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戸籍の附票・住民票が古すぎて保存期間経過している場合、どうすればいい?


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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最終更新日:2026年6月2日

不動産の相続登記では、登記簿に記載された所有者と亡くなった被相続人が同一人物であることを示すため、戸籍の附票や住民票の除票で住所・本籍のつながりを確認します。ところが、引っ越しを繰り返していた方や、亡くなってから時間が経った古い住所を辿る場合、役所で「保存期間経過のため交付できません」と言われ、住所の履歴が途切れてしまうことがあります。本記事では、戸籍の附票・住民票が保存期間経過(廃棄)で取得できない場合でも相続登記を進めるための3つの対処法を、根拠となる法務省通達とあわせて司法書士が解説します(住所変更登記でも住所沿革の証明が問題になりますが、本記事は相続登記で同一性を証明する場面に絞って解説します)。

戸籍の附票・住民票が保存期間経過で取れない時の要点

① 何の書類か:戸籍の附票・住民票の除票は「登記簿上の住所」と「最後の住所」をつなぐ書類。相続登記で同一人物だと証明するために必要です。

② 保存期間:令和元年6月20日改正で5年→150年に延長。ただし改正前に5年で廃棄された古い記録(平成26年6月19日以前の消除分)は取得できません。

③ 取れなくても相続登記は可能:諦める必要はなく、3つの代替手段で同一性を証明できます。

④ 対処法①:登記済権利証があれば同一性証明の追加書類(不在籍・不在住・上申書)を省略できます(平成29年3月23日法務省民二第175号。戸籍一式など通常の書類は別途必要)。

⑤ 対処法②:住民票の除票(または戸籍の附票)・固定資産税の納税証明書・不在籍・不在住証明書をそろえ、一致条件を満たせば上申書を省略(令和5年12月18日法務省民二第1620号・3条件)。

⑥ 対処法③:上記がそろわなければ、不在籍・不在住証明書+相続人全員の上申書(印鑑証明付)で証明します。

⑦ 専門家相談:同一性の証明は法務局ごとに運用が異なります。判断が難しい場合は司法書士にご相談ください。

関連記事:被相続人がどの不動産を所有していたか調べるには「名寄帳」が有効です。詳しくは名寄帳とは?取得方法・必要書類 をご覧ください。

戸籍の附票・住民票の除票とは(用語解説)

対処法の前に、混同しやすい4つの書類の意味を整理します。住所のつながりを証明するときに登場する書類です。

書類
内容
戸籍の附票
本籍地の市区町村が、戸籍とセットで管理している「住所の履歴」の記録。その戸籍が作られてから現在までの住所の移り変わりが記載されます。
住民票の除票
転出・死亡などで住民登録が抹消(消除)された住民票のこと。亡くなった方の最後の住所などを証明します。「除票」とは「除かれた票」という意味です。
除附票(除かれた附票)
戸籍そのものが除籍(その戸籍の全員が死亡・転籍などで抜けた状態)になった際の附票。「戸籍の附票の除票」とも呼ばれます。
改製原附票
戸籍の様式が法改正で新しく作り直された(改製された)際の、改製前の古い附票。データ化前の古い住所が記載されていることがあります。

相続登記で住所がつながらないときは、まず戸籍の附票(または除附票・改製原附票)住民票の除票のどちらかで、登記簿上の住所と最後の住所をつなげられないかを確認するのが基本です。

保存期間の基礎知識(旧5年→150年・何年前まで遡れる)

なぜ、公的な書類である戸籍の附票や住民票の除票が取得できなくなるのでしょうか。理由は法律で定められた保存期間にあります。

令和元年に保存期間が「5年」から「150年」に延長された

住民基本台帳法の改正により、令和元年(2019年)6月20日から、住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が、それまでの「5年」から「150年」に延長されました。短い保存期間のために相続人の所在が確認できない、といった不都合が各地で生じていたことが背景です。

書類
改正前
改正後(令和元年6月20日〜)
住民票の除票
5年
150年
戸籍の附票の除票(除附票・改製原附票を含む)
5年
150年

古い記録は「すでに廃棄済み」で取れないことがある

注意したいのは、この延長は「改正の時点でまだ廃棄されていなかった記録」に適用される点です。改正前の5年ルールですでに保存期間が経過して廃棄されてしまった記録は、延長の対象にならず、現在も取得できません

