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不動産登記とは?仕組みや必要性を司法書士が分かりやすく解説


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年1月18日
 

不動産登記とは?司法書士が分かりやすく解説

家を購入したり、親から不動産を相続したりすると、「不動産登記」という手続きを耳にする機会が増えます。しかし、不動産登記とは一体どんな制度で、なぜ必要なのでしょうか。

不動産登記とは、土地や建物などの不動産に関する物理的な状況や所有者・権利関係を、法務局が管理する公の登記簿に記録して公示する制度です。この制度によって「どの不動産が誰のものか」が公式に明らかになり、第三者にも確認できるようになっています。

本記事では、司法書士(不動産登記の専門家)の視点から、不動産登記の基本や目的、登記が必要となるケースや手続きの流れについて、やさしく解説します。不動産を相続・購入された方のお役に立てれば幸いです。

この記事のポイント

  • 不動産登記は、土地・建物の所在地や面積、所有者の氏名・住所などを法務局の登記簿に登録して公に示す制度です
  • 登記を行うことで不動産の所有権が公的に証明され、第三者に対して自分の権利を主張できるようになります
  • 2024年の法改正により相続登記の申請義務が創設され、怠ると10万円以下の過料(罰則)を科される可能性があります
  • 登記の申請自体は自分でも行えますが、必要書類の収集や申請書作成には専門知識と手間がかかります

不動産登記の仕組みと登記簿に記載される内容

不動産登記は、法務局(登記所)が備える登記簿という公的な台帳に情報を登録することで行われます。登記簿は不動産一筆一棟(1つの土地または1つの建物)ごとに作成されており、土地と建物で別々に登記簿が存在します。

登記簿の構成は「表題部」と「権利部」に分かれており、権利部はさらに甲区(所有権に関する事項)乙区(所有権以外の権利に関する事項)に区分されています。

登記簿に記載される主な情報

区分記載内容
表題部不動産の物理的現況(所在地、地番、地目、地積、建物の種類・構造・床面積など)
権利部(甲区)所有権に関する事項(所有者の氏名・住所、取得年月日、取得原因など)
権利部(乙区)所有権以外の権利(抵当権、地上権、賃借権など)

法務局の登記簿には、「どこにあるどのような不動産(土地・建物)なのか」「現在の所有者は誰なのか」「どの金融機関からいくらお金を借りているのか(抵当権の有無)」といった情報が記録されており、これらの情報は一般に公開されています。

手数料を支払えば誰でも登記情報を閲覧でき、登記内容が記載された登記事項証明書(登記簿謄本)の交付を受けることも可能です。

登記事項証明書(登記簿謄本)とは?取得方法や見方を解説

不動産登記が必要になるケース

一般に、不動産の所有者や権利関係に変動があった場合には、速やかに登記を行うことが求められます。具体的には、次のようなケースで不動産登記(所有権移転登記等)が必要となります。

ケース登記の内容
相続親などから不動産を相続した場合(相続登記
※2024年4月より義務化
売買他人から住宅を購入した場合(売買による所有権移転登記
贈与不動産を第三者に贈与した場合(贈与による所有権移転登記
財産分与離婚に伴い不動産を配偶者に譲渡した場合(財産分与による所有権移転登記
新築土地に新たに建物を新築した場合(建物の表題登記および所有権保存登記)
※取得日から1か月以内の申請義務あり
住宅ローン住宅ローンを利用して抵当権を設定する場合(抵当権設定登記)

いずれの場合も、登記を怠ると登記簿上の情報が古いままとなり、所有者や権利内容に齟齬が生じてしまいます。その結果、権利保護上の問題が発生する可能性があります。不動産を取得・処分したときには、忘れずに必要な登記手続きを行うようにしましょう。

