する書類です。法律上は不動産登記法第23条第4項第1号に定められています。
権利証や登記識別情報は、本人だけが持っているはずの大切な情報で、登記の場面では「あなたが本当に名義人本人ですか?」を確かめる手段として使われます。これを紛失などで出せないとき、代わりに司法書士が責任を持って本人確認を行い、その確認結果を本人確認情報という書面にして法務局に提出する——これが本人確認情報の役割です。司法書士が提出した本人確認情報を登記官が「内容が相当だ」と認めれば、後述の事前通知(法務局からの通知)を省略して登記申請を進められます(登記の完了は法務局の審査を経た後です)。
「権利証」と「登記識別情報」は、時期によって呼び方・形式が異なります。
どちらも役割は同じで、一度紛失・失効すると再発行されません。そのため「なくしたから再発行してもらおう」ということができず、売買や名義変更の際は本人確認情報などの代替手段が必要になります。登記識別情報そのものについては登記識別情報とは(権利証との違い)のページ、紙の権利証については登記済権利証とはのページもあわせてご覧ください。
本人確認情報は、その登記を代理する司法書士または弁護士(資格者代理人)が作成します。ご自身で作成することはできません。また、そもそも行政書士や不動産会社などが業として登記申請を代理すること自体が法律(司法書士法)で禁止されているため、本人確認情報を作成することもできません。司法書士が、申請人と面談し、本人確認書類を確認したうえで、自らの責任において作成・押印(職印)する書面だからです。万一なりすましなどがあれば資格者代理人が責任を負うことになるため、司法書士は慎重に本人確認を行います。
権利証・登記識別情報を紛失したときに、まず気になるのが費用ではないでしょうか。本人確認情報の作成にかかる費用は司法書士の報酬で、売買・贈与などの登記費用とは別にかかります。金額は事案の内容によって幅があります。
本人確認情報の作成費用(司法書士報酬)は、一般に5万円〜15万円程度が目安です。本人確認の難易度(面識の有無)、不動産の価額、申請人が法人かどうか、立ち会いや出張の有無、そして万一の際に司法書士が負う責任(リスク)の大きさによって変わります。高額な不動産の売買や、複数の不動産・複数の名義人がからむケースでは、これより高くなることもあります。
注意したいのは、本人確認情報の作成費用は、売買や贈与などの登記手続きの費用とは別にかかるという点です。不動産の名義変更では、本人確認情報の費用のほかに、登録免許税(国に納める税金)や、登記申請を依頼する場合の司法書士報酬などが発生します。名義変更全体の費用の目安は名義変更の費用のページでご確認ください。
本人確認情報は、司法書士が本人確認の責任を負って作成する書類です。面談・本人確認書類の精査・書面の作成という手間に加え、万一なりすまし等があった場合には資格者代理人が責任を負うため、相応の報酬が設定されています。費用を抑えたい場合や、急がない手続きの場合は、後述の「事前通知制度」(無料)を選べることもあります。
本人確認情報が必要になるのは、登記識別情報(権利証)を提供すべき「登記義務者」がいる登記で、その登記義務者が権利証・登記識別情報を提供できないときです。登記義務者とは、その登記によって不利益を受ける側のことで、売買・贈与では不動産を渡す側、抵当権抹消では抵当権者(お金を貸していた金融機関など)がこれにあたります。具体的には次のような登記が代表例です。
権利証・登記識別情報を提供できない理由(事由)は、記載例にもあるように次のように分かれます。本人確認情報には、この事由も記載します。
本人確認情報は、上記のように登記義務者がいる登記で使う書類です。これに対して相続による名義変更(相続登記)では、亡くなった方の権利証は原則として不要なので、本人確認情報も通常は必要ありません。「相続するのに親の権利証が見つからない」という場合でも、多くは戸籍などで手続きが進められます。ただし、遺言で相続人以外の方に不動産を譲る「遺贈」や、亡くなったことを条件に贈与する「死因贈与」では、登記の原因が相続ではないため、亡くなった方の権利証(登記識別情報)の提出を求められます。これを紛失している場合は、亡くなった方に代わって登記義務者となる遺言執行者や相続人全員について、司法書士が面談して本人確認情報を作成する必要があります。詳しくは相続登記に権利証は不要(権利証がない・紛失した場合)のページをご覧ください。
