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所有不動産記録証明制度(要点まとめ)
● 制度の目的:本人または被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を、検索条件に基づき全国からリスト化して証明する制度(相続不動産の見落とし防止/※所有権の登記がない未登記建物などは対象外で、登記上の住所・氏名が検索条件と一致しない不動産は漏れることがあります)
● 施行日:令和8年(2026年)2月2日に施行
● 請求できる人:本人(法人含む)/相続人・一般承継人/代理人(任意代理人は委任状、成年後見人などの法定代理人等は権限を証する書面が必要)
● 取得場所:全国どこの法務局・地方法務局でも請求可(管轄制限なし/オンライン・郵送・窓口の3通り)
● 手数料:検索条件1件につき1通あたり、書面1,600円/オンライン郵送1,500円/オンライン窓口1,470円(不動産個数による加算なし/※引越し等で旧住所も指定する場合は、検索条件数×手数料がかかります)
関連記事:全国の不動産を調べる所有不動産記録証明制度とあわせて、市区町村ごとの「名寄帳」も精密な財産調査に欠かせません。詳しくは名寄帳の取得方法・見方を司法書士が解説 をご覧ください。
所有不動産記録証明制度とは:
「特定の人が所有する全国の不動産を、法務局がリスト化して証明書として交付する制度」
令和6年4月に施行された相続登記義務化に伴い、相続人が被相続人名義の不動産を把握しやすくするために創設されました。
所有不動産記録証明書(しょゆうふどうさんきろくしょうめいしょ)で証明されるのは、登記記録のうち「不動産所在事項」と「不動産番号」です(不動産登記法第119条の2第1項・不動産登記規則第199条第1項)。証明書には次の情報が記載されます:
請求人の資格(本人/相続人その他一般承継人)・氏名又は名称・住所と、検索条件として指定した氏名又は名称・ローマ字氏名・住所・会社法人等番号
抽出された各不動産を管轄する法務局・地方法務局(支局・出張所)
土地・建物の別
登記上の所在と、土地は地番・建物は家屋番号(住居表示の住所とは異なることがあります)
不動産を一意に識別する13桁の番号。登記事項証明書の請求に使えます(証明書には登記申請用のコードも印字されます)
地目・地積、建物の種類・床面積、共有持分、抵当権などの権利関係は証明書には記載されません。これらは、不動産番号をもとに各不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して確認します。該当する不動産がない場合は、記録がない旨が証明されます。
制度の詳細については、法務省の公式ページをご確認ください。
▼ 所有不動産記録証明制度について(法務省HP)▼
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00740.html
個人の資産情報は極めて高度なプライバシー情報です。そのため、この制度を利用できる人(請求権者)は法律により厳格に限定されています。
「自分の財産目録を作りたい」「終活のために資産整理したい」といったニーズに対応。法人も含まれます。
被相続人(亡くなった方)の不動産を網羅的に把握し、遺産分割協議の対象を確定するために利用します。相続登記義務化に伴い、最も利用が想定される請求者です。
合併により消滅した会社の権利義務を承継した法人などが該当します。
法定代理人・財産管理人等:未成年者の親権者・未成年後見人、成年後見人、代理権付与の審判を受けた保佐人・補助人、不在者財産管理人、相続財産管理人・相続財産清算人など。破産管財人も、その資格証明書を添えれば請求できます。
任意代理人:委任を受けた司法書士、弁護士、親族など
法務省が登記所向けに示した「所有不動産記録証明書の交付等に関する質疑事項集」(第三版・令和8年9月4日現在)の内容をもとに整理しています。
請求の際には、以下の書類が必要です。法務省の公式情報に基づく詳細な内容を確認しましょう。
以下のいずれか一方:
① 印鑑証明書
発行期限はありません。請求書には実印を押印してください(発行から長期間経過していて請求の意思に疑義があるときは、登記所から理由を確認されることがあります)。
② 本人確認書類の写し(書面請求のみ)
例:マイナンバーカード、運転免許証など
※ 窓口での原本提示も必要
法人の場合:会社法人等番号を提供し、登記所で印鑑証明書を確認できるときは、法人の印鑑証明書の添付を省略できます。清算結了した法人でも、最後の代表清算人が実印を押し、その個人の印鑑証明書と閉鎖事項証明書(または会社法人等番号)を添えれば請求できます。
【必要となる場合がある書類】
過去の氏名や住所を検索条件とする場合、これらを証する情報
例:戸除籍謄本、住民票の写し、戸籍の附票の写しなど(詳しくは下記「過去の住所・旧姓を検索条件にする場合の証明書類」)
上記に加えて:
③ 所有権の登記名義人との相続関係・承継関係を証する情報
例:戸籍謄本、法定相続情報一覧図の写し、会社法人等番号(法人の場合)など
※ 法定相続情報番号、戸籍電子証明書提供用識別符号または除籍電子証明書提供用識別符号を取得している場合、これらの情報を提供することで上記書類の提出に代えることができます(戸籍連携システムの障害などで登記官が確認できない場合は、戸籍謄本等の提出が必要になることがあります)。
【戸籍はどこまで必要?】
相続登記と同じ範囲の戸籍を一律にそろえる必要はなく、請求人が「相続人の1人であること」を証明できる範囲で足ります。請求人の立場ごとの目安は次のとおりです。
いずれの場合も、被相続人が登記名義人と同一人であることを示す情報(被相続人の住民票の除票・戸籍の附票など)が必要です。除票や附票が保存期間切れで取れないときは、同一人である旨の上申書(印鑑証明書付き)で対応できる取扱いがあります。請求人の戸籍は現在の戸籍でなくてもよく(被相続人の死亡後に転籍した場合の転籍前の戸籍でも可)、請求人の戸籍の父母欄などから登記名義人の子であることが確認できれば、親子が同じ戸籍に載っていた当時の除籍までは求められません。なお、戸籍に記載された本籍と本人確認書類の住所が異なる場合は、戸籍の附票などで請求人と戸籍上の相続人が同一人であることを示す書類が別途必要になります。
