不動産名義変更手続センターでは、相続や贈与時の土地・家・マンションなどの不動産名義変更手続きについて、お客さまを完全サポートいたします!
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共有名義の片方死亡時の相続登記(要点まとめ)
● 持分全部移転で登記:亡くなった方の持分のみを相続人へ移転。「所有権移転」と書くと補正対象
● 登記の目的の書き方:「(被相続人氏名)持分全部移転」と記載(所有権移転ではない・最頻出ミス)
● 必要書類は3パターン:法定相続どおり/遺産分割協議/遺言書あり。戸籍・住民票・評価証明書・印鑑証明書が共通
● 登録免許税は0.4%:計算式「不動産評価額×持分割合×0.4%」(例:1,000万×1/2持分=2万円)
● 2024年4月から義務化:正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料(不動産登記法第76条の2・第164条第1項)
● 3人以上の共有も対応可:亡くなった方の持分のみが対象。他の共有者の持分には影響なし
● 司法書士報酬の目安:66,000円〜(共有持分1物件・通常の相続登記と同水準。当センター全国対応)
夫婦・親子・兄弟など共有名義の不動産で、共有者の片方(一方)が亡くなった場合は、亡くなった方が持っていた持分だけを相続人へ引き継ぐ「相続登記(持分全部移転)」が必要です。登記の目的は「○○(被相続人氏名)持分全部移転」と書きます(「所有権移転」と書くと補正になります)。登録免許税は「不動産評価額×持分割合×0.4%」で計算し、例えば評価額1,000万円・持分2分の1なら2万円です。2024年4月から相続登記は義務化され、共有持分も対象です。正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になることがあります。本ページでは、必要書類一覧、登録免許税の計算例3パターン、申請書の記載例(法定相続版・遺産分割協議版)、進め方7ステップ、よくある質問10問まで、年間2,000件超の相続登記・名義変更のご相談実績がある司法書士法人がまとめて解説します。全国対応・郵送とオンラインで完結します。
不動産が複数の方の名義(共有名義)になっている場合、共有者の一方が亡くなったときに行う名義変更が、「共有持分の相続登記」です。亡くなった方の持分(所有権の一部)だけを、その方の相続人へ引き継ぐ手続きで、正式には「持分全部移転(登記の目的)」として申請します。生存している共有者の持分には影響を与えず、亡くなった方の持分のみが移転対象になります。
例えば、夫が2分の1、妻が2分の1の共有名義の自宅で、夫が亡くなった場合、妻の2分の1の持分はそのまま動かさず、夫の2分の1の持分だけを相続人へ移転する形になります。相続人が妻1人なら、最終的に妻が単独名義(妻自身の元の2分の1+夫から相続した2分の1=1分の1)になります。子どもがいる場合は、法定相続分どおりなら、夫の2分の1のうち、妻が4分の1(全体の4分の1)・子全員で4分の1(全体の4分の1)を取得します。子が2人なら各8分の1ずつ、3人なら各12分の1ずつ、と人数で按分する形になります。
共有名義の不動産で片方が亡くなったときに、申請書の「登記の目的」欄に書くのは、「○○(被相続人の氏名)持分全部移転」です。「所有権移転」ではありません。両者は似ているようで、登記実務では明確に区別されています。
共有名義の片方死亡時の相続登記では、亡くなった方が持っていた持分の全部を相続人へ移すので、「○○持分全部移転」が正解です。誤って「所有権移転」と書いて申請すると、法務局から補正になります。登記のやり直し(取下げ・再申請)は、戸籍の再取得や登録免許税の還付手続きなど想像以上の時間とコストを奪うため、実務に精通した司法書士を介すと最短ルートで登記を完了できます。
そもそも、なぜ不動産が共有名義になっているのかを整理すると、相続登記の進め方の見通しが立てやすくなります。共有名義になる典型パターンは次の4つです。
どのパターンであっても、共有者の一方が亡くなったときに必要な手続きは同じ「持分全部移転」の相続登記です。ただし、共有者が3人以上いるケース(後述)や、過去の相続で数次相続が発生しているケース(後述)では、添付書類や申請書の書き方がやや複雑になります。
当センターでよくいただくご相談を整理すると、共有名義の片方死亡時の相続登記は、ほぼ次の3つのパターンに集約されます。それぞれの注意点を見ていきましょう。
