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抵当権設定登記の費用|離婚・借り換え時の手続き


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

住宅ローンを組んで家を購入したとき、金融機関は借入金を確実に回収するため、その不動産に「抵当権」を設定します。この抵当権を法務局の登記簿に記録する手続きが抵当権設定登記です。

特に離婚による借り換えの場合は、既存の抵当権を抹消して新しい抵当権を設定する必要があり、金融機関によっては所有権移転登記と合わせた3件の連件登記を同日に処理する場合もあります。

この記事では、抵当権設定登記の費用・必要書類・手続きの流れを、離婚に伴う借り換えのケースを中心に、司法書士が分かりやすく解説します。

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抵当権設定登記とは

抵当権とは

抵当権とは、住宅ローンなどの借入れに対して、不動産を担保に設定する権利のことです。万が一ローンが返済できなくなった場合、金融機関はその不動産を競売にかけて売却代金から優先的に回収することができます。

抵当権は法務局の登記簿(登記記録)に記録されることで第三者にも効力を持ちます。この記録のために行うのが抵当権設定登記です。

抵当権設定登記の役割

抵当権設定登記は、金融機関(抵当権者)と不動産の所有者(抵当権設定者)の共同申請で行います。実務では、金融機関が指定する(もしくは所有者が依頼する)司法書士が両当事者から委任を受けて代理で申請するのが一般的です。

融資実行日(金銭交付日)に、所有権移転登記や抵当権抹消登記と同じ日に「連件(れんけん)」で申請されるのが通常です。

抵当権設定登記が必要になるケース

抵当権設定登記が必要になる代表的なケースは以下のとおりです。

  • 住宅ローンで家を購入するとき — 新築マンション・中古戸建ての購入時に、引渡しと同日に設定
  • 離婚に伴って住宅ローンを借り換えるとき — 夫から妻への名義変更で新ローンを設定(当ページのメインケース)
  • 住宅ローンの借り換えをするとき — 金利を下げる目的で他行へ乗り換える場合
  • 親子間で住宅ローンを組み換えるとき — 親から子への所有権移転+新ローン設定
  • 法人が事業用融資を受けるとき — 事業用不動産を担保に追加借入

離婚に伴う借り換え(メインケース)

離婚で住宅ローン付き不動産の名義を変更したい場合、契約上は金融機関の個別承諾がなければ原則できません

金融機関によってはローンの変更(債務者変更登記)ができる場合もありますが、多くの場合は、新しい名義人(たとえば妻)が新規に住宅ローンを組み、既存ローンを一括返済して置き換える借り換えを行います。

借り換えの場合、同日に以下の2件の登記を連件で申請します(財産分与による所有権移転登記(夫→妻)も含めて3連件の場合もあり)。

離婚に伴う2連件登記
① 旧ローンの抵当権抹消登記(元の金融機関の抵当権を消す)
② 新ローンの抵当権設定登記(借り換え先金融機関の抵当権を設定)
※財産分与による所有権移転登記(夫→妻)も含めて3連件で処理するケースもあります。
注意点
離婚に伴う借り換え手続きはどの金融機関でも対応できるものではありません。所有者や債務者が変わる前提では、そもそも審査を受け付けてもらえない金融機関も少なくありません。

新規購入時の抵当権設定

家を新しく購入する場合は、不動産売買による所有権移転登記と抵当権設定登記を同日に連件で申請します。売主から買主への所有権移転、買主を債務者とする抵当権の設定を、融資実行と引換えに同日で処理します。

親子間でのローン組み換え

親が所有する不動産の名義を子に変更し、子が新規に住宅ローンを組むケースです。贈与または売買のいずれで移転するかで課税関係が変わるため、税理士と連携した設計が重要になります。

抵当権設定登記の費用

抵当権設定登記にかかる費用は、大きく分けて「司法書士報酬」「登録免許税」「その他の実費」の3つです。以下、当センターでご依頼いただく場合の費用を具体的に解説します。

