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遺贈の手続きを完全解説:相続登記との違い、税金、必要書類


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年2月25日
 

遺贈の手続きを完全解説:相続登記との違い、税金、必要書類
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遺贈の基礎知識:相続との違いを理解する

遺贈とは?

遺贈(いぞう)とは、遺言書によって、遺言者が指定した相手に財産を無償で譲り渡すことです。遺贈が成立するためには、法的な効力を持つ遺言書が必須となります。

遺贈によって財産を受け取る人を「受遺者(じゅいしゃ)」と呼びます。遺贈の法的根拠は、遺言者の意思を記した有効な遺言書にあります(民法第964条)。法的性質としては遺言者の「一方的な意思表示」によって効力を生じる単独行為であり、遺言書を作成する段階で受遺者の承諾や同意を得ておく必要はありません。遺言者の死亡と同時に自動的に法的な効力が発生します。

遺贈の最大の特徴は、財産を受け取る人(受遺者)の範囲を遺言者が自由に決定できる点です。受遺者になれる人に制限はなく、以下のように幅広い相手を指定できます。

  • 法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)
  • 法定相続人以外の個人(内縁の配偶者、息子の妻、相続権のない孫、介護等でお世話になった知人など)
  • 法人・団体(株式会社、合同会社、NPO法人、地方公共団体、学校、病院など)

この自由度の高さが、遺言者の意思を実現するための強力な手段となっています。

⚠ 受遺者にも放棄の権利があります 遺贈は遺言者の単独行為ですが、受遺者に財産の受け取りを強制できるわけではありません。受遺者には遺贈を放棄する権利が法律上保障されています。放棄の手続きは遺贈の種類(包括遺贈・特定遺贈)によって異なります。
「遺贈する」と「相続させる」の文言の違いに注意 法定相続人にも遺言書によって遺贈することは可能ですが、実務上、相続人に対しては「遺贈する」ではなく「相続させる」との表記を使うのが通常です。単なる文言の違いと思われがちですが、遺言書の文言によって登記手続きの申請方法(共同申請か単独申請かなど)が変わる場合がありますので注意が必要です。なお、2023年4月の法改正により、相続人への遺贈も単独申請が可能になるなど、両者の手続き上の差は縮小してきています。

遺贈と相続の法的・税務的な違い

遺贈と相続は、財産承継の形態として似ていますが、法的根拠、受取人の範囲、税務上の取り扱いに決定的な違いがあります。

「相続」とは、亡くなった方の財産が民法で定められた法定相続人に受け継がれることです。遺言書がない場合は法定相続人全員が参加する「遺産分割協議」によって財産の分配方法を決定します。遺言書で財産の分配方法を指定することも可能です。

遺贈は法定相続人以外にも無償で譲り渡すことが可能であるのに対し、相続の場合は法定相続人のみが対象である点が大きな違いです。また、相続は遺言書がなくても発生しますが、遺贈は遺言書があって初めて生じるものです。

税務上の主な違い

遺贈によって財産を取得した場合、贈与税ではなく「相続税」の課税対象として計算されます。これは遺贈が被相続人の死亡に起因する財産移転であるという性質に基づきます。ただし、以下の点で相続と大きく異なります。

基礎控除への影響:相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されますが、受遺者が法定相続人でない場合は「法定相続人の数」にカウントされません。遺贈を受けた人が何人いても、基礎控除額は増えません。同様に、生命保険金や死亡退職金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」も利用できません。

2割加算の適用:被相続人の配偶者および一親等の血族(子や親。代襲相続人となった孫を含む)以外の者が財産を取得した場合、算出された相続税額に20%が加算されます。これは相続人か否かを問わず適用されるため、法定相続人であっても兄弟姉妹や甥姪は加算の対象となります。

2割加算の対象となる受遺者・相続人の例 以下の方が遺贈や相続で財産を取得した場合は、相続税額が2割加算されます。
・被相続人の兄弟姉妹、甥や姪
・代襲相続人ではない孫(親が存命中の孫への遺贈)
・息子の妻、娘の夫
・内縁の配偶者(事実婚のパートナー)
・血縁関係のない第三者や知人

