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借地権の相続・名義変更|地主の承諾・承諾料・相続登記の手続き


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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最終更新日:2026年6月10日

借地権の相続(要点まとめ)

● 借地権は相続できる(承諾不要):相続は権利義務を包括的に承継するため、地主の承諾は法的に不要です。名義変更料・承諾料も原則かかりません。

● 相続登記は義務(3年以内):2024年4月施行の改正不動産登記法(第76条の2)により、取得を知った日から3年以内の登記申請が必要。怠ると10万円以下の過料の可能性。

● 名義変更の実体は「建物の相続登記」:借地権は土地に登記されないことが多く、借地上の建物の登記(借地借家法第10条)で対抗力を持つため、実務は建物の所有権移転登記が中心です。

● 登録免許税は0.4%:相続の場合、建物の固定資産税評価額の0.4%です(譲渡・売買は2%)。

● 地主への通知は強く推奨:法的義務ではありませんが、相続後すみやかに新名義人を通知し地代の振込名義を変えておくと、将来の更新・建て替え交渉でのトラブルを防げます。

● 建物が未登記なら表題登記→保存登記:未登記のままでは対抗力がなく相続登記もできません(表題登記は土地家屋調査士の業務範囲)。

● 譲渡・贈与・遺贈は別扱い:第三者への売却・生前贈与・法定相続人以外への特定遺贈は「譲渡」となり、地主の承諾が必要です。承諾料(借地権価格の10%前後)を求められるのが一般的で、建物の登録免許税も相続の0.4%でなく2%になります。

● 当センターは建物の相続登記に対応:戸籍収集・遺産分割協議書作成・登記申請までサポートします。承諾料の交渉や借地非訟は弁護士、借地権の鑑定は不動産鑑定士の領域です。

