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【兄弟間】名義変更どうやったら?
費用・必要書類・税金について解説!


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年2月11日
 

兄弟間で名義変更を行う際の注意点

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兄弟間の名義変更 - 費用・必要書類・税金について解説

兄弟間の名義変更:基本的な考え方

兄弟間で不動産の名義を変更する場合、その原因となる法的行為によって、課される税金の種類や税率が大きく異なります。主な方法として、相続、贈与、売買の3つがありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

親から相続(兄弟で遺産分割協議)

亡くなった親名義の土地や建物の名義を、子の名義に変更するには法務局で相続登記の申請が必要です。相続登記の詳しい手続き・費用・必要書類については、「相続登記の詳細ガイド」をご参照ください。

亡母名義の実家の土地建物の名義を兄弟のうち、長男一人の名義にするにはどのような手続きが必要でしょうか?
相続登記の手続きが必要です。

亡くなった親名義の土地や建物の名義を、子の名義に変更するには法務局で相続登記の申請が必要です。

相続登記をするには兄弟間で話し合い、誰の名義にするか決める必要があります。遺産分割協議という話し合いで、法律で定められた相続人全員(子である兄弟姉妹全員)で話し合います(親の一方が存命であれば存命の親も協議に参加します)。

法定相続人であることは戸籍で証明する必要があるので、亡くなった親の生まれた時まで遡った全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)が必要になります。隠し子など知らない子が判明した場合にはその子も含めて話し合いする必要があります。一部の兄弟だけで協議をしても法的には無効です。

話し合った内容を文書にしたものが遺産分割協議書と呼ばれるもので、遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印することになり、相続登記の申請にも必要な書類になります。

遺産分割の3つの方法

相続における不動産の分け方には、大きく分けて3つの方法があります。

分割方法特徴メリット・デメリット
現物分割土地を分筆して、兄の土地・弟の土地として物理的に分ける方法各自が単独所有権を持てるが、建物がある場合は困難。土地の形状によって資産価値に差が生じやすい
換価分割不動産を売却し、諸経費を差し引いた現金を兄弟で分ける方法1円単位まで公平に分割できるが、譲渡所得税がかかる場合がある。売却価格で揉める可能性も
代償分割特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法実家を存続させつつ、経済的公平性を担保できる。ただし、代償金を支払う資金力が必要
三男が母の相続につき家庭裁判所で相続放棄をしました。三男は遺産分割協議に参加する必要ありますか?
三男は協議に参加する必要はありません。

相続人の中に相続放棄した人がいる場合は、その人を除いた相続人で遺産分割協議をします。

相続登記の申請の際は、別途相続放棄したことの証明書(相続放棄申述受理証明書)が必要書類になります。

相続放棄の詳しい手続きについては、「相続放棄と相続登記の完全ガイド」および「兄弟姉妹の相続放棄」をご参照ください。

注意事項

相続放棄したことによって法定相続人の順位が変わってしまう場合(例えば子全員が相続放棄した場合)は、次順位の相続人が遺産分割協議に参加することになります。

相続登記後の名義変更:「遺産分割のやり直し」と「共有からの変更」の違い

父の相続の際に、長男の名義にし手続きも完了しましたが、今から二男に変更したいのですが可能でしょうか?
名義変更することは可能です。ただし、税金面の問題が生じる可能性があります。

法律上は遺産分割協議のやり直しは当事者の合意で可能です。合意により不動産の名義を変更することも手続き上は可能です。

重要な税務上の注意点

当事者の合意により再分割協議した場合、税務上は新しい贈与とみなされ基本的には贈与税が課税されます。

遺産分割協議のやり直しではなくお金のやり取りもなく、単純に名義変更となると贈与に該当し、当然贈与税が課税されます。

現実的には遺産分割協議に法的な無効原因があった場合などを除き、贈与税を回避しての再分割は難しいと考えます。

父の相続の際に、法定相続として兄弟の共有名義にしました。今から長男の単独名義に変更することはできますか?
遺産分割協議により単独名義にすることが可能です。

法定相続として法定相続分の共有名義にした場合は、その後に遺産分割協議を行い対象不動産を誰が相続するのか決めることが可能です。

共有名義から遺産分割を原因として持分移転登記をすることになります。

前のケースとの違い

前記のQAは遺産分割協議のやり直しでしたが、この事例は初めての遺産分割協議になりますので、基本的には贈与税は課税されないと考えられます。その他の状況によって異なる場合もありますので、詳しくは税理士に相談されることをお勧めいたします。

