なぜ、公的な書類である戸籍の附票や住民票が取得できなくなるのでしょうか。
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《この記事の監修者》
司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら)
最終更新日:2025年12月2日
不動産の相続登記や、住所変更登記などを行う際、被相続人の登記簿上の住所と本籍(戸籍謄本)のつながりを証明するために、戸籍の附票や住民票の除票が必要になります。
しかし、長期間引越しを繰り返していたり、特に亡くなった方の古い住所を辿る場合、役所に「保存期間経過のため交付できない」と告げられることがあります。住所の履歴が途切れてしまうと、法的な手続きがストップしてしまう可能性があります。
この記事では、公的書類の保存期間が過ぎて情報が取得できない場合の代替手段と具体的な対処法を解説します。
なぜ、公的な書類である戸籍の附票や住民票が取得できなくなるのでしょうか。
公的記録には、法律によって保存期間が定められています。
特に、法令改正前の古い時期に消除(転出・死亡など)された記録については、当時の短い保存期間が適用され、すでに役所で廃棄されているケースが非常に多いのが実情です。
保存期間が経過し廃棄されてしまうと、その市町村からは住所履歴の証明書類は一切発行できなくなります。
戸籍の附票は戸籍とセットで管理されているため、「改製原附票(戸籍の様式が変わった際の古い附票)」や「除附票(戸籍から除籍された際の附票)」など、名称が違うものが残っている可能性もありますが、それらも保存期間経過で取得できなくなることがあります。
情報が「ない」ことを前提に、他の証拠で「この人は登記簿上の人物と同一である」と立証していく作業が必要になります。
被相続人名義の登記済権利証の提供があれば、不在籍証明書や不在住証明書等の他の書類の提供は不要です。
平成29年までは明確な根拠規定がなかったので、登記済権利証以外にも不在籍証明書や不在住証明書、上申書等の提出が求められるケースがありましたが、平成29年3月23日法務省民二第175号により、正式に登記済証(登記済権利証)を提供することで、被相続人の同一性を確認できるとされました。
固定資産税の納税証明書又は評価証明書並びに不在籍証明書及び不在住証明書が提供された場合も、上申書の提出は不要です。
これらの提供があった場合も、被相続人の同一性を確認できるとされました(令和5年12月18日法務省民二第1620号)。
ただし、以下の全ての条件を満たす場合に限ります:
不在籍証明書(登記簿上の住所地に本籍がないことの証明)と不在住証明書(登記簿上の住所地に住民登録がないことの証明)を取得します。
これらに加えて、相続人全員が「登記簿上の人物と被相続人が同一人物である」ことを証明する上申書を作成し、各相続人の印鑑証明書を添付します。
住所履歴の証明は複雑であり、法務局の運用も地域によって異なる場合があります。自力での手続きが困難な場合は、専門家に相談するのが最善です。
不動産の登記申請を代理で行うことができます。上申書の作成や、法務局との折衝を含めた「同一人物証明」のサポートを専門的に依頼できます。
戸籍の附票や住民票の保存期間が経過している場合、諦める必要はありません。
主な代替手段は以下の通りです:
この手続きは複雑で、法務局の運用も地域によって異なる場合があります。専門家である司法書士に依頼することで、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。

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