【目次】
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借地権とは?名義変更の基礎知識
借地権の定義と法的な性質
借地権とは、建物を所有することを目的として他人の土地を使用する権利です。民法および借地借家法によって規定されており、土地の所有者(地主)と土地を借りる人(借地人)との間の契約に基づいて成立します。
借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類がありますが、実務上は賃借権がほとんどです。この2つは法的な性質が大きく異なるため、ご自身の借地権がどちらなのかを確認しておくことが重要です。
借地権の種類と特徴
項目 地上権 賃借権
権利の性質 物権(直接的な支配権) 債権(契約に基づく利用権)
登記の有無 原則として土地に登記される 建物のみ登記されるのが一般的
譲渡・転貸 地主の承諾は不要 原則として地主の承諾が必要
相続による承継 当然に承継(承諾不要) 当然に承継(承諾不要)
実務上、流通している借地権の大部分は賃借権です。地上権は物権として強力な権利ですが、地主側の心理的抵抗から設定されるケースは極めて稀です。
借地権の名義変更とは
借地権が土地の登記事項証明書に記載されているケースは実務上極めて少なく、多くの場合は「借地上の建物の所有権登記」を行うことで、借地借家法第10条に基づき第三者に対して権利を主張できる仕組みとなっています。
そのため、名義変更の実務は次の2つで構成されます:
  • 法務局で行う「建物の所有権移転登記」
  • 地主との間で行う「賃貸借契約の承継確認」
重要なポイント
土地に借地権の登記がされている場合は借地権の移転登記が必要ですが、実際には建物のみが登記されているケースがほとんどです。この場合、借地権自体の名義変更(登記の変更)という概念はなく、建物の名義変更を行うことになります。
地主が変わった場合の名義変更
地主が変わった(土地の所有者が変わった)場合、土地の所有権については旧地主から新地主への名義変更が必要ですが、借地権の名義変更等は原則として不要です。
これは、借地契約は土地に付随するものであり、地主が変わっても借地契約の内容はそのまま引き継がれるためです。ただし、地主が変わったことを借地人に通知する義務があります。
新地主からの通知
新しい地主は、借地人に対して、自己の住所、氏名(法人の場合は名称および代表者名)を通知する必要があります。この通知は、通常、書面で行われます。
借地人の対応
借地人は、新しい地主からの通知を受けたら、通知の内容を確認し、必要に応じて新しい地主と連絡を取り、今後の地代の支払い方法などを確認する必要があります。地主が変わった場合でも、借地契約の内容に変更はありませんので、借地人はこれまで通り土地を利用することができます。
ただし、新しい地主が借地契約の内容変更を求めてくる場合があります。この場合、借地人は慎重に対応し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
地主が変わった場合、借地人は特に手続きを行う必要はありませんが、新しい地主とのコミュニケーションを円滑に行うことが重要です。良好な関係を築くことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
地主側の手続きについて
底地(借地権が設定されている土地)を相続した地主の方は、こちらをご確認ください。
底地を相続した地主のための手続きガイド
相続による借地権の名義変更
相続と譲渡の決定的な違い
借地権の名義変更において最も重要なのは、その原因が「相続」か「譲渡(売買・贈与)」かという点です。この違いにより、法的義務と地主への承諾の要否が大きく変わります。
相続による承継は、被相続人の権利義務が包括的に承継されるため、地主の承諾は法的に不要です。一方、第三者への譲渡においては民法第612条に基づき地主の承諾が必須となります。
2024年4月から義務化された相続登記
【重要】相続登記の義務化について
2024年4月1日より施行された改正不動産登記法により、相続によって不動産(借地上の建物を含む)を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請することが義務付けられました。正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
借地権の場合、建物の名義変更を放置することは過料のリスクだけでなく、地主との間で「誰が現在の借地人か」という争いを生じさせ、最悪の場合、契約解除の口実を与えかねないという実務上の危険を孕んでいます。
地主への通知は必須ではないが強く推奨される
法的には地主の承諾が不要であっても、実務上は速やかな通知が強く推奨されます。借地関係は数十年単位で続く信頼関係に基づくものであり、相続による代替わりを地主が関知しない状態は、将来の更新交渉や建て替え承諾において不利益を招くリスクがあります。
借地契約の更新について
借地契約が更新されていない場合の対応については、こちらをご確認ください。
借地契約が更新されていない土地を相続した場合
