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不動産相続の基礎知識|手続き・費用・税金を司法書士がやさしく解説


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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最終更新日:2026年4月25日

ご家族が亡くなり、不動産を相続することになった方へ。「何から手をつけたらいいか分からない」「むずかしい言葉が多くて疲れてしまう」――そう感じていませんか。本ページは初めて不動産相続に直面した方向けに、司法書士がむずかしい言葉をできるだけ使わずに、不動産相続のいちばん大切な部分だけをやさしく解説します。

もっと詳しく知りたい方へ:手続きの詳しい流れ・必要書類チェックリスト・分割方法の比較・売却までの流れなどは、不動産相続の完全ガイドにすべてまとめています。本ページでやさしい全体像をつかんでから、完全ガイドで詳細を確認すると理解が早まります。
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不動産を相続したら、まず何をすべき?

ご家族が亡くなられたあと、不動産を相続することになったら、あわてずに「誰が相続するかを決める」→「名義を変える」→「税金を申告する」という3つを順番に進めるとイメージしてください。これが不動産相続の大きな流れです。

相続発生から名義変更までの大きな3ステップ

  1. 遺言書があるかを確認する:遺言書があればその内容に従います。なければ相続人全員で話し合います。
  2. 相続人と財産を調べる:戸籍を集めて「誰が相続人か」を確定し、不動産・預貯金などの財産を一覧にします。
  3. 遺産分割協議をして名義変更する:相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合い、決まったら法務局で不動産の名義を変えます(相続登記)。

どのステップも、ひとつずつ進めれば難しいものではありません。ただし、戸籍を集めたり遺産分割協議書を作成したりする場面では、専門的な知識が必要になる場合もあります。

たとえば「相続人を確定する」ためには、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要があります。結婚や転籍で戸籍が変わっている場合、複数の役所から取り寄せることになり、慣れていないと1〜2か月かかることも少なくありません。初めての方ほど、早めに着手するのがおすすめです。

期限に注意が必要なもの

不動産相続には、のんびりしていると不利になってしまう期限がいくつかあります。

  • 相続放棄:亡くなったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
  • 相続税の申告:亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
  • 相続登記(名義変更):2024年4月から義務化され、原則3年以内の申請が必要です(くわしくは次のH2で解説します)。
迷ったら…まずは専門家に相談して、何の期限が迫っているか・何から手をつければよいかの優先順位を整理するのが近道です。当センターでは初回相談を無料でお受けしています。

相続登記(名義変更)の義務化とは?

2024年4月から、不動産の相続登記(名義変更)が法律で義務になりました。これまでは「いつかやればいい」と放置される方も多かった手続きですが、今後はそうはいかなくなっています。

3年以内の登記申請が必要です

不動産を相続したことを知った日から3年以内に、法務局へ相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なくこの期限を過ぎると、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。

過去の相続も対象になります

義務化は過去の相続にもさかのぼって適用されます。2024年4月より前に発生した相続で名義変更していない不動産がある場合、2027年3月31日までに登記する必要があります。「親が亡くなったのは10年前だけど名義はそのまま」といった不動産も対象です。

ご両親・祖父母の代から登記されていないような古い相続の場合、当時の相続人がすでに亡くなっていて、その子・孫が「数次相続人」として手続きに関わることになります。関係者が増えるほど同意を得るのがむずかしくなり、費用・時間ともに大きく膨らみます。心当たりがある不動産は、できるだけ早めに確認しておきましょう。

対応のヒント:3年という期限は、実はあっという間です。戸籍収集や遺産分割協議がスムーズに進まないと、半年〜1年はすぐに経ってしまいます。早めに動き出すのがいちばんの節約になります。

義務化のより詳しい内容・過料が科されるケースなどは、相続登記の義務化を詳しく解説したページもあわせてご覧ください。

不動産相続にかかる費用(概要)

不動産相続にかかる主なお金は「登録免許税(税金)」「書類の取得実費」「司法書士への依頼費用」の3つです。評価額1,000万円の土地1筆なら、だいたい税金4万円+実費1〜2万円+司法書士報酬6〜10万円というイメージです。

このうち、必ずかかるのは登録免許税(評価額×0.4%)と書類の取得実費(戸籍謄本・固定資産評価証明書など1〜2万円程度)です。司法書士に依頼するかどうかで、合計金額は10万円前後の差が出ます。「相続人が多い」「遠方の不動産」「書類がどこにあるか分からない」といったケースでは、司法書士に依頼した方が結果的に費用対効果が良くなることもあります。

評価額別の目安を知りたい方は、当サイトの相続登記にかかる費用ページに早見表を掲載しています。

費用の細かい金額・評価額別の早見表・3つのシミュレーション例は、不動産相続の完全ガイドの「費用の全体像」セクションでまとめています。名義変更全体の費用については相続登記にかかる費用ページもご覧ください。

相続税はかかる?かからない?