※配偶者、子、親(一親等の血族)、代襲相続人となった孫は加算の対象外です。
比較項目遺贈相続
法的根拠遺言書(単独行為)民法の規定
受取人誰でも指定可能(法人・団体含む)民法上の法定相続人に限る
遺言書の要否必須必須ではない
負債の承継包括遺贈は承継あり、特定遺贈は原則なし原則承継あり
相続税基礎控除法定相続人以外は人数に含まれない法定相続人の人数で増額
相続税2割加算受遺者が配偶者・一親等血族(代襲孫含む)以外なら対象相続人でも兄弟姉妹等は対象(配偶者・一親等血族は原則対象外)

遺贈と死因贈与の違い

遺贈と死因贈与は、いずれも「死亡によって効力が発生する財産譲渡」という点で似ていますが、法的性質が根本的に異なります。

遺贈が遺言者の一方的な意思表示(単独行為)であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の間で締結される「契約」です。死因贈与は生前に「私が死んだらこの不動産をあなたに譲る」「分かりました」という双方の明確な合意が必要となります。

そのため、死因贈与は遺言書のような厳格な方式を必ずしも必要としませんが、不動産の実務においては、確実な名義変更のために公正証書で契約書を作成し、生前に「始期付所有権移転仮登記」という保全措置を講じることなども考えられます。

遺贈と生前贈与の違い

生前贈与は、財産の所有者が生きている間に他者へ財産を無償で譲渡する契約です。遺贈が死亡を契機として効力が発生するのに対し、生前贈与は生前の任意のタイミングで財産権が移転し、直ちに名義変更が可能です。

不動産を生前贈与する場合、受贈者には「贈与税」が課されます。贈与税は相続税と比較して基礎控除額が低く(年間110万円)、税率も高いため、多額の税負担が発生しがちです。さらに登録免許税の税率も2.0%、不動産取得税も課税されます。遺贈の場合は「相続税」の枠組みで処理されるため、基礎控除額が大きく、全体的な税負担が軽減されるケースが多いです。

遺贈の二大類型:特定遺贈と包括遺贈の選択基準

遺贈は、財産の指定方法により「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類に分類されます。この分類は、受遺者が負債を承継するか否か、遺産分割協議への参加義務の有無に直結し、実務上の複雑さを大きく左右します。

特定遺贈の定義と特徴

「東京都〇〇区の土地をBに遺贈する」「〇〇銀行の預金100万円をAに遺贈する」のように、特定の財産を具体的に指定して遺贈する方法です。

特定遺贈のメリット

  • 原則として、遺言書に明記されていない限り、遺言者の借金などマイナスの財産を引き継ぐ必要がない
  • 指定された財産を受け取るのみで、他の相続人との遺産分割協議に参加する権利や義務がない
  • 遺贈の放棄が比較的容易で、家庭裁判所の手続きは不要(遺言執行者等への意思表示で完了)
  • いつでも放棄可能で、期間の制限がない

特定遺贈のデメリット

  • 遺言者が亡くなる前に指定財産がなくなっていた場合(売却・焼失等)、原則として遺贈の効力を失う
  • 法定相続人以外の人が不動産の特定遺贈を受けると、不動産取得税が課税される

包括遺贈の定義と特徴

「全財産の3分の1をCに遺贈する」「遺産の50%をDに遺贈する」のように、特定の財産を指定せず、遺産の全部または一定の割合を指定して遺贈する方法です。包括受遺者は民法上、法定相続人と同一の権利義務を有するとされています。

包括遺贈のメリット

  • 遺言書作成後に財産の内容が変わっても、割合で指定しているため柔軟に対応できる
  • 遺産分割協議に参加して、具体的にどの財産を受け取るかを話し合いで決められる
  • 不動産が含まれていても、不動産取得税は課税されない

