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相続登記のあとに間違いが発覚…どう直す?訂正登記(更正登記)の手続きと注意点


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年1月13日
 

名義変更後の訂正手続き|登記完了後に誤りが発覚したときの「更正登記」を司法書士が解説

相続登記(不動産の名義変更)が終わって一安心…と思ったのに、登記事項証明書(登記簿)を見たら誤字がある/持分が違う/住所が古いまま。
相続の現場では、こうした「登記完了後の誤り発覚」は珍しくありません。

大事なポイントは次のとおりです。

・登記が完了した後は、原則として"補正(修正)"では直せません

・誤りの内容に応じて、更正登記/変更登記/抹消登記/真正な登記名義の回復など、手続きが分かれます

・法務局側のミスなら、基本的に職権で更正してもらえます

この記事では、相続の専門家である司法書士の視点で、「どの手続きで直すべきかの見分け方」と「更正登記の具体的手順」を、できるだけ噛み砕いて解説します。

"更正登記"で直せる誤りと、直せない誤りがある

更正登記は、ざっくり言うと「登記事項に"最初から"誤り(錯誤)や漏れ(遺漏)があったので、訂正する登記」です。

ただし、更正登記は万能ではありません。
"訂正"の範囲を超えて、権利関係が別物になる修正は、更正では処理できず、抹消や別原因の登記(真正名義回復など)になることがあります。

【超重要】あなたのケースはどれ?

登記完了後の「間違い」は、まず次の3つに分けて考えると失敗しません。

A. 単純な誤記・転記(誤字、番地違い、持分の書き間違い 等)

例:相続人の氏名の漢字が1文字違う

例:住所が「1-2-3」のところ「1-2-8」になっている

例:持分が「2分の1」のはずが「3分の1」になっている(原因は"書き間違い")

更正登記で直す候補です。

B. "間違い"ではなく「あとから変わった」だけ(住所移転・氏名変更 等)

例:相続登記後に引越しした

例:結婚等で氏名が変わった

→ これは更正ではなく、住所・氏名の変更登記の領域です。
なお、住所等変更登記は2026年4月1日(令和8年4月1日)から義務化され、変更から2年以内の申請が求められます(施行前の変更も対象)

C. そもそも「権利の実態」が違う(相続人の漏れ/遺産分割が無効 等)

例:本当は相続人がもう1人いた(戸籍の見落とし)

例:遺産分割協議が成立していなかった(無効)

例:遺産分割のやり直しで、取得者そのものが変わった

→ 更正登記では足りない可能性が高く、抹消・移転・真正名義回復など、別ルートの検討が必要です(実務上ここが一番揉めやすい)。

職権更正とは?

不動産登記法では、登記官が登記に錯誤・遺漏を見つけた場合の扱いが定められており、登記官の過誤による錯誤・遺漏なら、許可を得て職権で更正する仕組みがあります。登記官のミスが原因であれば費用はかかりません。

  • 法務局の転記ミス等 → まずは法務局に相談し、職権更正で足りるか確認
  • 申請人(または代理人)の記載ミス → 原則、更正登記を申請して直す

更正登記の手続き|流れを具体化

ステップ1:まず"何がどう違うか"を確定する

  • 登記事項証明書(登記簿)を取り、誤り箇所にマーカー
  • 申請時の控え(登記申請書、添付書類の写し)があれば照合
  • 「書類は正しいのに登記だけ違う」のか「書類の時点で間違っている」のかを切り分けます(ここで手続きが分岐します)

ステップ2:更正でいけるか(="同一性"があるか)を判断

更正はあくまで「訂正」。
更正前後で"同じ権利の登記"と言える範囲に収まるかが勝負です。

  • 誤字・誤植、持分の記載ミスなど → 更正でいけることが多い
  • 取得者が変わる等 → 更正では難しくなることが多い(要個別判断)

ステップ3:必要書類を揃える(代表例)