「とりあえず共有」は避けるべき

遺産分割協議がまとまらないからといって、法定相続分で共有登記をすることは問題の先送りに過ぎません。

  • 活用・処分の凍結:共有不動産全体の売却、大規模な修繕、建替えには共有者全員の同意が必要です
  • 数次相続による権利の細分化:兄弟が亡くなれば、その持分は配偶者や子供へ移転し、関係性の希薄な親族同士の共有となります

これが、日本全国で問題となっている「所有者不明土地」の発生メカニズムです。

父の相続の際に、遺産分割協議の結果、兄弟の共有名義にしました。今から長男の単独名義に変更することはできますか?
遺産分割の再協議、持分放棄や持分贈与により単独名義にすることが可能ですが、贈与税等に注意が必要です。

法律上は遺産分割協議のやり直しは当事者の合意で可能です。しかし、当事者の合意により再分割協議した場合、税務上は新しい贈与とみなされ基本的には贈与税が課税されます。

遺産分割協議のやり直し以外にも、持分放棄や持分の贈与としての名義変更も可能ですが、同じく贈与税の問題が生じます。

兄弟間の贈与【贈与税に注意】

兄弟間の贈与は、親子間の贈与と比較して特例もなく税負担が非常に重くなります。贈与税には「特例税率」と「一般税率」の2種類があり、兄弟間の贈与には高い「一般税率」が適用されます。

贈与による名義変更の詳しい手続きについては、「贈与による名義変更の詳細」をご参照ください。

基礎控除後の課税価格特例税率(親→子)控除額一般税率(兄弟間)控除額
200万円以下10%-10%-
300万円以下15%10万円15%10万円
400万円以下15%10万円20%25万円
600万円以下20%30万円30%65万円
1,000万円以下30%90万円40%125万円
1,500万円以下40%190万円45%175万円
3,000万円以下45%265万円50%250万円
3,000万円超55%640万円55%400万円

※基礎控除額は年間110万円です

贈与のコストシミュレーション例

1,000万円の土地を兄弟間贈与する場合

贈与税(一般税率):(1,000万円 - 110万円)× 40% - 125万円 = 231万円

登録免許税:1,000万円 × 2.0% = 20万円

不動産取得税:1,000万円 × 3.0% = 30万円

合計コスト:約281万円

不動産評価額の約30%近くが現金として流出することになります。

兄弟間の売買の【注意点】

贈与税を回避するために売買の形式をとる場合、以下の点に注意が必要です。売買による名義変更の詳しい手続きについては、「売買による名義変更の詳細」をご参照ください。

「低額譲渡」のみなし贈与リスク

「兄弟だから安く売ってあげたい」と考え、市場価格(時価)よりも著しく低い価格で売買を行うと、税務署はその差額を「実質的な贈与」とみなし、課税します。これを「低額譲渡によるみなし贈与」と呼びます。

適正価格の設定が重要

過去の判例では「時価の80%程度」であれば経済合理性の範囲内とされたケースがありますが、実務上は「路線価」や「固定資産税評価額」そのままの価格での取引は危険です。

不動産鑑定士による鑑定評価を取得するか、近隣の取引事例を収集し、客観的な時価を算出して売買価格を決定すべきです。

資金調達の問題

適正価格で売買契約を結んだとしても、資金がなければ実行できません。多くの金融機関は「親族間売買」への融資を断ります

代替案:

  • ノンバンクの利用(金利は高くなりますが、親族間売買に対応するローン商品を持つ金融機関を探す)
  • 親族間ローン(兄と弟の間で金銭消費貸借契約を結び、毎月分割で支払う。ただし、利息を設定し、公正証書を作成し、銀行振込で返済記録を残すなど、第三者間取引と同様の外形を整える必要があります)