包括遺贈のデメリット

  • 借金などマイナスの財産も指定割合に応じて引き継がなければならない
  • 相続人と一緒に遺産分割協議に参加する必要があり、手続き完了まで時間がかかることがある
  • 放棄には遺贈を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所での申述が必要(期限を過ぎると放棄できない)
比較項目特定遺贈包括遺贈
財産の指定方法個別財産(例:自宅不動産)遺産全体の割合(例:1/2)
債務(負債)の承継原則として承継しない割合に応じて承継する
遺産分割協議参加権なし参加権あり(相続人と同等)
放棄の手続き遺言執行者等への意思表示で完了
(期間制限なし)
家庭裁判所への申述
(3ヶ月以内)
不動産取得税
(相続人以外の場合)
課税される課税されない

遺贈形式の選択・判断基準

特定の資産を特定の相手に確実に渡したい場合、または受遺者に負債や遺産分割協議の負担を負わせたくない場合は、特定遺贈が圧倒的に適しています。特に法人や団体が受遺者となる場合は、負債承継のリスクや煩雑な遺産分割協議への参加を避けるため、ほぼ例外なく特定遺贈を選択すべきです。

一方、包括遺贈は遺産全体の分配を受遺者や相続人の話し合いに委ねたい場合に選択されますが、負債状況が不透明な場合や法定相続人以外に対して用いる場合は、受遺者に予期せぬ経済的負担を与える可能性が高くなります。

✅ 実務上のポイント 不動産を第三者に譲る場合は、紛争防止や登記手続きの迅速化という観点から、特定遺贈が用いられるケースが圧倒的に多いです。財産内容が明確で、知らない負債を引き継ぐリスクがないことは、受遺者にとって大きな安心材料となります。

受遺者の権利保護と遺贈の放棄

遺贈は遺言者の一方的な意思表示で行われるため、受遺者の意思に反して財産を押し付けることは法律上認められていません。受遺者は自身の判断で遺贈を放棄することが可能です。ただし、放棄の手続きと期限は包括遺贈と特定遺贈で大きく異なります。

包括遺贈の放棄:厳格な期限あり

包括受遺者は法定相続人と同一の権利義務を持つため、放棄手続きも「相続放棄」と同様の厳格なルールに従う必要があります。

自分が遺贈を受けたことを知った時から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「遺贈放棄の申述」を行わなければなりません。この期限は非常に厳格で、期間内に手続きを完了させなかった場合、マイナス財産を含めてすべての遺贈を「単純承認」したものとみなされる危険性があります。

特定遺贈の放棄:柔軟な手続き

特定受遺者は、遺言者の死亡後であればいつでも遺贈を放棄することが可能です。期間の制限はなく、家庭裁判所での手続きも不要です。遺言執行者(指定されている場合)または法定相続人全員に対して放棄の意思表示を行うだけで法的な効力を持ちます。

⚠ 実務上の注意点 口頭での意思表示は後日トラブルの原因となるため、内容証明郵便など記録に残る書面で放棄の意思表示を行うのが通例です。なお、特定受遺者が放棄の判断を長期間保留している場合、利害関係者は「相当の期間を定めて承認するか放棄するかを確答すべき旨の催告」を行うことができ、期間内に返答がなければ遺贈を承認したものとみなされます。

遺贈にかかる税金:登録免許税・不動産取得税の全体像

不動産の遺贈を受けた場合、名義変更の登記手続きだけでなく、発生する税務上の負担を正確に把握しておくことが不可欠です。特に、受遺者が法定相続人であるか否かによって、適用される税金の種類や税率が大きく変わる構造となっています。

登録免許税:受遺者の属性で税率が5倍の差

法務局で不動産の名義変更を行う際、国税である「登録免許税」を納付する必要があります。受遺者の属性によって適用される税率が大きく異なります。

受遺者の属性登録免許税の税率評価額1,000万円の場合評価額3,000万円の場合
法定相続人への遺贈固定資産税評価額 × 0.4%4万円12万円
相続人以外への遺贈固定資産税評価額 × 2.0%20万円60万円