おおまかな目安:転出・死亡などで消除された、または戸籍の改製で除票化された時期が平成26年(2014年)6月19日以前のものは、改正前に5年の保存期間を満了して廃棄されている可能性が高く、役所で交付を受けられないケースが多くあります。「戸籍の附票が10年以上前のものは取れない」「5年以上前で廃棄された」と言われるのはこのためです。

つまり、「何年前まで遡れるか」は消除・改製の時期しだいです。平成26年6月20日以降に消除または改製された記録は原則150年保存の対象ですが、それより古いものは廃棄済みで「ない」ことを前提に手続きを考える必要があります。

なぜ住所がつながらないと相続登記が止まるのか

相続登記では、「登記簿に記載された所有者」と「亡くなった被相続人」が同一人物であることを証明しなければなりません。これを「被相続人の同一性の証明」といいます。

通常は、登記簿上の住所が記載された戸籍の附票や住民票の除票を提出することで、「登記簿の住所 → 最後の住所」がつながり、同一人物だと確認できます。ところが保存期間経過でこれらが取得できないと、住所のつながりを直接示せず、「この登記名義人は本当に被相続人なのか」を別の方法で立証する必要が生じるのです。

ただし、書類が「ない」ことを理由に相続登記を諦める必要はありません。法務省の通達によって、住所のつながりを直接示せない場合の代替手段が明確に整理されています。次章から具体的に解説します。

取れない時の確認手順(改製原附票・除附票・他市町村)

「保存期間経過」と言われても、すぐに代替手段に進む前に、別の名称・別の役所でまだ記録が残っていないかを確認します。情報が残っていれば手続きは格段に簡単になります。なお、戸籍謄本や住民票など書類全般が取れない場合の対応は相続登記の必要書類(戸籍謄本・附票・除票)が取れない場合でも解説しています。

その前に:登記簿の住所と戸籍の本籍が一致していないか確認
そもそも登記事項証明書(登記簿)の所有者の住所と、被相続人の戸籍に記載された本籍が一致している場合は、住所沿革の追加資料を求められないことがあります。まずはこの2つを見比べてみましょう。一致していない場合に、以下の確認・代替手段へ進みます。

1改製原附票・除附票がないか確認する
同じ本籍地でも、「改製原附票」や「除附票」といった名称の異なる古い附票が残っていることがあります。窓口で「古い附票や改製前の附票も含めて、取得できるものはありますか」と確認しましょう。

2本籍地と住所地の両方の市区町村にあたる
戸籍の附票は本籍地、住民票の除票は住所地(最後の住所など)で管理されます。一方で取れなくても、もう一方の役所で住所がつながることがあります。

3取得できないことが確定したら「廃棄証明書」を取得する
記録が廃棄されている場合は、その役所で「廃棄済証明書(廃棄証明書)」を発行してもらえることがあります。これは「保存期間経過で交付できない」ことを公的に示す書類で、法務局へ事情を説明する際に役立ちます。取得方法は後述します。

対処法①登記済権利証があれば同一性証明の追加書類は不要(平成29年通達)

被相続人名義の登記済権利証(登記済証)が手元にある場合は、これが同一性の有力な証明になります。

かつては明確な根拠規定がなく、権利証以外にも不在籍証明書・不在住証明書・上申書などの提出を求められるケースがありました。しかし、平成29年3月23日法務省民二第175号により、被相続人の同一性を証する情報として所有権に関する登記済証(登記済権利証)を提供すれば、不在籍証明書・不在住証明書・相続人全員の上申書といった「同一性を証明するための追加書類」を省略できると整理されました。

注意:ここで省略できるのは、あくまで同一性を証明するための追加書類です。相続関係を証明する戸籍一式や、遺産分割協議書・相続人の住民票など、通常の相続登記に必要な書類は別途必要です(権利証さえあれば他に何もいらない、という意味ではありません)。

登記済権利証は、その不動産を取得したときに法務局から交付された「権利証」です。古い家屋に保管されていることも多いため、住所がつながらないときはまず探してみる価値があります。なお、登記識別情報通知(権利証に代わるもの)しかない場合も同様に扱われることがありますが、事案によっては管轄の法務局へ確認が必要です。

対処法②納税証明書+不在籍・不在住証明書で上申書も不要(令和5年通達)

登記済権利証がない場合でも、令和5年12月18日法務省民二第1620号により、新たな代替手段が整理されました。被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)固定資産税の納税証明書(または評価証明書)不在籍証明書・不在住証明書を組み合わせ、各書類間で住所・氏名・本籍の一致を確認できれば、相続人全員の上申書がなくても同一性を確認できるとされています。