なぜ不動産登記が必要? – 登記の必要性とメリット

不動産登記を行う最大の理由は、自分の権利(所有権など)を法律的に保全するためです。民法上、不動産の所有権移転は契約だけでも有効に成立しますが、第三者に対抗するには登記が必要とされています(民法177条の定める対抗要件)。

端的に言えば、登記をしていないと、自分がその不動産の所有者であることを他人に主張できないのです。

登記を怠った場合のリスク

例えば、悪意の売主が一つの不動産を二人に売るような詐欺を行ったケースを考えてみましょう。先に契約したAさんが登記せずにいるうちに、売主が別のBさんにも同じ不動産を二重に売却し、BさんがAさんより先に登記を備えてしまったとします。

この場合、法律上は先に登記をしたBさんが真の所有者とみなされ、Aさんは代金を払ったのに不動産を取得できないことになります。登記をしないことで、こうした重大な権利喪失のリスクが生じ得るのです。

登記をすることのメリット

  • 権利の公的証明:所有権や抵当権といった目に見えない権利を公の記録に残すことができます
  • 取引の円滑化:不動産を売却する際や担保に銀行から融資を受ける際にも円滑に手続きを進められます
  • 紛争の予防:権利関係を明確にしておくことで、将来の紛争(所有権を巡る争いや相続人間の争い等)を未然に防ぐ効果があります
  • 社会的責任:所有者不明土地の発生を防ぎ、社会全体の不動産秩序を維持する役割も担います

重要:相続登記を長年放置すると、相続が繰り返されるうちに所有者の所在がわからなくなったり、相続人の数が膨大になったりして所有者不明土地となるリスクがあります。所有者不明土地は国土の約23%にのぼるとも推計され(令和6年(2024年)の国土交通省調査)、公共事業や防災の妨げになるなど社会問題化しています。

不動産登記の手続きと流れ

具体的に不動産登記の手続きはどのように行われるのでしょうか。基本的に、不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に対して登記申請を行います。

登記申請の基本的な流れ(所有権移転登記の場合)

  1. 必要書類の準備
    登記の原因や内容によって異なりますが、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、登記識別情報(権利証)など多数の書類が必要です
  2. 登記申請書の作成
    所定の登記申請書を作成し、添付書類とともに準備します
  3. 法務局へ提出
    管轄の法務局へ申請書と添付書類を提出します(窓口持参、郵送、またはオンライン申請)
  4. 審査
    登記官による審査が行われます。不備があれば補正(修正)を求められます。審査期間は通常1週間~2週間程度です
  5. 登記完了
    審査が完了すると、新しい所有者の名義になった「登記識別情報通知(いわゆる権利証)」が発行されます

注意:登記識別情報は12桁のパスワードが記載された重要書類であり、再発行はできないため、厳重に保管する必要があります。

相続登記の場合の主な必要書類

書類名内容
被相続人の戸籍謄本等出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
被相続人の住民票除票被相続人の戸籍上の人物との同一性を証明
相続人全員の戸籍謄本現在の戸籍謄本
相続人全員の住民票新しい所有者となる方の現住所証明
遺産分割協議書相続人全員の署名・実印押印が必要
相続人全員の印鑑証明書遺産分割協議書に押印した実印の証明
固定資産評価証明書登録免許税の計算のため

登記にかかる費用

権利に関する不動産登記を行う際には登録免許税という税金がかかります。登録免許税とは登記申請のときに国に納める税金で、不動産の固定資産税評価額に基づいて税額が決まります。

主な登記の登録免許税

登記の種類税率備考
相続による所有権移転0.4%評価額1,000万円なら4万円
免税措置あり(一定条件)
贈与による所有権移転2.0%評価額1,000万円なら20万円
財産分与による所有権移転2.0%贈与と同じ税率
売買による所有権移転(土地)1.5%令和8年3月31日まで軽減措置中
(本則2.0%)
抵当権設定0.4%住宅用家屋証明があれば0.1%に軽減
抵当権抹消1,000円不動産1個につき1,000円(定額)