評価額が数千万円に上る不動産の場合、登録免許税だけで数十万円単位の差が生じます。受遺者は登記申請前に十分な現金を確保しておく必要があります。

不動産取得税:課税される場合とされない場合

通常の相続の場合、不動産取得税は課税されませんが、遺贈の場合は条件によって課税される場合があります。

遺贈の種類と受遺者不動産取得税
相続人への特定遺贈非課税
包括遺贈(相続人・相続人以外とも)非課税
相続人以外への特定遺贈課税される(土地・住宅:3%、非住宅:4%)
※土地・住宅の3%は軽減税率であり、適用期限があります
法律上の根拠 地方税法第73条の7では「相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得」に対しては不動産取得税を課すことができないと規定されています。このため、相続人以外への特定遺贈のみが課税対象となります。
⚠ 不動産取得税の請求タイミングに注意 不動産取得税は、法務局での名義変更登記が完了してから数ヶ月後に都道府県の税事務所から納税通知書が届きます。登録免許税の支払いから遅れて高額な請求が来るため、事前の資金計画で見落としがちなポイントです。

相続税の2割加算と非課税枠の制限

前述のとおり、法定相続人以外の受遺者は相続税額が2割加算されるほか、以下の不利な扱いを受けます。

  • 相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の人数にカウントされない
  • 生命保険金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を利用できない
  • 死亡退職金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を利用できない

これらの税務上の負担増を総合的に考慮すると、法定相続人以外への遺贈を検討する際は、事前に税理士等への相談も含めた綿密な資金計画が不可欠です。

相続登記の義務化と遺贈への影響(2024年〜)

所有者不明土地問題を解消するため、2024年(令和6年)4月1日より「相続登記の申請義務化」が施行されました。この制度変更は、遺贈によって不動産を取得したケースにも適用されます。

遺贈登記の申請期限と罰則

相続(相続人への遺贈を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために所有権の移転があったことを知った日から3年以内に名義変更の登記申請をしなければなりません。

重要:登記義務の対象は「相続人」に限られます この3年以内の登記義務があるのは、法定相続人が相続や遺贈により不動産を取得した場合です。法定相続人でない親族や友人、団体などが遺贈で不動産を取得した場合は、この登記義務・罰則の対象外です。

ただし、登記をしないでいると以下のようなリスクがあります。
・所有権を第三者に対抗(主張)できない
・将来不動産を売却・活用しようとするときに手続きが複雑になる

法律で義務付けられていない場合でも、できるだけ早く遺贈登記をすることをお勧めします。

正当な理由なく期限内に登記申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される規定が設けられています。さらに、2024年4月1日の施行日より前に発生した過去の相続や遺贈にも遡及して適用されます。この場合の起算点は「施行日(2024年4月1日)」と「取得を知った日」のいずれか遅い日からとなり、多くのケースでは2027年3月31日が期限となりますが、取得を知った時期によっては異なる場合もあります。名義変更を放置している場合は早急に対応が必要です。

相続人申告登記制度

3年以内に最終的な名義変更を完了させることが事実上不可能なケースを救済するため、「相続人申告登記」という簡易制度が設けられました。

これは、法務局に対して「自分は法定相続人の一人である」ことを簡易に申告し、登記簿にその情報を付記してもらう制度です。この申告により、ひとまず3年以内の登記義務を果たしたとみなされ、過料を免れることができます。

ただし、これはあくまで暫定的な措置に過ぎません。最終的に誰が不動産を取得するかが確定した場合には、その確定した日から再び3年以内に本来の所有権移転登記を行う義務があります。

遺贈による不動産名義変更の登記手続き

遺贈登記は、通常の相続登記と比較して手続きの難易度が高く設定されています。その最大の理由は、登記申請の原則が「共同申請」であることにあります。

遺贈登記の申請人

遺贈登記では、基本的に財産をもらう人(受遺者)と、亡くなった方の相続人全員が一緒に登記申請をする必要があります。受遺者が「登記権利者」、相続人が「登記義務者」の立場となります。

