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不動産の遺産分割方法の解説、比較(現物分割・代償分割・換価分割・共有分割)


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年10月30日
 

遺産分割の基礎知識と手続き全体の流れ

相続開始から遺産分割完了までの全体フロー

相続開始から遺産分割完了までの全体フローは、被相続人の死亡、つまり相続開始日から始まります。

最初に死亡届の提出や火葬許可証の取得といった初期手続きを行い、その後、なるべく早く相続人の調査・確定と財産調査を行う必要があります。

これらの調査を経て、相続人全員で遺産分割協議を行い、協議が成立した場合には遺産分割協議書を作成し、最後に相続登記や相続税申告を行います。

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相続登記の義務化

従来の相続手続きにおいて、事実上の最大の期限は相続税申告期限である相続開始から10ヶ月以内でしたが、2024年4月1日より施行された相続登記の申請義務化により、新たな法的義務と罰則が導入されました。

相続人は、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、法務局に対して相続登記を申請しなければなりません。この義務は、遺言書に基づいて不動産を取得した場合や、遺産分割協議によって取得者が決定した場合にも適用されます。遺産分割協議で不動産の取得者が決まった場合は、その決定日から3年以内に申請が必要です。もし期限内に正当な理由なく相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科される罰則が規定されています。

この義務化の背景には、所有者不明土地の解消という社会的な課題があります。相続登記を行わないと、将来的に相続人が増え続け、権利関係が複雑化し、不動産の売却や利用が困難になるデメリットが生じます。したがって、相続開始後3年という期間は、法的に厳守すべき絶対的なデッドラインとして、手続きの計画において最優先事項となります。

なお、2024年4月1日以前に相続が開始し、未登記となっている不動産についても法改正の義務化の適用があり、具体的には2027年3月31日までに登記申請を行う必要があります。

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相続人申告登記

相続登記の義務化により、相続人同士の意見対立や連絡の遅れなどで3年以内に分割協議が成立しないリスクがあります。

このような場合、相続人は法的な義務を履行するための救済制度として、相続人申告登記を利用することができます。これは、正式な分割内容が決まっていなくても、相続が開始した旨を法務局に申告することで、一旦は登記義務を履行したとみなされる制度です。

ただし、これは暫定的な措置であり、最終的な遺産分割協議が成立した後は、その決定日から3年以内に改めて正式な相続登記、すなわち名義変更を行う必要があります。

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相続税申告:遺産分割協議が間に合わない場合の税務対応

相続税の申告期限は、相続開始から10ヶ月以内被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)と定められており、これは相続登記の期限である3年よりも遥かに短いため、注意が必要です。

申告期限までに遺産分割協議が間に合わない場合でも、納税義務は発生します。その場合、原則として法定相続分どおりに相続したものとみなして、期限内に相続税の申告を行う必要があります。

しかし、遺産分割が未了のまま申告すると、小規模宅地等の特例や配偶者控除といった、相続税額を大きく軽減できる特例措置が適用できません。これらの特例を将来的に適用したい場合は、申告期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出することで、期限後3年以内に分割が成立した際に遡及して特例を適用することが可能となります。分割が成立した後は、特例の適用を受けて税額が減る場合、税務署に対して更正の請求を行います。逆に税額が増える場合は修正申告が必要です。

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法定相続分と遺留分(基本知識)

遺産分割協議は、原則として相続人全員の合意に基づいて自由に行えますが、合意に至らない場合や遺言書が存在しない場合の基準となるのが「法定相続分」です。例えば、配偶者と子どもが相続人の場合、配偶者が遺産総額の1/21/2 、子どもが残りの1/21/2 を兄弟姉妹で等分します。配偶者と父母が相続人の場合は、配偶者が2/32/3 、父母が残りの1/31/3 を等分します。

また、有効な遺言書が存在し、特定の相続人に財産を集中させる内容であっても、「遺留分」という最低限の遺産取得分が保証されています。遺言書を作成する際や遺産分割協議を行う際には、この遺留分を侵害しないよう配慮が必要です。