東京都内のマンションを、夫2分の1・妻2分の1の共有名義で購入。夫が亡くなり、相続人は妻と子2人(合計3人)。
亡くなった夫の2分の1の持分を相続人へ移転する持分全部移転登記を行います。妻の2分の1の持分はそのまま動きません。法定相続分どおりなら、夫の2分の1のうち、妻が2分の1(全体の4分の1)、子全員で2分の1(全体の4分の1)を取得します。子が2人なら各8分の1ずつになります。遺産分割協議で妻が単独取得すれば、妻が結果的に単独名義(=元の1/2+相続した1/2=1分の1)になります。
住宅ローンが残っている場合、団体信用生命保険(団信)が適用されてローン残債が消滅していることが多いため、抵当権抹消登記も同時に行うのが一般的です。団信の手続きは加入していた金融機関で進めてください。
地方の二世帯住宅を、父3分の2・長男3分の1の共有名義で建築。父が亡くなり、相続人は長男・次男・長女の3人。
亡くなった父の3分の2の持分を、相続人3人へ移転します。長男はもともと自分が3分の1を持っていたところに、父の持分の一部を相続することで、より大きな割合の共有者になります。法定相続分どおりなら、3分の2を3等分(各9分の2)で長男・次男・長女が取得します。遺産分割協議で長男が父持分のすべてを単独取得すれば、長男は1分の1(単独名義)になります。
二世帯住宅は子が住み続けるケースが多いため、他の相続人(次男・長女など)との遺産分割で、不動産以外の財産(預貯金・有価証券など)の配分を含めた話し合いが大切です。共有のまま放置すると、後述する「共有名義のトラブル」に発展しやすいので、遺産分割で単独名義に集約することをおすすめします。
実家の土地建物を、過去の相続で兄・弟・妹の3人で各3分の1の共有名義に登記。長兄が亡くなり、相続人は長兄の妻と子(2人)。
補足:もし長兄に子・孫も直系尊属(父母・祖父母)もいなければ、相続人は妻と兄弟姉妹(=共有者である弟・妹自身)になります。この場合、戸籍は長兄の兄弟姉妹を確定するために両親の出生まで遡って集める必要があり、書類が一気に増えます。
亡くなった長兄の3分の1の持分を、長兄の相続人(妻と子)へ移転します。弟・妹の各3分の1の持分はそのまま動かしません。長兄の家族が新たな共有者として加わるため、相続登記後の共有者は「弟3分の1・妹3分の1・長兄の妻6分の1・長兄の子1人あたり12分の1(子2人いる場合)」のような構成になります。
兄弟共有名義は世代を経るごとに共有者が爆発的に増えやすいパターンです(数次相続)。長兄の家族が新たに加わると、不動産全体の売却や建替えなどには共有者全員の同意が必要になり、合意形成が困難になります。早めに遺産分割協議や持分譲渡で共有関係を整理することを強くおすすめします。
共有名義の片方死亡時の相続登記に必要な書類は、通常の相続登記とほぼ同じです。違うのは、申請書の登記の目的が「持分全部移転」になる点と、申請書に「亡くなった方の持分」と「移転後の各取得者の持分」を明記する点だけです。書類の中身そのものは変わりません。
必要書類は、相続登記の3パターン(法定相続/遺産分割協議/遺言)で異なります。法定相続・遺産分割・遺言の3パターンに分けて確認します。
相続人全員が法定相続分どおりの持分で取得する場合、遺産分割協議書は不要です。最もシンプルな申請パターンです。
相続人の話し合いで、亡くなった方の持分を特定の相続人が単独取得する場合は、上記の書類に加えて遺産分割協議書と印鑑証明書が必要になります。
協議書の書き方の詳細は、遺産分割協議書の書き方のページもご参照ください。
亡くなった方が遺言書を残しており、共有持分の取得者が指定されている場合は、出生から死亡までの戸籍一式や相続人全員の印鑑証明書が不要になることが多く、書類の範囲は遺産分割協議より絞られます。ただし、被相続人の死亡を確認する戸籍、登記簿上の名義人と被相続人の同一性を確認する住民票除票・戸籍附票、不動産を取得する相続人の戸籍・住民票は必要です。
必要書類の全体像は、相続登記の必要書類完全ガイドでさらに詳しく解説しています。
共有名義の片方死亡時の相続登記にかかる費用は、「登録免許税」と「司法書士報酬(依頼する場合)」の2つに大別されます。それぞれの相場と計算方法を見ていきましょう。
共有持分の相続登記にかかる登録免許税は、次の計算式で求めます。
