不動産の生前贈与でかかる贈与税を自動計算できるシミュレーターです。贈与金額を入力し、贈与者と受贈者の関係を選ぶだけで税額の目安がわかります。
暦年課税(基礎控除110万円)のほか、配偶者控除(おしどり贈与)や相続時精算課税を適用した場合の税額も同時に比較できます。
贈与税の税率や控除制度の詳細は「贈与税」のページで解説しています。贈与税がかからない方法については「贈与税がかからないで不動産を名義変更することはできる?」をご覧ください。
シミュレーターの使い方
贈与する不動産の評価額(または現金・預貯金等の金額)を入力します。不動産の場合は固定資産評価額ではなく、相続税評価額(土地は路線価、建物は固定資産評価額)を入力してください。
「親から子・祖父母から孫への贈与(特例贈与)」または「上記以外の一般贈与」を選択します。特例贈与は税率が優遇されており、受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の場合に適用されます。
金額を入力すると、基礎控除(110万円)を差し引いた暦年課税の贈与税額が自動表示されます。これが基本の計算結果です。
「配偶者控除」や「相続時精算課税」にチェックを入れると、それぞれの制度を適用した場合の概算税額も表示されます。制度選びの参考としてご活用ください。
【税務に関するご注意】
本記事における贈与税の解説は、一般的な制度の概要をご案内することを目的としております。
税理士法上の規定により、司法書士は個別具体的な事案に対する税務判断、税額の計算、および税務申告に関するご相談をお受けすることができません。
ご自身のケースにおける個別具体的な税務上の取り扱いや申告手続につきましては、必ず管轄の税務署または税理士へご相談ください。
贈与税の課税制度
贈与税には大きく分けて「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方式があります。どちらを選ぶかで税額が大きく変わるため、それぞれの仕組みを理解したうえでシミュレーターをご活用ください。
暦年課税(基礎控除110万円)
暦年課税は贈与税の原則的な課税方式です。1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除110万円を差し引いた金額に税率をかけて計算します。
- 年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかからず、申告も不要
- 110万円を超えた部分に対して10%〜55%の累進税率がかかる
- 贈与者と受贈者の関係によって「特例税率」と「一般税率」の2種類がある
贈与税の税率表
特例税率は、父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用されます。それ以外の贈与には一般税率が適用されます。
| 基礎控除後の 課税価格 | 特例税率(父母・祖父母→子・孫) | 一般税率(左記以外) | ||
|---|---|---|---|---|
| 税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
| 200万円以下 | 10% | - | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 | 50% | 250万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 | 55% | 400万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 | 55% | 400万円 |
各税率の詳細は国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率」でも確認できます。
計算事例
| 贈与額 | 500万円 |
| 基礎控除 | - 110万円 |
| 課税価格 | 390万円 |
| 税率・控除額 | 15%・10万円(400万円以下) |
| 贈与税額 | 48万5,000円 390万 × 15% - 10万 = 48万5,000円 |
| 贈与額 | 800万円 |
| 基礎控除 | - 110万円 |
| 課税価格 | 690万円 |
| 税率・控除額 | 40%・125万円(1,000万円以下) |
| 贈与税額 | 151万円 690万 × 40% - 125万 = 151万円 |
相続時精算課税
相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択できる制度です。令和6年以降の贈与では、以下の2段階で控除が適用されます。
- 基礎控除110万円(年ごと) ― 毎年の贈与から自動的に差し引かれる
