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司法書士法人
不動産名義変更手続センター
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相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで被相続人の財産・債務を一切引き継がない手続きです。プラス財産よりマイナス財産が多いとき、被相続人と関わりたくないとき、管理困難な不動産を抱えたくないとき——あなたの状況に合った判断をするには、期限(3か月)・費用・手続きの流れを正しく理解することが不可欠です。
本記事では、司法書士として年間2,000件の相続相談を受ける立場から、相続放棄の全体像と実務上の注意点を徹底解説します。相続登記の義務化(2024年4月施行)や民法940条の管理義務など、他サイトでは触れられていない「放棄した後」の実務まで踏み込んで網羅しました。
まずは相続放棄の要点を6つに整理しました。詳細は各セクションで解説します。
相続が発生したときに相続人が取れる選択肢は3つあります。単純承認・限定承認・相続放棄です。それぞれの違いを下表で確認してください。
| 特徴 | 単純承認 | 限定承認 | 相続放棄 |
|---|---|---|---|
| 承継する財産 | 全プラス・マイナス財産を無制限に引き継ぐ | プラス財産の範囲内でのみマイナス財産を引き継ぐ | プラス・マイナス財産を一切引き継がない |
| 手続き期限 | 特になし(3か月経過で自動承認) | 知った時から3か月以内に家裁申述 | 知った時から3か月以内に家裁申述 |
| 手続き方法 | 不要 | 相続人全員で共同申述 | 各相続人が単独で申述可能 |
| 費用(自分で) | 0円 | 数万円〜(相続人全員分) | 3,000〜5,000円/人 |
| 向いている人 | 明らかにプラス財産が多い場合 | 借金額が不明で財産が残る可能性あり | 明らかにマイナスが多い・関わりたくない |
よくある誤解として、遺産分割協議書で「私は何もいりません」と書けば相続放棄になる、というものがあります。これは全く違います。
限定承認は相続人全員の共同申述が必要で、手続きも複雑です。令和2年度の司法統計でも年間約800件と、相続放棄(年間約25万件)と比べて圧倒的に少数です。実務ではあまり使われない選択肢と理解して良いでしょう。
相続放棄で最も重要なのが「3か月の熟慮期間」です。この期間を正しく理解していないと、受理されない・単純承認扱いになるなど大きな不利益が生じます。
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
起算点は単純に「被相続人の死亡日」ではありません。「自己のために相続の開始があったことを知った時」、つまり「自分が相続人になったと認識した時」が起点です。
財産調査に時間がかかる場合、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間伸長の申立て」を行えます。
3か月経過後は原則として単純承認とみなされますが、例外的に認められた判例があります。
相続人が相続財産の全く存在しないと信じ、かつ、相当な理由がある場合、熟慮期間は「相続人が相続財産の存在を認識した時又は通常認識し得べき時」から起算する。
具体例として、死亡から数年後に被相続人の借金について債権者から請求が来たケースで、過去に認められた事例があります。ただし認められるハードルは高く、「気づかなかった」というだけでは不十分です。期限を過ぎてしまった場合でも、まずは専門家にご相談ください。
民法921条は、以下の行為があると自動的に単純承認したとみなされ、もはや相続放棄できなくなると定めています。
① 相続財産の処分: 預金の引き出し、不動産の売却・名義変更、株式売却など
② 熟慮期間の経過: 3か月以内に承認・限定承認・放棄の意思表示をしないこと
③ 隠匿・消費・背信的処分: 相続財産を隠す、個人的に消費する、他の相続人を害する処分
「これはしていいのか?」と迷う行為の多くは、社会通念上相当かどうかで判断されます。
| 行為 | 単純承認に当たるか | ポイント |
|---|---|---|
| 葬儀費用の支払い | 原則OK | 社会通念の範囲内(祭壇・火葬・通夜・告別式等) |
| 墓石・仏壇の購入 | 原則OK | 過大でなければ認められる判例あり |
| 公共料金の支払い | △ | 相続財産から支払うと微妙。自己資金からが無難 |
| 形見分け | 経済価値が低ければOK | 故人の衣類・写真等は可。高価な骨董品は不可 |
| 遺品整理(廃棄) | 価値あるものはNG | 価値判断は専門家に相談推奨 |
| 預金の引き出し | 基本NG | 葬儀費用の清算目的でも避けるのが無難 |
| 家賃・車のローン支払い | 相続財産から払うとNG | 自己資金からの立替なら影響なし |
| 生命保険金の受取 | 原則OK | 受取人固有の権利で相続財産ではない |
| 死亡退職金の受取 | 会社規定で受取人指定があれば可 | 受取人が相続人固有なら問題なし |
相続放棄を検討している段階では、相続財産には一切手を付けないのが安全策です。遺品整理も含めて、まずは現状維持のまま専門家にご相談ください。
相続放棄の手続きは、大きく5つのステップに分かれます。開始から受理まで通常1〜2か月かかる前提で動きましょう。
共通書類として、被相続人の住民票除票または戸籍附票と申述人の現在戸籍を取得します。配偶者・子の申述であれば、通常は被相続人の死亡記載のある戸籍が中心で済みます。父母・兄弟姉妹など後順位者の申述では、先順位者がいないことを示すため、被相続人の出生〜死亡の連続戸籍や、先順位の直系卑属・尊属の死亡記載戸籍まで必要になります。転籍の多いケースは収集に1か月以上かかることもあるため、早めに着手してください。
