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私道・公衆用道路の相続登記|確認方法から共有持分の手続きまで


《この記事の作成者兼監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (
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最終更新日:2026年8月28日

私道・公衆用道路の相続登記(要点まとめ)

● 私道も相続登記の対象:固定資産税が非課税でも、個人名義の私道は相続の対象です

● 2024年4月から義務化:取得を知った日から3年以内。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です

● 見落としに注意:非課税の私道は納税通知書に載らず、名寄帳に載らない自治体もあります

● 登録免許税は原則0.4%:台帳に価格がない私道は登記官の認定価額で計算。100万円以下は令和9年3月末まで免税です

● 共有私道は持分ごとに登記:他の共有者の同意は不要で、相続人側だけで申請できます

不動産の名義変更とは?相続登記とは?

住宅に接する道路には、国や自治体が管理する「公道」のほかに、個人や法人が所有する「私道」があります。私道の中には、登記簿の地目が「公衆用道路」となっているものがあります。さらに、現況や利用状況から「公共の用に供する道路」として固定資産税が非課税になっている土地は、納税通知書だけでは把握しにくく、相続時にその存在を見落としてしまうケースが少なくありません。

しかし、私道・公衆用道路も他の不動産と同様に所有者の死亡後は相続財産となり、相続登記(名義変更)の対象となります。2024年4月から相続登記が義務化されたことで、私道の登記漏れは過料の対象にもなり得ます。

私道・共有持分の登記漏れが不安な方へ

当センターにご依頼いただくと、自宅の相続登記と私道の共有持分の名義変更をまとめてお任せいただけます(報酬66,000円(税込)〜・登録免許税等実費別)。対象不動産の確認の際に、私道持分の見落としがないかも併せてチェックします。全国対応・来所不要です。

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私道・公衆用道路とは?基本的な定義と分類

私道と公道の違い

普段何気なく通行している道路ですが、法律の世界ではその性質によって扱いが全く異なります。最も基本的な分類は、所有者が誰であるかという点です。

道路の種類 所有者 管理者 相続の対象
公道(国道・市道など) 国・都道府県・市区町村 各行政機関 対象外
私道 個人・法人 所有者 対象

登記簿上の所有者が「隣近所の人」や「不動産会社」になっている場合、それは私道です。公道であれば個人名義になることは通常ありませんので、相続登記の対象にもなりません。

公衆用道路の意味

「公衆用道路」とは、登記簿の地目欄に記載される区分の一つで、一般交通の用に供する道路を指します。公道・私道という所有関係の区分とは別の概念で、私有地の道路が「公衆用道路」と登記されていることもあります。名称に「公衆」とあっても所有権はあくまで所有者にあるため、個人名義であれば所有者が亡くなったときに相続財産となり、相続登記が必要になります。

地目と実態の違いに注意

登記簿には「地目」という土地の用途が記載されていますが、実態が道路であっても登記上は「宅地」のままというケースがあります。

【早見表】公道・私道・地目「公衆用道路」の関係

「公衆用道路」は道路の種類そのものではなく、登記簿に記録される「地目」の一つです。同じ私道でも地目が「宅地」のままというケースがあり、地目によって固定資産税や相続税評価の扱いが変わります。一方で、相続登記が必要かどうかは地目ではなく「個人の名義になっているかどうか」で決まります

観点 公道 私道(地目:公衆用道路) 私道(地目:宅地など)
所有者 国・都道府県・市区町村 個人・法人 個人・法人
固定資産税 非課税 自治体の認定により非課税となることが多い 課税されることが多い
相続登記 対象外 必要 必要
相続税評価 対象外 不特定多数の通行の用なら評価しない/専ら特定の方の通行の用なら30% 利用の実態により判定

建築基準法上の道路との関係

家を建てるには、原則として、建築基準法上の「道路」に2メートル以上接している必要があります(接道義務・建築基準法第43条第1項)。ここでいう「道路」は、原則として幅員4メートル以上のものを指します(同法第42条第1項。特定行政庁が指定する区域では6メートル)。なお、この規制がかかるのは都市計画区域・準都市計画区域内です。私道であっても、以下のような指定を受けている場合があります。