本人確認情報を作成するには、司法書士が申請人と直接面談し、本人であることを確認する必要があります。確認の方法は、司法書士と申請人に「面識があるかどうか」で変わります(不動産登記規則第72条)。
司法書士が、以前からの継続的な取引関係などで申請人本人を知っている場合は、その面識を生じた経緯・時期・具体的な事情を本人確認情報に記載します(記載例1・記載例4がこのケースです)。
司法書士が申請人と初対面の場合は、本人確認書類の提示を受けて確認します(記載例2・記載例3がこのケースです)。提示できる書類は、不動産登記規則で次のように区分されています。
司法書士は、これらの書類の顔写真や記載内容で本人との同一性を確認し、住所・氏名・生年月日などの聴き取りも行ったうえで、本人であると判断します。法人が申請人の場合は、代表者または「代表者に代わるべき者」であることを、業務権限証明書や印鑑証明書などで確認します(記載例4)。
本人確認情報は、司法書士が申請人と面談して初めて作成できる書類です。郵送やメールだけでは作成できません。ご来所が難しい遠方の方には、出張での面談で対応できる場合もあります(対応できる範囲は地域・案件により異なります)。面談の方法や必要な本人確認書類については、事前にご相談いただければ具体的にご案内します。
権利証・登記識別情報を提供できないときの対処法は、本人確認情報のほかにもあります。法律では次の3つの方法が認められています。それぞれ費用・かかる時間・使いやすさが異なります。
事前通知制度(不動産登記法第23条第1項)は、登記の申請後に法務局から登記義務者の住民票上の住所へ、転送されない「本人限定受取郵便」で通知が届き、本人が期限内(通知が発送された日から2週間以内、登記義務者が海外に住所をもつ場合は4週間以内)に、登記申請で使った印(実印)を押して法務局へ返送(必着)することで本人確認とする方法です。費用はかかりませんが、通知の郵送往復に日数がかかるため手元の猶予は実質数日のこともあり、1日でも返送が遅れると登記は却下されます。また、引っ越し後に住所変更登記をしていないと、旧住所に通知が送られて受け取れず手続きが進まないという、実務でよくある落とし穴にも注意が必要です。そのため、代金の支払いと同時に登記を進めたい売買の決済では、本人確認情報が選ばれるのが一般的です。一方、急がない手続きで費用を抑えたい場合は事前通知制度が向いています。
権利証・登記識別情報を紛失したときの手続き全体の流れや、3つの方法の詳しい比較は、登記識別情報を紛失したときの手続き(再発行・事前通知制度・本人確認情報)のページで詳しく解説しています。
権利証・登記識別情報を紛失したまま、本人確認情報を使って売買・贈与などの登記をする場合、おおまかな流れは次のとおりです。
STEP 1司法書士に相談・依頼する
売買・贈与・抵当権抹消などの登記とあわせて、司法書士に依頼します。権利証・登記識別情報が見つからないことを伝え、本人確認情報での対応を相談します。
STEP 2司法書士と面談・本人確認を受ける
司法書士と面談します。面識がない場合は、運転免許証などの本人確認書類を提示し、司法書士が本人であることを確認します。
STEP 3司法書士が本人確認情報を作成する
司法書士が、面談・確認した内容をもとに本人確認情報を作成し、職印を押印します。本人確認書類の写しなどを添付します。
STEP 4本人確認情報を添付して登記を申請する
本人確認情報を添付して、売買・贈与などの登記を法務局へ申請します。登記官が内容を相当と認めれば、事前通知は省略されます。
STEP 5登記が完了する
所有権移転登記(売買・贈与など)が完了すると、新しく名義人になった方に登記識別情報が通知されます(抵当権抹消では新たな登記識別情報は発行されません)。次回のために大切に保管しましょう。
本人確認情報は、権利証(登記識別情報)を紛失・失効などで提供できないときに、司法書士が本人確認をして作成する書類です。これがあれば、権利証をなくしても不動産の売買・贈与・名義変更を進められます。費用は相場で5万〜15万円程度、当センターでは100,000円(税別。名義人おひとりあたり)です。相続登記では原則として不要なこと、事前通知制度・公証人認証という別の方法もあることもあわせて押さえておきましょう。権利証が見つからずお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
