登記されていないことの証明書(要点まとめ)
● 何の証明書か:法務局が管理する後見登記等ファイルに「成年被後見人・被保佐人・被補助人」として登記されていないことを証明する公的書類。資格取得(医師・宅建士・司法書士など)や成年後見申立て・各種公的手続きで必要
● 取得できる場所:東京法務局後見登録課(東京都千代田区九段南1-1-15)または各都道府県の法務局・地方法務局の戸籍課(窓口受付)。郵送・オンライン(登記・供託オンライン申請システム)でも可能
● 必要書類と費用:①登記されていないことの証明申請書/②本人確認書類/③手数料300円(収入印紙)/④郵送の場合は返信用封筒・切手。代理人申請は委任状必須。本人・配偶者・四親等内の親族以外は委任状が必要
● 取得期間:窓口で即日交付(数十分)/郵送は法務局到達後おおむね1週間程度で発送/オンラインは申請から1〜3日。急ぐ場合は東京法務局後見登録課への直接窓口が最速
● 「身分証明書」との違い:本書類は法務局発行で「成年後見登記がないこと」を証明。一方、身分証明書は本籍地の市区町村役場発行で「破産・後見開始の宣告を受けていないこと」を証明。両方必要なケースもあるため混同注意
登記されていないことの証明書とは?
「登記されていないことの証明書」とは、法務局が管理する後見登記等ファイルに、その人についての記録がない(=成年被後見人・被保佐人等として登記されていない)ことを証明する書類です。

証明書の見本について(東京法務局HP)より
平成12年(2000年)4月1日に成年後見制度が施行されて以降、成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人及び任意後見人)が選任されると、法務局で所定の事項が登記されるようになりました。これにより、従来は戸籍に記載されていた後見等に関する情報は、「後見登記等ファイル」で公示される仕組みに変更されています。
ポイント
成年後見人等が選任されている場合は「登記事項証明書」を取得することで、成年後見人等の権限や成年被後見人の住所氏名等を証明できます。一方、「登記されていないことの証明書」は、その逆で、成年被後見人等として登記されていないことを証明するものです。
何を証明する書類?
この証明書は、以下の事項について登記がされていないことを証明します:
- 成年後見に関する登記(成年被後見人として登記されていない)
- 保佐に関する登記(被保佐人として登記されていない)
- 補助に関する登記(被補助人として登記されていない)
- 任意後見に関する登記(任意後見契約の本人として登記されていない)
平成12年4月1日以降は、戸籍ではなく「後見登記等ファイル」で公示される仕組みになったため、後見等に関する事項の証明にはこの証明書が使われます。
どんな場面で必要?
「登記されていないことの証明書」が必要となる主な場面は以下の通りです:
資格・免許の取得時
一定の職業や資格(弁護士、司法書士、宅地建物取引士など)については、かつて成年被後見人等であることが欠格事由として法律に規定されていました。そのため、その職業に就こうとする人や資格を取得しようとする人は、自分が成年被後見人等ではなく欠格事由に該当しないことを証明する必要がありました。
法改正による変更
令和元年(2019年)12月14日に「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が施行されました。これにより、現在では多くの法律で成年被後見人を欠格事由とする旨の規定が削除されています。
ただし、一部の資格や免許の申請では、依然として提出が求められる場合があります。
⚠️ 宅地建物取引士に関する最新情報
令和6年(2024年)5月25日以降、専任の宅地建物取引士については「身分証明書」「登記されていないことの証明書」の提出が不要となりました。
ただし、宅地建物取引業者免許申請においては、以下の方々は引き続き提出が必要です:
- 個人事業者の場合:代表者(未成年者の法定代理人を含む)、政令使用人
- 法人事業者の場合:役員(監査役含む)、相談役・顧問、政令使用人
医師の診断書による代替申請
宅地建物取引士の場合、「登記されていないことの証明書」や「身分証明書」に代えて、以下の内容を記載した医師の診断書による申請も可能です:
診断書の記載内容
「宅地建物取引士の事務を行うにあたり必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有する」旨を記載した医師の診断書
家庭裁判所の後見申立て時
家庭裁判所に後見・保佐・補助の開始を申し立てる際、既に後見等の登記が入っていないか確認する目的で求められることがあります。
その他の法的手続き
特定の契約や法的手続きにおいて、行為能力の確認のために提出を求められることがあります。
「身分証明書」との違い(混同注意)
⚠️ よく混同される書類
「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」は名前が似ているため混同されやすいですが、全く別の書類です。
| 項目 | 登記されていないことの証明書 | 身分証明書 |
|---|---|---|
| 発行機関 | 法務局(東京法務局後見登録課または全国の法務局・地方法務局の本局) | 市区町村役場 |
| 証明内容 | 後見登記等ファイルに記録がないこと(成年被後見人・被保佐人等として登記されていない) | ・禁治産・準禁治産の宣告を受けていない ・後見の登記の通知を受けていない ・破産宣告・破産手続開始決定の通知を受けていない |
| 主な用途 | 資格取得、家庭裁判所への申立て時など | 破産に関する確認も含めた総合的な身分証明 |
欠格確認の趣旨によっては、両方の書類が必要になるケースがあります。申請先の機関に事前に確認することをおすすめします。
取得方法
必要書類
- 申請書(法務局のホームページからダウンロード可能)
- 本人確認ができる書類
- 運転免許証
- 資格確認書