しかし、遺贈の性質上、本来は自分たちが相続できたはずの不動産を受遺者に渡す形となる相続人が、登記手続きにすんなり協力してくれる可能性は高くありません。相続人が一人でも協力を拒んだり、行方不明であったりすれば、登記手続きは頓挫してしまいます。

遺言執行者がいる場合

遺言執行者が指定されている場合、手続きが大幅に簡単になります。遺言執行者が「相続人全員の代理」として登記義務者となるため、法定相続人全員の協力や印鑑証明書の提供は一切不要となり、受遺者と遺言執行者の2名だけで登記申請を完了させることができます。

受遺者が法定相続人の場合(2023年4月~単独申請可能)

2023年(令和5年)4月1日からの法改正により、受遺者が法定相続人である場合は、受遺者が単独で登記申請できるようになりました。他の相続人の協力は不要です。なお、2023年4月1日より前に発生した相続についても単独で申請可能です。

注意:第三者への遺贈は従来通り共同申請が必要 この単独申請の特例は「受遺者が法定相続人である場合」に限られます。息子の妻、内縁の配偶者、法人などに対する遺贈の場合は、従来通り共同申請(または遺言執行者による手続き)が必要です。
遺贈登記の申請人まとめ
パターン申請人
受遺者が相続人以外 & 遺言執行者なし受遺者 + 相続人全員で共同申請
受遺者が相続人以外 & 遺言執行者あり受遺者 + 遺言執行者で共同申請
受遺者が法定相続人受遺者が単独で申請可能

遺贈登記の申請の流れ

1
遺言書の確認・検認手続き
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は家庭裁判所で検認手続きが先に必要です(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した場合・公正証書遺言の場合は検認不要)。検認手続きには相続人を確定するための戸籍謄本の収集が必要で、申立てから期日まで1〜2ヶ月程度かかることが多いです。
2
申請人の確定・調整
遺言執行者が指定されている場合はその人が手続きを主導します。いない場合は受遺者と相続人全員で共同申請の準備を進めます。必要に応じて家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることも検討します。
3
必要書類の収集
被相続人・受遺者の戸籍謄本や住民票、遺言書(検認調書付)、固定資産評価証明書、登記済権利証(登記識別情報)など、登記申請に必要な各種書類を収集・作成します。
4
登記申請書の作成・提出
不動産所在地の管轄法務局に申請し、登録免許税を納付します。窓口またはオンラインで申請書と添付書類一式を提出します。司法書士に依頼している場合は事前に委任状を作成します。
5
登記の完了・名義変更の完了
法務局の審査を経て登記が完了すると、受遺者への名義変更が正式になされます。新しい登記識別情報通知(従来の権利証)が発行され、手続き完了です。

必要書類と収集範囲の違い

遺贈登記は通常の相続登記とは、添付書類の有効期限や戸籍謄本の収集範囲において違いがあります。

提出書類遺言執行者がいる場合遺言執行者がいない場合
(相続人全員と共同申請)
遺言書必須(検認済のもの、または公正証書)必須(検認済のもの、または公正証書)
被相続人の戸籍謄本死亡の事実がわかるもののみで可出生から死亡までのすべての戸籍
被相続人の住民票除票
または戸籍の附票
必須必須
登記済権利証
(登記識別情報)
必須必須
印鑑証明書遺言執行者のもの(3ヶ月以内相続人全員のもの(3ヶ月以内
受遺者の住民票必須必須
固定資産税評価証明書必須(申請年度のもの)必須(申請年度のもの)
遺言執行者の資格証明書必須不要
「相続人に対する遺贈の単独申請」の場合 2023年の法改正により可能となった単独申請の場合は、「権利証(登記識別情報)」や「登記義務者の印鑑証明書」の提出が免除され、受遺者自身の書類と遺言書、被相続人の戸籍・住民票等のみで手続きが可能です。

