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養子縁組をしている家族の相続では、「養子は何人まで相続できるのか」「養子がいると相続税はどうなるのか」という疑問がよく生じます。実は、民法上は養子の人数に制限がなく、養子は全員が実子と同じ相続権を持ちます。一方で、相続税の計算では基礎控除などに算入できる養子の数に制限があります。この記事では、年間2,000件超のご相談実績がある司法書士法人が、養子と相続の人数のルール、相続税の基礎控除、孫養子の注意点、複数養子の相続登記の進め方まで、混同しやすいポイントを整理してわかりやすく解説します。
● 養子の人数:民法上は制限なし。養子が何人いても全員が法定相続人になります。
● 相続分:養子は実子(嫡出子)と同じ割合で相続します。
● 相続税の控除:基礎控除などの計算で算入できる養子は、実子がいれば1人・いなければ2人まで(相続税法第15条第2項)。
● 例外:特別養子・配偶者の連れ子を養子にした人・被相続人の子などに代わって代襲相続人となった直系卑属などは、相続税でも実子として扱われ人数制限の対象外です。
● 孫養子:代襲相続人でない孫養子が取得した財産には、相続税が2割加算されます。
● 相続登記:養子全員が相続人になるため、各養子の縁組日・離縁の有無・現在の戸籍を正確に確認する必要があります。
● 注意:節税だけを目的にした養子縁組は、税務上「相続人の数に算入しない」と否認されることがあります(試算は税理士へ)。
「養子は相続で何人まで認められるのか」という疑問の答えは、民法(誰が相続人になるか)と相続税法(相続税をどう計算するか)で結論が分かれます。この2つを混同すると判断を誤りやすいため、まずは違いを明確に区別して解説します。
つまり、「遺産を相続する権利」は養子全員にあり人数の上限はありませんが、「相続税を計算するときに数える養子の人数」には上限があります。よくある混乱は、この2つを同じ「養子の人数制限」として一緒に考えてしまうことから生じます。以下で、それぞれを順番に見ていきましょう。
まず、誰が相続人になるかを定める民法のルールです。民法には、養子の人数を制限する規定はありません。養子縁組をすれば、養子は縁組の日から養親の嫡出子(実子)としての身分を取得します(民法第809条)。したがって、養子は被相続人(亡くなった方)の第1順位の法定相続人となり、その相続分は実子とまったく同じです。
たとえば、養子を3人迎えていれば、その3人とも実子と同じ立場で相続人になります。「2人目以降の養子は相続できない」「養子は実子の半分しかもらえない」といったことはありません。
養子に子がいて、その養子が被相続人より先に亡くなっていた場合、養子の子が代襲相続人になることがあります。ただし、これは養子縁組をした「後」に生まれた子に限られます。縁組より前に生まれていた養子の連れ子は、養親との血族関係がないため代襲相続人にはなりません。複数の養子がいる相続では、この点も相続人の範囲に影響するため注意が必要です。
次に、相続税の計算における養子の人数のルールです。実務のご相談でも、最も誤解や混乱が多いのがこの税金上の人数制限です。
相続税には、遺産のうち一定額までは課税されない基礎控除があり、次の式で計算します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数(相続税法第15条第1項)
この「法定相続人の数」に養子を加えると基礎控除額が増えるため、過去に養子を大量に増やして相続税を不当に減らす例がありました。これを防ぐため、相続税法では計算に算入できる養子の数に上限が設けられています(相続税法第15条第2項)。
重要なのは、これはあくまで「相続税を計算するときの人数の数え方」であって、遺産を相続する権利そのものを制限するものではないという点です。たとえば実子1人・養子2人の家庭で、遺産分割では養子2人とも実子と同じ割合で相続できますが、相続税の基礎控除の計算上は「実子1人+養子1人=2人」として数えます。
相続税では、被相続人の死亡で支払われる生命保険金・死亡退職金にそれぞれ「500万円 × 法定相続人の数」までの非課税枠があります。養子の算入制限(実子あり1人・なし2人)は、基礎控除やこれらの非課税枠のほか、相続税の総額の計算にも同じように適用されます。
相続税の養子の人数制限には、例外があります。次に当てはまる養子は、相続税の計算でも「実子」として扱われ、人数制限の対象になりません(相続税法第15条第3項、国税庁タックスアンサーNo.4170)。つまり、何人いても全員を法定相続人の数に算入できます。
「再婚相手の連れ子を養子にした」というケースは実務でよくありますが、これは上記の例外に当たり、人数制限なく実子として扱われます。どの養子が相続税の計算で実子扱いになる(算入できる)かは税務判断を伴うため、具体的な算入可否は税理士にご確認ください。当センターでは、相続登記に必要な戸籍の確認と相続関係の整理を行います。