Q. 本人確認情報とは、具体的に何ですか?
権利証(登記識別情報)を提供できないときに、その登記を代理する司法書士などの資格者代理人が、申請人が登記名義人本人であることを面談・書類で確認し、その内容をまとめて作成する書類です(不動産登記法第23条第4項第1号)。これを提出することで、権利証がなくても登記を進められます。
Q. 権利証(登記識別情報)を紛失したら再発行できますか?
できません。権利証も登記識別情報も、一度紛失・失効すると再発行されない仕組みです。その代わりに、本人確認情報・事前通知制度・公証人の認証のいずれかの方法で手続きを進めます。
Q. 本人確認情報の費用はいくらですか?
司法書士報酬として、相場は5万円〜15万円程度が目安です(事案により異なります)。当センターでは、本人確認情報の作成を100,000円(税別)=110,000円(税込)で承っています(名義人がおひとりの場合の費用で、複数の場合は人数分が目安です)。この費用は、売買・贈与などの登記そのものの費用(登録免許税・登記の報酬)とは別にかかります。
Q. 相続登記でも本人確認情報は必要ですか?
原則として必要ありません。相続による名義変更(相続登記)では、亡くなった方の権利証は基本的に不要なため、本人確認情報も通常は使いません。「相続するのに権利証が見つからない」という場合でも、多くは戸籍などで手続きを進められます。
Q. 自分で本人確認情報を作成できますか?
できません。本人確認情報は、その登記を代理する司法書士(または弁護士)などの資格者代理人が、本人確認の責任を負って作成する書類です。申請人ご自身では作成できません。
Q. 司法書士と面識がなくても作成してもらえますか?
はい、可能です。面識がない場合は、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの本人確認書類(第1号書類)の提示を受けて本人確認を行います。顔写真付きの書類がない場合は、資格確認書(健康保険証に代わるもの)などを2点以上組み合わせて確認します。
Q. 本人確認情報の作成にはどれくらい時間がかかりますか?
本人確認情報は、本人確認書類の確認だけでなく、不動産を取得した経緯や固定資産税の関係書類、売買・贈与の内容なども確認したうえで作成します。資料がそろい面談内容に問題がなければ短期間で作成できますが、権利関係や住所変更の履歴に確認事項がある場合は数日以上かかることもあります。いずれも事前通知制度のように通知の往復を待つ必要がないため、売買の決済日に間に合わせやすいのが特徴です。
Q. 事前通知制度と本人確認情報のどちらを選べばよいですか?
代金の支払いと同時に登記を進めたい売買の決済では、確実でスピードの速い本人確認情報が一般的です。一方、急がない手続きで費用を抑えたい場合は、無料の事前通知制度が向いています。状況に応じて司法書士がご提案します。
Q. 法人が登記する場合の本人確認情報はどうなりますか?
法人の場合は、代表者または「代表者に代わるべき者」であることを、業務権限証明書や印鑑証明書などで確認したうえで本人確認情報を作成します(記載例4を参照)。担当者と司法書士に面識があるかどうかで、確認方法が変わります。
Q. 本人確認情報の見本(記載例)はどこで見られますか?
このページの最後にある「本人確認情報の見本(記載例1〜4)」の章に、本人確認情報の記載例を掲載しています。個人・法人、面識のあり・なしなど、ケース別に4つの例をご覧いただけます。
最後に、実際の本人確認情報がどのような書類なのか、本人確認情報の記載例(見本・記載例1〜4)を掲載します。ケースによって記載内容は変わりますが、いずれも「司法書士の表示」「登記の目的」「不動産」「権利証・登記識別情報を提供できない事由」「申請人」「面談の日時・場所・状況」「面識の有無」「本人確認書類」「本人であると確認した理由」などが記載される点は共通しています。
上記は本人確認情報の記載例(見本)で、氏名・住所などはすべて架空の例(甲野一郎・株式会社東西南北銀行など)です。実際の本人確認情報は、案件ごとに記載内容が異なります。また、記載例には住民基本台帳カードなど現在は新規発行されていない書類も含まれます。現在はマイナンバーカードや運転免許証など、現行の本人確認書類で確認します。記載例2〜4には聴取内容などのつづきのページがありますが、ここでは本人確認情報の中心となる書式部分を掲載しています。
最終更新日:2026年6月9日
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