相続登記の完了後に「相続による権利承継の通知書」等の書面で送付し、地代の振込名義の変更などを確認すると確実です。
相続における具体的な手続きの流れ
Step 1:権利関係の現状把握
まず、土地および建物の登記事項証明書を取得し、現在の名義人が被相続人(亡くなった方)であることを確認します。また、地主との間で締結されている「土地賃貸借契約書」を探し、更新時期、地代、特約事項(譲渡制限の有無など)を精査します。
契約書を紛失している場合でも、過去の地代の領収書や固定資産税の納税証明書が借地権の存在を証明する資料となります。
Step 2:相続人の特定と遺産分割協議
戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定させます。借地権を特定の相続人が単独で承継するのか、あるいは共有にするのかを話し合い、遺産分割協議書を作成します。
実務上の注意点
借地権を共有にすることは地主との交渉を複雑化させ、将来の売却時に全員の合意が必要になるため、単独名義での承継が強く推奨されます
Step 3:建物の相続登記(名義変更)申請
管轄の法務局に対し、所有権移転登記を申請します。この手続きにより、法律上、相続人が新たな建物所有者=借地権者として公示されます。
必要書類 発行元 備考
被相続人の出生から死亡までの戸籍 市町村役場 相続関係の証明
相続人全員の戸籍・印鑑証明書 市町村役場 遺産分割の有効性証明
遺産分割協議書または遺言書 自作/公証役場 承継者の特定
固定資産税評価証明書 市町村役場 登録免許税の算定用
相続登記の必要書類について詳しくはこちら
【相続登記の必要書類一覧】添付書類まとめ/各証明書の詳細解説
Step 4:地主への通知と合意書の作成
登記完了後、地主に対し相続が発生した旨と新名義人を通知します。多くの地主は契約書を新名義で作り直すことを求めるか、あるいは既存の契約を承継したことを記した「覚書」の締結を希望します。
この際、名義変更料を不当に請求されないよう、相続である旨を明確に伝えることが重要です。相続の場合、基本的に承諾料等は不要です。
譲渡・売却時の名義変更と承諾料
第三者への譲渡には地主の承諾が必須
相続とは対照的に、借地権を売却したり、親族であっても生前贈与したりする場合は、地主の「譲渡承諾」を得る義務が生じます。この際、対価として支払われるのが「名義変更料(譲渡承諾料)」です。
承諾料の算定基準と相場
承諾料の金額について法律上の定めはありませんが、長年の裁判例や実務慣行により、一定の相場が形成されています。一般的に、借地権価格(更地価格×借地権割合)の10%程度が標準的な水準とされます。
譲渡の形態 承諾料の目安(対借地権価格) 備考
第三者への売買 10%前後 買主の属性等により変動
推定相続人への生前贈与 3~10%程度 親族間であることを考慮し減額される傾向
建物建て替えを伴う譲渡 10% + 建て替え承諾料 複合的な交渉が必要
この10%という数字は絶対的なものではなく、残存期間の長さ、建物の老朽化度合い、地代の改定履歴などによって増減します。地主との交渉においては、不動産鑑定士の評価や周辺の取引事例を材料に、弁護士や不動産会社などの専門家が介入して妥当な金額を模索することが、過大な支払いを防ぐための鍵となります。
遺贈における注意点
遺言で借地権を譲る場合の注意
遺言によって法定相続人以外に借地権を遺贈する場合、これは「譲渡」とみなされるため、相続とは異なり地主の承諾と承諾料の支払いが必要になる場合があります。遺言書を作成する段階で、受遺者が承諾料を支払う資力があるか、あるいは地主が難色を示す可能性がないかを確認しておくことが不可欠です。
地主が承諾しない場合の法的救済
借地非訟(代諾許可)制度
地主が正当な理由なく譲渡を承諾しない場合や、社会通念上不当に高額な承諾料を要求する場合、借地人は裁判所に対して「地主の承諾に代わる許可(代諾許可)」を申し立てることができます。これが「借地非訟」と呼ばれる手続きです。
代諾許可の手続きと判断基準
裁判所は、譲渡によって地主に不利となる恐れがないかを審理します。具体的には、以下の点が精査されます:
  • 譲受人の地代支払い能力(資力)
  • 譲受人の管理能力
  • 反社会的勢力との関わりの有無
裁判所が許可を出す際には、通常、地主への財産上の給付(承諾料の支払い)が条件とされます。この際の金額も借地権価格の10%程度が基準とされることが多いです。
借地非訟は、地主との任意の交渉が完全に決裂した際の最終手段ですが、この制度の存在を背景に交渉を進めることで、裁判外での和解を促す効果も期待できます。ただし、代諾許可には数ヶ月から1年程度の期間を要し、弁護士費用や鑑定費用などのコストが発生する点には留意が必要です。
地主の介入権(優先譲受権)
借地人が代諾許可を申し立てた際、地主には「介入権(優先譲受権)」が認められています。これは、第三者に譲渡されるくらいなら、地主自らが建物と借地権を買い取るという申し立てです。
この場合、裁判所が定めた適正価格で地主が買い取ることになり、借地人は第三者への売却を断念せざるを得なくなりますが、現金化という目的自体は達成されます。
建物が未登記の場合の対応
未登記建物のリスク
古い借地物件では、建物自体が登記されていない(未登記建物)ケースが散見されます。未登記のままでは借地権を第三者に対抗できず、相続登記も行えないため、非常に不安定な状態にあります。
