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相続発生後にやってはいけないこと10選|司法書士が「あとで揉める行動」を解説


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年1月12日
 

相続発生後にやってはいけないこと10選|司法書士が「あとで揉める行動」を解説
相続は「早く動く」より、順番を間違えないことが大事です。とくに遺言・相続人・財産が確定する前の"独断行動"は、後から手続が止まったり、争いの火種になります。
⚠️ 相続発生後にやってはいけないこと(まずはチェック)
  • 遺言書を勝手に開封する
  • 相続人を確認せずに手続を進める
  • 借金がありそうなのに預金を引き出す/財産を売る
  • 遺産分割協議書に内容確認せずハンコを押す
  • 期限(3か月・4か月・10か月・3年)を放置する
  • 口座・不動産・保険などを「とりあえず解約」する
  • 相続人同士で情報共有せず、ひとりで進める

1. 遺言書を勝手に開封する(最初にやりがちな危険行動)

相続では、遺言書の有無で手続のルートが一気に変わります。
封がある手書きの遺言書(自筆証書遺言)を家庭裁判所以外で開封すると、過料(5万円以下)の対象になり得る点も要注意です。

一方で、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」で保管されている遺言書や、公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。

✓ やるべき対応
  • 遺言書を見つけたら、開封せず保管
  • 自宅保管の遺言書なら、原則として家庭裁判所で検認へ(開封は家裁で)

2. 相続人を"決めつけて"動く(戸籍確認前の手続は危険)

「子どもは私たちだけ」「配偶者と長男だけ」——この思い込みが、相続の現場で一番多い落とし穴です。
認知した子、前婚の子、養子、代襲相続などがあると、相続人が変わります。

❌ よくある失敗
  • 相続人が確定していないのに、遺産分割協議書を作る
  • 一部の相続人だけで話を進める(後から無効・やり直し)
✓ やるべき対応

まずは戸籍で「誰が相続人か」を確定する(司法書士はここを最初に固めます)

戸籍の収集方法について詳しくは、相続登記に必要不可欠な戸籍謄本とはをご覧ください。

3. 借金がありそうなのに、預金を引き出す/財産を処分する

相続には「相続する/放棄する」選択があり、相続放棄は原則3か月以内(熟慮期間)です。
さらに、家庭裁判所へ申立てれば、状況により熟慮期間の伸長が認められることもあります。

⚠️ 重要

相続財産を処分すると、相続を受け入れた(単純承認)とみなされ、相続放棄が難しくなる可能性がある点です(典型例:預金を引き出して使う、財産を売る等)。

✓ やるべき対応
  • 借金の可能性があるなら、まずは資産・負債の調査
  • 3か月の間に判断が難しければ、期間伸長の申立ても検討

4. 「葬儀代だから」と口座から勝手に引き出す(ルールを知らず揉める)

遺産分割前でも、一定範囲で相続預金の払戻しができる制度があります。
ただし、上限や計算式があり、金融機関ごとに上限150万円などの制約があります。

制度のイメージ
  • 口座・明細ごとに「一定額」だけ単独払戻しOK
  • ただし、同一金融機関内での払戻しは上限(例:150万円)
✓ やるべき対応
  • 引き出す前に、まずは金融機関へ「相続の払戻制度」の案内と必要書類を確認
  • 立替がある場合は、領収書・メモを必ず残す(精算トラブル予防)

5. 遺産分割協議書に"よく分からないまま"署名・押印する

遺産分割協議書は、いったん署名押印すると後から覆すのが難しい書類です。
内容を理解せずに親族が用意した協議書に署名・押印はやめましょう。
また、内容に漏れ(不動産や預金の書き忘れ)があると、手続が止まったり、追加協議が必要になります。

✓ やるべき対応
  • 財産の一覧(不動産・預金・株・車・保険・負債)を揃えてから署名
  • 署名押印前に、名寄せ・通帳履歴・固定資産税通知などで再チェック

6. 不動産を急いで売る/名義変更を急ぐ("誰のものか"が固まっていない)

不動産は、相続の中心で揉めやすい財産です。
遺産分割が固まっていない段階で売却話を進めると、後で相続人の同意が取れず破談・損害…ということも起こります。

⚠️ さらに重要:相続登記は義務化

2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として取得を知った日から3年以内に申請が必要です。

遺産分割がまとまらない場合の"つなぎ"として、相続人申告登記という制度も用意されています。

詳しくは、2024年相続登記が義務化|期限3年・過料10万円のポイントと対応策を解説をご覧ください。

7. 期限を放置する

最低限、次の期限は押さえてください。

手続期限備考
相続放棄・限定承認原則3か月(熟慮期間)期間伸長の申立ても可能
準確定申告4か月以内故人の所得税申告
相続税10か月以内申告・納付の両方
相続登記原則3年以内2024年4月から義務化

※相続税が関係するかどうかは、財産構成で変わります。税務判断が絡む場合は税理士連携が確実です。

8. 「相続税は関係ない」と決めつける

相続税が不要でも、準確定申告(4か月)が必要なケースがあります。
また、相続税がかからないと思っていたのに、後で「不動産評価・生命保険・名義預金」などで想定が変わることもあります。

9. 証拠になり得るものを捨てる(通帳・明細・郵便物・契約書)

相続は「何が財産か」を証明できないと進みません。
通帳、キャッシュカード、保険証券、株の通知、ローン明細、固定資産税通知書などは、捨てずに一箇所へ保管が鉄則です。

10. 相続人間で情報共有せず"独断"で進める

相続は共同作業です。
「よかれと思って」やった行動が、他の相続人から見ると不信につながります(特に預金の払戻し・形見分け・不動産の管理)。

✓ やるべき対応
  • 共有用のメモ(財産一覧/進捗/領収書)を作る
  • 重要な手続(預金払戻し、遺産分割協議書)前に必ず共有

まず何をすればいい?"安全に進む"最初のステップ

相続発生後の基本手順
  1. 遺言書の有無確認(開封しない)
  2. 相続人の確定(戸籍収集)
  3. 財産と負債の棚卸し(預金・不動産・保険・株・ローン等)
  4. 借金の可能性があるなら、3か月(熟慮期間)を意識
  5. 不動産があるなら、相続登記3年のタイマーが動いていることを意識(まとまらなければ相続人申告登記も検討)

よくある質問

葬儀費用を故人の口座から払っていい?
払戻制度の枠内で可能な場合がありますが、上限・計算式・必要書類があります。領収書保管と相続人への共有が重要です。
相続放棄は「亡くなった日から3か月」?
原則は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。伸長申立てもあります。
相続税の申告期限は?
被相続人が亡くなった日(相続開始日)の翌日から10か月以内です。
相続登記はいつまで?
原則、取得を知った日から3年以内です。
詳しくは2024年相続登記が義務化|期限3年・過料10万円のポイントと対応策を解説をご覧ください。
遺産分割がまとまらない…登記義務はどうする?
相続人申告登記という"つなぎ"があります。
まとめ:相続は「やってはいけない順番」を避ければ、揉めにくくなる

相続直後は気持ちが追いつかず、つい手を動かしたくなります。
でも、相続は順番が命です。

  • 開封しない(遺言)
  • 決めつけない(相続人)
  • 動かさない(借金が不明な間の処分)
  • 期限を落とさない(3か月・4か月・10か月・3年)

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司法書士 板垣隼
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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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