遺贈登記では戸籍収集の「量」は軽減される場合がありますが、遺言執行者が指定されていない場合は相続人全員の協力を得るという「人間関係と合意形成の手間」に直面します。遺言執行者の有無が手続き上の障壁の種類を大きく変える決定的な要因です。

遺言書がある場合の相続登記について、より詳しくは「遺言書がある場合の相続登記手続きガイド|必要書類、流れ、注意点を徹底解説」をご覧ください。

遺贈登記の費用

遺贈による不動産名義変更手続きに必要な費用は、大きく3つに分かれます。

費用の内訳

費用項目内容目安
登録免許税法務局に納付する国税。相続人への遺贈は0.4%、相続人以外への遺贈は2.0%評価額1,000万円の場合
相続人:4万円
相続人以外:20万円
各種証明書等の実費戸籍謄本・住民票(1通数百円)、固定資産評価証明書、公正証書遺言の謄本、郵送料等合計 数千円〜1万円程度
司法書士報酬専門家に依頼する場合のサービス料金。案件の複雑さにより変動10万円前後が目安
費用の具体例 評価額2,000万円の物件を法定相続人以外に遺贈する場合の総費用イメージ:
登録免許税40万円 + 実費1〜2万円 + 司法書士報酬10万円前後 = 合計52万円程度

費用負担については、遺言書に特別な指定がなければ基本的に受遺者が負担するのが一般的です。

遺贈による不動産名義変更の注意点

相続人の協力が得られないケース

遺言執行者の指定がなく、受遺者が相続人以外の場合、相続人全員の協力(署名押印や書類提供)が必須です。しかし、遺贈により相続分が減少する相続人は登記に非協力的になりがちです。

このような状況では、家庭裁判所への遺言執行者選任申立てが解決策となります。利害関係人(相続人や受遺者)からの申立てで裁判所が遺言執行者を選任すれば、その執行者と受遺者のみで登記申請が可能となり、相続人個々の協力がなくても手続きを進められます。

遺言執行者について詳しくは「遺言執行者について」をご覧ください。

被相続人の住所・氏名変更登記

被相続人が生前に引っ越しや改姓をしており、登記簿上の名義人表示(氏名・住所)が最終の戸籍・住民票情報と異なる場合は注意が必要です。

通常の相続登記なら住民票の除票や戸籍謄本で変更履歴を証明すれば問題ありませんが、遺贈登記の場合は登記原因が「遺贈」となるため、被相続人名義の住所(氏名)変更登記を先に済ませる必要があります。

先に「住所(氏名)変更登記」を申請して登記記録を最新のものに変更し、その後に遺贈による所有権移転登記を行います。通常は2件の申請を連件としてまとめて提出します。この手続きを怠ると、法務局から取下げの指示が出て手続きが遅延する恐れがあります。

受遺者が相続人の場合の例外 受遺者が相続人で単独申請する場合は、住所変更登記が省略できる可能性があります。

関連ページ:住所変更登記【引越し・住所移転】氏名変更登記【結婚・離婚】

登記済権利証(登記識別情報)が必要

通常の相続登記では登記済権利証(登記識別情報)は不要ですが、遺贈登記の場合は共同申請となるため、登記済権利証の添付が原則必要です。

登記済権利証が紛失等で手元にない場合は、事前通知制度の利用などが考えられます。詳しくは「【紛失】登記識別情報通知を無くしたらどうする?(権利証がない!)」をご覧ください。

遺留分侵害額請求のリスク

民法は、特定の法定相続人(配偶者、子や孫などの直系卑属、親などの直系尊属)に対して、遺言によっても奪うことのできない財産の最低保障枠である「遺留分(いりゅうぶん)」を認めています。なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

高額な不動産を特定の人に遺贈する場合、他の相続人の遺留分を侵害する可能性が高くなります。遺留分侵害額請求を起こされた場合、受遺者は原則として「現金」で遺留分相当額を支払わなければならず、手元に現金がなければ遺贈された不動産を売却して資金を捻出せざるを得なくなります。