  • 位置指定道路:特定行政庁から道路としての指定を受けた私道
  • 2項道路(みなし道路):建築基準法の規定が適用されるようになった時点ですでに建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道のうち、特定行政庁が指定したもの(同法第42条第2項)。指定されると原則として道路の中心線から2メートルの線が道路の境界線とみなされ、その結果として建替えの際にセットバック(後退)が必要になります

これらの私道には、道路内に建築物や擁壁を建てられないという制限がかかります(建築基準法第44条第1項)。また、私道を廃止・変更すると接する敷地が接道義務に反することになる場合、特定行政庁がその廃止・変更を禁止し、または制限することができます(同法第45条第1項)。

一方で、建築基準法上の道路に指定されていることと、誰が通行できるかは別の問題です。最高裁は、位置指定を受けた私道を公衆が通行できるのは指定に伴う反射的な利益にすぎず、通行を妨害されても敷地の所有者に対する妨害排除の請求権を持たないのが原則としたうえで、その私道の通行に日常生活上不可欠の利益を有する方については、例外的に妨害の排除などを求める権利を認めています(最高裁平成9年12月18日判決)。通行や掘削をめぐる問題は、通行地役権の有無や承諾書の取り交わしなど、個別の権利関係の確認が必要になります。

私道に固定資産税はかかる?非課税の要件

課税と非課税の原則

「道路なんだから税金はかからないだろう」という思い込みは危険です。私道であっても、個人の資産である以上、原則として固定資産税・都市計画税の課税対象となります。

ただし、公共性が高いと判断されれば「非課税」になります。ここで注意したいのは、「公共の用に供する道路」に当たるかどうかの認定基準や手続は自治体によって異なる点です。非課税申告書の提出を求める自治体もあるため、課税されている私道がある場合は、所在地の市区町村の固定資産税担当課にご確認ください。

「公共の用に供する道路」の認定基準

自治体によって基準は異なりますが、一般的には以下の要件が目安となります。

道路のタイプ 非課税の可能性 認定の目安
通り抜け道路 高い 両端が公道に接しており、不特定多数が自由に利用できる
行き止まり私道 条件付き 複数の世帯が利用しているなど、自治体の定める要件を満たす場合
専属利用の私道 低い 特定の1軒のみが利用する通路(実質的な敷地)

非課税申告の手続き方法

もし「地目が公衆用道路なのに課税されている」「実態は道路なのに宅地として課税されている」場合は、市町村(東京23区は都税事務所)に固定資産税の非課税申告を行うことを検討しましょう。

非課税がいつから適用されるかは自治体で異なります

非課税がどの年度から適用されるか、過年度分の訂正や還付を受けられるかは、自治体や課税の経緯によって異なります。課税されている私道に気づいた場合は、対象となる年度を含めて固定資産税担当課にご確認ください。

相続税における私道の評価方法

評価の分かれ目は「誰の通行の用に供されているか」

私道の相続税評価は、道路の形状ではなくその私道が誰の通行の用に供されているかで決まります(財産評価基本通達24)。

不特定多数の方の通行の用に供されている私道は、その価額を評価しません(評価額ゼロ)。公道から公道へ通り抜けできる私道が典型例ですが、国税庁は、行き止まりの私道であっても、その私道を通って不特定多数の方が集会所・地域センター・公園などの公共施設や商店街に出入りしている場合や、公共バスの転回場・停留所が設けられている場合も、これに当たるとしています。道路の幅員の大小によって区別するものではありません。

専ら特定の方が通行する私道は30%評価

上記のような公共性が認められず、専ら特定の方の通行の用に供されている私道は、その宅地が私道でないものとして評価した価額の30%相当額で評価します。

【計算例】
隣接する宅地の評価額が1,000万円の路線にある私道(同面積)の場合
1,000万円 × 30% = 300万円(私道の相続税評価額)

なお、隣接する宅地への通路として専用利用している路地状敷地(いわゆる旗竿地の「竿」にあたる部分)は、私道としては評価せず、その宅地と合わせて1画地の宅地として評価します。

