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不動産登記の総合ガイド:名義変更の基礎から義務化対応・費用・手続きまで徹底解説


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年12月27日
 

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不動産登記が担う社会的役割と現代的意義

不動産登記とは何か:権利の「可視化」と「保全」

私たちが日々の生活や経済活動の基盤としている土地や建物。これら不動産という財産は、動産(現金や貴金属など)とは異なり、持ち運ぶこともできなければ、一見しただけで誰が真の所有者であるかを判別することもできません。この目に見えない「権利」という概念を、誰の目にも明らかな形で公示し、取引の安全と円滑を図るための国家制度が「不動産登記」です。

不動産登記制度の本質は、物理的な現況(どこに、どのような不動産があるか)と、権利の帰属(誰が持っているか、どんな担保がついているか)を、法務局(登記所)に備えられた公の帳簿である「登記簿」に記録することにあります。この記録は一般に公開されており、手数料を支払えば誰でも閲覧し、証明書を取得することが可能です。

一般のユーザーにとって、不動産登記を意識する瞬間は人生の大きな節目に限られています。マイホームの購入、親からの相続、住宅ローンの完済、あるいは離婚による財産分与などがその代表例です。しかし、近年の法改正により、この「節目だけの付き合い」という常識が崩れつつあります。所有者不明土地問題の解消を目的とした「相続登記の義務化(2024年)」や「住所変更登記の義務化(2026年)」は、不動産を持つすべての人に対し、能動的な登記管理を求めるパラダイムシフトをもたらしました。

「対抗要件」としての登記:なぜ急ぐ必要があるのか

不動産登記を語る上で避けて通れないのが、「対抗要件(たいこうようけん)」という法的概念です。日本の民法177条は、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と定めています。

具体例:二重譲渡のケース

AさんがBさんに土地を売る契約をしたとします。当事者間では契約書に判を押した時点で所有権はBさんに移転します。しかし、もしAさんが悪意を持って、同じ土地をCさんにも売ってしまった場合(二重譲渡)、BさんとCさんのどちらが最終的にその土地の所有者になれるのでしょうか。

答え:「先に法務局で登記を備えた方」

登記がなければ、第三者(この場合はCさん)に対して「これは私の土地だ」と主張(対抗)することができません。

この残酷なまでの「早い者勝ち」のルールこそが、不動産取引において決済と同時の登記申請が絶対条件とされる理由であり、司法書士という専門家が取引に立会う最大の理由でもあります。登記は単なる手続きではなく、あなたの財産を他者の侵害から守るための唯一無二の盾なのです。

登記記録(登記簿)とは

不動産登記情報を正しく理解するためには、登記記録がどのような構造で成り立っているかを知る必要があります。登記記録は、一筆の土地、一個の建物ごとに作成され、大きく「表題部」と「権利部」の二層構造、さらに権利部は「甲区」と「乙区」に分かれた三部構成となっています。

区分記載内容詳細
表題部物理的情報土地:所在・地番・地目・地積
建物:家屋番号・種類・構造・床面積
権利部(甲区)所有権に関する事項所有者の氏名・住所、所有権移転の原因(売買・相続・贈与等)と日付、過去の所有者の履歴、差押え・仮差押え等
権利部(乙区)所有権以外の権利抵当権・根抵当権、地上権・賃借権等

表題部:不動産の物理的プロフィール

登記記録の冒頭に位置するのが「表題部」です。ここには、その不動産の物理的な特定に必要な情報が記載されています。人間で言えば、氏名・生年月日・身長・体重といった身体的特徴に相当します。

土地の表題部

  • 所在・地番:土地の場所を特定する番号です。住所(住居表示)とは異なり、登記特有の番号体系が用いられます。
  • 地目(ちもく):土地の主たる用途です。「宅地」「田」「畑」「山林」「公衆用道路」「雑種地」など、23種類に分類されます。現況と登記上の地目が一致していないケース(例:登記は畑だが、実際は家が建っている)も多々あり、売買や融資の際に問題となることがあります。
  • 地積(ちせき):土地の面積です。明治時代の測量に基づいている場合など、実測面積と登記簿面積が大きく異なることがあります。