✅ 遺留分対策のポイント ・遺言書作成の段階で専門家を交え、各相続人の遺留分を正確に計算して侵害しない範囲で財産配分を調整する
・特定の不動産を確実に残したい場合は、受遺者を生命保険の受取人に指定するなど、遺留分請求に備えた代償資金の確保を行う

抵当権付き不動産の遺贈に注意

特定遺贈は原則としてマイナスの財産を引き継ぎませんが、遺贈される不動産自体に「抵当権」が設定されている場合(住宅ローンの返済が残っているなど)は複雑な問題が生じます。

抵当権付きの不動産を特定遺贈された場合、受遺者は不動産を取得できますが、ローン債務を自動的に引き継ぐわけではありません。法的にはローン債務は法定相続人が法定相続分に応じて負担することになります。しかし、不動産をもらえなかった相続人がローンを返済し続ける保証はなく、返済を滞納すれば銀行が抵当権を実行し、不動産が競売にかけられるリスクがあります。

⚠ 事前に確認すべきこと ・被相続人が「団体信用生命保険(団信)」に加入しているか(死亡時にローンが完済される)
・遺言書に「ローン残額を預貯金から一括返済し、抵当権を抹消した上で引き渡す」旨の記載があるか

遺言執行者の重要性

遺贈による不動産名義変更を確実かつスムーズに実現するための最大の法的安全装置が「遺言執行者」という制度です。

遺言執行者とは、遺言の内容を具体的に実現(執行)するための広範な権限を持った人物です。遺言書の中で指定されている場合、または家庭裁判所から選任された場合、遺言執行者が「相続人全員の代理」として登記義務者となる権限を持ちます。

遺言執行者がいるメリット

  • 法定相続人全員の協力や印鑑証明書の提供が不要になる
  • 受遺者と遺言執行者の2名だけで登記申請を完了できる
  • 相続人との感情的なトラブルを回避しやすい
✅ 遺言書作成時のポイント 不動産を遺贈する遺言書を作成する場合は、将来の登記トラブルを未然に防ぐため、司法書士や弁護士などの専門家をあらかじめ遺言執行者として指定しておくことを強くお勧めします。

遺言書の記載例:
「遺言者は、下記不動産を長男の妻〇〇に遺贈する。遺言執行者として司法書士〇〇〇〇を指定する。」

遺言執行者について詳しくは「遺言執行者について」をご覧ください。

専門家(司法書士)へ依頼するメリット

遺贈による不動産名義変更は、通常の相続登記と比較して、戸籍類の収集範囲の判断、包括・特定遺贈の法的解釈、受遺者と相続人の関係性の整理、近年の法改正への対応など、極めて難解な実務判断が連続します。また、2024年からの相続登記義務化により、手続きの遅滞は過料の対象となるリスクも顕在化しています。

司法書士に依頼する主なメリット

  • 複雑な書類収集の完全代行:法務局が要求する戸籍、住民票の除票、評価証明書などを職権を用いてすべて代理で迅速に取得
  • 法改正に準拠した正確な登記申請:遺言執行者の有無、遺言書の文言解釈、単独申請特例の適用可否を見極め、法的に瑕疵のない申請書を作成
  • 関連税務リスクの事前ガイダンス:2割加算ルールや登録免許税の税率の違い、不動産取得税の発生見込みなどについて助言し、必要に応じて提携税理士と連携

自身で平日に何度も役所や法務局へ足を運ぶ時間的労力、不慣れな手続きによる書類不備での差し戻し、手続きの誤りによる税務上のペナルティリスクを考慮すれば、専門家への委託は極めて合理的かつ安全な選択肢です。

✅ まずはお気軽にご相談ください 遺言書がお手元にあり、その中に不動産に関する記載を見つけた場合、あるいはご自身の財産を特定の誰かに確実に遺贈したいと検討されている場合は、登記申請の期限や遺留分の問題をクリアにするためにも、できるだけ早い段階で司法書士の無料相談等をご利用ください。
司法書士 板垣隼
この記事の作成者兼監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
不動産名義変更・相続登記専門年間2000件の実績全国対応
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