その他の費用

必要書類の取得実費:戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などの証明書発行手数料、登記事項証明書の交付手数料など、案件によりますが数千円~数万円程度の実費がかかります。

司法書士報酬:専門家に依頼した場合には報酬(手数料)が必要です。報酬額は案件の難易度や地域によって差がありますが、相続登記の場合で5~15万円程度が一つの目安とされています。

相続登記の義務化について

2024年4月1日より、改正不動産登記法により相続登記の申請が義務化されました。これは日本の不動産政策における歴史的な転換点であり、すべての不動産所有者およびその相続人に直接的な影響を及ぼします。

詳しくは「相続登記の義務化について」や「相続登記」のページをご覧ください。

義務化の具体的ルール

相続人は以下のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います。

  • 相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)
  • 自らがその不動産の所有権を取得したことを知った日

重要な注意点:

  • この義務化は、2024年4月1日以降に発生した相続だけでなく、それ以前に発生し未登記のまま放置されている相続についても適用されます(遡及適用)
  • 施行日前に発生していた相続については、2027年(令和9年)3月31日が登記の履行期限となります
  • 正当な理由がないにもかかわらず、期間内に相続登記の申請を行わなかった場合、10万円以下の過料(罰則)に処される可能性があります

救済措置:相続人申告登記

「遺産分割協議がまとまらない」といった理由で、3年以内に正式な名義変更ができないケースも想定されます。そのような場合のための救済措置として新設されたのが「相続人申告登記」です。

  • 概要:相続人が法務局に対して「私が相続人です」と申し出る手続き
  • 効果:これを行うことで、とりあえず申請義務を履行したとみなされ、過料を回避できます
  • 特徴:特定の相続人が単独で申し出ることができ、添付書類は申出人の戸籍謄本のみで足ります
  • 注意点:あくまで「報告」であり、権利関係(所有権)は確定しません。最終的には遺産分割協議を経て正式な相続登記を行う必要があります

司法書士に依頼するメリット

不動産登記の手続きは複雑で書類も多いため、多くの方は司法書士など専門家に依頼しています(表示に関する登記の場合は土地家屋調査士)。司法書士は登記手続きのプロフェッショナルであり、登記申請を代理できる国家資格者です。

専門家に依頼する主なメリット

メリット内容
正確性と安全性書類の不備や申請書の誤記入を防ぎ、法的に矛盾のない完璧な申請を行います
複雑な事案への対応行方不明の相続人がいる、認知症の相続人がいるなど、特殊なケースにも対応できます
時間と労力の節約戸籍の収集、書類作成、法務局への申請など、すべてを代行してくれます
トラブル防止厳格な本人確認と意思確認により、詐欺や犯罪に巻き込まれるリスクを未然に防ぎます
遠方対応オンライン申請対応の事務所であれば、全国どこからでも依頼が可能です

もちろん、登記申請自体はご本人が自分で行うことも法律上可能です。ただし、実際に必要書類を不足なく集めて正確な申請書を作成するには相当な時間と労力がかかります。専門知識がないと難しい部分も多いため、不安がある場合は最初から専門家に依頼することをおすすめします。

不動産の名義変更は自分で手続きできる?専門家に依頼が必要?

よくある質問(Q&A)

Q1. 不動産登記は必ずしなければいけないの?

法律上、相続による所有権移転登記(相続登記)は2024年以降義務化されており、相続で不動産を取得した人は取得を知った日から3年以内に登記申請をする必要があります。期限内に申請しないと(正当な理由なく放置した場合)法務局からの催告を経て10万円以下の過料の対象となり得ます。

一方、売買・贈与などその他の名義変更登記については法律上の義務(罰則)はありません。しかし、登記をしないと第三者に所有権を対抗できず権利の証明もできないため、どのケースであっても速やかに登記しておくことが重要です。任意手続きとはいえ、不動産登記を怠れば自分の財産を守れない可能性がある点に注意してください。

Q2. 登記をしないとどうなる?(放置すると問題ある?)

