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固定資産評価証明書は不動産名義変更になぜ必要?取得のポイントを解説


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年12月2日
 

【不動産名義変更】なぜ「固定資産評価証明書」が必要?登記費用の計算方法と取得のポイント

不動産の売買や、親族が亡くなった際の相続登記(名義変更)を行う際、必要書類リストの中に必ず入っているのが「固定資産評価証明書」です。

「権利証(登記識別情報)が必要なのはわかるけど、なぜ税金の証明書が必要なの?」
「毎年届く納税通知書じゃダメなの?」

そんな疑問を持つ方のために、名義変更における評価証明書の重要性と、正しい見方について解説します。

そもそも、なぜ必要なのか?

結論

「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」を計算するためです。

法務局で名義変更の手続きをするには、必ず国に税金を納める必要があります。この税金の額は、手数料のように「一律1,000円」と決まっているわけではありません。

「その不動産にどれくらいの価値があるか」によって税額が変わります。その公的な価値(価格)を法務局に証明するために、固定資産評価証明書が必要になるのです。

証明書のどこを見ればいい?

評価証明書にはたくさんの数字が並んでいますが、登記の計算に使う数字は一つだけです。

× 見てはいけない数字:

「課税標準額」や「相当税額」(これは固定資産税の計算用です)

〇 見るべき数字:

「価格」または「評価額」

計算のイメージ

例えば、相続登記(税率0.4%)を行う場合、計算式は以下のようになります。

登録免許税の計算式

評価額(証明書の金額) × 0.4% = 登録免許税

例:評価額が1,000万円の土地を相続する場合

1,000万円 × 0.4% = 4万円

この4万円分の収入印紙を貼って申請することになります。

※実際の計算では、1,000円未満を切り捨てるなどの端数処理があります。

取得する際の3つの重要ポイント

評価証明書を取得する際に、よくある失敗や注意点をまとめました。

ポイント1

「法務局」では取れません

不動産登記だからといって法務局に行っても発行してくれません。評価証明書は「市区町村役場(東京23区は都税事務所)」の資産税課などで発行されます。

ポイント2

「最新年度」のものが必要

固定資産税の評価額は、毎年4月1日に新しい年度に切り替わります。登記申請をする日の属する年度(4月1日~翌年3月31日)の証明書が必要です。

例:3月31日に申請する場合 → 前年度の証明書

例:4月1日に申請する場合 → 新年度の証明書

年度替わりの時期に手続きをする場合は特に注意が必要です。

ポイント3

相続人は「戸籍謄本」を持参

通常、評価証明書は所有者本人しか取れません。しかし、所有者が亡くなっている場合は、その相続人が取得できます。

その際、役所の窓口で「所有者が亡くなったこと」と「自分が相続人であること」を証明するために、戸籍謄本や除籍謄本の提示を求められます。

納税通知書(課税明細書)では代用できない?

毎年4月頃に自宅に届く「固定資産税 納税通知書」にも評価額は記載されています。これを使えば証明書代(数百円)が浮くのでは?と思われるかもしれません。

✓ 基本的には使用可能

登記申請には「市区町村長が発行した証明書の原本」の添付が求められますが、納税通知書も市区町村長の名義で発行されているため、基本的には固定資産評価証明書の代わりとして使用可能です。

⚠️ 注意が必要なケース

ただし、非課税の土地など、納税通知書に記載のない不動産については、別途固定資産評価証明書の取得が必要になります。

非課税の例:公衆用道路(私道)、墓地など

また、分筆・合筆したばかりの土地は固定資産評価証明書自体が発行されない場合があります。

固定資産評価証明書とは

固定資産評価証明書とは、土地や建物などの固定資産の評価額が記載された証明書です。その他、所有者、所在、地籍・床面積なども記載されております。

固定資産評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、市町村長等が決定します。

不動産の名義変更手続きに伴う登録免許税や不動産取得税は、この固定資産評価額を基準に算出することになります。名義変更の手続きである、法務局への所有権移転登記申請の際も基本的には必要な書類になります。

その他の必要書類については不動産名義変更の必要書類・添付書類まとめをご確認ください。

固定資産評価証明書の取得方法

固定資産評価証明書を取得するには市役所・町村役場等で請求することになります。なお、東京23区内の場合の請求先は都税事務所になります。

取得の基本情報

  • 請求できる人:基本的に固定資産税の納税義務者(名義人)。また、相続人など固定資産評価証明書が手続きに必要な方なども請求が認められています。
  • 請求先:所有者の住んでいるところではなく、対象の土地・建物があるところの役所。なお、東京23区内の場合は、どの都税事務所でも請求可能。
  • 手数料:各市町村で異なりますが、通常1通300~400円程度。
  • 代理請求:名義人の代理でも取得は可能ですが、その場合は委任状が必要。
  • 郵送請求:遠方の場合は郵送での請求も可能(小為替などの用意が必要)。

⚠️ 年度に注意

過去の年度の固定資産評価証明書も取得可能ですが、名義変更に必要な評価証明書は手続する年度のものになります。

例:名義人が亡くなったのが平成30年でも、手続きするのが令和3年であれば、令和3年度の評価証明書が必要です。

関連する証明書

固定資産公課証明書とは

固定資産評価証明書に似た証明書で、固定資産公課証明書と呼ばれるものがあります。公課証明書は評価証明書の内容の他、課税相当額も記載されています。

評価額の記載があれば、固定資産評価証明書の代わりに名義変更手続きに利用することも可能です。市区町村によっては公課証明書に評価額の記載が無い場合もありますのでご注意ください。

名寄帳とは

固定資産評価証明書に似た証明書で、他にも名寄帳と呼ばれるものがあります。

名寄帳は所有者の市区町村内に所有する全物件の評価額等が記載されたものになります。

詳しくは名寄帳の詳細ページをご確認ください。

まとめ

不動産の名義変更において、固定資産評価証明書は「費用の根拠」となる最重要書類の一つです。

  • 目的:登録免許税(登記費用)を計算するため。
  • 見る場所:「評価額(価格)」の欄。
  • 取得場所:市区町村役場の窓口(4月1日切替に注意)。

これから名義変更を予定している方は、まずこの証明書を取得して、「手続きにいくらかかりそうか」を計算してみることから始めてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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