建物の表題部

  • 家屋番号:建物を特定する番号です。
  • 種類:「居宅」「店舗」「共同住宅」「事務所」「倉庫」「車庫」など、建物の用途が記載されます。
  • 構造:「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」などの主体構造と、屋根の種類(かわらぶき、スレートぶき等)、階数(2階建等)が記載されます。
  • 床面積:各階ごとの面積が記載されます。

表題部の登記(表示に関する登記)は、土地家屋調査士の専門領域です。新築や増築、取り壊しがあった場合、所有者は1ヶ月以内に登記を申請する義務があります。これは固定資産税の課税台帳と連動するため、行政にとっても重要な情報源となります。

権利部(甲区):所有権に関する事項

表題部の次に続くのが「権利部(甲区)」です。ここには、所有権に関する事項が記載されます。

  • 誰が:所有者の住所と氏名
  • いつ:受付年月日
  • なぜ:登記の原因(売買・相続・贈与など)
  • 差押え・仮差押え:税金の滞納や借金の返済遅延により、裁判所や行政機関が不動産の処分を制限した記録です。

甲区を見れば、その不動産の現在の所有者(現在の権利者)だけでなく、過去に誰から誰へと権利が移転してきたかという所有権の系譜(履歴)を確認することができます。所有権移転登記(名義変更)が行われると、甲区に新しい行が追加され、前の所有者の欄には下線が引かれますが、記録自体は抹消されずに残ります。

権利部(乙区):所有権以外の権利に関する事項

最後が「権利部(乙区)」です。ここには、所有権以外の権利、主に担保権や利用権に関する事項が記載されます。

  • 抵当権・根抵当権:住宅ローンや事業資金の借入れの際、金融機関が不動産を担保に取る権利です。債務者(借りた人)、債権者(貸した人)、債権額(借入額)、利息などが詳細に記録されます。
  • 地上権・賃借権:他人の土地を利用する権利です。

乙区に「抵当権設定」の記載がある場合、その不動産は借金のカタに入っていることを意味します。逆に、乙区に何の記載もない、あるいは全ての記載に抹消の下線が引かれている不動産は、担保のないきれいな状態(無担保不動産)であることを示します。

所有権移転登記の種類と実務

ユーザーが「不動産登記」と検索する際、その意図の多くは「名義を変えたい」という点にあります。専門用語では「所有権移転登記」と呼ばれるこの手続きは、その原因(理由)によって必要書類や税金、注意点が大きく異なります。ここでは、代表的な4つの原因について深掘りします。

原因登記の種類特徴主な注意点
相続相続登記遺産分割協議、遺言書、法定相続分の3パターン。2024年4月より義務化取得を知った日から3年以内に申請、違反で10万円以下の過料
売買売買による所有権移転登記決済と同時に申請。司法書士立会いが一般的登記なしでは第三者に対抗できない。住宅ローンは抵当権設定と連件
贈与贈与による所有権移転登記無償での譲渡。生前贈与や配偶者控除など贈与税の負担大。登録免許税率2.0%と高額
財産分与財産分与による所有権移転登記離婚に伴う共有財産の清算贈与税は原則非課税。渡す側に譲渡所得税がかかる場合あり

相続による所有権移転登記(相続登記)

最も件数が多く、かつ現在進行形で制度改革の最中にあるのが相続登記です。亡くなった方(被相続人)から、その配偶者や子供などの相続人へと権利を移す手続きです。

【相続登記】 亡くなった方から不動産を相続する際の名義変更

手続きの3つのパターン

① 遺産分割協議による登記

遺言書がない場合、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、「誰がどの財産をもらうか」を決めます。話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」を作成し、全員が実印を押印します。登記申請にはこの協議書と全員の印鑑証明書が必要です。最も一般的ですが、相続人の中に非協力的な人がいたり、行方不明者がいたりすると手続きが難航します。

② 遺言書による登記

被相続人が生前に有効な遺言書を残していた場合、その内容に従って登記を行います。遺産分割協議が不要なため、他の相続人の関与なしに(単独で)手続きを進めることが可能です。公正証書遺言であれば検認手続きも不要で、最もスムーズに登記が完了します。