当センターの司法書士報酬

項目
金額
司法書士報酬(抵当権設定登記1件)
50,000円(税込55,000円)

上記は抵当権設定登記1件あたりの報酬です。離婚等で所有権移転・抵当権抹消・抵当権設定の3件の登記をご依頼いただく場合は、別途それぞれの報酬がかかります。

登録免許税

登録免許税は、抵当権設定登記を申請するときに国に納める税金で、収入印紙を申請書に貼付して納付します。

項目
税率
備考
抵当権設定登記の登録免許税
債権額 × 0.4%
債権額=借入金額。登録免許税法9条別表第一
軽減税率(住宅用家屋)
債権額 × 0.1%
自己居住用・床面積50㎡以上・新築または取得後1年以内 等の要件あり

軽減税率について:新築住宅の購入など一定の要件を満たす場合は0.1%に軽減される特例があります(租税特別措置法)。離婚に伴う借り換えの場合は原則として本則の0.4%が適用されます。

その他の実費

このほか、登記申請に必要な以下の実費が数千円程度かかります。

  • 登記事項証明書の取得代 — 1通600円 × 必要通数
  • 郵送費・交通費 — レターパック・書留郵便・法務局往復交通費
  • 登記情報取得費 — 事前確認用(1件330円)

費用シミュレーション(借入額別)

借入額(債権額)に応じて登録免許税が変動します。代表的なケースでの総額目安は以下のとおりです。

ケース1:債権額1,000万円の住宅ローン
項目
金額
司法書士報酬(抵当権設定登記)
55,000円(税込)
登録免許税(1,000万円×0.4%)
40,000円
謄本・郵送費等の実費
約3,000〜5,000円
合計目安
約98,000〜100,000円
ケース2:債権額2,000万円の住宅ローン
項目
金額
司法書士報酬(抵当権設定登記)
55,000円(税込)
登録免許税(2,000万円×0.4%)
80,000円
謄本・郵送費等の実費
約3,000〜5,000円
合計目安
約138,000〜140,000円
ケース3:債権額3,000万円の住宅ローン
項目
金額
司法書士報酬(抵当権設定登記)
55,000円(税込)
登録免許税(3,000万円×0.4%)
120,000円
謄本・郵送費等の実費
約3,000〜5,000円
合計目安
約178,000〜180,000円
ご注意:上記はあくまで抵当権設定登記単独の費用目安です。離婚に伴う3件連件登記の場合は、所有権移転登記・抵当権抹消登記の報酬と登録免許税(所有権移転は固定資産評価額×2.0%)が加わります。正確な総額は物件情報をお聞きしてお見積りいたします。

離婚に伴う抵当権設定登記のポイント

離婚で住宅ローン付きの家を夫から妻(またはその逆)に名義変更する場合、単なる名義変更だけでは完結せず、借り換えに伴う2つの登記(抵当権抹消・抵当権設定)と所有権移転登記を合わせた3つの手続きが必要になるのが一般的です。

必要になる3つの手続き

ローン契約上の債務者だけを入れ替える「債務者変更」は金融機関の個別承諾がなければ原則できないため、夫が契約したローンを妻が引き継ぐには、妻が新規に住宅ローンを組み、既存ローンを一括返済する形で置き換える必要があります。

この場合、借り換えに伴う2件の登記(抵当権抹消+抵当権設定)と、財産分与による所有権移転登記の合わせて3つの手続きが必要になります。

手続き
登記の種類
内容
借り換え①
抵当権抹消登記
旧ローンが完済されるため元金融機関の抵当権を消す
借り換え②
抵当権設定登記
新しい名義人が借りた新ローンの抵当権を新金融機関のために設定
名義変更
所有権移転登記
原因「財産分与」で夫→妻(またはその逆)へ名義変更