未登記建物について詳しくはこちら
未登記建物・未登記家屋とは?登記しないとどうなる?
表題登記から保存登記への流れ
未登記建物を相続した場合、まず「建物表題登記」を行い、建物の物理的状況(構造、床面積等)を登記簿に作成する必要があります。これは土地家屋調査士の業務範囲となります。
その後、相続人名義で「所有権保存登記」を行い、初めて法的権利が確定します。
固定資産税上の名義変更
登記を直ちに行わない場合でも、市町村役場の税務課に対して「未登記家屋所有者変更届」を提出することで、固定資産税の納税義務者を相続人に変更することができます。これは登記とは異なる手続きですが、行政上の管理者を明確にする効果があります。
ただし、対抗要件(第三者への権利主張)としては不十分であるため、借地権の保全を目的とするならば、表題登記&保存登記を行うべきです。
借地権名義変更の費用
相続の場合の費用
相続による借地権の名義変更では、以下の費用が発生します:
  • 登録免許税:建物の固定資産税評価額の0.4%
  • 戸籍謄本等の取得費用:数千円~1万円程度
  • 司法書士報酬:5万円~10万円程度(ケースにより変動)
相続の場合、地主への承諾料は基本的に不要です。
譲渡・売却の場合の費用
譲渡による借地権の名義変更では、通常の登記費用に加えて承諾料が発生します:
  • 登録免許税:建物の固定資産税評価額の2%
  • 承諾料:借地権価格の10%前後(交渉により変動)
  • 司法書士報酬:7万円~15万円程度
  • 不動産鑑定費用:必要に応じて20万円~50万円程度
贈与税に関する注意
借地権の贈与には注意が必要です
借地権も贈与税の対象となります。古い借地上の建物の場合、建物の評価額だけであれば低いことが多いですが、借地権分が高額となるケースがあります。生前贈与を検討する際は、税理士への相談をおすすめします。
借地権名義変更の必要書類
借地権の移転登記の必要書類
借地権の名義変更は、土地に借地権の登記(賃借権または地上権)がされている場合は、借地権の移転登記を行うことになります。借地権の移転登記には以下の書類が必要になります。
必要書類 内容
登記原因証明情報 相続の場合:戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書等
売買や贈与の場合:売買契約書や贈与契約書等の譲渡内容が分かるもの
登記識別情報(登記済証) 借地権の登記時に発行されたもの
固定資産評価証明書 登録免許税の算出に使用
司法書士に依頼の場合は、別途委任状や身分証も必要となります。
建物移転登記の必要書類
土地に借地権の旨が登記されていない場合は、借地上の建物の名義変更をすることになります。土地に借地権の旨が登記されている場合でも、建物の名義変更は行います。
建物の名義変更は、借地上であるかにかかわらず通常通りの名義変更が必要です。必要書類は名義変更する内容によって異なります。
不動産名義変更の必要書類について詳しくはこちら
不動産名義変更を自分で行う際の必要書類・添付書類まとめ
よくあるトラブルと対処法
地主から承諾料を不当に請求された場合
相続の場合、法的に承諾料の支払い義務はありません。地主から承諾料を請求された場合は、以下の対応を検討してください:
  • 相続であることを書面で明確に通知する
  • 不動産業者や弁護士に間に入ってもらう
  • 相続登記の完了を証明する書類を提示する
地主が承諾を認めてくれない場合(譲渡時)
譲渡時に地主が正当な理由なく承諾を認めてくれない場合、以下の対処法があります:
  • 譲渡の必要性や譲受人の情報を丁寧に説明し、再度交渉を試みる
  • 専門家(弁護士)を交えて交渉する
  • 裁判所に借地権譲渡許可の申し立てを行う(借地非訟)
  • 調停を申し立て、話し合いによる解決を目指す
承諾料が高額すぎる場合
地主から相場(借地権価格の10%程度)を大きく上回る承諾料を請求された場合:
  • 不動産鑑定士による評価を取得し、適正価格を示す
  • 周辺の取引事例を調査し、交渉材料とする
  • 専門家を交えて減額交渉を行う
  • 裁判所の借地非訟手続きを利用する
まとめ:借地権の名義変更で押さえるべきポイント
借地権の名義変更は、その原因が「相続」か「譲渡」かによって、必要な手続きや費用が大きく異なります。
相続の場合のポイント
  • 地主の承諾は法的に不要だが、通知は強く推奨される
  • 2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内の登記申請が必要
  • 承諾料の支払いは基本的に不要
  • 建物の登記を行うことで借地権を保全できる
譲渡の場合のポイント
  • 地主の承諾が必須で、承諾料が発生する
  • 承諾料は借地権価格の10%程度が相場
  • 地主が不当に承諾を拒否する場合は、裁判所の借地非訟手続きが利用できる
  • 専門家(司法書士・弁護士・不動産鑑定士)の活用が重要
借地権の名義変更は、単なる事務手続きではなく、地主との信頼関係の維持や将来の資産価値保全に直結する重要な法的行為です。ご不安な点がある場合は、お気軽に司法書士などの専門家にご相談ください。

