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相続登記と固定資産税(要点まとめ)
● 基準日は毎年1月1日:1月1日時点で固定資産課税台帳に登記・登録されている人が納税義務者(地方税法第343条)。納付先は不動産が所在する市町村(東京23区は都税事務所)。
● 相続登記前は相続人全員が連帯納税義務:所有者が亡くなると相続人が義務を承継し(地方税法第9条)、複数いる場合は全員が連帯(同第10条の2)。
● 単独名義で相続登記した場合:登記完了後、次に到来する1月1日(賦課期日)時点でその人が登記名義人になっていれば、その翌年度分から登記名義人が単独で納税義務を負う。
● 共有名義で相続登記した場合:共有者全員が連帯納税義務。市町村は代表者に納税通知書を一括送付し、代表者が他共有者に持分割合で清算するのが実務。
● 納税通知書の送付先変更は登記前でも可能:市町村(東京23区は都税事務所)に「相続人代表者指定届」を提出すれば送付先を代表者に集約できる。ただし納税義務は引き続き相続人全員が連帯。
● 相続登記をしないと過料リスク:通知書は届くが、令和6年4月1日施行の義務化により、自己のための相続開始かつ所有権取得を知った日から3年以内に申請が必要。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象(不動産登記法第76条の2第1項・第164条第1項)。施行前に取得を知っていた場合は令和9年3月31日まで。
● 相続放棄した場合は納税義務なし:受理されれば当初から相続人でなかったとみなされる(民法第939条)。ただし放棄前に被相続人の預金から納税すると法定単純承認(民法第921条1号)に該当するおそれ。
「亡くなった親名義のままで、固定資産税の納税通知書が届いた」「相続登記をしたら、誰が固定資産税を払うのか」――相続不動産の固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税されるという基準と、相続登記の有無で納税義務者・請求先が変わる仕組みになっています。
この仕組みを誤解したまま放置すると、亡くなった親宛ての納税通知書が他の相続人に届いて関係悪化を招く・口座凍結で振替が止まる・代表者指定届と相続登記を混同して義務化期限を逃す――といったトラブルが実際に発生します。
本ページでは、年間2,000件超の相続登記の相談実績を持つ司法書士が、相続登記の前後で固定資産税の納税義務者がどう変わるか、請求先の変更手続き、義務化(令和6年4月1日施行)に伴う過料リスクまでをまとめて解説します。
この記事のポイント(要点まとめ)
● 課税基準日は1月1日:その年の納税義務者は1月1日時点で登記されている所有者
● 相続登記前の未登記期間:相続人全員が連帯して納税義務。代表者指定届で納税通知書の送付先を1人にまとめ可(連帯納税義務自体は残る)
● 単独名義で相続登記後:翌年から登記名義人が単独で全額納税。立替清算は相続人間で調整
● 共有名義で相続登記後:共有持分割合に応じた連帯納税義務。代表者へ一括請求
● 相続登記しない場合:令和6年4月1日施行の義務化で10万円以下の過料あり。施行前に取得を知っていた相続は令和9年3月31日まで、施行後に取得を知った場合はその日から3年以内
● 請求先変更は5ステップ:代表者指定届の入手→必要書類準備→市町村役場(東京23区は都税事務所)へ提出→翌年から切替→口座振替変更
目次
相続不動産の固定資産税の話を理解するためには、まず「課税基準日」と「納税義務者」の基本ルールを押さえる必要があります。相続登記の前後でこれらがどう変わるかが本ページのメインテーマです。
固定資産税は、地方税法第343条にもとづき、毎年1月1日(賦課期日)時点で固定資産課税台帳に所有者として登記・登録されている人に対して、その年度(4月1日〜翌年3月31日)分が課税されます。年度途中で所有者が変わっても、その年度の納税義務者は変わりません。
つまり、2025年6月に親が亡くなって相続登記をしても、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の固定資産税は、1月1日時点の所有者である亡くなった親(の納税義務を承継する相続人)が支払う扱いとなります。新名義人として課税されるのは、登記完了の翌年1月1日以降の年度分です。