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不動産の遺産分割方法の比較

遺産分割の方法

遺産分割とは?
人が亡くなると、相続人は、亡くなった人(被相続人)の一切の財産を承継します(民法896条本文)。相続人が数人いるときは、相続財産は、相続人の共有になります(民法898条)。この相続財産の共有状態を解消し、遺産に含まれる個々の財産を各相続人に分けるのが遺産分割です。

遺産分割の方法は、大きく分けて以下の4種類があります。

  1. 現物分割
    遺産を現物のまま分ける。
  2. 代償分割
    遺産を取得する相続人に債務を負担させる。
  3. 換価分割
    遺産を売却して、その代金を相続人間で分ける。
  4. 共有分割
    個々の遺産を相続人の共有とする。

当事者間の合意があれば、どの方法を選択しても問題ありません。しかし、話し合いで合意が得られない場合、家庭裁判所の調停や審判では、現物分割、代償分割、換価分割、そして共有分割という順番で優先的に検討されるとされています。この順位は、個々の財産の一体性や利用継続性を考慮した、法的な推奨度を示唆しています。

遺産分割の審判では、現物分割が原則的な方法であるとされています(最判昭和30年5月31日民集9巻6号793頁)。

遺言書の有無による相続登記手続きの比較

不動産の遺産分割方法:メリット・デメリット比較

分割方法概要主なメリット最も注意すべきデメリット最適ケース
現物分割一人の相続人が取得継続利用可能、手続きがシンプル不公平感、分割後の価値低下平等に分ける財産がある場合
代償分割一人が取得し、他者に代償金を支払う不動産の一体性保持、権利関係明確高額な代償金が必要、評価額算定で争いやすい特定の相続人が居住継続を強く希望する場合
換価分割不動産を売却し、現金化して分配公平な金銭分配物件を手放す必要がある、売却に時間がかかる不動産を手放しても問題ない場合
共有分割持分割合で共同所有一時的に迅速な解決が可能将来的な共有物分割請求リスクが極めて高い、利用・処分が困難原則非推奨

現物分割

現物分割とは、遺産をそのままの形で分割する方法です。不動産・現金・預貯金・株・自動車などをそのまま特定の相続人が取得する方法です。

例えば、土地は相続人甲、建物は相続人乙、預貯金は相続人丙が取得するというような内容の分け方です。

土地が広大な場合は土地を分筆したり、建物も構造上分離させたりして、各相続人が単独で所有権を取得する方法もあります。

この方法のメリットは、各自が単独で所有権を持ち、物の継続利用が可能である点、また、手続きがシンプルな点です。

一方で、公平な分配ができない可能性や、状況によっては分筆などの費用が発生するほか、分割後の不動産の価値が低下するリスクもあります。平等に分配しやすい遺産がある場合や、相続する土地が広く、分割しても利用価値が大きく損なわれない場合に選択肢となります。

代償分割

代償分割は、特定の相続人が遺産である不動産の現物を取得する代わりに、他の相続人に対して、その法定相続分に相当する金銭などの代償財産を支払う方法です。

例えば、自宅の土地建物以外にほとんど財産を所有していない甲が亡くなり、その相続人が乙及び丙の2名である場合に、乙が自宅の土地建物を取得すると、丙の取得する相続財産がほとんどなくなってしまいます。そこで、相続人間の実質的公平を図るため、乙が自宅の土地建物を取得する代わりに、丙に対して代償金を支払うとする分割方法です。

この方法の最大のメリットは、不動産を売却することなく、特定の相続人が住居や事業用資産として一体性を保ったまま継続して利用できる点です。また、権利関係が明確になるため、将来的な紛争のリスクを回避できます。

しかし、現物を取得する相続人には、他の相続人へ支払うための高額な代償金を準備する資金調達能力が必須となります。さらに、代償金の算定基準となる不動産の「評価額」をめぐって、対立が生じやすいというデメリットもあります。

