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不動産名義変更のメリット・デメリット


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年1月23日
 

不動産名義変更のメリット・デメリット

不動産名義変更とは?

不動産の名義変更とは、法務局にある「登記簿」に記載された所有者情報を書き換える手続きです。売買・相続・贈与・離婚による財産分与など、不動産の所有者が変わった際に行います。

登記簿は一般に公開されており、法務局で誰でも登記事項証明書を取得できます。これにより、不動産の所有者が誰であるかを明確に確認することが可能です。

不動産名義変更の詳細については、こちらもご参照ください。

不動産名義変更の3つのメリット

1. 第三者に対して所有権を主張できる(対抗要件)

登記を行うことで、誰に対しても「この不動産は私のものです」と主張できるようになります。これを法律用語で「第三者対抗要件」と呼びます。

【具体例:二重売買のケース】

5月1日にAさんからBさんが不動産を購入し、登記・名義変更の手続きも済ませました。その後、CさんもAさんから同じ不動産を購入しており、しかもCさんは4月1日とBさんより早く購入していたことが判明しました。

この場合、どちらが所有者になるでしょうか?

正解はBさんです。契約日の前後ではなく、登記日の前後で決まるのが原則です。先に登記を備えたBさんが、Cさんに対して所有権を主張できます。

2. 不動産の売却や担保設定ができる

不動産を売却したい、リフォームローンを組んで不動産を担保に入れたいと思っても、名義が自分になっていない状態では手続きができません

例えば、亡くなった方の名義のまま放置していると、いざ売却が必要になった際に慌てて相続手続きを進めることになり、売却のタイミングを逃してしまう恐れがあります。

3. 相続登記の義務を履行できる(過料を防げる)

【重要】2024年4月1日より相続登記が義務化されました

相続により不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記を行わないと、10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。過去の古い相続も対象となりますので、早めの対応が必要です。

相続登記義務化の詳細については、2024年相続登記が義務化|期限3年・過料10万円のポイントと対応策を解説をご覧ください。

期限内に登記を済ませることで、法律上の義務を履行したことになり、過料を受けるリスクを回避できます。

相続登記を放置した場合の詳しいデメリットについては、相続登記しないとどうなる?放置して後悔する前に知るべき全デメリットをご覧ください。

不動産名義変更のデメリット(コスト・負担)

名義変更そのものに「権利上のデメリット」はありませんが、手続きに伴う金銭的・時間的な負担が主なデメリットとなります。

1. 税金(登録免許税)の負担

名義変更には「登録免許税」という国税がかかります。税率は登記の原因によって異なります。

登記の原因税率(土地)計算例(評価額3,000万円)
相続0.4%12万円
売買2.0%(軽減措置で1.5%)60万円(軽減時45万円)
贈与2.0%60万円

特に贈与の場合は、登録免許税だけでなく贈与税も高税率となります。年間110万円の基礎控除を超える部分には、最大55%の税率がかかることもあり、名義変更したくても税金負担がネックとなるケースがあります。

2. 司法書士への報酬

自分で手続きすることも可能ですが、法務局へ何度も足を運んだり、複雑な戸籍収集を行う手間を省くため、専門家(司法書士)へ依頼するのが一般的です。この際、5万円〜15万円程度の報酬が発生します。

3. 必要書類の収集にかかる手間

戸籍謄本や印鑑証明書、固定資産評価証明書など、平日の役所が開いている時間に集めなければならない書類が多く、多忙な方には大きな負担となります。

4. 住宅ローン・抵当権がある場合の制約

住宅ローンが残っている不動産の名義変更には、金融機関の承諾が必要となる場合があります。無断で名義変更を行うと、契約違反として一括返済を求められるリスクがあります。

名義変更を放置した場合の5つのリスク

1. 相続人が増えて手続きが困難になる

名義人が亡くなった後に名義変更せず、さらに相続人が亡くなると、関係者が数十人に膨れ上がることがあります。遺産分割協議に全員の同意が必要となるため、実質的に手続きが不可能な「負動産」となってしまいます。

2. 不動産の売却・担保設定ができない

亡くなった方の名義のままでは、不動産を売却することも、融資を受けるために担保に入れることもできません。売却したい時に慌てて相続手続きを進めようとしても、思わぬ事情で時間がかかり、売却が延期や中止になる恐れがあります。

3. 他の相続人による持分売却や差し押さえのリスク

登記を放置している間に、他の相続人が自分の借金の担保として不動産を差し押さえられたり、勝手に持分を第三者に売却されたりするリスクがあります。

4. 離婚後のトラブル(財産分与)

離婚により財産分与することが決まっても「今は住めているから」と元配偶者名義のまま放置していると、将来、相手が勝手に売却したり、相手の債権者に家を差し押さえられたりする危険があります。名義変更する前に名義人が亡くなった場合も、手続きが困難になります。

5. 相続登記の義務違反による過料

前述の通り、相続登記は法律上の義務となっています。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

ケース別の判断ポイント

原因必要性注意点
相続法律上の義務(3年以内)放置すると過料のリスク。関係者が増える前に早めの対応を
売買実質必須登記が遅れると第三者に権利を主張できないリスクあり
贈与税務検討が重要贈与税が高税率。相続時精算課税制度などの活用を検討
離婚
(財産分与)
早めの対応が安全住宅ローンがある場合は金融機関の承諾が必要。離婚届提出前に相談を

専門家への相談が必要なケース

以下のような状況では、自分で手続きを進めることが困難な場合が多く、司法書士などの専門家へ相談することをお勧めします。

  • 相続人が多い、または連絡が取りづらい相続人がいる
  • 遺産分割が複雑で、代襲相続や数次相続が絡んでいる
  • 贈与税や譲渡所得など、税務上の論点が出てくる場合
  • 住宅ローン(抵当権)が残っている不動産の名義変更
  • 相続人の中に行方不明者や認知症の方がいる

まとめ:名義変更は財産を守るための重要な手続き

不動産の名義変更は、単なる事務手続きではなく、「大切な財産を守り、次の世代へ確実につなぐ」ための不可欠な作業です。

手間や費用という目先のデメリットだけを見るのではなく、将来起こりうるトラブルを防ぐ「安心」という最大のメリットに目を向けてください。

特に相続登記は法律上の義務となっていますので、放置せず早めに対応することが重要です。「自分のケースではいくらかかる?」「まず何から始めればいい?」など、少しでも不安を感じたら、まずは専門家へご相談ください。

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監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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