「相続したら必ず相続税を払うの?」とよく聞かれますが、相続税がかかる方は全体の約9%だけです。ほとんどの方は、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲に収まるため、相続税がかからないのが実情です。

たとえば相続人が配偶者と子2人(計3人)なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円。不動産と預貯金を合わせて4,800万円以下なら、相続税の申告自体が不要です。

また、不動産は現金よりも相続税評価が下がるしくみがあります。土地は「路線価」、建物は「固定資産税評価額」で評価されるため、市場で買った価格の7〜8割ほどの評価になることが多く、同じ金額でも相続税の負担は軽くなります。亡くなった方が住んでいた土地であれば、小規模宅地等の特例により評価額を最大80%減らせる場合もあります。

ご注意:相続税がかかりそうか判断するには、不動産の評価と預貯金など他の財産もあわせて合計する必要があります。4,800万円を超えそうな場合は、早めに税理士に相談することをおすすめします(司法書士は税務の相談・代理はできません)。
相続税の計算方法・不動産の評価(路線価・倍率方式)・小規模宅地等の特例など詳しい内容は、相続税の基礎ページ、または不動産相続の完全ガイドの「相続税」セクションをご覧ください。

不動産相続でよくある5つの疑問

Q1. そもそも相続の対象に不動産は含まれる?

はい、含まれます。不動産(土地・建物・マンション)は、預貯金や有価証券と同じ「相続財産」にあたります。借金などのマイナスの財産も含まれるため、プラスマイナスを合わせて「相続するか/放棄するか」を判断することになります。マイナスのほうが大きい場合は、亡くなったことを知った日から3か月以内に相続放棄を家庭裁判所に申し立てることで、不動産も含めて一切相続しない、という選択もできます。

Q2. 不動産と現金、相続するならどちらが得?

一般的には不動産のほうが税制面で有利になりやすいといえます。現金1億円は相続税評価も1億円ですが、同じ1億円で買った不動産の評価額は、土地で約8割・建物で約7割になるケースが多いためです。さらに、亡くなった方が住んでいた土地であれば小規模宅地等の特例で評価額を最大80%減らせる場合もあります。ただし、不動産は管理の手間・固定資産税・修繕費の負担や、すぐに現金化できないデメリットもあります。相続後すぐに売却する予定なら現金のほうがシンプル、長く保有する予定なら不動産のほうが税負担は軽い、という整理で考えると分かりやすいです。

Q3. 実家を相続したけど住まない場合は?

選択肢は大きく「売却」「賃貸」「空き家で保有」の3つです。放置してしまうと特定空き家に指定されて固定資産税が最大6倍になるリスクがあるため、早めに方針を決めるのがおすすめです。売却の場合は相続から3年10か月以内であれば取得費加算の特例(払った相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得税を軽減できる)、親の住居だった場合は空き家の3,000万円特別控除(2024年1月以降は相続人3人以上なら2,000万円)を使える可能性があります。これらの特例を逃すと税金が数百万円単位で変わることもあるため、判断は早めがおすすめです。

Q4. 相続人が複数いて話がまとまらないときは?

まずは相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行います。どうしても合意できないときは、家庭裁判所の調停審判で決めることになります。ただし、調停には半年〜1年以上かかることも多く、費用・精神的な負担も大きくなります。可能な限り話し合いでの解決を目指すのが現実的です。また、相続人全員が合意しているのに「全員の同意が面倒だから」と共有名義のまま登記してしまうと、後々の売却・建替えで再び全員の同意が必要になり、次の相続でさらに複雑化します。共有は避けるのが原則と考えてください。実家を兄弟で相続する場合のポイント共有名義のデメリットもあわせてご覧ください。

Q5. 自分で手続きできる?司法書士に頼むべき?

相続人が1〜2人で不動産1件、遺言がある、といったシンプルなケースなら自分で申請することも可能です。法務局の窓口でも相談を受け付けてくれます。一方、次のようなケースは司法書士に依頼するほうが結果的に安心かつ早いことが多いです。

  • 相続人が3人以上、または遠方に住んでいる
  • 戸籍が複雑(養子縁組・離婚再婚・代襲相続など)
  • 不動産が複数・遠方・住所と登記簿の表記が違う
  • 期限(3年以内の義務化/税務特例の適用期限)が迫っている
  • 売却まで視野に入れている(名義変更→売却の流れで失敗したくない)

自分で相続登記をやる7ステップのページで、まず自分にできそうか判断してから決めるのも一つの方法です。

次に読むべきページ

やさしい全体像がつかめたら、次は目的に合わせて下のページに進んでみてください。

まとめ:不動産相続でまずやること

初めて不動産を相続する方が押さえておくポイントは、次の4つに集約できます。

  • 相続放棄は3か月以内、相続税は10か月以内、相続登記は3年以内。期限をカレンダーに書き込む
  • まず遺言書の確認 → 相続人と財産の確定 → 遺産分割協議 → 名義変更の順で進める
  • 相続税がかかる方は全体の9%。基礎控除(3,000万+600万×人数)以下なら申告不要
  • 迷ったら早めに司法書士に相談する。初回相談は無料の事務所が多い

より詳しい内容を知りたくなったら、不動産相続の完全ガイドにお進みください。本ページでつかんだ全体像を、詳細情報で補強できます。

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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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