これら3つの手続きを融資実行日と同日に3件連件で申請するケースが多いですが、金融機関によっては先に所有権移転登記で名義変更を済ませてから借り換え手続きに入ることを求められる場合もあります。手続きの順序・連件処理の可否は借り換え先の金融機関の方針に従うことになりますので、事前に確認が必要です。

借り換え審査のポイント

新しい名義人(例:妻)が借り換えローンの審査を通過できるかが最大のハードルです。金融機関は主に以下をチェックします。

  • 年収・勤続年数 — 一般的には年収300万円以上・勤続3年以上が目安
  • 既存の借入状況 — 他のローン・クレジットカードの利用状況・信用情報
  • 団体信用生命保険の加入要件 — 健康状態に問題がないこと
  • 物件評価額と残債のバランス — 担保価値がローン残高を上回っているか

離婚協議書で財産分与の合意内容を明確にしておくと審査がスムーズに進みます。先に離婚届を提出する前に金融機関の事前審査を受けておくと安全です。

無断で名義だけ変えるのはNG

やってはいけないこと:金融機関に相談せずに、所有権移転登記だけを先に済ませるのは契約違反のリスクがあります。ローン契約書の「期限の利益喪失条項」が発動し、残債の一括返済を求められる可能性があります。リスクを承知で名義変更するケースもありますが、基本的には金融機関への事前確認が必要です。
「借り換えと名義変更、何から始めればいいか分からない…」「費用の総額を事前に知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。物件情報をお聞きして、3件連件登記の総額お見積りを無料でお出しします。

抵当権設定登記の手続きの流れ

離婚に伴う住宅ローンの借り換えを例に、当センターにご依頼いただいた場合の流れを解説します。

1ご相談・お見積り(無料)

物件情報・借入予定額・離婚協議の状況などをお聞かせください。電話・LINE・Webフォームのいずれからでもご相談いただけます。借り換えに伴う登記手続きの総額お見積りを無料でお出しします。

2借り換え先金融機関の審査・打ち合わせ

借り換え先の金融機関で新しい名義人の住宅ローン審査を進めていただきます。審査通過後、融資実行日(決済日)・必要書類・登記の進め方について金融機関と調整します。金融機関によっては先に所有権移転登記による名義変更を求められるケースもあるため、進め方は各金融機関の方針に沿って組み立てます。

3必要書類の収集・委任状押印

離婚協議書・住民票・印鑑証明書・登記識別情報などをご準備いただきます。委任状・登記原因証明情報の内容をお客様にご確認いただき、ご署名・ご実印で押印していただきます。

4融資実行・旧ローンの一括返済

融資実行日当日、司法書士が書類の最終確認を行います。金融機関は登記書類に問題がないことを確認してから融資を実行し、そのお金で旧ローンへの一括返済が完了します。これにより旧金融機関の抵当権を抹消する条件が整います。

5法務局への登記申請(抵当権抹消+抵当権設定)

融資実行と同じ日に、法務局へ「抵当権抹消登記」と「抵当権設定登記」の2件を連件で申請します。所有権移転登記も同日に処理する場合は3件連件、先に所有権移転登記を済ませている場合は抹消・設定の2件のみで申請します。通常、申請から完了まで1〜2週間程度です。

6登記完了・書類のお渡し

登記完了後、新しい登記識別情報通知(権利証)と登記完了証をお客様にお渡しします。金融機関の分は金融機関に送付します。登記事項証明書で内容に間違いがないかご確認ください。

抵当権設定登記に必要な書類

金融機関から提供される書類

書類名
内容
金銭消費貸借抵当権設定契約書
ローン契約と抵当権設定契約が一体になった書類。登記原因証明情報として使う
金融機関の委任状
司法書士への委任。金融機関の代表者印が押印されたもの
金融機関の資格証明書
会社法人等番号の記載で代用可