③ 法定相続分による登記

民法で定められた割合(例:配偶者1/2、子供1/2)で、相続人全員の共有名義にする登記です。話し合いは不要ですが、不動産を共有状態にすることは後の売却や管理の意思決定を困難にするため、慎重な判断が求められます。

⚠️ 2024年義務化の影響

従来、相続登記には期限がありませんでした。しかし、所有者不明土地問題への対策として、2024年4月1日から義務化がスタートしました。詳細は後述で解説しますが、これにより「いつかやればいい」手続きから「すぐにやらなければならない」手続きへと性質が激変しました。

売買による所有権移転登記

不動産取引の要となる登記です。

売買・不動産取引による不動産名義変更の手続きガイド(必要書類・費用・Q&A・流れ)

  • 同時履行の原則:売買代金の全額支払いと、権利証などの登記必要書類の引渡しは同時に行われます(決済)。この場に司法書士が立会い、書類に不備がないことを確認した瞬間に融資が実行され、代金が支払われます。
  • 所有権移転と抵当権の連動:買主が住宅ローンを利用する場合、売主から買主への「所有権移転」と、買主が銀行のために設定する「抵当権設定」の2件の登記が連件(セット)で申請されます。これらが一瞬でもズレると銀行は融資を実行できないため、プロによる確実な手続きが必須とされます。

贈与による所有権移転登記

対価を伴わず、無償で譲り渡す場合です。

不動産の生前贈与による名義変更手続きガイド(必要書類・費用・Q&A・流れ)

  • 生前贈与:親から子へ、あるいは夫から妻へ(居住用不動産の配偶者控除など)行われます。
  • 税金の壁:贈与は契約自体は簡単ですが、受け取った側に高額な「贈与税」がかかる可能性があります。基礎控除(年間110万円)や相続時精算課税制度などの特例を理解せずに行うと、後で税務署から多額の請求が来ることになります。そのため、登記の前に税理士への相談が推奨される分野です。
  • 登録免許税の高さ:相続に比べ、贈与の登録免許税率は2.0%と高めに設定されています。

財産分与による所有権移転登記

離婚に伴い、婚姻期間中に築いた共有財産を清算する手続きです。

離婚・財産分与による不動産名義変更の手続きガイド(必要書類・費用・Q&A・流れ)

  • 税務上の特徴:財産分与は「贈与」ではなく「共有物の清算」とみなされるため、受け取る側に贈与税は原則かかりません。しかし、渡す側(元の所有者)に、時の経過による値上がり益に対する「譲渡所得税」がかかる場合があります。
  • タイミング:離婚届を提出した後でなければ申請できません。離婚成立前に話し合いはできますが、登記原因の日付は離婚日以降となります。

名義変更以外の重要な登記と利用シーン

不動産登記には、所有権の移転以外にも重要な手続きが多数存在します。これらも「不動産登記」の検索意図に含まれる重要な要素です。

登記の種類内容・目的ポイント
所有権保存登記新築建物や未登記建物について、最初に権利の甲区を開設これがないと所有権移転も抵当権設定もできない。住宅ローンを組む場合は必須
抵当権設定登記住宅ローンや事業融資を受ける際、金融機関が不動産を担保に取る金融機関の抵当権は司法書士が行うのが通例。金融機関にとって担保権の確保は最優先事項
抵当権抹消登記住宅ローンを完済した際に行う自動では消えない。放置すると書類の有効期限切れや手続き複雑化のリスク。DIY可能
住所・氏名変更登記引越しや婚姻・離婚により、登記簿上の住所・氏名と現況が食い違った場合2026年から義務化。売却や抵当権抹消の前提として必要。変更日から2年以内

所有権保存登記(最初の登記)

新築建物や、これまで未登記だった建物について、最初に権利の甲区を開設する登記です。

  • 重要性:これを行わないと、所有権移転も抵当権設定もできません。住宅ローンを組んで家を建てる場合、必須の手続きとなります。
  • 前提:保存登記をするには、先に表題部が作られている(表題登記が完了している)必要があります。

抵当権設定登記(ローンを借りる)