前提に注意:この方法は、登記簿上の古い住所まではつながらないものの、死亡時の最後の住所の住民票の除票(または戸籍の附票)は取得できるケースで使えます。最後の住所の書類すら廃棄されていて住所・氏名を示せない場合は、下記3条件の②③を満たせないため、対処法③へ進みます。納税証明書だけで上申書を回避できるわけではありません。

具体的には、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

条件
一致が必要な項目
登記記録上の不動産の表示・納税義務者の氏名 が、納税証明書(評価証明書)と一致していること
納税証明書(評価証明書)の納税義務者の住所・氏名 が、住民票の写し等に記載された被相続人の住所・氏名と一致していること
住民票の写し等の被相続人の本籍地・氏名 が、戸籍謄本等の本籍・氏名と一致していること

これらの一致によって「登記簿上の人物 → 固定資産税の納税義務者 → 住民票・戸籍上の被相続人」という同一性の連鎖が示され、上申書の提出が不要になります。

対処法③相続人全員の上申書で証明する

①②のいずれの書類もそろわない場合は、不在籍証明書・不在住証明書に加えて、相続人全員が「登記簿上の人物と被相続人は同一人物である」ことを申述する上申書を作成し、各相続人の印鑑証明書を添付して提出します。

  • 不在籍証明書…登記簿上の住所を本籍として指定したとき、その本籍・氏名に該当する戸籍が存在しないことの証明
  • 不在住証明書…登記簿上の住所・氏名に該当する住民票が、その市区町村に存在しないことの証明(過去に一度も住んでいなかったことの証明ではなく、同一性を補強する資料です)
  • 上申書…相続人全員の連署+実印、各人の印鑑証明書を添付。「同一人物である」旨に加え、権利証を提出できない経緯(紛失など)や、ほかに同姓同名の親族がいないことなどを盛り込むと、法務局の審査がスムーズになります

上申書の様式や添付書類は法務局によって運用が異なる場合があります。申請書類全体の書き方は相続登記の申請書の書き方(ケース別の記載例)もあわせてご確認ください。

廃棄証明書・不在籍・不在住証明書の取り方

廃棄証明書(廃棄済証明書)

戸籍の附票や住民票の除票が保存期間経過で廃棄されている場合、その市区町村で「廃棄済証明書(廃棄証明書)」を請求できることがあります。窓口やホームページで「住民票の除票(戸籍の附票)の廃棄証明」と伝えて請求します。記録が廃棄されている事実を公的に示せるため、法務局へ事情を説明する添付書類として有効です。

不在籍証明書・不在住証明書

不在籍証明書・不在住証明書は、登記簿上の住所地を管轄する市区町村に請求します。「その住所・氏名に該当する戸籍・住民票が見当たらない」ことを示し、同一性を補強する書類で、対処法②③で使用します。証明書の名称や様式は自治体ごとに異なるため、窓口で「相続登記で同一性を証明するために必要」と用途を伝えるとスムーズです。

実務上の重要な注意:請求の際は、必ず登記簿に記載された住所・氏名を一字一句そのまま記載してください。たとえば登記簿が「〇丁目〇番〇号」なのに申請書で「〇−〇−〇」と省略すると、その表記で「該当なし」と証明されてしまい、法務局で同一性の証明として受け付けられず、再請求の手間が生じることがあります。

住所がつながらず手続きが止まっていませんか?

どの対処法に当てはまるかの見極めや必要資料の判断が難しいケースは少なくありません。相続登記の費用必要書類一覧もあわせてご確認のうえ、下記の無料相談もご活用ください。

ケース別早見表・よくある質問

状況別・対処法の早見表

あなたの状況
とるべき対処法
附票・除票が普通に取れた/登記簿の住所と戸籍の本籍が一致
そのまま相続登記(同一性の追加書類は不要なことが多い)
登記済権利証が手元にある
対処法①:権利証を提供(同一性の追加書類を省略・平成29年通達/戸籍等は別途必要)
権利証はないが、最後の住所の住民票の除票・戸籍の附票と固定資産税の納税証明書がそろい一致条件を満たす
対処法②:住民票等+納税証明書+不在籍・不在住証明書で上申書を省略(令和5年通達)
上記がそろわない・住所がまったくつながらない
対処法③:不在籍・不在住証明書+相続人全員の上申書(印鑑証明付)

よくある質問

Q1. 戸籍の附票・住民票の除票の保存期間は何年ですか?