特殊なケースに関するQ&A

自分ではローンが組めなかったので姉の名義を借りてマンションを購入しました。ローンを完済したので二女の自分名義にするにはどうしたら?
特殊な状況になりますので、決まった手続きのやり方はありません。

名義を借りるということは本来できませんので、それを元に戻すといっても簡単に手続きすることはできません。名義変更のやり方によっては税金の問題も大きく関わってきます

定型的な名義変更方法はございません。当時の経緯や、これまでのお金のやり取りなどによって手続き方法は異なります(民法第646条第2項による移転、真正な登記名義の回復、代物弁済等)。

専門家への相談が必須

このようなケースは、司法書士や税理士に相談されることを強くお勧めいたします。誤った手続きをすると、多額の贈与税が課税される可能性があります。

登記費用の比較

名義変更の方法によって、登録免許税の税率が大きく異なります。

項目相続贈与売買
登録免許税評価額 × 0.4%評価額 × 2.0%評価額 × 2.0%
※住宅用家屋の軽減(0.3%)あり
不動産取得税非課税評価額 × 3%
(原則4%)
評価額 × 3%
(原則4%)
印紙税不要200円売買金額による
(例:1000万超〜5000万以下は1万円)
相続登記のコスト優位性

相続登記がいかにコスト面で優遇されているかがお分かりいただけると思います。売買や贈与にすると、登録免許税だけで5倍、さらに不動産取得税も加わるため、コストは大幅に増加します。

司法書士報酬の目安

事務所や難易度によりますが、一般的な相場(税込)は以下の通りです。詳しい費用については、「不動産名義変更の費用について」をご参照ください。

  • 相続登記:5万円〜15万円
    戸籍収集代行や遺産分割協議書作成を含むと加算されます。数次相続や兄弟姉妹相続(相続人が多い)場合は高くなる傾向があります。
  • 贈与・売買登記:5万円〜15万円
    契約書作成料、立会料、決済代行料などが別途かかる場合があります。
  • 真正な登記名義の回復:10万円〜30万円
    難易度が高く、事情聴取や上申書作成が必要なため高額になります。

自分で手続きできる?

専門家に依頼しないで、自分で手続きできませんか?
誰でもできるとは言えませんが、時間と労力をかければ可能です

裁判(訴訟)や税務申告などにも弁護士や税理士等の専門家がいますが、ご自身で裁判を起こしたり、税務申告することが可能であるのと同じく、不動産の名義変更手続きもご自身で手続きすることは可能です。

もちろん事案によっては一般の方ではかなり難しい場合もあります。最初から難しい案件もありますし、書類収集を初めてから難しいことが分かる場合もあります。

専門家に依頼するメリット
  • 正確な権利判定:複雑な戸籍を読み解き、誰が相続人かを正確に特定します。一人でも漏れていると登記は無効です
  • 将来トラブルの予防:遺産分割協議書や契約書の文言を、法的紛争に耐えうる内容で作成します
  • 本人確認・意思確認:兄弟間取引は「言った言わない」になりがちです。第三者である司法書士が当事者の意思を確認し、記録に残すことで、後日の主張を封じることができます

ご自身では難しいと感じたら当センターへご相談ください。

まとめ:兄弟間名義変更を成功させるために

3つの重要ポイント
  1. 「先送り」は最大のリスク
    相続登記義務化により、放置する猶予はなくなりました。親が亡くなった時が最も低コストかつ円滑に解決できるタイミングです。
  2. 「時価」への敬意を払う
    「身内だから」という甘えは、税務署には通用しません。売買や持分移転を行う際は、第三者と取引するのと同様の緊張感を持ち、客観的な価格根拠と資金移動の証拠を残してください。
  3. 専門家を「緩衝材」として使う
    兄弟だけでお金の話をすると、どうしても過去の感情的なしこりが出て喧嘩になりがちです。司法書士や税理士という「第三者」を間に入れることで、感情論を排し、法律と数字に基づいた冷静な議論が可能になります。
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監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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