住宅ローンや事業融資を受ける際、金融機関が不動産を担保に取るための登記です。

  • 記載内容:債権額(借入額)、利息、損害金、債務者、抵当権者(銀行や保証会社)。
  • 実務:金融機関の抵当権は司法書士が行うのが通例です。金融機関にとって担保権の確保は最優先事項であり、不備が許されないためです。

抵当権抹消登記(ローンを返す)

住宅ローンを完済した際に行う登記です。

⚠️ 重要な注意点

  • 自動では消えない:借金を返し終わっても、登記簿上の抵当権は自動的には消えません。銀行から送られてくる「解除証書」や「委任状」を使って、所有者自身が抹消手続きをする必要があります。
  • 放置のリスク:抹消せずに放置すると、書類の有効期限が切れたり、銀行の代表者が変わったり合併したりして、手続きが複雑化します。将来、売却や新たな借入れをする際に大きな障害となるため、完済後速やかに行うべきです。
  • DIYの登竜門:手続きが定型的で難易度が低いため、一般の方が自分で挑戦しやすい登記の筆頭です。

住所・氏名変更登記(名義人表示変更登記)

引越しや婚姻・離婚により、登記簿上の住所・氏名と現在の状況が食い違ってしまった場合に行います。

  • 前提条件としての機能:不動産を売却したり、抵当権を抹消したりする場合、前提として現在の住所・氏名と登記簿上の記載を一致させておく必要があります。
  • 義務化:後述する2026年の義務化により、重要度が急上昇しています。

徹底解説:不動産登記「義務化」の衝撃と対応策

これまでの不動産登記は「権利を守りたい人が任意で行うもの」でしたが、法改正により「不動産を持つ者の責務」へと変貌しました。この変化は、一般ユーザーにとって罰則(過料)という直接的な金銭リスクを伴うため、正確な理解が不可欠です。

項目相続登記の義務化住所変更登記の義務化
施行日2024年4月1日2026年4月1日
申請期限取得を知った日から3年以内変更の日から2年以内
遡及適用あり(施行日より前の相続も対象)
施行日から3年以内(2027年3月31日まで)
あり(施行日より前の変更も対象)
施行日から2年以内(2028年3月31日まで)
罰則10万円以下の過料5万円以下の過料
救済措置相続人申告登記(簡易的な申出制度)検索用情報の申出(職権登記の仕組み)

相続登記の義務化(2024年4月1日施行)

背景:所有者不明土地問題

人口減少と高齢化に伴い、相続しても登記されない土地が増加しました。その結果、公共事業や災害復旧のために土地を使いたくても所有者が分からず連絡がつかない「所有者不明土地」が九州本島の面積を超える規模まで拡大しました。これを解消するため、国は「待つ姿勢」から「義務付ける姿勢」へと転換しました。

義務の具体的内容と期限

ルール:不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

遡及適用(そきゅうてきよう):最も注意すべき点は、2024年4月1日より前に発生していた相続も対象になることです。この場合、施行日から3年以内、つまり2027年3月31日が期限となります。「昔の相続だから関係ない」という言い訳は通用しません。

罰則(過料)

正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。これは刑事罰(罰金)ではなく行政罰ですが、裁判所から通知が来るため心理的負担は大きいです。

救済措置:相続人申告登記

遺産分割協議が難航し、3年以内に誰が所有者になるか決まらないケースも多々あります。その場合、新たに創設された「相続人申告登記」を利用します。

これは、「私が相続人です」という事実だけを法務局に申し出る簡易的な手続きです。これを行っておけば、とりあえず義務を果たしたとみなされ、過料を回避できます。その後、正式に遺産分割が決まったら、その日から3年以内に本登記を行えばよいという二段構えの制度です。

詳しくはこちら:相続人申告登記とは?必要書類・手続きのやり方をわかりやすく解説!

住所変更登記の義務化(2026年4月1日施行)

義務の具体的内容と期限

ルール:登記名義人の氏名や住所に変更があった場合、変更の日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません。

遡及適用:こちらも過去の変更に遡って適用されます。施行日(2026年4月1日)以前に住所変更があった場合、施行日から2年以内、つまり2028年3月31日までに登記する必要があります。

罰則

正当な理由なく違反した場合、5万円以下の過料の対象となります。

正当な理由とは?

