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土地を分筆・合筆したばかりのときや、建物を新築したばかりのときに、市町村の窓口で「その土地(建物)の固定資産評価証明書はまだ出せません」と言われて戸惑う方は少なくありません。相続や売買で名義変更(所有権移転登記)をしたいのに、登記に必要な評価額が手に入らない――そんな状況です。結論から言うと、評価額がない土地でも、近傍の宅地の単価をもとに登録免許税を計算すれば登記はできます。この記事では、年間2,000件超のご相談実績がある司法書士法人が、評価証明書が出ない理由(1月1日基準)、登録免許税の正確な計算方法、私道(公衆用道路)との違い、そして分筆・合筆で固定資産税がどう変わるかまで、混同しやすいポイントを整理してわかりやすく解説します。
● 出ない理由:固定資産評価証明書は1月1日(賦課期日)時点の課税台帳が基準。年度の途中で分筆・合筆・新築した土地や建物は、その年度の台帳に反映されていません。
● 登記はできる:評価額がなくても、近傍の宅地の単価をもとに課税標準を算定して登録免許税を計算し、登記できます。
● 計算式:近傍宅地の1㎡あたりの単価 × 新地番の地積 = 課税標準。これに税率を掛けます(相続0.4%・贈与2.0%・土地の売買は本則2.0%ですが軽減で1.5%=令和11年3月31日まで)。
● 私道だけ別計算(要注意):評価額が0円の公衆用道路(私道)は「近傍宅地単価 × 地積 × 30/100」。分筆直後の通常の宅地は30/100を掛けません(×1.0)。この2つの混同が最も多い誤りです。
● 単価の調べ方:他人名義の土地の評価証明書は原則として取得できないため、管轄の法務局に「近傍宅地指定の申出」を行い、市町村で「近傍宅地価格通知書」などの交付を受けるのが確実です。対象地自身の評価証明書の備考欄に近傍宅地単価が記載されることもあります。
● 新築建物:新築建物課税標準価格認定基準表の単価 × 床面積で課税標準を求めます。
● 固定資産税:分筆・合筆をしても、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者・現況に課税され、増減は翌年度から。判定は市町村の資産税課が行います。
関連記事:評価証明書とあわせて「名寄帳」を取得すると、所有する不動産を一覧で確認できます。詳しい取り方は名寄帳の取り方・見方【相続登記】 をご覧ください。
分筆や合筆をしたばかりの土地で、市町村から評価証明書が出ないのには、はっきりとした理由があります。それは、固定資産税が「1月1日(賦課期日)時点」の課税台帳をもとに決まるしくみだからです。
市町村は、毎年1月1日の時点で、誰がどの土地・建物を所有しているか、その評価額はいくらかを「固定資産課税台帳」に記録します。固定資産評価証明書は、この台帳の内容を証明する書類です。つまり、1月1日の時点で存在していなかった地番(分筆・合筆で新しく生まれた地番)や、まだ評価が済んでいない新築建物は、その年度の台帳に載っていないため、評価証明書を発行できないのです。
たとえば、ある年の3月に土地を分筆して新しい地番ができたとします。この新地番は、その年の1月1日の時点では存在していません。そのため、その年度の課税台帳・評価証明書には反映されず、新地番として評価証明書が取れるのは原則として翌年4月以降になります(翌年1月1日を基準に評価され、新年度から証明書が発行されます)。
市町村が発行する証明書には、評価額を証明する固定資産評価証明書のほか、税額まで記載した公課証明書、所有する物件を一覧にした名寄帳(なよせちょう)などがあります。登記の登録免許税の計算で原則として使うのは「評価証明書(その年度のもの)」です。評価証明書そのものの取得方法・委任状・有効期限については、固定資産評価証明書とは?取得方法をくわしく解説したページもあわせてご覧ください。
評価額が手に入らず登記で困るのは、おもに次の3つのケースです。いずれも「1月1日時点の台帳に載っていない」という共通の理由があります。
1筆の土地を2筆以上に分ける「分筆」をした直後は、新しく付いた地番がその年度の台帳に存在しません。たとえば「100番」を「100番1」「100番2」に分筆した場合、100番1・100番2という新地番の評価証明書は、原則として翌年度まで発行されません。相続や売買でこの新地番の名義変更をしたいときに、評価額が取れないという問題が起こります。
複数の土地を1筆にまとめる「合筆」をした直後も、まとめてできた新しい地番(または存続する地番)の評価が、その年度の台帳に反映されていないことがあります。合筆前の各筆の評価額は分かっても、合筆後の1筆としての評価証明書はまだ出ない、という状態です。
建物を新築した直後も、その建物はまだ評価が済んでいないため評価証明書が出ません。建物は、市町村の家屋調査を経て評価額が決まり、原則として翌年度から課税台帳に載ります。新築建物を相続・贈与・売買で登記する場合は、後述する「新築建物課税標準価格認定基準表」を使って課税標準を求めます。