登記をせずに放置すると、さまざまなリスクや不利益が生じます。

  • 相続関係者の増加:相続登記を長年行わないでいると、その間に相続人が次々に亡くなって世代交代が起こり、相続関係者(登記すべき人)が雪だるま式に増えてしまいます
  • 取引の支障:不動産を売却したり担保に入れたりしようとしても、登記簿上の所有者が故人のままでは取引に支障が出て実行できません
  • 過料の制裁:2024年の法改正後は、相続登記を放置すると最終的に過料(最大10万円)の制裁を受ける可能性もあります
  • 権利の喪失リスク:売買の場合でも、登記を怠っていると第三者に権利を主張できず、最悪の場合は自分の不動産を失うリスクさえあります

不動産登記は後回しにせず、早めに済ませることが肝心です。

Q3. 登記の手続きは自分でできますか?

不動産登記は、ご本人が自分で申請することも法律上可能です。ただし、実際に必要書類を不足なく集めて正確な申請書を作成するには相当な時間と労力がかかります。専門知識がないと難しい部分も多いため、「誰でもできるとは言えませんが、時間と労力をかければ可能」というのが実情です。

自力で登記にチャレンジする場合、法務局の登記相談窓口(登記手続案内)などで一般的な書式や記載方法の説明を受けることもできます。ただし、法務局の案内はあくまで一般的な手続き説明に留まり、個別具体的な相談には対応していない点に注意が必要です。

不安がある場合は、無理をせず最初から専門家(司法書士等)に依頼することをおすすめします。

Q4. 登記にはどれくらいの費用がかかる?

登記の際にはまず登録免許税という税金がかかります。税額は登記の原因によって異なりますが、例えば所有権移転登記の場合は固定資産税評価額の0.4%(評価額1,000万円なら4万円)が課税されます。

この他、戸籍謄本・住民票・印鑑証明書など書類を揃える手数料や郵送費などの実費が数千円~数万円ほど必要です。

さらに司法書士に依頼する場合は報酬(手数料)が発生します。案件にもよりますが、相続登記で5~15万円前後、売買登記でも不動産価格や難易度に応じて数万円から十数万円程度が一般的な目安となっています。トータルの費用は物件や依頼内容によって変わりますので、事前に見積もりをとって確認すると安心です。

Q5. 「不動産名義変更」と「相続登記」はどう違うの?

不動産名義変更」は、不動産の所有者名義を変更するすべての手続きを指す広い概念です。相続・贈与・離婚・売買など原因を問わず、名義を変える登記はすべて「名義変更」に含まれます。

一方「相続登記」は、その中でも相続(人が亡くなったことによる所有権の承継)によって名義を変更するケースを指す言葉です。

したがって、相続登記は不動産名義変更の一種類という位置づけになります。手続き自体の流れは似ていますが、相続登記では戸籍の提出が必要になる等いくつか書類面の違いがあります。

まとめ

不動産登記は、不動産という大切な資産の権利関係を公に明らかにし、権利を保全するための重要な手続きです。土地や建物を相続・購入した際には、登記を通じて正式に自分の権利を主張できる状態にしておくことが不可欠と言えます。

登記を怠ると権利関係が不明確なままとなり、思わぬトラブルやリスクにつながりかねません。特に近年は相続登記の義務化により、登記を放置しないことの重要性がますます高まっています。

不動産は高価な財産ですので、その権利を守り安心して活用するためにも、不動産登記は速やかに正しく行いましょう。もし手続きに不安がある場合は、お近くの司法書士など専門家に相談することをおすすめします。専門家のサポートを得ることで、複雑な手続きも安全かつ円滑に進めることができるでしょう。

不動産登記を正しく理解し適切に行って、大切な不動産をしっかりと守ってください。

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司法書士 板垣隼
この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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