以下のような事情がある場合は、過料の対象外となります:

  • DV被害者など、住所を知られることで身に危険が及ぶ場合
  • 重病等で手続きができない場合
  • 経済的困窮により費用が払えない場合
  • 行政区画の変更(市町村合併など)による住所変更

スマート変更登記(職権登記)の導入

住所変更の手間を軽減するため、「検索用情報の申出」という制度が始まります。

事前に法務局に生年月日等の情報(検索用情報)を提供しておけば、法務局が定期的に住基ネット等に照会をかけ、住所変更を検知した場合に職権で(自動的に)登記を変更してくれる仕組みです。これにより、引越しのたびに手続きをする煩わしさから解放されることが期待されています。

費用と税金:コスト構造の完全ガイド

不動産登記にはコストがかかります。「誰に頼むか」「どんな登記か」によって金額は変動しますが、その内訳を知ることで適正価格を判断し、節約することが可能です。

費用の3大要素

費用総額は以下の3つの要素で構成されます。

① 登録免許税

国に納める税金。誰が申請しても同額。

② 実費

戸籍謄本や住民票の発行手数料、郵送費、交通費など。

③ 専門家報酬

司法書士や土地家屋調査士への作業料。自分でやれば0円。

登録免許税の計算と税率一覧

登録免許税は、原則として「固定資産税評価額 × 税率」で計算されます。

登記の種類本則税率軽減税率条件・備考
土地の売買2.0%1.5%2026年3月31日までの登記申請
建物の売買2.0%0.3%自己居住用、床面積50㎡以上など(住宅用家屋証明書が必要)
相続(土地・建物)0.4%免税措置あり評価額100万円以下の土地は免税など
贈与・財産分与2.0%なし
所有権保存(新築)0.4%0.15%住宅用家屋証明書が必要
抵当権設定0.4%0.1%住宅用家屋証明書が必要
住所変更・抵当権抹消定額なし不動産1個につき1,000円(土地1筆+建物1個なら2,000円)

コストシミュレーション(相続の例)

評価額2,000万円の土地と、評価額1,000万円の建物を相続した場合:

  • 土地:2,000万円 × 0.4% = 80,000円
  • 建物:1,000万円 × 0.4% = 40,000円
  • 登録免許税合計:120,000円

専門家報酬(手数料)の相場

司法書士や土地家屋調査士に依頼した場合の報酬相場です。自由化されており事務所によって異なりますが、目安は以下の通りです。

依頼業務専門家報酬相場(目安)備考
相続登記司法書士5万〜15万円戸籍収集の量や物件数により変動
売買・贈与司法書士5万〜15万円抵当権設定は別途費用がかかる
抵当権抹消司法書士1万〜2万円比較的安価
住所変更司法書士1万〜2万円
建物表題登記土地家屋調査士8万〜15万円
土地分筆登記土地家屋調査士30万円〜境界確定測量が必須のため高額になりがち

書類取得費などの実費

  • 登記事項証明書:窓口600円、オンライン請求・郵送受取520円
  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本・改製原戸籍:1通750円(相続ではこれが何通も必要になります)
  • 住民票:1通200〜400円程度
  • 印鑑証明書:1通200〜400円程度

実践ガイド:自分でできる登記手続きの手順

コストを抑えるために自分で登記(本人申請)を行いたいユーザー向けに、一般的な流れを解説します。特に「抵当権抹消」や「住所変更」はDIYのハードルが低く、挑戦する価値があります。

STEP 1

現状の正確な把握

まず、登記簿(登記事項証明書)を取得し、現在の所有者の住所・氏名、物件の正確な所在・地番を確認します。「住所」と「地番」は異なることが多いため、必ず登記簿上の表記に従う必要があります。

登記事項証明書・登記簿謄本とは?