土地を分ける・まとめるという分筆・合筆の登記(表題部の登記)は、土地家屋調査士の業務です。当センター(司法書士法人)は分筆・合筆の登記そのものは行いません。当センターが対応するのは、分筆・合筆が終わった後の土地について、相続・贈与・売買などで名義を変える所有権移転登記と、その登録免許税の算定です。分筆・合筆そのものをご希望の場合は、土地家屋調査士にご相談ください。
ここがこの記事のいちばん重要なポイントです。評価証明書が出ない土地でも、近傍(きんぼう=近く)の宅地の単価を使って課税標準を算定すれば、登録免許税を計算して登記できます。これは法務局が認めている方法です。
登録免許税の課税標準は、本来固定資産税評価額です(売買の取引金額・実勢価格ではありません)。評価額が存在しない場合に限り、近傍の似た条件の宅地の単価を基準に「この土地ならいくらか」を見積もって課税標準とします。具体的な手順は次のとおりです。
登記したい土地について、近くにある条件の似た宅地(近傍宅地)の1㎡あたりの単価を基準にします。ここで注意したいのは、他人名義の土地の固定資産評価証明書は、所有者・相続人や委任を受けた代理人などでなければ原則として取得できない点です。そのため実務では、管轄の法務局に「近傍宅地指定の申出」を行い、法務局が選定・指定した近傍地について、市町村の窓口で「近傍宅地価格通知書」などの交付を受けて単価を確認するのが確実な流れです。対象地自身の評価証明書の備考欄に近傍宅地単価が記載されていることもあります。
調べた近傍宅地の単価に、登記する新地番の地積(面積)を掛けて、課税標準額を求めます。通常の宅地は、この単価×地積がそのまま課税標準です(後述する私道のように30/100を掛けることはしません)。なお、相続などで持分の一部だけを移転する場合は、さらにその持分割合を掛けます。課税標準額は1,000円未満を切り捨てます。
課税標準額に、登記の原因に応じた税率を掛けます。相続による所有権移転は0.4%、売買は2.0%(土地の売買は軽減で1.5%・令和11年3月31日まで)、贈与は2.0%です。登録免許税額は100円未満を切り捨て、原則として最低額は1,000円です。ただし、土地の相続登記では、課税標準となる不動産の価額が100万円以下の場合などに登録免許税が免税となる特例(令和9年3月31日まで)があり、評価額がない土地でも算定した課税標準が免税要件に当たるか確認します。
言葉だけだと分かりにくいので、数字を当てはめてみましょう。
例:近傍宅地の単価が1㎡あたり10万円、登記する新地番の地積が150㎡、登記の原因が相続の場合。
① 課税標準 = 10万円 × 150㎡ = 1,500万円
② 登録免許税 = 1,500万円 × 0.4% = 6万円
このように、評価額がなくても近傍宅地の単価さえ分かれば、課税標準と登録免許税を計算できます。同じ土地を売買で登記する場合は税率が2.0%(土地の軽減適用で1.5%)になるため、登録免許税は大きく変わります。税率の詳細や一般的な計算については、登録免許税の計算ツール・税率の解説ページもご活用ください。
実務でとくに誤りが多いのが、ここです。「近傍宅地単価 × 地積 × 30/100(0.3)」という計算式は、公衆用道路(私道)で、固定資産税評価額がないものに限った特別な計算です。分筆・合筆をしただけの通常の宅地には、30/100を掛けてはいけません(×1.0、つまり単価×地積そのまま)。
なぜ私道だけ30/100なのかというと、不特定多数の人が通行する公衆用道路は、固定資産税が非課税となり、評価証明書に価格が記載されない(または0円と表示される)ことが多いためです。こうした公衆用道路でも登録免許税の課税標準を0円とはせず、近傍宅地の評価額を基準に「おおむね3割」を課税標準とする取り扱いが、多くの法務局で運用されています。あくまで評価額のない公衆用道路についての例外的な計算であり、評価額がまだ付いていないだけの通常の宅地とは性質がまったく違います。
もし通常の宅地に誤って30/100を掛けてしまうと、本来の3割しか登録免許税を納めないことになり、登記の補正や追納を求められることがあります。逆に、私道なのに30/100を掛け忘れると過大に納めてしまいます。私道(公衆用道路)かどうかの判断や0.3を適用してよいかは、必ず管轄の法務局に事前確認してください。法務局や自治体によって運用が異なる場合があります。
計算のカギになる「近傍宅地の単価」は、次のいずれかの方法で確認します。
新築したばかりの建物も、その年度の課税台帳に評価額が載っていないため評価証明書が出ません。この場合は、各都道府県の法務局が定める新築建物課税標準価格認定基準表を使って課税標準を計算します。
新築建物は、まず建物の物理的状況を登記する建物表題登記が必要で、これは土地家屋調査士の業務です。当センター(司法書士法人)が対応するのは、その後の所有権保存登記や、保存登記済みの建物を相続・贈与・売買で名義変更する所有権移転登記です。
新築建物課税標準価格認定基準表には、建物の種類(居宅・店舗・倉庫など)と構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)ごとに、1㎡あたりの単価が定められています。この単価に建物の床面積を掛けて課税標準を求めます。