養子がいる場合に、誰がどれだけ相続するのか(法定相続分)と、相続税の計算上の人数を、組合せ別に見てみましょう。遺産分割上の人数と相続税の基礎控除上の人数が食い違う点に注目してください。
※下表の養子は、いずれも特別養子・配偶者の連れ子養子などの例外に当たらない普通養子である場合の例です。これらの例外に当たる養子は、相続税の計算上も実子として扱われ、人数制限なくすべて算入できます。
たとえば「配偶者+実子1+養子2」のケースでは、遺産分割では配偶者・実子・養子2人の合計4人で分けますが、相続税の基礎控除を計算するときの人数は「配偶者1+実子1+養子1=3人」です。養子は2人とも相続しますが、税の計算では1人分しか数えない、というわけです。
上記はあくまで人数の数え方の例です。実際の相続税は、財産評価・各種控除・特例などにより大きく変わります。具体的な税額の試算は税理士の業務範囲のため、正確な金額は税理士にご相談ください。当センターでは相続登記(不動産の名義変更)を承っています。
養子縁組を相続対策として検討する際に、とくに知っておきたい2つの注意点があります。
被相続人の孫を養子(いわゆる孫養子)にすると、法定相続人を1人増やせる一方で、その孫養子が取得した財産にかかる相続税は2割加算されます(相続税法第18条、国税庁タックスアンサーNo.4157)。これは、本来「親 → 子 → 孫」と2回かかるはずの相続税を、孫養子にすることで1回飛ばせてしまうことへの調整です。
ただし、子がすでに亡くなっていて孫が代襲相続人になっている場合は、その孫養子は2割加算の対象になりません。孫養子が有利か不利かは家族構成と財産額によって変わるため、判断は慎重に行う必要があります。
「相続税を減らすために養子縁組をする」こと自体は、最高裁判所の判例(最高裁平成29年1月31日判決)でも「専ら相続税の節税のためであっても、直ちに養子縁組が無効になるわけではない」とされています。縁組そのものは有効です。
しかし、税務上は別の規定があります。養子の数を法定相続人に加えることが相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、税務署長はその養子を法定相続人の数に算入しないことができます(相続税法第63条)。つまり、縁組は有効でも、相続税の計算では養子としてカウントされない(基礎控除が増えない)ことがあるのです。
2割加算の有無、養子縁組による節税効果が認められるかどうかは、個別の事情に基づく税務判断です。これらは税理士の業務範囲のため、相続税対策としての養子縁組を検討する場合は税理士にご相談ください。当センターは、養子縁組を含む相続の登記手続きをサポートします。
養子がいる相続で不動産の名義変更(相続登記)を行う場合、養子全員が相続人になるため、相続関係を正確に確定することが欠かせません。なお、養子も実子と同じ法定相続人であり、相続による所有権移転登記の登録免許税の税率(不動産の固定資産税評価額の0.4%)も実子の場合と変わりません。ここからは、当センターが対応する登記手続きの実務的な注意点です。
相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人を漏れなく特定します。養子がいる場合は、とくに次の点を戸籍で確認します。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があり、相続関係が異なります。
普通養子の場合、養子は養親が亡くなったときも実親が亡くなったときも相続人になります。戸籍上の続柄は、普通養子は「養子・養女」、特別養子は実子と同じ「長男・長女」などと記載されるため、戸籍を読み解く際の手がかりになります。
令和6年4月から相続登記が義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。養子が複数いる相続は相続人の確定や遺産分割協議に時間がかかることもありますが、期限内の遺産分割が難しい場合は、まず相続人申告登記を行って義務を果たす方法もあります。放置せず、早めに戸籍の確認から始めることが大切です。
養子がいる相続では、戸籍が複数の市区町村にまたがり、収集や読み解きに手間がかかることが少なくありません。当センターでは、相続登記に伴う戸籍収集から名義変更の申請まで一括してサポートしています。「自分で集めるのは難しそう」と感じたら、お気軽にご相談ください。
Q. 養子は相続で何人まで認められますか?
Q. 実子1人・養子2人の場合、相続人は何人ですか?
Q. 養子の人数制限に例外はありますか?
Q. 孫を養子にすると相続税はどうなりますか?
Q. 複数の養子がいる相続登記で気をつけることは?
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