ポイントは「亡くなった方の持分割合」で按分する点です。不動産全体の評価額に0.4%をかけるのではなく、移転対象になる持分の評価額に0.4%をかけます。これは登録免許税法別表第1の規定(相続による所有権移転は0.4%=4/1000)に基づくもので、共有持分の移転でも同じ税率が適用されます。
登録免許税の計算には、最新年度の固定資産評価額を確認できる資料を使います。毎年4月以降に市区町村役場(東京23区は都税事務所)で交付される「固定資産評価証明書」を取得するのが確実ですが、管轄法務局によっては固定資産税の納税通知書に同封されている「課税明細書」や「価格通知書」で足りる場合もあります。私道など非課税地がある場合は課税明細書に載らないことがあるため、評価証明書や近傍宅地評価額の確認が必要です。
具体的な数字でイメージしやすいよう、3パターンの計算例を示します。
共有持分の登録免許税は、単独名義の相続登記と比べて、亡くなった方の持分割合の分だけ安くなるのが特徴です。例えばケースAでは、もし夫が単独名義で評価額1,000万円だった場合は4万円ですが、共有名義(夫1/2)なので半額の2万円で済みます。
司法書士に依頼する場合の報酬は、共有持分の相続登記も通常の相続登記と同水準です。当センターの料金プランは次のとおりです。
共有持分1物件の相続登記であれば、多くの方はライトプランまたはおまかせパックでカバーできます。実費(登録免許税・戸籍取得費用・郵送費等)は別途実費精算となります。
料金の詳細は相続登記の費用相場ページもあわせてご確認ください。
共有名義の片方死亡時の相続登記の申請書は、通常の相続登記とほぼ同じ様式ですが、「登記の目的」と「相続人の持分の書き方」に独自の注意点があります。本セクションでは、法定相続版・遺産分割協議版の2パターンのサンプルを示します。
すでにH2-1で触れたとおり、共有名義の片方死亡時の登記の目的は「○○(被相続人氏名)持分全部移転」です。間違えやすいのが「所有権移転」と書いてしまうケースです。以下に正しい記載例と誤った記載例を並べます。
共有名義のうち亡くなった方の名前を入れて「○○持分全部移転」と書くのが正解です。「所有権移転」と書くと、生存している共有者の持分まで移転対象に含まれるかのような誤解を法務局に与えるため、補正になります。
夫婦共有マンション(夫1/2・妻1/2)で夫が亡くなり、妻と子2人が法定相続分どおりに取得する場合のサンプルです。
ポイントは「相続人」欄に各取得者の持分を明記することです。法定相続分どおりなので、亡くなった夫の1/2を、配偶者2分の1(=1/2×1/2=1/4)・子2人で4分の1(各1/8)に按分しています。
同じ事例で、遺産分割協議で「妻が単独取得する」と決まった場合のサンプルです。
遺産分割協議版では、相続人欄に取得者1人だけ(持分2分の1 妻)を記載し、添付書類に遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を追加します。妻はもともと持っていた2分の1と相続した2分の1を合わせて、最終的に単独名義(1分の1)になります。
共有名義の片方死亡時の相続登記で、当センターがよくお見かけする記載ミスを3つご紹介します。
これらのミスは、法務局から補正指示が入り、登記完了まで余計に時間がかかります。司法書士に依頼すれば、こうしたミスは事前に防止できます。
共有名義の片方死亡時の相続登記は、次の7つのステップで進めます。標準的な所要期間は、相続発生から登記完了まで2〜3か月程度です。戸籍収集や遺産分割協議が長引く場合は、半年以上かかることもあります。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍含む)を本籍地の役場で取り寄せ、相続人が誰かを確定します。配偶者は常に相続人、その他は子→直系尊属→兄弟姉妹の順で順位が決まります。2024年3月以降は広域交付制度で最寄りの市区町村役場で取得できますが、対象は本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、兄弟姉妹・甥姪などの傍系は対象外です。司法書士に依頼すれば、職務上請求で広域交付の対象外の戸籍も代行取得できます。
対象不動産を管轄する市区町村役場(東京23区は都税事務所)で固定資産評価証明書を取得します。登録免許税の計算と、遺産分割の議論で必要になります。共有持分の評価額は「不動産全体の評価額 × 持分割合」で按分します。