令和元年(2019年)6月20日の住民基本台帳法改正により、原則150年になりました。改正前は5年だったため、古い記録は5年で廃棄されているものがあります。

Q2. 戸籍の附票は何年前まで遡って取得できますか?

消除・改製された時期しだいです。改正前の5年ルールで廃棄された平成26年6月19日以前に消除または改製された記録は、現在は取得できないことが多いです。平成26年6月20日以降に消除・改製された記録は原則150年保存の対象です(実際に交付できるかは自治体の窓口で確認します)。

Q3. 附票や住民票の除票が「廃棄」されていたら相続登記はできませんか?

いいえ、諦める必要はありません。登記済権利証、固定資産税の納税証明書+不在籍・不在住証明書、または相続人全員の上申書といった代替手段で同一性を証明すれば、相続登記は可能です。

Q4. 住民票の除票とは何ですか?

転出や死亡で住民登録が抹消(消除)された住民票のことです。亡くなった方の最後の住所などを証明する書類として、相続登記で使われます。

Q5. 戸籍の附票とは何ですか?除附票・改製原附票との違いは?

戸籍の附票は、戸籍とセットで管理される住所の履歴の記録です。戸籍が除籍になった際のものを「除附票」、戸籍の様式変更(改製)前の古いものを「改製原附票」と呼びます。いずれも住所のつながりを示すために確認します。

Q6. 登記済権利証があれば本当に他の書類は不要ですか?

平成29年3月23日法務省民二第175号により、所有権に関する被相続人名義の登記済証(登記済権利証)を提供すれば、同一性証明のための不在籍証明書・不在住証明書・上申書は省略できます。ただし、相続関係を証明する戸籍一式や遺産分割協議書など、通常の相続登記に必要な書類は別途必要です(権利証さえあれば他は何もいらない、という意味ではありません)。

Q7. 上申書を出さずに済む方法はありますか?

令和5年12月18日法務省民二第1620号により、住民票の除票(または戸籍の附票)・固定資産税の納税証明書(評価証明書)・不在籍・不在住証明書をそろえ、各書類間で住所・氏名・本籍の一致が確認できれば、相続人全員の上申書を省略できます。納税証明書だけで足りるわけではなく、最後の住所の住民票等が取得できることが前提です。

Q8. 廃棄証明書や不在籍・不在住証明書はどこで取れますか?

廃棄証明書は記録を管理していた市区町村、不在籍・不在住証明書は登記簿上の住所地の市区町村に請求します。名称や様式は自治体で異なるため、相続登記での使用目的を伝えるとよいでしょう。

Q9. 上申書には相続人全員の署名が必要ですか?

はい。対処法③の上申書は相続人全員の連署(実印)と各人の印鑑証明書が必要になるのが一般的です。相続人が多い場合や疎遠な場合は調整に手間がかかります。

Q10. 自分で手続きできますか?司法書士に依頼すべきですか?

取得できる書類が明確なら自力でも可能です。ただし、自分のケースがどの対処法に当てはまるかの見極めや、通達の要件を満たさず上申書(対処法③)を選ぶ場合の法務局との折衝には専門的な判断が必要です。書類収集・上申書の作成・法務局への事前確認まで含めて司法書士に依頼すれば、補正や取り直しのリスクを減らせます。

まとめ

戸籍の附票や住民票の除票が保存期間経過で取得できなくても、相続登記を諦める必要はありません。主な対処法は次のとおりです。

  • 対処法① 所有権に関する登記済権利証があれば、同一性証明のための追加書類(不在籍・不在住証明書・上申書)を省略できる(平成29年3月23日法務省民二第175号/戸籍一式など通常書類は別途必要)
  • 対処法② 住民票の除票(または戸籍の附票)・固定資産税の納税証明書(評価証明書)・不在籍・不在住証明書を組み合わせ、一致条件を満たせば上申書を省略できる(令和5年12月18日法務省民二第1620号・3条件あり)
  • 対処法③ 上記がそろわなければ、不在籍・不在住証明書+相続人全員の上申書(印鑑証明付)で同一性を証明

通達によって基本的な枠組みは全国で共通ですが、古い住所表示や地番変更、納税資料の記載内容などによって、追加で求められる資料は事案ごとに変わります。当センターは相続登記をはじめとする不動産登記の実務に対応しています。使える資料の見極めから上申書の要否、法務局への事前確認まで含めて進めれば、補正や取り直しのリスクを減らせます。書類収集から申請までワンストップでお任せください。

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この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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