小規模宅地等の特例との関係

私道であることだけを理由に「小規模宅地等の特例」の対象外になるわけではありません。国税庁は質疑応答事例で、被相続人の居住用宅地の維持・効用を果たすために必要不可欠な共有私道について、その共有持分も被相続人の居住用宅地として特例の対象となるとしています(租税特別措置法第69条の4第1項)。

ただし、私道であれば常に対象になるという意味ではなく、居住用または事業用の宅地の維持・効用にとって必要不可欠かどうかが判断の軸になります。相続税の課税価格の計算や特例の適用の可否は税理士の業務範囲ですので、具体的な判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。当センターでは、私道持分を含む相続登記の手続きに対応しています。

私道の相続登記(名義変更)の手続き

相続財産としての私道

私道は土地の一部であり、所有者が亡くなると相続財産になります。私道の持分を相続登記しないまま放置すると、将来の売却や融資、通行・掘削に関する権利関係の確認で手続きが止まることがあるため、自宅の敷地とあわせて名義変更しておくことが大切です。

必要書類

相続登記は他の不動産と同じ流れで行います。必要書類は、遺産分割・遺言・法定相続のどの方法で登記するかによって異なります。遺産分割協議によって取得する場合の主な書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の登記上の住所とのつながりを示す住民票の除票または戸籍の附票
  • 遺産分割協議書
  • 遺産分割協議書に押印した相続人の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 登録免許税の課税価格を確認する資料(固定資産課税明細書・評価証明書など)
公衆用道路の評価証明に注意

公衆用道路(私道)の場合、固定資産税が非課税であるため評価額が記載されないことが多くあります。この場合は、まず管轄の法務局に課税価格の算定方法を確認します。法務局が指定する近傍類似の土地の評価証明書などを求められることがありますが、具体的な手続は法務局や自治体によって異なります。

私道の存在確認と登記漏れを防ぐ調査方法

相続登記で最も多いミスが、「自宅の土地だけ名義変更して、私道の持ち分を忘れる」ことです。親の私道が相続対象かどうかを確実に調べるには、以下の方法を組み合わせて確認することが重要です。

1. 名寄帳(なよせちょう)の取得【有力な確認資料】

市区町村役場で名寄帳(個人名義の不動産一覧)を取得し、非課税の私道が含まれていないかチェックします。課税されていない私道は通常の納税通知書に載らないため、名寄帳は所有する不動産を確認するうえで有力な資料です。ただし次に述べるとおり、自治体によっては非課税の土地が名寄帳に記載されないことがあるため、権利証・公図・登記事項証明書と突き合わせて確認します。

非課税の私道が名寄帳に載らない自治体もあります

名寄帳は所有する不動産を一覧できる有力な資料ですが、非課税の土地(公衆用道路など)は名寄帳に記載されない自治体があります。記載が見当たらない場合は、市区町村の固定資産税担当課に非課税の土地がないかを確認するか、非課税資産についての評価証明書(自治体により未登録証明書などと呼ばれます)を請求すると把握できます。名寄帳そのものの取り方と見方は「名寄帳の取得方法と見方」で解説しています。

2. 権利証(登記済証・登記識別情報)の精査

被相続人が土地を購入した際の権利証を確認し、地目に「公衆用道路」と記載されていないか確認します。古い権利証には複数の土地(筆)が記載されていることがあるため、すべての筆を確認し漏れがないようにしましょう。

3. 公図と登記簿の確認

法務局で公図を入手し、自宅の周辺に不自然に細長い「無番地」や「別筆」がないか確認します。これらが私道である可能性があります。地番から登記簿を取り寄せ、共有名義になっていないかも確認しましょう。

公図で地番を特定できたら、その地番の登記事項証明書を取得して所有者と持分を確認します。法務局の窓口で請求する場合は1通600円です。オンラインで内容だけを確認したいときは登記情報提供サービスが使え、所有者事項が140円、全部事項が330円で閲覧できます(いずれも令和8年4月1日からの料金)。公図や地積測量図そのものの取得手順は「公図・地積測量図の取得方法(法務局・オンライン)」をご覧ください。