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換価分割

換価分割は、不動産を売却、つまり現金化し、その売却代金を各相続人が法定相続分や協議で決めた割合に従って分割する方法です。

この方法は、不動産のように分けにくい資産を現金化するため、相続人間で公平な金銭分配が容易となり、清算が明確になるというメリットがあります。不動産を手放しても問題ない場合や、全ての相続人が遠方に住んでおり誰も継続利用を希望しない場合に最適な方法です。

デメリットとしては、物件を手放す必要があること、市場で売却が成立するまでに時間がかかること、そして急いで売却する必要がある場合に価格が低下するリスクがあることが挙げられます。

 

不動産を換価分割する場合は、被相続人から買主へ直接名義変更することはできないので、いったん相続人名義に相続登記をした上で、相続人から買主への所有権移転登記をすることになります。換価分割の際の相続登記には次の2つの方法が考えられます。

1. 売却代金を取得する割合で共有名義にする

例えば、相続人が2名で、各2分の1の割合で売却代金を取得する場合に、不動産の名義も各2分の1の割合の共有名義で登記するという方法です。この方法は、売却の際に共有者全員が売却手続に参加しなければならず煩雑であるというデメリットがあります。

2. 便宜、特定の相続人の単独名義にする

売却代金の取得割合にかかわらず、便宜的に代表相続人の単独名義にする方法です。代表相続人が単独で買主と売買契約を締結し、売却代金は遺産分割協議で定めた割合で、各相続人に分配します。この方法は、代表相続人のみが売買手続に関与すれば足りるため、他の相続人の手を煩わせることなく手続を進めることができるというメリットがあります。ただし、売却代金の分配が贈与とみなされて贈与税が課されることがないよう、遺産分割協議書に換価分割である旨を明記する必要がある点に注意が必要です。

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共有分割

共有分割は、不動産を売却したり代償金を支払ったりせず、各相続人が自身の相続分に応じた持分割合で共同所有する方法です。

専門家はこの共有分割を原則として非推奨としています。一見、迅速に解決できるように見えますが、これは問題を将来に先送りしているに過ぎません。不動産の売却、賃貸、大規模な修繕や改築など、不動産に関する重要な意思決定を行う際には、共有者全員の同意が必要となります。このため、一人でも反対者が出ると、不動産の活用や処分が事実上不可能となり、利用が困難となります。

さらに重要なのは、共有状態は高確率で将来的な法廷紛争を引き起こすリスクを内包している点です。共有者はいつでも、他の共有者の同意なく、家庭裁判所に対して「共有物分割請求訴訟」を提起し、共有状態の解消を求めることができます。この訴訟は長期化し、高額な費用を要するだけでなく、最終的に裁判所が換価分割、つまり競売を命じる可能性もあり、親族間の人間関係を決定的に悪化させます。したがって、一時的な解決のために共有分割を選択することは、将来のトラブルを確約する行為に他なりません。

ケース別:最適な分割方法の選び方

遺産分割方法の選択は、不動産を「誰が」「どう使うか」という目的によって決定されるべきです。

不動産が複数または預貯金等で平等に分割できる場合

相続人間で平等に遺産を分割できる場合は現物分割が最適です。一般的な相続方法(遺産分割方法)になります。

特定の相続人が居住継続を強く希望する場合

不動産の一体性を維持する必要があるため、代償分割が最も現実的かつ公平な選択肢となります。ただし、代償金の支払い能力と、不動産評価額に関する合意形成が必須です。

相続人の誰も不動産を必要としていない場合

売却による現金化を優先すべきであり、換価分割が最適です。売却手続きは相続人全員の合意を得て専門家に委託し、公平な市場価格での売却を目指します。

土地が広く、分筆しても利用価値が低下しない場合

物理的に分けて各相続人が単独所有権を得る現物分割も選択肢に入ります。この場合、分筆にかかる費用や、分筆後の各区画の価値の再評価が必要となります。

不動産評価額の決定と紛争リスク管理

遺産分割における不動産評価額の重要性

不動産は、預貯金や有価証券とは異なり、評価方法によってその価値が大きく変動する特殊な財産です。この価値の不確定性こそが、遺産分割協議において最もトラブルが生じやすい核心的な原因となります。