不動産所有者が用意する書類

書類名
備考
登記識別情報通知(または登記済証)
権利証。物件取得時に法務局から交付されたもの
印鑑証明書
発行から3か月以内のもの
実印
委任状・登記原因証明情報への押印用
住民票
登記簿上の住所と現住所が異なる場合は住所変更登記も別途必要
本人確認書類
運転免許証・マイナンバーカード等

離婚に伴う連件登記の場合は、これらに加えて離婚協議書(または調停調書・判決書)戸籍謄本が追加で必要になります。

抵当権設定登記のよくある質問

Q. 抵当権設定登記は自分でできますか?

法律上は可能ですが、実務上はほぼ不可能です。金融機関は融資実行日に確実に登記を完了させるため、金融機関が指定または承諾した司法書士に依頼することを貸出の条件にしているのが通常です。自分で申請したいと申し出ても、金融機関が受け入れないケースが大半です。

Q. 登録免許税はなぜ債権額の0.4%なのですか?

登録免許税法の別表第一で、抵当権設定登記の税率は債権金額の1,000分の4(0.4%)と定められているためです。住宅用家屋の新築・取得に係る一定の要件を満たす場合は、租税特別措置法により0.1%に軽減される特例があります。

Q. 離婚時に所有権だけ先に変えることはできますか?

手続きとしては可能ですが、契約違反のリスクがあります。先に所有権移転登記だけを行ってしまうと、ローン契約書の「期限の利益喪失条項」に抵触して、残債の一括返済を求められるリスクがあります。借り換えまたは債務者変更の承諾を得てから登記するのが確実です。

Q. 連件登記の費用は合計でいくらですか?

当センターの司法書士報酬は3件連件(所有権移転、抵当権抹消、抵当権設定)で170,500円(税込)が目安です。これに登録免許税(所有権移転:評価額×2.0%/抵当権設定:借入額×0.4%)と実費が加わります。物件の固定資産評価額と借入額をお知らせいただければ総額お見積りをお出しします。

Q. 抵当権の設定と所有権移転は同じ日にできますか?

はい、できます。ただし、金融機関の要望で所有権移転登記を先に進める場合もあります。

Q. 借り換えの審査に通らなかった場合はどうすればいいですか?

選択肢はいくつかあります。①別の金融機関や条件で再申し込みする、②売却して残債を一括返済する、③親などから融資を受ける、④当面は夫の名義のまま妻が居住する(使用貸借)、⑤リスク承知で名義変更をする、などです。審査落ちを想定して複数の選択肢を並行検討することをおすすめします。

Q. 司法書士は自分で選べますか?

借り換え先の金融機関が指定する司法書士を使うのが一般的ですが、お客様側で希望する司法書士を指定できる金融機関も多いです。金融機関への事前確認をおすすめします。

まとめ:離婚に伴う借り換えは司法書士への早期相談がカギ

抵当権設定登記のポイントをまとめます。

  • 抵当権設定登記は、住宅ローンを組むときに金融機関の担保権を登記簿に記録する手続き
  • 当センターの司法書士報酬は50,000円(税込55,000円)/抵当権設定登記1件
  • 登録免許税は債権額×0.4%(1,000万円なら4万円/2,000万円なら8万円)
  • その他、謄本代・郵送費など実費数千円
  • 離婚に伴う借り換えでは、抵当権抹消+抵当権設定の2件の登記+所有権移転登記の3つの手続きが必要(金融機関の方針により同日3件連件で処理する場合・先に所有権移転登記を済ませる場合あり)
  • 金融機関の借り換え審査・離婚協議書の準備・決済立会いなど、司法書士の関与が不可欠
  • 金融機関に無断での名義変更は期限の利益喪失のリスクがあるため、事前確認が必要

離婚と住宅ローン借り換えを同時に進めるのは、書類・金融機関交渉・登記手配・税金判断など決めるべきことが多く、ご自身だけで進めるのは負担が大きい手続きです。当センターでは、物件情報・借入予定額をお聞きして総額お見積りを無料で作成していますので、お気軽にご相談ください。

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この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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