家庭裁判所所定の書式(裁判所HPからDL可)に必要事項を記入します。放棄の理由欄には事情を簡潔に記載します。
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。収入印紙800円と郵便切手(金額は管轄により異なる)を添付します。
家裁から「照会書」が郵送されます。「放棄の意思は真意か」「相続財産に手を付けていないか」などの確認事項に回答し返送します。
「相続放棄申述受理通知書」が届けば正式に成立。債権者への提示用に「受理証明書」(1通150円)も取得できます。
| 申述人 | 追加で必要となる主な書類 |
|---|---|
| 配偶者・子(第1順位) | 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本 |
| 孫(代襲相続人) | 上記 + 親(先死亡の子)の死亡の記載のある戸籍謄本 |
| 父母・祖父母(第2順位) | 被相続人の出生時から死亡時までの全戸籍 + 子の死亡記載戸籍 |
| 兄弟姉妹(第3順位) | 被相続人の出生〜死亡の全戸籍 + 父母の死亡記載戸籍 |
| 甥・姪(代襲相続) | 上記 + 兄弟姉妹(甥・姪の親)の死亡記載戸籍謄本 |
司法書士は司法書士法第3条1項4号に基づき、相続放棄申述書など家庭裁判所に提出する書類の作成業務を行えます。戸籍の職務上請求も可能です。作成した書類を管轄家裁に送付する業務(提出代行)も実務では標準的に対応しており、お客様自身が窓口に出向いたり投函したりする必要はありません。
ただし、申述自体はお客様本人名義で行います(司法書士は家裁での申述人代理人にはなれません)。家事審判・訴訟の代理、債権者との紛争性のある交渉が必要な場合は弁護士の業務範囲です。
相続放棄の費用は「自分でやるか・司法書士に依頼するか・弁護士に依頼するか」で大きく変わります。
| 依頼先 | 費用相場(1人分) | 業務範囲 |
|---|---|---|
| 自分で手続き | 3,000〜5,000円 | 戸籍取寄せ・書類作成・提出を全て本人実施 |
| 司法書士 | 3〜5万円(1人目) | 書類作成・戸籍収集・家裁送付代行(申述は本人名義) |
| 弁護士 | 5〜15万円 | 書類作成 + 代理権(交渉・訴訟も対応可) |
同一世帯や同順位の複数名が同時に申述する場合、2人目以降は戸籍等の書類を共通利用できるため、報酬を減額できるケースが多いです。「家族全員で放棄したい」といったご相談では、個別に見積もるよりも総額を抑えられることがほとんどです。まず詳細な内訳をお出ししますのでご相談ください。
「相続放棄は司法書士か弁護士か、どちらが良いのか」は多くの方が悩むポイントです。両者の業務範囲と費用を正直に比較します。
| 業務 | 司法書士 | 弁護士 |
|---|---|---|
| 申述書の作成 | 可(司法書士法3条1項4号) | 可 |
| 戸籍の収集代行 | 可(職務上請求) | 可 |
| 家裁への書類送付 | 送付代行可(申述は本人名義) | 代理提出可 |
| 債権者からの督促対応・交渉 | 不可 | 可 |
| 訴訟・家事審判の代理 | 不可 | 可 |
| 費用相場 | 3〜5万円 | 5〜15万円 |
| ケース | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| シンプルな放棄(期限内・財産明確) | 司法書士 | 費用が安く手続きに十分 |
| 期限超過ギリギリ(上申書要) | 司法書士 or 弁護士 | どちらでも可。経験豊富な専門家を選ぶ |
| 債権者から督促が来ている | 弁護士 | 交渉代理が必要 |
| 相続財産清算人選任も必要 | 弁護士 | 申立から選任まで代理可能 |
| 相続登記・売却まで一貫希望 | 司法書士 | 登記実務が強み。放棄後の抹消・更正まで対応 |
当事務所は司法書士法人として、書類作成代行からその後の相続登記・不動産売却相談まで一貫してサポートします。債権者交渉や訴訟代理が絡む場合は、提携弁護士をご紹介しております。お客様のご状況をお聞きした上で、最適な専門家への連携をお約束します。
相続放棄は「借金から逃れられる」点にフォーカスされがちですが、見落としがちなデメリットが6つあります。
改正民法940条1項(2023年4月施行)は次のように定めています。
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
受理通知書が届いたあとも、やるべき実務が残っています。
相続放棄をすると、放棄者は初めから相続人でなかったものとみなされ、その結果として次順位の相続人に相続権が移ります。後順位者が思わぬ形で相続人になる事態を避けるため、順位と通知マナーを押さえましょう。
配偶者は常に相続人で、第1〜3順位と並立します。配偶者単独で放棄することも可能です。
相続放棄の熟慮期間(3か月)中に、放棄を検討していた相続人ご自身が亡くなった場合、その方の相続人が「放棄するかどうか」を引き継ぐことになります(再転相続)。単純な順位移動とはルールが異なり、法的判断が複雑になるため、自己判断で期限を徒過させないようご注意ください。該当しそうなケースはすぐに専門家にご相談ください。
当事務所では、相続放棄の書類作成代行から、その後の相続登記・不動産売却相談まで一貫してサポートします。年間2,000件の相続相談実績を活かし、お客様ごとのご事情に合わせて最適な選択肢をご提案します。初回相談は無料ですので、判断に迷われた段階でお気軽にお問い合わせください。
最終更新日: 2026年4月24日 / 監修: 司法書士 板垣 隼
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