【必要となる場合がある書類】
被相続人または被承継人の過去の氏名や住所を検索条件とする場合、これらを証する情報
例:除籍謄本、除かれた戸籍の附票の写しなど
引っ越し前の住所や結婚前の氏などを検索条件に加えるときは、「その氏名・住所が請求人(または被相続人)のものだった」ことを証する書類が必要です。市町村長などの公務員が作成した書類が原則ですが、次のものも認められています。
◎ 使える書類の例
✕ 使えない書類の例
◎ 公的な書類がどうしても用意できない場合
変更前の氏名・住所が記載された郵便物や公共料金の請求書などで代えることができます。それもない場合は、実印を押した「同一人である旨の上申書」を提出します(上申書に添える印鑑証明書は、請求書に添付する印鑑証明書と兼ねることができます)。
◎ 昭和27年7月1日より前に、本籍が住所として登記されている場合
住民登録法の施行(昭和27年7月1日)前は、登記名義人の住所が本籍で登記されていることがあります。被相続人の氏名と「本籍」を検索条件にする場合は、戸籍の附票と戸除籍謄本から、その本籍が住民登録法施行前のものであることを示せば足ります。
上記に加えて:
④ 委任状(任意代理人の場合)
請求人の実印を押印し、請求人の印鑑証明書を添付してください。成年後見人などの法定代理人等が請求する場合は、委任状の代わりに代理権・権限を証する書類(審判書・資格証明書など)を添付します。
所有不動産記録証明書の請求は、以下の3つの方法で行えます:
全国どこの法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)でも請求可能です。
メリット:その場で書類の不備を確認できる、相談しながら記入できる
デメリット:平日の開庁時間(8:30~17:15)に出向く必要がある
請求書と必要書類、返送用封筒(切手貼付)を同封して法務局に郵送します。
メリット:来庁不要、全国どこからでも請求可能
デメリット:往復の日数がかかる、書類不備の場合は補正に時間を要する
登記・供託オンライン申請システムを利用して請求します。
メリット:平日は23時まで・土日祝も18時まで送信できる(年末年始を除く)、手数料が安い、来庁不要
デメリット:電子証明書(マイナンバーカード等)が必要、システムの操作に慣れが必要
▼ 登記・供託オンライン申請システム ▼
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
請求から交付までにかかる日数は、請求の状況や登記所の実情に応じて登記所ごとに設定されるため、請求先の登記所にお問合せください。
法務省は、標準的な処理期間として「受付後1週間以内の交付」を想定しています(登記所向けの質疑事項集・令和8年9月時点)。ただし、混み合う時期や書類に不備がある場合はこれより長くなることがありますので、余裕を持って請求しましょう。
窓口で受け取る場合:請求書に書いた請求人(または代理人)と同じ氏名・住所が記載された運転免許証などの本人確認書類を提示します。司法書士などの資格者代理人は、所属団体の身分証明書で足ります。請求書に押した印鑑と同じ印鑑を持参するなど、受け取る権限があることを確認できる方法でもかまいません。
郵送で受け取る場合:請求人・代理人以外の第三者(たとえば遠方の親族)を送付先に指定することもできます。証明書には所有不動産の一覧という個人情報が載るため、登記所から送付先に誤りがないか確認されます。
受け取らないまま1か月が経過した証明書は廃棄されることがあります。廃棄後に改めて交付を求める場合は、手数料をもう一度納めて請求し直す必要があります。
本制度は有料のサービスです。手数料は以下の通り設定されています:
1,600円
検索条件1件につき、1通あたり(収入印紙で納付)
1,500円
検索条件1件につき、1通あたり
1,470円
検索条件1件につき、1通あたり
例えば、登記所に請求書を提出する方法(窓口請求)で証明書を請求する場合において、検索条件を4件指定し、証明書の請求通数を1通としたときに納付する手数料額は:
検索条件4件 × 1通 × 1,600円 = 6,400円
検索条件を2件指定し、証明書を各2通ずつオンラインで請求して郵送で受け取る場合:
検索条件2件 × 2通 × 1,500円 = 6,000円
全国どこの法務局・地方法務局でも請求可能
所有不動産記録証明書は、法務大臣が指定する登記所で請求できます。不動産の所在地に関係なく、全国どこの法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)でも請求できます。
お近くの法務局は、以下のページで検索できます:
法務省所定の「所有不動産記録証明書交付請求書」様式に基づき、記入のポイントを解説します。
Word形式の申請書をダウンロードして、入力・印刷することができます。
※ Microsoft Word または互換ソフトで開くことができます
実際に法務局で交付された所有不動産記録証明書の実物をご紹介します。以下のように記載されて交付されます:

実際に取得した所有不動産記録証明書
所有不動産記録証明書を取得するまでの流れを、ステップごとにまとめます。
当事務所の司法書士が、制度開始初日に実際に所有不動産記録証明書の交付請求を行いました。窓口での実際のやり取り、必要だった書類、気づいた注意点などを詳しくレポートしています。
※ 開始初日の流れ・必要書類・注意点を詳しく解説
所有不動産記録証明書の取得についてよくいただく質問をまとめました。実務上の取扱いは、法務省が登記所向けに示した「所有不動産記録証明書の交付等に関する質疑事項集」(第三版・令和8年9月4日現在)をもとにしています。
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