特に代償分割や換価分割を行う場合、不動産の資産価値を正確に算出し、その評価額を基準として分割や代償金の清算を行う必要があります。もし評価額の算定方法について相続人間に合意が得られなければ、協議は膠着し、親族間の不信感が増大し、最終的に訴訟へと発展する危険性が高まります。

不動産の4つの評価方法とその適用基準

動産の価値を測る指標として、主に4つの評価方法が用いられます。それぞれの評価額は、法令上の目的や算出基準が異なるため、金額に大きな差が生じます。

実勢価格(時価)

実際に市場で不動産が売買される際に算出される価格です。これは最も客観的な市場価値を示し、換価分割や代償分割の基準として最も公平であるとされています。しかし、個別の物件の状況や市場の需給によって変動するため、算出には不動産鑑定士や信頼できる不動産業者による査定が必要です。

公示価格

国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づき公表している価格で、公的な指標として広く用いられます。

相続税評価額(路線価・倍率地域評価額)

相続税を計算する際の基準となる評価額です。土地は主に路線価を基準に、建物は固定資産税評価額を基に算出されます。実勢価格よりも低く評価される傾向があります。

固定資産税評価額

固定資産税や都市計画税、登録免許税などを計算するときの基準となる評価額です。通常、この4つの評価方法の中で最も低い金額となります。

評価額の選択が相続人間にもたらす利益相反と紛争の予防策

不動産の評価方法の選択は、単なる技術的な問題ではなく、特定の相続人に経済的利益をもたらすため、強い対立構造を生み出します。

例えば、代償分割において、不動産を取得し代償金を支払う側の相続人は、支払額を抑えるために最も低額である固定資産税評価額の採用を主張する傾向があります。一方、不動産を取得せず代償金を受け取る側の相続人は、受け取る金額を最大化するため、最も高額である実勢価格の採用を主張します。このように、各々が自分に有利な評価基準を主張し合うことが、遺産分割協議の入口で親族関係を悪化させる最大の原因となるのです。

不動産をめぐる紛争を回避するためには、感情的な対立が強まる前に、評価方法に関する合意を形成することが極めて重要です。相続人間でのトラブルが予想される事案では、協議の初期段階で、相続人全員が合意した不動産鑑定士に評価を依頼し、実勢価格に近い客観的な評価を採用することを推奨します。

また、評価額の基準と分割方法を連動させることも重要です。換価分割、つまり売却を選択する場合は、実際に売却した代金である実勢価格を基準とすることで公平性が保たれます。代償分割の場合も、実勢価格を基準とすべきですが、納税資金の確保が難しい場合は、相続税評価額の採用も検討材料となります。ただし、その場合は他の代償措置も視野に入れる必要があります。

遺産分割協議書作成と相続登記

遺産分割における不動産評価額の重要性

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を明確にし、後の紛争を防ぐための重要な法的文書です。特に、土地や建物などの不動産を相続した場合、被相続人から相続人へ名義を変更する「相続登記」を行うためには、原則として遺産分割協議書の作成が必須となります。

遺産分割協議書が必要となるのは、主に被相続人が有効な遺言書を残していない場合、そして相続人が複数おり、法定相続分と異なる割合で分割する場合です。

遺産分割協議書の記載事項と実務上の注意点

遺産分割協議書には、不動産登記に必要な情報を網羅し、形式的な不備がないよう厳格に作成する必要があります。

まず、被相続人の情報として、氏名、死亡年月日、最後の住所、最後の本籍などを記載します。これらは戸籍謄本や不動産の登記簿謄本、いわゆる登記事項証明書を参考に記載します。次に、協議を行った旨の記載として、相続人全員で協議を行ったことを示します。さらに、不動産の名義人となる相続人を特定し、不動産を取得する相続人の氏名を明確に示します。そして、相続登記を行う不動産情報として、土地の場合は所在、地番、地目、地積を、建物の場合は所在、家屋番号、種類、構造、床面積など、登記簿上の情報を正確に記載します。