法定相続分どおりではなく、特定の相続人が単独で取得する場合は、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。共有持分を取得する場合は「亡山田太郎の有する持分2分の1」のように、登記簿謄本(全部事項証明書)の記載と一言一句違わぬ正確な持分割合を記載してください(例:「100分の33.3」のような複雑な分数も正確に転記する必要があります)。相続人全員が署名・実印を押印します。また、見落としがちなのが「私道」「ゴミ置場」「車庫」などの共有持分です。固定資産税の納税通知書には載っていても、登記上の地番が異なるため漏れやすく、後から私道だけ再協議が必要になる事故が多発しています。遺産分割協議書の書き方はこちらの解説もご参照ください。
戸籍一式・住民票・遺産分割協議書・印鑑証明書・評価証明書をそろえ、登記申請書を作成します。登記の目的は「○○持分全部移転」、課税価格は持分按分後の金額、登録免許税は0.4%で計算します。
不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。申請方法は窓口持参・郵送・オンライン申請の3つから選べます。司法書士に依頼する場合は、オンライン申請で全国どこの法務局へも申請可能です。登録免許税は収入印紙または電子納付で納めます。
申請から1〜3週間程度(管轄法務局や時期により変動)で登記が完了し、新たに名義人となる申請人(共有持分を取得した相続人)に「登記識別情報通知」が交付されます。これはかつての「権利証」に代わる最重要のパスワードで、将来この不動産を売却・贈与する際に必要になります。再発行は一切できないため、安易に開封せず、法務局から納品された封筒のまま金庫等で厳重に管理してください。なお、相続人の1人が「保存行為」として法定相続分どおりの登記を申請した場合、申請人にならなかった他の相続人には登記識別情報が通知されません。将来の売却を考えるなら、取得者全員を申請人として登記するのが実務上安全です。
登記完了後、翌年度から固定資産税の納税通知書が新名義人宛に届くようになります。共有名義のままなら、共有者全員に連帯納付義務があります(後述)。市区町村によっては、納税義務者の代表者を指定する手続きが別途必要な場合があります。
司法書士に依頼すれば、ステップ1〜5までを代行できます(戸籍収集・遺産分割協議書作成・申請書作成・法務局申請)。ご依頼者様にお願いするのは、印鑑証明書のご準備と、必要に応じて遺産分割協議書への署名・押印のみです。
共有名義の片方死亡時の相続登記は、共有者が3人以上いる場合や、過去に共有者の相続が発生したまま放置されている数次相続のケースで、やや複雑になります。マンション・私道など特殊な不動産の注意点もあわせて見ていきましょう。
共有者が3人以上いる場合でも、相続登記の対象は亡くなった方の持分のみです。生存している他の共有者の持分には一切影響しません。
例えば、兄・弟・妹の3人で各3分の1の共有名義の実家で、長兄が亡くなった場合、長兄の3分の1の持分だけを長兄の相続人(妻・子など)へ移転します。弟・妹の各3分の1はそのまま残ります。申請書の登記の目的は「長兄持分全部移転」と書きます。
共有者が10人を超えるような特殊なケース(先祖代々の山林・私道・農地など)でも、考え方は同じです。ただし、生存している共有者の確認や、亡くなった共有者の相続人の調査に時間がかかるため、司法書士に早めに相談することをおすすめします。
数次相続とは、亡くなった方の相続手続きが完了する前に、その相続人もさらに亡くなってしまっているケースです。共有名義の不動産で、数十年前に祖父が亡くなり、今度は子(父)も亡くなった、というように複数の相続が連続発生しているパターンです。
数次相続では、各相続を順番に登記する「順次相続登記」が原則ですが、一定の要件を満たせば「中間省略登記」として、最終取得者に直接登記することも認められます。中間省略登記が認められる典型例は、中間の相続人が1人(単独相続)の場合や、中間の遺産分割で1人が取得した場合です。
数次相続は、戸籍収集の範囲が広がる(亡くなった全員の出生から死亡までの戸籍が必要)ことや、相続関係説明図の作成が複雑になることから、司法書士に依頼する方が安全です。詳しくは数次相続の解説ページもあわせてご覧ください。
分譲マンションの共有名義では、「専有部分」と「敷地権」の両方が同時に移転対象になります。マンションの登記簿には「専有部分の建物」と「敷地権(土地の持分)」が一体として記録されており、専有部分の持分を移転すれば、敷地権の持分も自動的に同じ割合で移転します。