STEP 2

必要書類の収集

手続きごとに必要な書類を集めます。

  • 相続の場合:被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍・住民票・印鑑証明書、固定資産評価証明書など
  • 抵当権抹消の場合:銀行から送られてくる書類一式(弁済証書、登記済証、委任状、代表者事項証明書)
  • 住所変更の場合:住民票または戸籍の附票(旧住所から新住所へのつながりが証明できるもの)
STEP 3

登記申請書の作成

法務局のウェブサイトから様式をダウンロードし、作成します。

記載事項:登記の目的、原因、権利者、義務者、添付情報、課税価格、登録免許税、不動産の表示など

STEP 4

申請(提出)

管轄の法務局へ提出します。

  • 窓口:平日の8:30〜17:15のみ開庁。相談予約をしておけば、書類等の確認を受けられる場合があります。
  • 郵送:書留郵便等で送付。「不動産登記申請書在中」と赤書きします。返信用の封筒(切手貼付)を同封すれば、完了書類を郵送で返送してくれます。※手続き内容によっては郵便の指定があります。
STEP 5

完了・受領

申請から1〜2週間で審査が完了します。

  • 補正:書類に不備がある場合、電話連絡が来ます。軽微なミスなら法務局に行って訂正印を押せば直せますが、重大な欠陥(添付書類不足など)がある場合は「取下げ(申請のキャンセル)」をしてやり直しになります。
  • 完了証の受領:問題なければ「登記完了証」と、場合によっては「登記識別情報通知(権利証)」が発行されます。
手続き必要書類の例注意点
相続登記被相続人の出生〜死亡の連続戸籍、相続人全員の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書、遺産分割協議書、固定資産評価証明書戸籍収集が複雑。本籍地が複数回変わっていると取得が大変
抵当権抹消弁済証書、登記済証(または登記識別情報)、委任状、代表者事項証明書、印鑑証明書代表者事項証明書は3ヶ月以内のもの。放置すると期限切れに
住所変更住民票または戸籍の附票(旧住所から新住所へのつながりが証明できるもの)複数回転居していると、つながりの証明が困難な場合あり

⚠️ 専門家に依頼すべきケース(DIYのリスク)

以下のようなケースは、トラブル防止のため司法書士への依頼を強く推奨します:

  • 売買:代金決済と権利移転が同時のため、ミスが許されない
  • 複雑な相続:相続人が多い、疎遠な人がいる、数次相続(相続人が亡くなり次の相続が発生)している
  • 専門知識が不足している:各種アドバイス、税金の問題などがある場合
  • 急いでいる:補正などのロスタイムを避けたい場合

よくあるトラブルと解決策(FAQ)

Q. 権利証(登記済証)を紛失しました。再発行できますか?

A. できません。権利証は、いかなる理由があっても再発行されません。しかし、登記ができないわけではありません。以下の代替手段があります:

  • 事前通知制度:法務局から「申請がありましたが間違いないですか」という通知が本人に届き、実印を押して返送することで本人確認とする方法。時間はかかりますが費用はかかりません。
  • 本人確認情報の提供:司法書士に依頼し、面談を行った上で「本人に間違いありません」という証明書を作成してもらう方法。即日で手続きできますが、数万円〜の手数料がかかります。

Q. 建物が未登記でした。どうすればいいですか?

A. 表題登記と保存登記の2段階が必要です。

古い建物では、建築資金を現金で賄った場合などに、登記がされないまま放置されていることがあります。この場合、まずは土地家屋調査士に依頼して「建物表題登記」を行い、物理的な現況を登録します。その後、司法書士に依頼して「所有権保存登記」を行い、権利証を作成します。これらをしないと、売却や融資、リフォームローンの利用が困難です。

Q. 住民票のつながりが証明できません(住所変更)。

A. 「不在住証明書」や「権利証」を活用します。

住所変更登記では、登記簿上の旧住所から現住所までの変遷(A市→B市→C市)をすべて証明する必要があります。しかし、引越しを繰り返していると、役所の保存期間経過により過去の住民票(除票)や戸籍の附票が廃棄され、つながりが証明できないことがあります。

この場合、本籍地の役所で「戸籍の附票」を取得したり、登記済証(権利証)を添付したり、上申書を提出したりすることで、法務局に認めてもらう実務上のテクニックがあります。司法書士への相談をお勧めするケースです。

監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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