登記漏れを防ぐために

いずれの方法も、放置されがちな私道の登記漏れを防ぐための重要な手段です。特に名寄帳の確認は、課税されていない物件も含めて把握できる可能性が高いため、必ず行うことをお勧めします。ただし自治体によっては非課税の土地が名寄帳に載らないため、公図や権利証との突合も欠かせません。複数の方法を組み合わせることで、より確実に私道の存在を把握できます。

登記手続きの概要

上記書類を揃えたら、管轄の法務局に「所有権移転登記(相続)」の申請を行います。遺産分割協議で取得者を決める場合は、相続人全員の実印の押印と印鑑証明書が必要です。なお、私道を共有している他の共有者(隣近所の方など)の同意や印鑑証明書は不要で、被相続人の持分についてのみ相続人側だけで登記を申請できます。

共有私道がある場合は、遺産分割協議で持分を誰が取得するか決めた上で、「持分全部移転」の登記申請書を作成して提出します。司法書士に依頼すれば、書類作成から申請までサポートを受けられます。

私道・公衆用道路の相続登記にかかる登録免許税

固定資産税が非課税でも登録免許税はかかる

固定資産税と登録免許税は別の税金です。公衆用道路として固定資産税が非課税になっていても、相続登記を申請するときの登録免許税は原則どおりかかります。相続による所有権移転登記の税率は、不動産の価額の0.4%(1,000分の4)です。

問題になるのは「不動産の価額」をどう決めるかです。非課税の私道は固定資産課税台帳に価格が登録されていないことが多く、その場合の課税標準は登記所(登記官)が認定した価額になります。

価額の基準は法務局ごとに異なります

実務では、近くの宅地の価格をもとに、公衆用道路についてはその30%相当を基準とする取扱いが広く行われています。ただし具体的な基準は管轄の法務局によって異なるため、申請前に管轄法務局へ確認してください。なお、ここでの30%は登録免許税の課税価格を算定するための実務上の取扱いであり、前述した相続税評価の30%(財産評価基本通達にもとづくもの)とは別の制度です。数字は同じでも根拠が異なる点にご注意ください。評価証明書が発行されない土地の取扱いは「固定資産税評価証明書が出ない土地の登録免許税」で詳しく解説しています。

私道の共有持分の計算例

近くの宅地の価格が1平方メートルあたり10万円、私道の地積が50平方メートル、被相続人の持分が6分の1というケースで考えます。

【計算例】
10万円/㎡ × 50㎡ × 30% = 1,500,000円(私道全体の価額)
1,500,000円 × 1/6 = 250,000円(持分の課税価格)
250,000円 × 0.4% = 1,000円(登録免許税)

ただし、このケースは次に説明する免税措置に当てはまるため、登録免許税は0円になります。実際の税額は法務局が認定する価額によって変わりますので、上記は考え方の例としてご覧ください。税額の目安は「登録免許税の自動計算ツール」でも試算できます。

価額100万円以下の土地は免税(令和9年3月31日まで)

相続による土地の所有権移転登記については、不動産の価額が100万円以下であれば登録免許税が課されない免税措置があります(租税特別措置法第84条の2の2第2項)。期限は令和9年(2027年)3月31日までです。

持分を取得する場合は、不動産全体の価額に持分の割合を乗じた額で100万円以下かどうかを判定します。私道の持分は課税価格が小さくなりやすいため、この免税措置に当てはまるケースが少なくありません。

申請書への記載を忘れると免税されません

免税措置の適用を受けるには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と記載する必要があります。記載がない場合は免税措置が適用されませんのでご注意ください。

共有私道がある場合の注意点

共有持分の相続

私道を複数人で共有している場合、被相続人の持分も相続財産に含まれます。共有持分を相続する相続人は、遺産分割協議などで取得者を定めた上で、所有権移転登記を行います。

全持分を相続人の一人に移す場合でも、複数名で相続する場合でも「持分全部移転」の申請となります。この登記は相続人側だけで申請でき、私道の他の共有者の同意や印鑑証明書は不要です(遺産分割協議で取得者を決める場合に必要なのは、相続人全員の実印と印鑑証明書です)。