原則として、納税義務者は登記簿(不動産登記簿)に所有者として記載されている人です。ただし、所有者が亡くなっていた場合は、賦課期日(1月1日)時点で死亡前か死亡後かで扱いが分かれます。
1月1日後に亡くなった年の固定資産税は、その年は被相続人に課税された税を相続人が承継する形になります(地方税法第9条)。1月1日以前にすでに亡くなっており相続登記が未了の場合は、賦課期日時点の現所有者である相続人等が納税義務者となります(地方税法第343条第2項)。
令和2年度税制改正により、登記簿上の所有者が死亡した場合、市町村が条例の定めるところにより、現所有者に氏名・住所等の申告を求められる仕組みが整備されました。提出期限や様式名は自治体ごとに異なるため、相続が発生した不動産が所在する市町村の固定資産税担当課で確認してください。
その年の固定資産税の納税通知書は、毎年4月〜5月頃に市町村(東京23区は都税事務所)から発送されます。納付方法は、年4回の分割払い(6月・9月・12月・2月の各末日が一般的)または一括前納の選択制です。
ワンポイント
納税通知書には「課税明細書」が同封されており、そこに記載された固定資産税評価額は、相続登記時の登録免許税の計算根拠として参照されます(端数処理の詳細は後述のH2-8参照)。相続登記を予定するご家庭では、評価額が確定する4月以降の通知書をクリアファイル等で年度ごとに保管しておくと、後の手続きがスムーズです。
名義人が亡くなってから相続登記を完了するまでの期間(以下「未登記期間」)について、固定資産税は誰がどう払うのかを整理します。
相続が発生すると、被相続人の納税義務は地方税法第9条により相続人へ承継されます。相続人が複数いる場合は、各相続人が法定相続分に応じて承継するのが原則です(同条第2項)。さらに、遺産分割が未了の不動産は相続人の共有状態にあるため、地方税法第10条の2により共有物として連帯納税義務を負い、市町村は相続人の誰に対しても全額を請求できます。
たとえば3人兄弟で相続した場合、固定資産税が年30万円なら、内部関係としては法定相続分(各1/3=10万円ずつ)を負担しますが、市町村は誰か1人に30万円全額を請求することも可能です。支払った相続人は、後から他の相続人に求償する形になります。
未登記期間中の納税通知書の送付先を1人にまとめたい場合、市町村に対して「相続人代表者指定届」(自治体により名称は「納税義務承継人代表者指定届」「現所有者申告書」など)を提出します。これにより、納税通知書は指定された代表者宛てに送られるようになります。
ただし、相続人代表者指定届は納税通知書等を受け取る代表者を決める手続きであって、納税義務そのものを1人に集約する制度ではありません。届出の有無にかかわらず、各相続人は連帯して納税義務を負うため、代表者が支払った後の負担割合は、相続人間で別途精算します。
提出時の一般的な必要書類は、被相続人の死亡が分かる戸籍(除籍謄本)、相続人全員が分かる戸籍、代表者を含む相続人全員の同意書(または委任状)、代表者の本人確認書類などです。書式は市町村の固定資産税担当課(東京23区は都税事務所)で入手できます。
実務でよくある落とし穴:数次相続
祖父名義のまま放置していた不動産で父が亡くなり、相続が二重・三重に重なる「数次相続」のケースは現場で頻発します。この場合、祖父の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の戸籍を集めるだけで2か月以上かかることもあり、代表者指定届の提出にも全員の同意書が必要になります。義務化期限が迫っている方は、まず戸籍収集から着手するのが鉄則です。
代表者指定届を出していない場合、市町村は次のような順序で請求先を決めることが多いです:①登記簿上の所有者の住所宛て(=亡くなった人の住所)、②市町村が把握している同居の家族(配偶者・同居の子など)、③戸籍から推定される相続人のうち最も住所が判明している人。
このため、亡くなった親と同居していた配偶者・子のもとに「亡父○○殿」「亡父○○相続人代表者○○殿」という形で納税通知書が届くケースが多くなります。納税通知書の名宛人は所有権の帰属を確定するものではないため、誰宛てに届いたかに関係なく、相続人間で実際の負担割合は別途協議する必要があります。