- パスポート
- マイナンバーカード など
・四親等内の親族が申請する場合:戸籍謄本等(発行から3か月以内)
・代理人が申請する場合:委任状等
申請先
- 東京法務局後見登録課
- 全国の法務局・地方法務局の本局の戸籍課
⚠️ 重要な注意点
支局・出張所では手続きできません。必ず本局で申請してください。
申請方法
「登記されていないことの証明書」は、以下の3つの方法で申請できます:
① 窓口申請
全国の法務局・地方法務局の本局で申請可能です。
- 受付時間:午前8時30分~午後5時15分
(窓口対応時間:午前9時~午後5時を推奨・2027年1月4日からは午後4時まで) - 所要時間:10分~20分程度
- 即日交付:多くの場合、即日で交付されます
② 郵送申請
東京法務局後見登録課のみで受付可能です。
郵送先住所
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎
東京法務局民事行政部後見登録課
- 必要なもの:
- 申請書(収入印紙300円を貼付)
- 本人確認書類のコピー
- 返信用封筒(返送先を明記し、郵便切手を貼ったもの)
- 所要時間:法務局に申請書が到達してから約1週間程度で発送
③ オンライン申請
登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)を利用してオンライン申請が可能です。
⚠️ オンライン申請の事前準備が必要
オンライン申請を利用するには、以下の事前準備が必要です:
- 電子証明書の取得:マイナンバーカードの電子証明書など、氏名及び住所の情報を確認できる電子証明書が必要
- 環境設定:パソコン環境や通信環境の設定、必要なプログラムのインストール
- 申請者情報登録:申請者ID及びパスワードの取得
オンライン申請の交付方法は2種類:
| 交付方法 | 内容 |
|---|---|
| オンライン交付 | 電子データ(PDF形式)により交付されます。ダウンロード後、電子署名付きのPDFファイルとして保存できます。 |
| 郵送交付 | オンラインで申請し、紙の証明書を郵送で受け取ります。 |
手数料
1通につき300円です(収入印紙で納付)。
処理期間
- 窓口申請:10分~20分程度(多くの場合、即日交付)
- 郵送申請:法務局到着後、約1週間程度で発送
- オンライン申請:申請方法により異なる(オンライン交付は比較的早い)
提出期限がある場合は、余裕をもって申請することをおすすめします。
証明書の有効期限
重要なポイント
「登記されていないことの証明書」自体に法律上の有効期限はありません。ただし、提出先の機関が独自に有効期限を定めている場合があります。
多くの場合、発行から3ヶ月以内の証明書の提出が求められます。これは、証明書の発行後に登記内容に変更が生じている可能性があるため、提出を受ける側が新しい証明書を求めるためです。
資格取得や許認可申請などで使用する場合は、事前に提出先に有効期限を確認することをおすすめします。
詳しい情報・申請書のダウンロード
法務局ホームページ「登記されていないことの証明申請について」で詳細な手続き方法や申請書の様式を確認できます。
オンライン申請については、法務省「オンラインによる成年後見の登記事項証明書等の送付請求について」をご参照ください。
よくある質問と注意点
「登記事項証明書」と言われた場合の注意
⚠️ 用語の混同に注意
法令上は、「登記事項証明書」と「登記されていないことの証明書」を総称して「登記事項証明書」と呼ばれることがあります。
そのため、各種資格・営業許可等に関する機関から「登記事項証明書」の提出を求められた場合で、その証明すべき内容が「成年被後見人・被保佐人等に該当しない」ことであるときは、実際には「登記されていないことの証明書」を指していることになります。
提出を求められた際は、以下の点を確認することが重要です:
- 成年後見人等が選任されている事実を証明するのか(→登記事項証明書)
- 成年後見人等が選任されていないことを証明するのか(→登記されていないことの証明書)
不明な場合は、提出先の機関に事前に確認することをおすすめします。
登記事項証明書との比較
「登記事項証明書」と「登記されていないことの証明書」は対になる証明書です。以下の表で2つの証明書の違いを確認できます:
| 比較項目 | 登記事項証明書 (あること証明) | 登記されていないことの証明書 (ないこと証明) |
|---|---|---|
| 証明する内容 | 「後見人がいます」という証明 | 「後見人は付いていません」という証明 |
| 主な使い道 | ・後見人が本人に代わって契約する ・銀行等で「私が後見人です」と示す | ・資格の取得、役員の就任時 ・後見の申立て(「まだ未登記」の確認) |
| 記載されること | 後見人の名前、本人の状況、権限の範囲 | 「この人は後見登記されていません」という一文 |
| 発行手数料 (窓口・郵送) | 550円 / 1通 | 300円 / 1通 |
| 申請できる人 | 本人、後見人、配偶者、4親等内の親族 | 本人、配偶者、4親等内の親族 |
| 申請場所 | 各地法務局(本局)、東京法務局(郵送) | 各地法務局(本局)、東京法務局(郵送) |
・成年後見制度を利用している(後見人がいる)→ 登記事項証明書
・成年後見制度を利用していない(後見人がいない)→ 登記されていないことの証明書
参考:成年後見制度と登記事項証明書
成年後見制度を利用している場合(成年後見人等が選任されている場合)は、「登記事項証明書」を取得することで、以下の情報を証明できます:
- 成年後見人等の氏名・住所
- 成年後見人等の権限の範囲
- 成年被後見人等の氏名・住所
- 後見開始等の審判がされた年月日
この登記事項証明書は、成年後見人等が不動産の売却や預貯金の解約などの法律行為を行う際に、その権限を証明するために必要となります。
成年後見の登記事項証明書について詳しくは、こちらのページをご参照ください。
