建物を新築した際には、法務局で登記手続きが必要になります。登記には「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2種類があり、それぞれ専門家が異なります。
建物を新築したらする不動産登記とは?
不動産登記は大きく「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の2つに分かれています。
| 比較項目 | 表示に関する登記 | 権利に関する登記 |
|---|---|---|
| 登記内容 | 不動産の物理的状況 (所在、構造、床面積など) | 不動産の権利関係 (所有者、抵当権など) |
| 申請義務 | あり(1か月以内) | なし(任意) |
| 罰則 | 10万円以下の過料 | なし |
| 専門家 | 土地家屋調査士 | 司法書士 |
| 新築時の最初の登記 | 表題登記 | 所有権保存登記 |
| 主な登記事項 | 所在、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者の住所・氏名 | 所有者の住所・氏名、抵当権などの担保権 |
建物を新築したらする登記
最初にするのが「表題登記」、その次に「所有権保存登記」です。
表題登記(建物表題登記)とは?
表題登記は、建物を新築したらまず最初にする登記のことで、建物の物理的な状況等が登記されます。
| 登記事項 | 内容 |
|---|---|
| 所在 | 建物の所在地 |
| 家屋番号 | 建物を特定するための番号 |
| 種類 | 居宅、店舗、事務所など |
| 構造 | 木造、鉄筋コンクリート造など |
| 床面積 | 各階の床面積 |
| 所有者 | 所有者の住所・氏名 |
表題登記は申請義務あり
法律で義務付けられています
表題登記は法律で義務付けられており、新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければなりません(不動産登記法47条)。
また、法律上は、表題登記の申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられることになっています(不動産登記法164条)。
専門家は土地家屋調査士
表題登記は自分で申請することも可能ですが、専門家に依頼する場合は、表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士に依頼することになります。
登記しないと未登記建物となる
上記の通り、建物の表題登記は申請義務がありますが、実際には登記されていない建物(未登記建物・未登記家屋)も多く存在します。実際に過料の罰則を受ける可能性がほとんどない現状のため、登記していないまま放置されているケースが存在します。
ただし、未登記のまま放置すると、将来的に相続や売却の際に手続きが複雑になる可能性がありますので、早めに登記されることをお勧めいたします。
未登記建物について詳しくは、未登記建物・未登記家屋とは?登記しないとどうなる?をご覧ください。
所有権保存登記とは?
所有権保存登記は、表題登記の次にする登記のことで、権利(所有権)に関する最初の登記になります。
建物の所有権保存登記では、所有者の住所・氏名が登記されます。新築時の建物の名義は、この所有権保存登記の所有者の欄に記載されている内容のことを指します。
保存登記は権利の登記の出発点
権利に関する登記をするには、その前提として保存登記がされていなければなりません。
権利に関する登記には、以下のようなものがあります。
- 売買による所有権移転登記
- ローンを組んだときの抵当権設定登記
- 贈与による所有権移転登記
保存登記がないとできないこと
例えば、建物を売却する場合、表題登記だけしていて保存登記をしていない売主は、保存登記をしなければ、買主へ所有権移転登記をすることができません。
また、住宅ローンを組むときも、保存登記をしなければ、抵当権設定登記をすることができません。
保存登記は登記義務なし
所有権保存登記を含む権利に関する登記は、表題登記とは異なり、その申請が法律で義務付けられていません。
売買や抵当権設定など不動産に関する権利の変動は、登記することによって、その権利の変動を第三者に対して主張することができるようになります。このような利益を受けるかどうかは当事者の意思に委ねればよいという考え方から、権利に関する登記を申請するかどうかは任意となっています。
義務はありませんが、所有者であることの証明にもなりますので、保存登記されることをお勧めいたします。
専門家は司法書士
所有権保存登記は自分で申請することも可能ですが、専門家に依頼する場合は、権利に関する登記の専門家である司法書士に依頼することになります。
新築の登記に必要な書類【表題登記・保存登記】
家や建物を新築したときの登記は、建物表題登記と所有権保存登記で必要書類が異なります。住宅を新築した際にそろえる主な書類は次のとおりです。
建物表題登記の必要書類(土地家屋調査士が担当)