放置すると手続きが複雑化

登記を放置すると、相続が進むたびに共有者が増えて協議が難航し、最悪の場合いつまでも登記できない事態になり得ます。取得したらすぐに名義変更することが大切です。

売却・建替えのときに問題になります

私道持分の登記をしないまま放置すると、売却や住宅ローンの審査の際に権利関係の確認が滞ったり、水道・ガス工事の掘削について誰の承諾を得ればよいかが定まらなかったりします。なお、相続登記をしていないこと自体が、ただちに接道義務違反になるわけではありません。再建築できるかどうかは、前面道路が建築基準法上の道路に当たるか、必要な長さだけ接しているかなどを別途確認します。

共有私道の管理とトラブル

私道を近隣数軒で共有している場合、補修費用の分担や、放置された車両の撤去などで揉めることがあります。可能であれば、共有者間のルール(管理規約)を定めておくのが理想的です。

建替え・売却で効いてくる通行・掘削の承諾

共有私道は、普段の生活では意識しなくても、建替えや売却の場面で他の共有者の承諾を求められることがあります。私道を掘って水道管やガス管を引き込む工事や、工事車両の通行について、他の共有者に承諾を得るのが実務上の一般的な流れです。

このとき、私道の持分が亡くなった方の名義のままだと、誰に承諾を求めればよいのかが定まりません。まず相続人を戸籍でたどって特定する必要があり、そのうえで、予定している工事が保存行為・管理行為・変更行為のいずれに当たるかによって、必要となる共有者の同意の範囲を確認することになります。持分の相続登記を済ませて権利関係を明確にしておくことが、こうしたやり取りの前提になります。

なお、共有者のなかに所在の分からない方がいる場合には、令和5年4月1日に施行された改正民法により、裁判所の裁判を得たうえで、所在の分からない共有者を意思決定から除外できる制度が設けられています(民法第251条第2項・第252条第2項)。共有物の変更は、裁判を得たうえで所在等が不明な共有者以外の共有者全員の同意によって行い、管理に関する事項は、残る共有者の持分の価格に従いその過半数で決めることになります。いずれも裁判所への申立てが必要です。

私道・公衆用道路と相続登記の義務化

相続登記義務化の概要

2024年(令和6年)4月1日より、相続した不動産の名義変更は義務化されました。相続人は、相続の開始と不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記する義務があり、正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料の対象となります。

私道・公衆用道路も義務化の対象

義務化の対象は土地・建物などすべての不動産であり、もちろん私道・公衆用道路も含まれます。税通知書に出ないからと安心せず、相続財産に含まれているか必ず確認しましょう。

登録免許税は原則として不動産の価額の0.4%ですが、価額が100万円以下の土地は令和9年(2027年)3月31日まで免税となります(詳しくは上記「私道・公衆用道路の相続登記にかかる登録免許税」をご覧ください)。

この義務は、施行日より前に発生した相続にも適用されます。期限は、不動産を相続で取得したことを知った日と、令和6年4月1日のいずれか遅い日から3年以内です。したがって、施行日より前にすでに取得を知っていた場合は令和9年(2027年)3月31日が期限となりますが、私道の持分のように取得したこと自体を令和6年4月以降に初めて知った場合は、その知った日から3年以内が期限になります。期限内に遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記という暫定的な手段をとることで申請義務を履行したものとみなされます。ただし、その後に遺産分割が成立した場合は、成立した日から3年以内に相続登記を申請する義務が別途生じます。義務化と過料の詳しい内容は「相続登記の義務化・過料の解説ページ」をご覧ください。

相続登記義務化を機に確認すべきこと
  • 親名義の不動産全般とともに私道の有無を確認
  • 名寄帳・権利書・登記簿で所有関係を把握
  • 共有私道がある場合は持分も確認
  • 発見した場合は速やかに登記申請を実施

私道・公衆用道路の相続登記に関するよくある質問

Q1. 自宅だけ相続登記をして、私道の持分を忘れていました。どうすればいいですか?