借地権の相続に関するよくある質問

借地権は相続できますか?地主の承諾は必要ですか?

借地権は相続の対象となり、相続できます。相続は被相続人の権利義務を包括的に承継するものであるため、地主(借地権設定者)の承諾は法的に不要です。名義変更料や承諾料も原則として支払う必要はありません。ただし、トラブル防止のため、相続後すみやかに地主へ新しい借地権者を通知することが強く推奨されます。

借地権の相続に名義変更料・承諾料はかかりますか?

相続による借地権の承継には、地主への名義変更料・承諾料は原則かかりません。承諾料が必要になるのは、第三者への売却や生前贈与など「譲渡」にあたる場合で、相場は借地権価格(更地価格×借地権割合)の10%前後です。相続なのに地主から承諾料を請求された場合は、すぐに支払ったり承諾書・覚書に署名押印したりせず、まず賃貸借契約書の内容を確認し、相続による承継である旨を書面で伝えてください。交渉が難航する場合は弁護士にご相談ください。

借地権の相続登記に期限はありますか?放置するとどうなりますか?

2024年4月1日施行の改正不動産登記法(第76条の2)により、相続で不動産(借地上の建物を含む)を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する義務があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。借地権の場合、登記や地主への通知を放置すると、地代の支払名義が故人のままになって支払い漏れや通知不達を招いたり、更新・建て替えのときに権利者がはっきりせず地主と揉めやすくなります。

借地権の相続では、具体的に何を名義変更するのですか?

多くのケースでは、土地に借地権そのものの登記はされておらず、借地上の「建物の所有権登記」によって借地借家法第10条に基づく対抗力を備えています。そのため相続の名義変更は、法務局で行う「建物の所有権移転登記(相続登記)」が中心になります。なお、土地に借地権(賃借権・地上権)が登記されている稀なケースでは、別途その移転登記も行います(登録免許税は建物の0.4%と異なり0.2%)。ただし2024年4月からの相続登記義務化の対象は所有権の移転登記です。

借地権を相続したとき、地主への通知は必要ですか?

法的には地主の承諾は不要ですが、実務上は通知が強く推奨されます。借地関係は数十年単位の信頼関係に基づくため、相続による代替わりを地主が知らない状態は、将来の更新交渉や建て替え承諾で不利益を招くおそれがあります。相続登記の完了後に「相続による権利承継の通知書」等を送付し、地代の振込名義を変更しておくと確実です。

借地上の建物が未登記の場合は、どうすればよいですか?

古い借地物件では建物が未登記のことがあります。通常の借地では土地賃借権そのものは登記されず、借地上の建物の登記が第三者対抗力の要になるため、建物が未登記のままだと借地権を第三者に対抗できず、相続登記(所有権移転登記)もできません。まず「建物表題登記」(土地家屋調査士の業務)で建物の物理的状況を登記し、その後、相続人名義で「所有権保存登記」を行うことで、相続人名義の登記を備えて借地権の対抗関係を整理できます。

借地権の相続にかかる費用はいくらですか?

相続による建物(借地上建物)の名義変更では、登録免許税が建物の固定資産税評価額の0.4%、戸籍・住民票・評価証明書等の取得実費が数千円〜、司法書士報酬が5万円〜10万円程度(単純な事案の目安)です。数次相続や戸籍の広域収集、未登記建物の整理などがある場合は10万円を超えることもあります。相続の場合、地主への承諾料は基本的に不要です。

遺言で法定相続人以外に借地権を遺贈する場合の注意点は?

遺言によって法定相続人以外の方へ借地権を遺贈する場合は、相続ではなく「譲渡(特定遺贈)」とみなされ、賃借権の譲渡として地主の承諾が必要になります(民法第612条)。承諾の条件として承諾料(借地権価格の10%前後)を求められるのが一般的で、建物の登録免許税も相続の0.4%でなく2%になります。地主が承諾しない場合は、裁判所に許可を求める借地非訟(借地借家法第19条)の検討が必要です。遺言を作成する段階で、受遺者の資力や地主の意向を確認しておくことが重要です。

この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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