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相続税がかかる人・かからない人(要点まとめ)
● かかる人は約10人に1人:正味の遺産額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ相続税がかかります(令和6年分の課税割合10.4%・国税庁)。
● 判定は3ステップ:財産をざっくり洗い出す、基礎控除を計算する、両者を比較する。基礎控除以下なら相続税はかかりません。
● 申告期限は10か月:亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。過ぎると加算税・延滞税の対象になり得ます。
● 税額0円でも申告が必要な場合:配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例は「申告してはじめて適用」されます。
● かからない人も相続登記は必要:不動産の名義変更(相続登記)は3年以内の義務です(10万円以下の過料の対象になり得ます)。
相続税がかかるのは、亡くなった方の約10人に1人です(令和6年分の課税割合10.4%・国税庁)。かかるかどうかは、正味の遺産額が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかどうかで判定できます。
この記事では、税理士のような細かな税務計算ではなく、司法書士の立場から「自分は相続税がかかる人なのか」を確認する3ステップと、相続税がかからない人でも必要になる手続き(相続登記など)を解説します。
「相続が起きた=相続税を払う」と思われがちですが、実際に相続税の課税対象となるのは亡くなった方の約10人に1人(令和6年分の課税割合10.4%)です(出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」)。
相続税がかかるかどうかは、ざっくり言うと遺産の合計(正味の遺産額)が「基礎控除」を超えるかどうかで決まります。基礎控除は次の式です。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
相続人の人数が多いほど、相続税がかからない「枠」も大きくなります。まずはこの式に当てはめて、ご自身が「かかる人」なのか「かからない人」なのかの当たりをつけましょう。
財産を「ざっくり」洗い出す
最初は厳密な評価ではなく、概算で大丈夫です。
相続税では、遺産総額から非課税財産・葬式費用・債務などを差し引いた「正味の遺産額」で考えます。
基礎控除を計算する
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に人数を入れるだけです。法定相続人の数え方に迷う場合(相続放棄した人がいる・養子がいる等)は、戸籍の確認が必要です。
正味の遺産額と基礎控除を比較する
基礎控除以下なら、相続税はかかりません(特例を使わないなら申告も原則不要です)。超えそうなら相続税申告が必要な可能性が高いので、早めに税理士へ相談するのが安全です。
判定の注意:相続開始前の一定期間内に受けた贈与(令和6年以降の贈与から、加算される期間が段階的に最長7年に延長されています)や、相続時精算課税を選択していた贈与は、遺産に加算して判定します。預貯金や不動産だけを合計すると判定を誤ることがあるため、生前贈与があった方や基礎控除との差が小さい方は、税理士に確認してください。
「いくらまで無税か」は法定相続人の人数で決まります。正味の遺産額が下記の金額以下なら、相続税はかかりません。
法定相続人の「数」の注意点:基礎控除の計算に使う「法定相続人の数」には、相続税独自のルールがあります。
概算例:相続人が「配偶者+子供2人」=法定相続人3人の場合、基礎控除は4,800万円。正味の遺産額が4,500万円なら基礎控除内なので相続税はかかりません。一方、7,000万円なら差額の2,200万円が課税対象となり、申告の検討が必要です(配偶者の税額軽減などを使う場合は、税額0円でも申告が必要になり得ます)。
相続税の申告と納税は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行います。
期限を過ぎると、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります。「落ち着いたらやろう」と先送りしやすいので、税金まわりは期限管理を最優先にしましょう。なお、借金が多い可能性がある場合は、相続放棄・限定承認の期限(相続開始を知った時から原則3か月)のほうが先に来る点にも注意が必要です。
申告期限までに遺産分割がまとまらない場合でも、いったん法定相続分で計算して期限内に申告する等の対応が必要になることがあります。この場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は当初の申告では使えず、分割後に適用し直す手続きが必要になるため、早めに税理士へ相談してください。
一般の方がいちばんつまずきやすいポイントです。次の2つの制度は、使った結果として税額が0円になる場合でも「申告してはじめて適用」されます。
配偶者が取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは、配偶者に相続税がかかりません。ただし、この軽減で納税額が0円になる場合でも申告は必要です。
亡くなった方が住んでいた自宅の土地などについて、一定の要件を満たすと330㎡まで評価額を80%減額できる制度です。ただし、取得する相続人(配偶者・同居していた親族など)や相続後の居住・保有の状況によって適用の可否が変わる、要件の細かい制度です。この特例も申告してはじめて適用されます。
よくある勘違い:「うちは相続税がかからないはず」と思っていたのに、特例を使う前提なら申告が必要だった…というケースは珍しくありません。「基礎控除以下だから不要」なのか「特例を使うから0円(申告は必要)」なのかを区別しましょう。
「基礎控除以下だから相続税は関係ない」と分かっても、相続手続きそのものが不要になるわけではありません。むしろ大半の方は、税務署への申告ではなく、こちらの手続きが本番です。
