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不動産の名義変更手続きに義務はある?期限の詳細も解説!


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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​最終更新日:2026年10月5日
この記事のポイント
  • 相続登記は義務があり、3年以内に登記が必要(令和6年4月施行)
  • 相続登記以外の不動産の名義変更(売買・贈与・財産分与等)に法的義務はない
  • 相続登記以外は義務がないので期限もない
  • ただし名義変更を放置すると深刻な問題が生じる可能性がある
  • すぐに名義変更すべき場合もある
  • 名義上の氏名・住所の変更登記は令和8年(2026年)4月より義務化された

「名義変更」の種類を知ることが第一歩

一般的に「不動産の名義変更」と呼ばれる手続きは、法律上は大きく2つの種類に分かれます。種類によって義務や期限が全く異なりますので、まずはこの違いを押さえておきましょう。

種類 内容 具体例 義務・期限
所有権移転登記 不動産の所有者が別の人に変わる手続き 相続、贈与、売買、財産分与 相続のみ義務あり(3年以内)
その他は義務なし
氏名・住所変更登記 所有者は同じだが、登記簿上の住所や氏名を更新する手続き 引越し、結婚・離婚による改姓、法人の本店移転・名称変更 令和8年4月から義務化済み(2年以内)

「名義変更に期限はあるの?」という疑問に対しては、「どの手続きに該当するか」によって答えが変わるということになります。以下、それぞれ詳しく解説していきます。

相続登記には義務と期限がある

母が亡くなりました。自宅の名義変更手続きはいつまでにやらないといけませんか?

お亡くなりになった方からの名義変更(相続登記)は、令和6年4月の法改正により申請義務が生じるようになりました(相続登記の義務化)。

不動産を取得した相続人は、その取得(相続)を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記の義務化とは?

民法と不動産登記法の改正により、令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されました。これまでは義務がなかった不動産の相続登記ですが、義務化により期限と罰則規定が設けられています。

項目 内容
施行日 令和6年(2024年)4月1日
申請期限 相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内
罰則 正当な理由のない申請漏れは10万円以下の過料
過去の相続 施行前に発生した相続も対象(施行日から3年の猶予あり)

名義変更しないまま長年放置すると、いざ名義変更が必要になった際に手続きが難しくなることもあります。義務化とは関係なく、お早めに手続きしておくことをお勧めいたします。

相続登記以外の名義変更(売買・贈与・財産分与等)は義務も期限もない

相続登記以外の名義変更、つまり売買・贈与・離婚に伴う財産分与による所有権移転登記には、現在のところ法的な申請義務はありません。当然、期限や罰則もありません。

しかし、「義務がない=放置しても問題ない」ということではありません。名義変更を怠ると、過料よりも深刻な経済的損失を被る可能性があります。

贈与の場合

知人から不動産を譲り受けました。名義変更に費用がかかるのでとりあえずそのままにしておこうと考えてますが、名義変更しないデメリットは何かありますか?

相続登記以外の名義変更(売買、贈与、離婚等)は義務ではないので、名義変更するしないは個人の自由です。当然期限もありません。

ただし、名義変更しないままですと、客観的な所有者は知人の方のままですので、知人の方が他の方に譲渡する可能性(二重譲渡)や、知人の方に借金や税金の滞納などがあると差し押さえを受けたりする可能性もゼロではありません。

また、名義変更しないまま知人の方が亡くなったり、判断能力が無くなった場合は、手続きが難しくなります。

法的な義務や期限はないですが、お早めに名義変更されることをお勧めいたします。

贈与における登記と税務申告の関係

生前贈与の場合、登記自体に期限はありませんが、税制面での厳格な期限が存在します。

1年間に贈与額が110万円(基礎控除額)を超える贈与を受けた方は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告と納税を行わなければなりません。この申告期限を過ぎた場合、無申告加算税や延滞税が課されます。

また、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)、相続時精算課税制度などの税負担を軽減する特例を適用するには、期限内の税務申告が絶対条件です。

⚠ 登記を放置した場合のリスク
贈与が口頭のみで行われ、登記もされていない状態で年月が経過した後に贈与者が亡くなった場合、他の相続人から「贈与の事実はなかった」「認知症で意思能力がなかった」と主張され、深刻な親族間トラブルに発展するリスクがあります。贈与の事実を客観的に証明するためにも、贈与契約書の作成と登記手続きは同時に完了させることが重要です。

離婚に伴う財産分与の場合

離婚して夫から自宅を財産分与してもらいます。住宅ローンを完済した際に名義変更する予定ですが何か注意点はありますか?