ケースにより差がありますが、基本の発想は「正しい内容を証明できる資料」です。

  • 登記申請書(更正登記)
  • 登記原因証明情報
    (例:原因を「錯誤」「遺漏」として、何が誤りかを説明)
  • 証拠書面
    • 氏名・住所の誤り:住民票、戸籍の附票、戸籍謄本など
    • 持分の誤り:遺産分割協議書、法定相続分の根拠、計算過程の説明資料 等
  • 利害関係人の承諾書(必要なとき)
    例:抵当権者等、第三者の権利が登記上絡むケースは要注意

ステップ4:法務局へ申請(オンライン/書面)

申請自体は通常の登記と同様に行います。
ただ、更正は"理由の説明力"が命です。
「なぜ錯誤なのか」「何を根拠に正しいと言えるのか」が弱いと、補正指示や取り下げリスクが上がります。

料金の目安(登録免許税)|更正は"定額"が基本だが例外も

相続登記(移転登記)は評価額×0.4%が基本ですが、更正登記は多くの場面で不動産1個につき1,000円の定額扱いになります(代表的整理として、司法書士系の実務解説でもこの整理が示されています)

ただし注意点があります。

  • 「見た目は更正でも、実質的に名義が動く」ケース
  • 住宅用家屋証明の軽減など、過去の税率適用との関係が出るケース

などでは、追加税額が問題になることがあります。
ここは個別性が強いので、申請前に必ず確認をおすすめします。

相続で"特に多い"訂正パターン5選

訂正パターンポイント
(1) 氏名の誤字
(旧字体・俗字含む)
一見軽微でも、売却・担保設定の場面でストップしがち。早めに直すことをオススメ
(2) 住所の誤り
(番地違い/住居表示の混同)
「更正」なのか「変更」なのかを取り違えやすい。2026年4月から住所等変更登記は義務化なので、放置はおすすめしません
(3) 持分の誤り
(相続人間の計算ミス/入力ミス)
"訂正"で済む場合と、"やり直し"になる場合がある。遺産分割協議書の内容と整合しているかが最重要
(4) 登記原因日付の誤り
(死亡日・原因日付の記載違い等)
同一性が認められる範囲なら更正の対象になり得る。ただし実務判断が入りやすいので要注意(法務局照会推奨)
(5) 相続対象物件の誤り
(地番・家屋番号等)
A土地を長男、B土地を二男が相続する予定だったのに、遺産分割協議書や登記申請では逆になってた場合など。所有権抹消や新たな相続登記の申請が必要となる。

失敗しないためのチェックリスト(申請前にここだけ)

  • 登記簿の誤りは「誤記」か「変更」か「権利実態の違い」かを仕分けした
  • 正しい内容を裏付ける資料(戸籍・附票・協議書等)が揃っている
  • 抵当権など第三者の権利が絡んでいないか確認した
  • "早く直したい"ほど、法務局への事前相談(または司法書士への相談)

よくある質問(Q&A)

登記が終わった後でも、すぐ直せますか?
可能です。ただし「更正で直る誤り」か、「抹消や別原因が必要な誤り」かで難易度が大きく変わります。まずは誤りの種類を仕分けしましょう。
法務局のミスなら費用はかかりませんか?
登記官の誤りであれば基本的に費用はかかりません。申請内容に誤りがあり、それに法務局が気づかなかった場合は対象となりません。
住所が古いのは"誤り"ですか?
住所が「当時は正しかったが、その後変わった」なら誤りではなく住所変更登記です。2026年4月1日から義務化される点にも注意してください。

まとめ|迷ったら早めに専門家へ

名義変更後の訂正は、「更正登記」でスムーズに直ることも多い一方、相続人漏れ・協議の問題などが絡むと、手続きは一気に難しくなります。

「これ、更正でいける?」「抹消が必要?」の段階で判断を誤ると、時間も費用も増えがちです。
不安があれば、登記簿と手元資料をもとに、早めに司法書士へご相談ください。

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司法書士 板垣隼
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板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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