亡くなった方名義の不動産(自宅・土地・マンション等)がある場合、相続税がかからなくても相続登記は必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続および所有権の取得を知った日から3年以内に、相続登記する義務があります。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象になり得ます。2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産も義務化の対象で、古い相続は令和9年(2027年)3月31日が期限です。なお、3年以内に遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記でいったん義務を果たす方法もあります(遺産分割の成立後は、改めて相続登記が必要です)。
→ 相続登記の義務化|期限3年・過料10万円のポイントと対応策
亡くなった方の銀行口座は、金融機関が死亡を把握した時点で入出金が止まります(いわゆる口座凍結)。解約・払い戻しには戸籍などの書類が必要で、必要書類は遺言の有無や金融機関によって異なります。相続税がかからない規模の相続でも、この手続きは避けて通れません。
相続開始からしばらくして、税務署から「相続税についてのお尋ね」という文書が届くことがあります。基礎控除以下で申告が不要な場合でも、届いたときは財産の概要を記入して返送しておくと安心です。「お尋ねが来た=相続税がかかる」ではないので、慌てる必要はありません。
相続税は「遺産総額に一律で税率をかける」のではなく、基礎控除を超えた部分を法定相続分で分けたうえで税率をかける、という独特の手順で計算します。一般の方がまず押さえておくべきポイントは次の2つです。
正確な税率表は国税庁「相続税の税率」で公表されています。実際の税額は不動産の評価・生前贈与の加算・各種控除で変わるため、細かい計算に自分で踏み込むより、基礎控除を超えそうだと分かった段階で早めに税理士に確認してください。
相続税と相続登記は別の手続きですが、現場では強くつながっています。必要な書類が大きく重なるからです。
戸籍謄本一式や遺産分割協議書は共通して使うため、同時並行で進めるのがいちばん合理的です。相続税の申告(10か月)のほうが期限が短いとはいえ、書類集めが二度手間になると両方が遅れがちです。
協議書は「税金の特例」も考慮してから確定を:税金の特例を考慮せずに「とりあえず先に名義変更だけ」と遺産分割協議書を作って登記まで済ませてしまうと、後から税額面で不利だと分かっても、遺産分割のやり直しは原則できません(やり直すと贈与とみなされて課税されるおそれがあります)。相続税の申告が必要になりそうな方は、協議書の内容を確定する前に税理士にも確認するのが安全です。
不動産を相続した場合の相続税の考え方(評価のしくみ・名義変更との関係)は、こちらで詳しく解説しています。
→ 相続税と相続登記とは?税率・基礎控除・申告期限を司法書士が解説
司法書士は、相続税の申告書作成や税額の確定計算を行う立場ではありません。そのうえで、相続税が絡む相続では次の部分をお手伝いできます。
「税金は税理士、登記は司法書士」と役割分担して進めると、全体がスムーズです。当センターに相続登記をご依頼の場合、相続税申告に対応する税理士のご紹介も可能です(関東対応エリアを中心)。それ以外の地域の方は、お住まいの地域の税理士にご相談ください。
正味の遺産額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にかかります。たとえば法定相続人が3人なら4,800万円を超えるかどうかが目安です。超えない場合、相続税はかかりません。
法定相続人が子供2人だけの場合、基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。正味の遺産額が4,200万円以下であれば相続税はかからず、特例を使わないのであれば申告も原則不要です。
いいえ。相続税がかからなくても、不動産があれば相続登記(名義変更)が必要です。相続登記は2024年4月から義務化されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。預貯金の解約・名義変更なども別途必要です。
配偶者の税額軽減(1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額まで非課税)や小規模宅地等の特例(自宅土地の評価を最大80%減額)を使って税額が0円になる場合は、申告してはじめて適用されるため、相続税の申告が必要です。
被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると加算税や延滞税がかかる場合があります。
亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取る場合は相続税の対象となり、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。非課税枠を超えた部分は相続税の課税対象(みなし相続財産)になります。保険料の負担者や受取人の組合せによっては、所得税や贈与税の対象になる場合があります。
できます。①財産をざっくり洗い出す→②基礎控除を計算する→③比較する、の3ステップで当たりをつけられます。基礎控除を超えそうな場合や特例を使いたい場合は、正確な財産評価が必要になるため税理士にご相談ください。
同時並行がおすすめです。戸籍謄本一式や遺産分割協議書など必要書類が大きく重なるため、まとめて集めると効率的です。相続税申告(10か月)のほうが相続登記(3年)より期限が短いため、期限管理は相続税を優先しつつ、登記も一緒に進めるのが合理的です。
相続税は、細かい計算に入る前に次の順で整理すると無駄なく前に進めます。
当センターは、相続登記・不動産の名義変更を専門とする司法書士法人です。年間2,000件超の相談実績をもとに、戸籍収集から遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請までを全国対応でサポートしています。「相続税がかかるか分からない」段階のご相談でも、相続登記に必要な戸籍収集・相続関係の整理からお手伝いできますので、お気軽にご相談ください(相続税の申告要否や税額の判断は税理士の業務範囲です)。
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