住宅ローンの契約では通常、名義変更する場合は金融機関の承諾が必要との条項があります。離婚により名義変更するには金融機関の承諾をもらう必要がありますが、一般的に承諾は難しいとされています。

金融機関の承諾を得ずに名義変更すること自体は手続き上は可能ですが、金融機関との契約違反のリスクがあります。契約違反によりローンの一括返済を求められたりする可能性もゼロではありません。

契約違反のリスクを考え、ローン返済後の名義変更を約束するケースもありますが、その場合は口約束ではなく契約書を用意しましょう。財産分与は、離婚が成立してから5年以内(2026年3月31日以前に成立した離婚は2年以内)に家庭裁判所へ請求しないと法的には認められません。口約束では財産分与したことを証明できない場合も考えられますので、できれば公正証書で残すことをお勧めいたします。

財産分与における期限の重要性

財産分与による名義変更には登記の義務はありませんが、民法上の厳格な期限が存在します。

■ 財産分与の請求期限

離婚が成立した日から5年(2026年3月31日以前に成立した離婚は2年)を経過すると、家庭裁判所に財産分与を請求する権利が消滅します(除斥期間)。元配偶者間で任意に合意できれば期限経過後でも実施可能ですが、相手方に法的な義務がなくなるため、実務上は協力を得ることが極めて困難になります。

※財産分与の請求期限は、2026年4月1日施行の改正民法により2年から5年に延長されました。2026年4月1日以降に成立した離婚は5年、2026年3月31日以前に成立した離婚は従前どおり2年です。

さらに重大なリスクとして、離婚協議書で不動産の取得が確定していても、登記簿上の名義が元配偶者のままであれば、以下のような危険があります。

・元配偶者が勝手に第三者へ不動産を売却し、先に登記された場合、自身の所有権を主張できない(民法177条)
・元配偶者が自己破産した場合や、債権者による差し押さえが行われた場合も対抗できない

これらの理由から、財産分与による名義変更は合意成立後、速やかに登記を実行することが極めて重要です。

親族間・知人間の売買の場合

親戚から不動産を購入しました。お金の支払いと名義変更の手続きのタイミングはどうしたらよいでしょうか?

第三者間の不動産取引・売買ですと、不動産業者や司法書士などの第三者が間に入って手続きするのが一般的です。

ご親族間での取引の場合は、親族間で信頼関係があることや不動産業者に仲介手数料を払うことがもったいないとのことで、ご自身で手続きされるケースもあるかと思います。

信頼関係が強い場合は、お金の支払いタイミングなども当事者で決めればいいことですが、親族といっても遠縁であったり信頼関係が強くない場合は、第三者との取引に近いかと考えます。

その場合、タイミングとしてはお金と名義変更書類との引き換えになるかと思いますが、少しでも不安がある場合は、司法書士などの専門家に依頼することをお勧めいたします。

当センターは司法書士事務所が運営しておりますので、もちろん親族間や知人間での取引にも対応可能です。

売買における登記の遅延リスク

通常の不動産取引では、売買代金の支払いと同時に司法書士が所有権移転登記を申請する「同時履行」が鉄則です。

しかし、親しい間柄だからと登記を後回しにした場合、以下のようなリスクが生じます。

・売主の心変わりによる二重譲渡
・売主が急死した場合、不動産が相続人全員の共有財産として扱われ、名義変更に全相続人の協力が必要になる
・著しく低い価格での取引は贈与税の課税対象とみなされる可能性がある

⚠ 親族間売買のご注意
親族間の売買であっても、著しく低い価格(低額譲渡)で取引を行うと、適正な時価との差額に対して贈与税が課される場合があります。税理士や司法書士など専門家への事前相談と、取引当日の確実な名義変更が重要です。

【2026年4月施行済み】住所・氏名変更登記の義務化とは?

所有者を変更する手続きではありませんが、不動産の所有者が引越しや結婚・離婚などにより住所や氏名に変更があった場合、その変更を登記に反映させる手続きが令和8年(2026年)4月1日から義務化されました。

個人の引越しや改姓だけでなく、法人の名称変更や本店移転にも同様に適用されます。

期限と罰則

住所や氏名に変更があった日から2年以内に変更登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく申請を怠った場合は、5万円以下の過料が科される可能性があります。

変更が生じた時期 申請期限 備考
令和8年4月1日以降 変更日から2年以内 原則ルール。引越し・改姓の都度、期限が進行
令和8年4月1日より前 令和10年(2028年)3月31日まで 経過措置として施行日から2年間の猶予。過去の変更も対象
■ 過去の住所・氏名変更も対象です