遺産分割協議書を作成する上で、最も実務的な注意が必要なのは、不動産の表示に関する項目です。相続登記で協議書を提出する場合、記載内容が登記簿謄本、すなわち登記事項証明書の内容と一字一句正確に一致していなければ、登記申請が受理されない可能性があります。

特に、不動産の所在表示である地番は、一般的に使用される住所、いわゆる住居表示とは異なる場合が多く、記載ミスが生じやすい点です。したがって、協議書作成の際には、必ず最新の登記簿謄本を取得し、その記載内容をそのまま転記することが求められます。

遺産分割協議書が不要なケース

すべての相続手続きで遺産分割協議書が必要となるわけではありません。協議書の作成が不要となるケースがいくつか存在します。

遺言書で遺産分割の方法が指定されている場合

遺言書の内容に従って登記申請が可能です。

法定相続人が一人しかいない場合

そもそも協議を行う相手がいないため不要です。

法定相続分どおりに遺産分割する場合

法定相続分に従った登記申請が可能です。ただし、実務上、後々のトラブル防止のため、この場合でも協議書を作成することが推奨されることもあります。

トラブル・特殊事例への対応と法的解決手段

相続人の中に認知症患者や未成年者がいる場合

相続人の中に認知症などで判断能力を欠く者がいる場合、その者を欠いた状態での遺産分割協議は法的に無効となります。この場合、その相続人の権利を保護するため、家庭裁判所に成年後見制度の利用を申し立て、成年後見人を選任する必要があります。成年後見人が、本人の代理人として協議に参加します。

また、すでに成年後見が開始されているケースであっても、成年後見人自身が共同相続人である場合、その成年後見人が本人の権利を代理して協議に参加すると、後見人自身の利益と本人の利益が相反する「利益相反行為」となります。このような状況を防ぐため、家庭裁判所に対し、成年後見人とは別の立場で協議に参加する特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

なお、判断能力が不十分な者、すなわち被保佐人や被補助人の場合、保佐人または補助人が選任されていれば、家庭裁判所の代理権付与の審判を受けた保佐人または補助人が、本人の代理人として協議に参加することが可能です。

遺産分割協議書作成後に「騙された」と気づいた場合の対処法

遺産分割協議が成立し、協議書に署名捺印した後であっても、他の相続人による重大な不正行為、特に不動産関連の詐欺的な行為が発覚した場合、法的な対処が可能です。

「騙された」と感じた場合、まずは不正行為があったことを理由に、協議の取り消しの意思を相手方に明確に伝えます。次に、相続人全員が合意すれば、遺産分割協議をやり直すことが可能です。しかし、相続人全員の合意が得られない場合や、不正行為の程度が重大な場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるか、訴訟を提起して解決を図ります。

不動産の売却価格に関する不正など、複雑な金銭トラブルが絡む場合は、証拠収集や法的主張の組み立てが困難であるため、弁護士に相談・依頼することが不可欠です。

共有不動産の解消手段

前述の通り、安易な共有分割は高確率で将来の紛争の火種となります。

共有状態を解消するための手段として、共有物分割請求があります。これは、他の共有者との話し合いによる合意が得られない場合、裁判所に訴えを提起し、共有関係の解消を求める法的手続きです。

相続で共有名義になった不動産、どう解消する?司法書士が解説する4つの解決策

債務、負債は遺産分割できる?

被相続人の遺産のうち、債務(負債)については、遺産分割の対象とはならないと解されています。

これは債権者に対しては主張できないということですが、相続人間では有効です。債務を負担した場合は、遺産分割協議で負担することが決まった相続人へ求償することが可能です。

債務(負債)の相続

監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
不動産名義変更・相続登記専門年間2000件の実績全国対応
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