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自筆証書遺言書保管制度の使い方|法務局に遺言書を預ける手続きと注意点


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年12月25日
 

自筆証書遺言書保管制度の使い方

1. 自筆証書遺言書保管制度とは?

自分で書いた「自筆証書遺言」を、法務局(遺言書保管所)で原本+画像データとして保管してもらえる制度です。自宅保管で起こりがちな紛失・隠匿・改ざんリスクを下げられるのが大きな特徴です。

さらに、制度を使うと相続開始後(亡くなった後)は、原則必要になる家庭裁判所の「検認」が不要になります。

司法書士の実務コメント

相続登記(不動産の名義変更)では、「遺言書がすぐ使えるか」「検認が必要か」で初動のスピードが変わります。保管制度は、相続手続の"スタートの詰まり"を減らす仕組みとして有効です。

2. まずは全体像:保管申請は「5ステップ」で考える

保管申請は、ざっくり次の流れです。

  1. 遺言書を作成する
  2. 遺言書保管所(法務局)を決める(住所地・本籍地・不動産所在地のいずれか)
  3. 保管申請書を作成する
  4. 予約する(予約必須)
  5. 本人が法務局へ行き申請 → 保管証を受け取る
⚠️ ポイント

2通目以降を追加で預ける場合、最初に申請した遺言書保管所にしか申請できない点は見落としがちです。

3. 【ステップ別】保管申請のやり方(つまずきやすい所も解説)

ステップ1:遺言書を作成する

制度の対象は「自筆証書遺言」です(作成は本人が行う必要があります)。
※法務局は"内容の相談"や"内容が適切か"のチェックはしてくれません。書き方・分け方の設計は専門家相談が安心です。

司法書士の実務コメント(ここが重要)

遺言は「書けているつもり」でも、相続登記の現場では

  • 不動産の特定が弱い(地番・家屋番号などが曖昧)
  • 預貯金の名義・支店が曖昧
  • 受遺者の住所・氏名が不正確

で、金融機関や登記で追加確認が発生しがちです。財産の書き方だけでも事前に点検すると、相続人の負担が大きく減ります。

ステップ2:申請する法務局(遺言書保管所)を決める

次のいずれかの管轄から選べます。

  • 遺言者の住所地
  • 遺言者の本籍地
  • 遺言者が所有する不動産所在地

ステップ3:保管申請書を作成する

所定の保管申請書に必要事項を記入します。

ステップ4:予約する(ここが盲点)

保管制度に関する手続は、予約が必要と案内されています。
「書類をそろえたのに窓口で受け付けてもらえない」というトラブルが起きやすいので、先に予約導線を確認しておくのがおすすめです。

ステップ5:本人が法務局に行き、申請する(持ち物チェック)

予約日時に、遺言者本人が遺言書保管所へ行きます。

持参物は次のとおりです。

  • 遺言書
  • 保管申請書
  • 添付書類(例:住民票の写し等(作成後3か月以内))
  • 顔写真付きの身分証(運転免許証、マイナンバーカード等)
  • 手数料:遺言書1通につき3,900円

申請が終わると、「保管証」を受け取ります。

4. いくらかかる?費用の目安(制度利用のコスト表)

代表的な手数料は次のとおりです。

手続き内容手数料(円)備考
保管申請3,900円遺言書1通につき
モニター閲覧(生前/死後)1,400円画面での確認
原本閲覧(生前/死後)1,700円原本の確認
遺言書保管事実証明書800円相続開始後、保管の有無を確認
遺言書情報証明書1,400円相続開始後、各種手続に使用

5. 預けた後にできること(生前)

(1) 閲覧(自分の遺言書を確認)

遺言者本人のみ、生前に閲覧請求できます。

(2) 撤回(返還)

預けた遺言書を取りやめて返還を受けることができます。

(3) 内容を変更したいとき

実務上は、一度撤回→内容を直して→再申請が推奨されています。

(4) 住所や氏名などが変わったら「変更届」

遺言者本人(または一定の法定代理人)が、変更届を出す必要があります。

6. 相続開始後(亡くなった後)に相続人ができること

相続人等は、主に次の手続が可能です。

(1) まず「保管されているか」を確認する:遺言書保管事実証明書

「その人の遺言書が法務局に預けられているか」を確認するための証明書です。

(2) 内容を確認し、各種手続に使う:遺言書情報証明書

遺言書の画像情報が印刷された証明書で、遺言書原本の代わりとして各種手続に使用できるとされています。
※相続登記・金融機関などでの提出書類として使う場面が多いところです。

また、交付請求は郵送でも可能とされています(一定の条件あり)。

7. 通知が来る仕組み(家族が"遺言の存在"に気づける)

保管制度の強みのひとつが「通知」です。

関係遺言書保管通知

相続人等の誰かが閲覧や情報証明書の交付を受けた場合、他の相続人全員に「保管されている」旨が通知される

指定者通知

生前に希望していれば、遺言者の死亡が確認できた時点で、指定した人(最大3名)に通知される

司法書士の実務コメント

「遺言を書いたのに見つからない」が一番もったいないパターンです。
"指定者通知"の設定は、相続人に確実に気づいてほしい方ほど検討価値があります。

8. 保管期間はどれくらい?

自治体の案内では、

  • 原本:遺言者死亡後50年
  • 画像データ:遺言者死亡後150年

とされています。

9. よくある質問(FAQ)

Q1. だれでも申請できますか?
A. 保管申請は遺言者本人が行い、予約日時に本人が出向く流れです。
Q2. 法務局は遺言の内容までチェックしてくれますか?
A. 内容の相談や内容の妥当性チェックはしてくれません。
Q3. 相続が始まったら、まず何を取ればいい?
A. まず保管の有無を確認する「保管事実証明書」、内容確認と手続利用には「遺言書情報証明書」が基本動線です。
Q4. 証明書の請求は郵送でもできますか?
A. 遺言書情報証明書は郵送請求も可能とされています(条件・添付書類は要確認)。
Q5. 遺言を直したくなったら?
A. 一度撤回して返還を受け、内容を修正して再申請する方法が案内されています。
Q6. 手数料はいくら?
A. 申請3,900円、閲覧1,400円/1,700円、保管事実証明書800円、情報証明書1,400円が目安です。

10. 司法書士からの「失敗しないための3つの助言」

専門家目線での重要ポイントをお伝えします。

  • "方式"は通っても、"内容"で揉める

    法務局は形式確認が中心。分け方・財産の特定・付言事項などは、相続の実務に耐える形に整えるのが重要です。

  • 不動産があるなら、登記で困らない書き方を意識

    所在地だけでなく、登記簿で特定できる粒度(地番・家屋番号等)で書くと、相続人が迷いません。

  • 通知(指定者通知)を"使う前提"で設計すると強い

    「誰に知らせたいか」を決めておくと、遺言が"発見されない"事故を減らせます。

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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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