申請書では、不動産の表示欄に専有部分(家屋番号・床面積など)と敷地権(土地の所在・地番・地目・地積・敷地権割合)を両方記載します。登録免許税の計算は、専有部分と敷地権の評価額を合算し、それに持分割合と0.4%を掛けます。
マンションの共有名義は、夫婦共有のパターンが特に多く、固定資産評価証明書も「家屋」と「土地」の両方をセットで取得する必要があります。
戸建て住宅では、自宅の敷地のほかに「私道の共有持分」を持っているケースが少なくありません。私道は登記簿上、敷地とは別の地番で登記されており、複数の住宅所有者で共有しているのが一般的です。
共有名義の片方死亡時の相続登記では、敷地と私道持分の両方について申請する必要があります。私道持分の登記を忘れると、将来不動産を売却するときに権利関係の整理が必要になり、買主に敬遠されるおそれがあります。
司法書士に依頼するときは、固定資産税の納税通知書に記載されている全ての地番(私道持分含む)を共有してください。当センターでは、不動産の全件調査もあわせて代行できます。
共有名義は、所有者全員の意思が一致しないと不動産を自由に処分できないため、長期化するとトラブルの温床になりやすい所有形態です。本セクションでは、共有名義の相続でよくある4つのトラブルと対応策を解説します。
共有名義の不動産全体を売却・贈与するには、共有者全員の同意(処分行為)が必要です。共有者が10人いれば、10人全員の同意・実印・印鑑証明書をそろえる必要があり、1人でも反対すれば不動産全体としては売却できません。一方、各共有者が「自分の持分だけ」を売却・贈与することは他の共有者の同意なく可能ですが、買い手が限られたり、贈与税・譲渡所得税の問題が生じたりするため、実務上は共有者間で整理してから進めるのが安全です。
建物の建替えのように形状・効用を著しく変える行為は、共有者全員の同意が必要です(民法第251条第1項)。一方、屋根・外壁の補修など「形状・効用の著しい変更を伴わない」軽微変更は、2023年4月施行の改正民法のもとでは共有物の「管理」として持分価格の過半数で決定できます(民法第252条第1項)。賃貸借契約の更新も同様に過半数で可能です。共有持分の保存行為(緊急修繕・不法占拠者の退去請求など)は、各共有者が単独でできます(同条第5項)。修繕がどちらに当たるかは工事内容によって判断が分かれるため、判断に迷う場合は専門家にご確認ください。
共有名義の相続が発生すると、共有者の数が増えがちです(特に兄弟共有・数次相続)。将来の処分の自由度を確保するため、相続登記後はなるべく早く持分譲渡や共有物分割で共有関係を整理することをおすすめします。
「亡くなった共有者の相続人が全員相続放棄すれば、その持分は自動的に生存している他の共有者に移るのでは?」と誤解されるケースがありますが、これは正しくありません。
相続人全員が相続放棄した場合、亡くなった方の持分は直ちに他の共有者に移るわけではありません。まず「相続人不存在」として、家庭裁判所への申立てにより相続財産清算人を選任し、債権者・受遺者への弁済、特別縁故者への財産分与の有無を経た後、なお承継者がいない共有持分が残った場合に、民法第255条により他の共有者へ帰属します。
この手続きには 数十万円の予納金と 1年近い期間を要することが珍しくありません。「自動的に名義が手に入る」と期待して放置すると、固定資産税の連帯納付義務など管理責任だけが残り、出口のない不動産を抱えることになります。共有持分の相続放棄を検討する際は、必ず事前に司法書士・弁護士にご相談ください。相続放棄の詳細は相続放棄ハブページもご参照ください。
共有名義の不動産の固定資産税は、地方税法第10条の2により共有者全員の連帯納付義務となります。市区町村は共有者の誰か1人に対して全額を請求でき、請求された者は他の共有者へ自分の持分割合に応じた負担を求償する権利があります。
実務上は、市区町村が共有者のうち代表者1名を指定し、その代表者宛に納税通知書を送付するのが一般的です。代表者を変更したい場合は、市区町村役場の固定資産税担当課で「共有者代表者変更届」を提出します。
共有者間で固定資産税の負担割合を巡るトラブルが発生しやすいので、相続登記をきっかけに代表者と負担方法(誰が立て替えて、他の共有者からどう精算するか)をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