私道の持分について追加で相続登記を申請すれば解決できます。遺産分割協議書に「その他一切の財産は○○が取得する」といった包括的な条項があれば、原則としてそれに基づいて追加の申請が可能です。包括条項がない場合は、私道の持分について改めて相続人全員で遺産分割協議を行い、協議書を作成してから申請します。相続登記の義務の期限は、取得を知った日から3年以内(施行日前にすでに取得を知っていた場合は令和9年3月31日)ですので、気づいた時点で早めに対応することをお勧めします。

Q2. 自宅の相続登記と一緒に、私道の共有持分もお願いできますか?

はい、まとめてご依頼いただけます(司法書士報酬66,000円(税込)〜・登録免許税などの実費は別途)。相続登記の報酬は、対象となる不動産の数(土地は筆単位、建物は個単位で数えます)や、管轄する法務局の数などにより加算となる場合があります。私道が何筆あるかは登記簿で確認する必要があるため、ご依頼前に総額を明示したお見積りをご提示します。費用の全体像は「相続登記の費用」をご覧ください。

Q3. 固定資産税がかかっていない私道なのに、なぜ登録免許税がかかるのですか?

固定資産税と登録免許税は別の税金だからです。固定資産税は「公共の用に供する道路」として非課税になっていても、相続登記を申請するときの登録免許税は原則どおりかかります。ただし非課税の私道は固定資産課税台帳に価格が登録されていないため、登記所(登記官)が認定した価額を課税標準にします。認定の基準は法務局ごとに異なりますので、申請前に管轄の法務局へ確認するのが確実です。

Q4. 私道が名寄帳に載っていません。ほかにどう確認すればいいですか?

非課税の土地(公衆用道路など)は名寄帳に記載されない自治体があります。その場合は、市区町村の固定資産税担当課に非課税の土地の有無を確認するか、非課税資産についての評価証明書を請求すると把握できます。あわせて、法務局で公図を取得して自宅の周辺に細長い別筆の土地がないかを確認し、その地番の登記事項証明書で所有者と持分を確かめる方法が確実です。

Q5. 私道の共有持分だけの相続登記は、自分でもできますか?

ご自身で申請することも可能です。ただし私道の場合は、課税価格を登記官の認定価額で計算する、免税措置の適用を受けるには申請書に条文を記載する必要がある、自宅(本地)と私道をまとめて申請する際の書き方に実務上の工夫がある、といった通常の相続登記にはない論点があります。申請書の記載や添付書類に不安がある場合は、司法書士にご依頼いただくと自宅と私道をまとめて手続きできます。

私道に関する相談先と当センターの対応範囲

私道の問題は、登記(司法書士)、測量や境界(土地家屋調査士)、紛争(弁護士)、税金(税理士)と、分野によって担当する専門家が分かれます。当センターが対応するのは、私道の相続登記をはじめとする登記実務です。測量・境界の確定、共有者との紛争、相続税の申告といった論点は、それぞれ土地家屋調査士・弁護士・税理士にご相談ください。

私道は「地味な存在」と思われがちですが、一度トラブルになると解決に多大な時間と費用がかかります。特に相続登記が義務化された今、私道の登記漏れは過料のリスクにもつながります。

今すぐ確認すべき3つのポイント
  • 登記簿上の地目は何か?(公衆用道路か、宅地か)
  • 固定資産税は課税されているか?(非課税になっているか)
  • 持分(所有権)は正しく自分(または被相続人)の名義になっているか?

これらの確認を怠ると、将来的に再建築不可、売却困難、近隣トラブルなど、様々な問題が発生する可能性があります。相続が発生した際には、建物や宅地だけでなく、私道・公衆用道路の存在も必ず確認し、早めに相続登記を完了させることが重要です。

私道の持分は納税通知書だけでは見つからないことがあり、相続登記のあとに漏れが判明する案件もあります。自宅の敷地と私道をまとめて登記するには、権利証・名寄帳・公図などを突き合わせ、対象となる筆と持分を確認したうえで申請することが重要です。私道持分の特定や相続登記については、当センターにお気軽にご相談ください。

この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Plan・manegyへの寄稿実績あり。

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