以下は一般的に準備する書類です。所有権を証明する資料の組み合わせは、建築の形態や申請内容によって異なり、すべてが一律に必須とは限りません。
建物表題登記は、現地調査や専門的な図面(建物図面・各階平面図)の作成が必要なため、土地家屋調査士が行います。その後の所有権保存登記は司法書士が担当します(表題登記は当センターの業務範囲ではありません)。
所有権保存登記の必要書類(司法書士が担当)
所有権保存登記は所有者本人でも申請できますが、住宅ローンの抵当権設定登記と同時に処理する場合などは、司法書士へ代理を依頼するのが一般的です。
家・住宅を新築したときの登記費用【登録免許税・専門家報酬】
新築した家・住宅の登記費用は、登録免許税(税金)と専門家(土地家屋調査士・司法書士)の報酬で構成されます。
※ 新築直後で固定資産税評価額がまだ付いていない場合は、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準」に基づいて課税標準額を算出します。
保存登記の登録免許税は軽減される場合があります
住宅用家屋証明書を添付すると、所有権保存登記の登録免許税が軽減されます。
● 一般の住宅用家屋:0.15%(租税特別措置法第72条の2)
● 認定長期優良住宅:0.1%(同法第74条)
● 認定低炭素住宅:0.1%(同法第74条の2)
いずれも、①個人が自己の居住用として新築した家屋であること、②床面積50㎡以上、③新築または取得後1年以内の登記、④市区町村発行の住宅用家屋証明書の添付、が条件です(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は各制度の認定も必要)。令和9年(2027年)3月31日までの登記が対象です。
住宅ローンを利用する場合は、これらに加えて抵当権設定登記(債権額×0.4%〈本則〉、住宅用家屋証明書があれば0.1%/司法書士が担当)が必要です。
専門家報酬は、建物の規模・共有者の人数・住宅ローンの有無などによって異なりますが、表題登記・保存登記それぞれで数万円〜十数万円程度が一般的な目安です。相続で取得した建物の登記費用については、不動産の名義変更・相続登記の費用のページもご覧ください。
建て替えのときの登記【滅失登記→表題登記→所有権保存登記】
古い家を取り壊して建て替える場合は、新築の登記に加えて、取り壊した建物の登記を消す手続き(建物滅失登記)が必要です。次の3ステップで進みます。
- 建物滅失登記:取り壊した古い建物の登記を閉じる手続き。取り壊しから1か月以内の申請が不動産登記法(第57条)で義務づけられています。専門家は土地家屋調査士です。
- 建物表題登記:新しく建てた建物の物理的状況(所在・種類・構造・床面積)を登録します。こちらも新築(所有権取得)から1か月以内・土地家屋調査士が担当します。
- 所有権保存登記:新しい建物の所有者を明らかにする権利の登記。司法書士が担当します。
滅失登記の忘れ・古い建物の権利関係に注意
建物滅失登記をしないと、登記記録上は旧建物が残り続け、土地の売却や新築建物の登記の際に確認・補正を求められることがあります。自治体が取り壊しを把握していない場合は固定資産税の課税修正が遅れることもあるため、滅失登記とは別に、市区町村への家屋滅失届が必要かも確認してください。
特に注意したいのが、取り壊す旧家が亡くなった親や祖父母の名義のままだったり、完済済みの古い住宅ローンの抵当権が残ったままのケースです。この場合、滅失登記の前提として相続の戸籍収集や抵当権抹消が必要になり、新築の登記や住宅ローンの実行が遅れることがあります。着工・解体の前に、古い建物の登記の状態を確認しておきましょう。
保存登記後に所有者が変わったらどうする?
所有権保存登記後に、所有者が亡くなったり、建物を売却したりした際は、法務局で所有権移転登記(名義変更)を行い、登記簿の所有者を変更する手続きを行います。
所有権移転登記が必要になる主なケース:
- 相続によって所有者が変わる場合
- 売買によって所有者が変わる場合
- 贈与によって所有者が変わる場合
- 離婚に伴う財産分与で所有者が変わる場合
名義変更の手続きについて詳しくは、以下のページをご覧ください。
専門家に依頼しないで、自分で手続きできませんか?
表題登記、所有権保存登記ともに、ご自身で手続きすることは可能です。ただし、誰でも簡単にできるとは言えず、時間と労力をかける必要があります。
自分で手続きする場合の注意点
- 事案によっては手続きが難しい場合があります
- 必要書類の収集や申請書類の作成に時間がかかります
- 法務局での手続きのために平日に時間を確保する必要があります
- 書類に不備があると、補正や却下される可能性があります
住宅ローンを組む場合の注意
住宅ローンなどを組まれる場合は、ご自宅への担保(抵当権)の設定が同時に必要になりますので、金融機関がご自身での登記を認めないことも考えられます。
不動産は大切な資産です。専門家に任せ、確実・適法に手続きを進めることをお勧めいたします。