共有名義のままにしておくと、将来世代をまたぐにつれて共有者がさらに増え、不動産の処分・活用が困難になります。共有名義を解消する方法は、主に次の4つです。
共有名義の解消方法の選択は、税務(譲渡所得税・贈与税)と登記実務の両面から検討する必要があります。当センターは登記面のご相談を承りますが、譲渡所得税・贈与税の試算は税理士業務範囲のため、税理士にご相談ください。
2024年4月1日から、相続による不動産の名義変更が法律上の義務になりました。共有名義の片方死亡時も、もちろん義務化の対象です。本セクションでは、共有持分に関する義務化の要点を解説します。
不動産登記法第76条の2第1項により、相続および所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記をする義務があります。正当な理由なく申請を怠り、法務局からの催告にも応じない場合には、同法第164条第1項により10万円以下の過料に処される可能性があります。共有持分の相続でも同じく義務化の対象です。
「正当な理由」として法務省通達が認めているのは、①相続人が極めて多数で戸籍収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合、②遺言の有効性や遺産の範囲が争われ帰属が明らかにならない場合、③申請義務者に重病等の事情がある場合、④DVを受けて避難を余儀なくされている場合、⑤経済的に困窮して申請費用を用意できない場合の5類型(+個別判断)です。「遺産分割の話し合いを続けている」というだけでは『正当な理由』にはあたりません。協議が長引く場面で過料を回避したいときは、後述の「相続人申告登記」で義務を履行しておくのが安全です。
期限の起算点は「相続および所有権の取得を知った日」です。相続発生日(被相続人が亡くなった日)ではない点に注意してください。
亡くなった共有者の持分について相続登記義務を負うのは、その持分を相続により取得した相続人です。生存共有者が同時に相続人でもある場合(例:夫婦共有で夫が死亡し妻も相続人になる場合)は義務の対象になりますが、相続人でない単なる他の共有者は、原則として相続登記義務者ではありません。「自分の持分は変わらないから」と放置すると、亡くなった共有者の相続人としての義務違反となり、10万円以下の過料の対象になり得るのでご注意ください。
遺産分割協議がまとまらない、相続人が多すぎて連絡がつかないなど、期限内の相続登記が難しい場合は、「相続人申告登記」(不動産登記法第76条の3)で過料を回避できます。
相続人申告登記は、「自分が亡くなった方の相続人である」と法務局に申告する手続きで、申告した相続人については登記義務を履行したものとして扱われます。共有持分の相続でも、相続人申告登記は利用可能です。
ただし、相続人申告登記はあくまで「過料を回避するための応急処置」に過ぎず、所有権が正式に相続人へ移る登記ではありません。不動産を売却したり、リフォームローンを組むために抵当権を設定したりするには、結局は遺産分割協議を行い、通常の相続登記(持分全部移転)を完了させる必要があります。二度手間になるケースも多いため、将来の活用方針が決まっているなら、最初から通常の相続登記を進めることをおすすめします。
共有名義を解消して単独名義にまとめたい方へ:共有名義を解消し単独名義に変更する方法(贈与・財産分与・売買・相続・持分放棄)・費用・必要書類を専門ページで詳しく解説しています。
当センターは、年間2,000件超の相続登記・名義変更のご相談実績がある司法書士法人です。共有名義の片方死亡時の相続登記、3人以上の共有持分相続、数次相続、マンション・私道共有持分まで、全国対応で承っています。
当センターは、共有名義の片方死亡時の相続登記を多数承っています。夫婦共有マンション・親子共有戸建・兄弟共有実家・私道共有持分・マンションの敷地権共有・先祖代々の山林共有まで、共有形態の幅広い案件に対応しています。
「登記の目的の書き方がわからない」「持分の計算が複雑」「数次相続で戸籍が大量にある」など、共有名義の相続登記でお悩みの方は、まず無料相談でご事情をお聞かせください。
共有持分1物件の相続登記であれば、多くの方はライトプラン66,000円〜またはおまかせパック99,000円〜でカバーできます。
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