- 特別控除2,500万円(累積枠) ― 基礎控除後の残額から差し引かれる(通算で最大2,500万円)
特別控除枠を超えた部分には一律20%の税率がかかります。なお、この制度で贈与した財産は、将来の相続時に相続財産に加算して相続税が計算される点に注意が必要です。
配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合に、基礎控除110万円に加えて最高2,000万円の控除を受けることができます。
- 最大2,110万円(基礎控除110万円+配偶者控除2,000万円)まで非課税
- 適用を受けるには贈与税の申告が必須(税額が0円でも申告が必要)
- 同じ配偶者からの贈与で一生に一度しか使えない
詳しい要件は「贈与税がかからないで不動産を名義変更することはできる?」で解説しています。
計算時の注意点
不動産の評価方法
贈与税の計算で使う不動産の価額は、相続税評価額です。固定資産評価額や売買価格とは異なります。
- 土地 ― 路線価方式(路線価×面積×補正率)または倍率方式(固定資産評価額×倍率)で評価
- 建物 ― 固定資産評価額がそのまま相続税評価額となる
- マンション ― 2024年以降、区分所有マンションの評価方法が改正。市場価格との乖離を是正する補正が導入されている
贈与税の申告が必要なケース
以下のケースでは、税額が0円でも贈与税の申告が必要です。申告しないと特例が適用されず、高額な贈与税が課される可能性があります。
- 配偶者控除(おしどり贈与)を利用する場合
- 相続時精算課税を選択する場合
- 住宅取得等資金の非課税特例を利用する場合
暦年課税で基礎控除110万円以下の贈与のみの場合は、申告は不要です。
贈与税以外にかかる費用
不動産の贈与では、贈与税のほかにも以下の費用がかかります。
- 登録免許税 ― 固定資産評価額 × 2.0%(自動計算ツールで試算可能)
- 不動産取得税 ― 原則4%ですが、令和9年3月31日までに取得した土地・住宅は3%に軽減されます。宅地は評価額を1/2とする特例もあります(自動計算ツールで試算可能)
- 司法書士報酬 ― 名義変更登記の手続き費用
よくある質問
暦年課税と相続時精算課税はどちらが有利ですか?
以前は「少額を長期間贈与するなら暦年課税」がセオリーでしたが、令和6年の改正で相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設され、この枠内であれば将来の相続財産への加算も不要となりました。そのため、現在は精算課税が有利になるケースも増えています。ただし、一度精算課税を選ぶと暦年課税には戻せないため、ご自身の状況に合わせて税理士への事前相談をおすすめします。
不動産の贈与金額はどうやって調べればよいですか?
土地は国税庁の路線価図で路線価を確認し、面積をかけて算出します。路線価が設定されていない地域は、固定資産評価額に所定の倍率をかける「倍率方式」で計算します。建物は固定資産評価額がそのまま相続税評価額になります。正確な評価が難しい場合は、税理士にご相談ください。
贈与税を払えば名義変更できますか?
贈与による名義変更は、贈与契約書の作成後、法務局への登記申請で進めます。贈与税の申告・納付は別の手続きで、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日が期限です。当センターでは登記手続きを代行しており、贈与登記は99,000円〜で承っています。
このシミュレーターで計算した税額は正確ですか?
本ツールは暦年課税・配偶者控除・相続時精算課税に対応していますが、住宅取得等資金の非課税特例や教育資金の一括贈与の非課税措置など、一部の特例には対応していません。また、不動産の評価額によって結果が変わるため、入力する金額の正確性も重要です。
まとめ
- 贈与税は暦年課税が基本。年間基礎控除110万円を超えた部分に10%〜55%の累進税率がかかる
- 親から子・祖父母から孫への贈与は「特例税率」が適用され、一般税率より優遇される
- 配偶者控除(おしどり贈与)は婚姻20年以上の夫婦間で最大2,000万円の控除
- 相続時精算課税は最大2,500万円の特別控除枠(令和6年以降は年110万円の基礎控除も適用)
- 不動産の贈与では、贈与税のほかに登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬もかかる
贈与税の制度や非課税特例について詳しくは「贈与税」のページをご覧ください。贈与税がかからない方法については「贈与税がかからないで不動産を名義変更することはできる?」で解説しています。
参考リンク
生前贈与による不動産名義変更の手続きに不安のある方は、以下のリンクをクリックしてください。