令和8年4月1日より前に住所や氏名を変更し、登記をしていない不動産についても義務化の対象になります。何年前・何十年前の変更であっても、令和10年3月31日までに変更登記を完了させる必要があります。長年住所変更の登記をしていない方は、早めの対応が必要です。

過料(罰則)が科されるまでのプロセス

期限を過ぎたからといって、直ちに過料が科されるわけではありません。段階的な手続きが採用されています。

1
登記官が登記申請の審査の過程などで義務違反を把握(例:建物の滅失登記などの表示に関する登記を申請した際に、所有者の住所や氏名が登記簿と合わなかったとき/スマート変更登記の意思確認通知を受け取ったのに登記を拒否した、または期限までに回答しなかったとき)
2
所有者に対して相当の期間を定めた「催告(警告)」を実施
3
催告書に記載された期限内に変更登記を申請すれば、登記官は裁判所への通知を行わない予定です
4
正当な理由なく催告を無視し続けた場合 → 法務局から裁判所へ通知 → 5万円以下の過料

義務を負う方自身に重病等の事情がある場合、DV被害者等で生命・身体に危害が及ぶおそれがあり避難を余儀なくされている場合、経済的に困窮して登記費用を負担できない場合、行政区画の変更等で住所が変わった場合、検索用情報の申出(法人は会社法人等番号の登記)がされているのに職権による変更登記がまだされていない場合などは、一般に「正当な理由」があると認められる予定です。

スマート変更登記(職権による変更登記)とは?

義務化に伴い、所有者の負担を軽減するために「スマート変更登記」という新制度も導入されました。法務局が住民基本台帳ネットワークなどと連携し、住所や氏名の変更を確認し、職権で変更登記を行う仕組みです(個人の場合は、所有者に意思確認をしたうえで行います)。

対象 ステップ1:事前の申出 ステップ2:情報確認 ステップ3:登記実行
個人 検索用情報の申出
(令和7年4月21日受付開始済み)
法務局が住基ネットで定期的に確認 令和8年12月中旬以降、住所・氏名に変更があった方に意思確認通知 → 通知が送られてから1か月以内に「希望する」と回答すれば職権で登記
法人 会社法人等番号の申出 商業登記システムから自動通知 意思確認や完了連絡はなく、令和8年5月15日以降順次、職権で登記(完了までには一定の期間がかかります)
事前申出のメリット
国内に住所がある個人の所有者が検索用情報の申出(無料)をしておけば、その後に引越しや改姓があっても、法務局から届く意思確認通知に「スマート変更登記を希望する」と回答するだけで、法務局が職権で変更登記をします。個人のスマート変更登記が実際に行われるのは令和8年12月中旬以降で、令和8年度の対象は令和8年3月31日までに検索用情報の登録が完了した方です。令和8年4月1日以降に登録が完了した方は令和9年度以降の対象で、時期はまだ決まっていません。申出をしていて職権による変更登記がまだされていない間は、一般に、変更登記をしないことに「正当な理由」があると認められる予定です。

ただし、意思確認通知(メールまたは封書)を受け取ったのに登記を拒否したり、通知が送られてから1か月以内に回答しなかったりすると、登記官から催告を受けるきっかけになります。

海外に住所がある方も申出はできますが、海外に住所がある間は職権による変更登記の対象にならないため、ご自身での申請が必要です(海外に住所があるときに申出をした方は、日本に住所を移した後に改めて申出をすると対象になります)。なお、検索用情報の申出は令和7年(2025年)4月21日から受付が開始されています。

スマート変更登記は法務省が決めたスケジュールに沿って行われるため、すでに検索用情報の申出をしていても、不動産を売却するときなど住所変更登記を急ぐ場合に、法務局に頼んで個別に前倒ししてもらうことはできません。意思確認通知が届くのを待たずに、ご自身で(または司法書士に依頼して)住所変更登記を申請する必要があります。

名義変更の義務と期限のまとめ

名義変更の種類 法的義務 期限 罰則 放置リスク
相続登記 あり 3年以内 10万円以下の過料(正当な理由がない場合) 手続きの複雑化
住所・氏名変更
(令和8年4月〜)
あり 2年以内 5万円以下の過料(正当な理由がない場合) 他の登記手続きに支障
贈与 なし なし なし 二重譲渡・相続紛争
売買 なし なし なし 二重譲渡・差押え
財産分与 なし なし
(請求は離婚後5年以内)
なし 権利喪失・差押え

法的義務がない手続きであっても、名義変更の放置は権利の喪失や予期せぬトラブルにつながる重大なリスクを伴います。不動産の名義変更でお悩みの方は、お早めにご相談ください。

この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士歴18年(2008年10月登録)。
「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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