たとえば、木造の居宅と鉄筋コンクリート造の店舗では1㎡あたりの単価が異なり、同じ床面積でも課税標準が変わります。基準表は法務局ごと・年度ごとに定められているため、登記する建物の所在地を管轄する法務局の最新の基準表を確認する必要があります。
新築したばかりの建物で通常申請するのは、最初の所有者として名義を登録する所有権保存登記(税率0.4%)です。さらに、自分が住むためのマイホーム(住宅用家屋)であれば、市町村で住宅用家屋証明書を取得し、床面積50㎡以上などの要件を満たして新築・取得後1年以内に登記することで、0.15%(認定長期優良住宅などは0.1%)への軽減を受けられる場合があります(令和9年3月31日まで)。新築直後に売買・贈与・相続で所有権移転登記を行う場合の税率は、それぞれ売買2.0%・贈与2.0%・相続0.4%です。
ここからは、検索でも多く調べられている「分筆・合筆をすると固定資産税はどうなるのか」という疑問にお答えします。登記の登録免許税とは別の話ですが、合わせて知っておくと安心です。なお、固定資産税の評価や増減を最終的に判断するのは市町村の資産税課であり、ここでは一般的な傾向の説明にとどめます。
1つの土地を複数に分けても、土地そのものの面積や価値が変わるわけではないため、単純な分筆では、分けた後の各筆の固定資産税の合計は、分筆前と基本的に変わりません。ただし、分け方によっては評価が変わり、結果として税額が動くことがあります。
複数の土地を1つにまとめる合筆でも、土地の価値の合計が大きく変わるわけではありませんが、合筆によって評価の前提が変わると税額が動くことがあります。たとえば、それまで道路に接していなかった無道路地が、道路に接する土地と合筆されて「道路付きの土地」として評価されるようになると、評価額が上がり固定資産税が上がる場合があります。
分筆・合筆によって固定資産税が実際にいくら上がる・下がるかは、土地の形状・接道状況・利用区分などをもとに市町村の資産税課が判定します。また、分筆・合筆の登記自体は土地家屋調査士の業務です。当センター(司法書士法人)は、これらの判定や表題部の登記は行いません。固定資産税の見込みは市町村の資産税課へ、分筆・合筆の登記は土地家屋調査士へご相談ください。当センターは、分筆・合筆後の相続・売買・贈与などによる名義変更(所有権移転登記)に対応します。
「年の途中で土地を分筆した。今年の固定資産税は、分かれた新しい地番ごとに請求が来るの?」というご質問もよくいただきます。結論はシンプルです。
固定資産税は、その年の1月1日(賦課期日)時点の所有者・現況に対して課税されるのが原則です。したがって、年の途中で分筆・合筆をしても、その年度の固定資産税は、1月1日時点の状態(旧地番)のままで課税されます。新しい地番ごとに分けて請求が来るのは、原則として翌年度からです。
たとえば、ある年の5月に「100番」を「100番1」「100番2」に分筆しても、その年度の固定資産税は「100番」に対して、1月1日の所有者あてに課税されます。新地番「100番1」「100番2」として課税されるのは翌年度からです。
不動産を売買するときに、その年の固定資産税を売主と買主で日割り計算して精算することがあります。これは当事者間の私的な合意(売買契約上の取り決め)であって、市町村に対する納税義務そのものを変えるものではありません。市町村は、あくまで1月1日時点の所有者(多くの場合は売主)に課税します。買主が負担する分は、売買代金の精算として売主に支払う、という整理です。年の途中で分筆して一部を売却した場合も、課税のしくみ自体はこの考え方が基本になります。
「分筆・新築・合筆をしても、その年の固定資産税は1月1日時点の状態で決まる」――この1点を押さえておけば、年度途中の変更で慌てる必要はありません。評価証明書が出ないのも、固定資産税が翌年度から変わるのも、すべて同じ「1月1日基準」というしくみから来ています。
評価額がない土地の名義変更は、近傍宅地単価の確認や私道の判断など、通常の相続登記より一手間かかります。ご自身で進めることもできますが、次の点には注意が必要です。
次のような場合は、専門家に相談することで手戻りやミスを防げます。
当センターでは、評価証明書が出ない土地・新築建物を含む不動産について、近傍宅地単価の確認から登録免許税の算定、相続・売買などの名義変更(所有権移転登記)や所有権保存登記の申請までを一括してサポートしています(分筆・合筆登記や建物表題登記は土地家屋調査士の業務のため、必要な場合はその要否を確認します)。全国対応・相談無料ですので、お気軽にご相談ください。なお、運用は管轄の法務局・自治体によって異なる場合があるため、最終的には管轄法務局への事前確認をおすすめします。
Q. 分筆したばかりの土地の評価証明書はいつから取れますか?
Q. 評価証明書が出ない土地は登記(名義変更)できないのですか?
Q. 近傍宅地の単価はどこで分かりますか?
Q. 分筆すると固定資産税は安くなりますか?
Q. 合筆すると固定資産税は上がりますか?
Q. 年の途中で分筆した場合、その年の固定資産税は分かれて請求されますか?
Q. 私道(公衆用道路)の登録免許税の計算は普通の土地と違いますか?
Q. 新築建物の登録免許税はどう計算しますか?
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