Q. 建物がボロボロで、半年後には取り壊す予定の場合も登記が必要ですか?
A. 近い将来取り壊すことが確実な未登記建物については、表題登記・所有権保存登記を行わずに解体する判断をすることもあります。解体後は市町村への家屋滅失届を提出します(未登記建物にはもともと登記簿がないため、法務局への建物滅失登記は原則不要です)。ただし、表題部のみ登記されている建物(表題部所有者が被相続人など)の場合は法務局への滅失登記が必要になることがあり、土地の相続登記や売却予定との関係も別途確認が必要です。
Q. 土地は登記されているのに、建物だけ未登記のケースはありますか?
A. よくあるケースです。昭和期の住宅取得時に建物の表題登記を申請し忘れた、または増築部分だけが未登記のまま、という事例が多く見られます。確認するときは、法務局で建物の登記事項証明書・登記事項要約書が取得できるかを調べ、市町村の固定資産税課税台帳や名寄帳に載っている建物と現地の建物を照合します。
Q. 実家の未登記建物の登記費用はいくらかかりますか?
A. 総額の目安は、シンプルな案件で10〜15万円程度です。内訳は、表題登記(土地家屋調査士の報酬)が8〜12万円、所有権保存登記(司法書士の報酬)が3〜7万円、これに登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)が加わります。建物の評価額や資料の残り方によって変わり、古い実家や数次相続が絡む場合は15〜20万円を超えることもあります。費用を抑えたい場合は、表題登記を本人申請し、所有権保存登記のみ司法書士に依頼する方法で総額を抑えられる可能性もあります(ただし図面作成・補正対応の負担があります)。
Q. 建築確認済証や工事完了引渡証明書が見つからない場合はどうすればよいですか?
A. 古い実家では、建築時の書類が失われていることがよくあります。この場合でも、固定資産税関係資料・火災保険関係資料・工事代金の資料・写真・相続関係書類、必要に応じて上申書(証明者の印鑑証明書付き)などを組み合わせて所有権を説明できる場合があります。現在は市町村発行の家屋関係資料や納税実績といった公的な客観資料が重視されます。どの資料を使えるかは事案ごとに異なるため、表題登記を扱う土地家屋調査士の判断が必要です。当センターでは、相続関係書類の整理と所有権保存登記の申請を中心にご案内します。
Q. 未登記建物は相続登記義務化の対象ですか?
A. 未登記建物は相続登記義務化(不動産登記法第76条の2・2024年4月施行)の直接の対象外です。なぜなら相続登記義務化は「登記簿に所有権登記がある不動産」を対象としており、未登記建物には登記簿そのものが存在しないためです。ただし、未登記建物の所有権を取得した相続人は不動産登記法第47条第1項により「所有権の取得から1か月以内に表題登記の申請義務」を負い、違反すると同法第164条第1項により10万円以下の過料に処される可能性があります。「相続登記の義務がないから放置してよい」という判断は誤りです。未登記のままでは売却やリフォームローンの設定ができず、相続した不動産が処分しにくい状態になります。
Q. 表題登記を自分で申請することはできますか?
A. 理論上は可能です。表題登記自体には登録免許税はかかりませんが、本人申請の場合でも、建物図面・各階平面図の作成や住民票・固定資産関係資料の取得など実費が発生します。建物の現地確認・床面積の算定・精密な縮尺図面の作成が必要で、特に古い建物では増築部分や未課税部分の有無の確認も求められ、専門知識がないと法務局の審査で補正(修正)を重ねることになりがちです。古い実家や複雑な形状の建物では実務的に困難なため、土地家屋調査士に依頼するのが現実的です。なお、表題登記の完了後に所有権保存登記を申請する段階では別途、登録免許税(評価額×0.4%)が必要です。所有権保存登記のみ司法書士に依頼すれば、合計5〜8万円程度に抑えられるケースもあります。