遺産分割協議の結果、特定の相続人1人だけの単独名義に相続登記した場合の固定資産税の扱いを解説します。
単独名義で相続登記が完了したら、その翌年1月1日以降の年度分の固定資産税は、登記名義人が1人で全額を納税します。市町村が課税台帳を更新すると、次の納税通知書からは新名義人宛てに届くようになります。
ただし、繰り返しになりますが「相続登記をした年度」の固定資産税は、1月1日時点の所有者(つまり登記前の状態)に課税されているため、その年度分は旧来どおりの扱いが続きます。
不動産は単独名義にするが、固定資産税は相続人間で実質的に按分したい――というケースもあります。たとえば「不動産は長男が相続するが、固定資産税の半分は他の兄弟も負担する」という取り決めです。
このような取り決めは、相続人間の私的合意として有効ですが、市町村は登記名義人1人を納税義務者として扱うため、実際の支払いは登記名義人がいったん全額を市町村に納付し、後から他の相続人から立替分を回収する形になります。
注意
相続人間で固定資産税の負担割合を決めるときは、遺産分割協議書に明記するか、別途覚書を作成して書面化しておくと、後のトラブル防止になります。口約束だけでは、後年「払う約束はしていない」と言われるリスクがあります。
相続登記が完了しても、市町村の固定資産課税台帳の更新は登記情報の連携・反映を待って行われるため、登記完了の年度内に届く納税通知書は旧名義人(被相続人)宛てのままのことが多くあります。
これは課税の根拠が「1月1日時点の所有者」であるためで、登記が翌年1月1日より前に完了していれば、翌年度の通知書から新名義人宛てに切り替わるのが一般的です。「登記したのに古い宛名で届いた」と慌てず、まずは納期どおりに納付し、翌年度の通知書で名義切替えを確認してください。
なお、納税通知書に同封される課税明細書は、相続税・贈与税・譲渡所得税の計算でも参照されるため、相続発生時点とその前後数年分は保管しておくことを実務上おすすめしています。
遺産分割協議で、複数の相続人が共有名義で相続登記をした場合の固定資産税の扱いです。実務上、共有名義はトラブルにつながりやすいため、慎重な判断が必要です。
共有名義で相続登記した場合、共有者全員が固定資産税について連帯納税義務を負います(地方税法第10条の2)。市町村はいずれか1人に全額を請求できるのが対外関係のルールで、たとえば3人兄弟が各1/3ずつの共有持分で登記しても、市町村との関係では「持分割合に応じて請求が分かれる」わけではありません。
共有者間の内部関係としては、実際の負担割合は持分割合を目安に共有者間で精算するのが一般的です。「対外関係=連帯」「内部関係=持分」と分けて理解しておくと、トラブルが起きにくくなります。
共有名義の場合、市町村は共有者の代表者1人を指定して納税通知書を一括送付するのが原則です。代表者の選定は、相続人間で協議して市町村に届け出るか、市町村が登記の筆頭者・住所が把握できる人を機械的に代表者とすることもあります。
代表者が支払った後、他の共有者へ持分割合に応じて求償することになります。実務上は、代表者の口座から年4回の固定資産税が引き落とされ、他の共有者から後日清算金を集める形が一般的です。
当センターでは、相続を機に不動産を共有名義にすることは、原則として避けることをおすすめしています。理由は以下のとおりです:
⚠️ 共有名義のリスク(実例)
・固定資産税の取り立てトラブル:代表者が立替えた分を他の共有者が払わず、関係悪化に
・売却・賃貸の意思決定が難しい:売却(処分行為)は共有者全員の同意が必要。賃貸も、土地で5年・建物で3年を超える長期賃貸借は全員同意、それ以内の短期賃貸借は持分価格の過半数の同意が必要(民法第252条)
・共有者の死亡で持分がさらに細分化:孫世代になると10人以上の共有になることも
・共有物分割請求訴訟リスク:1人でも提訴すれば裁判所が分割方法を決定する事態に
「兄弟仲が良いから」と共有名義にしても、配偶者が代替わりするタイミングや、固定資産税の値上げが起きた時にもめるケースが少なくありません。不動産は単独名義で取得し、代償金で他の相続人へ清算する形が、長期的なトラブル予防の観点では最も安全です。
相続登記をしないまま放置すると、固定資産税の納税面でどんな問題が起きるかを整理します。令和6年4月1日施行の相続登記義務化により、放置は法的リスクも伴うようになりました。
相続登記をしなくても、固定資産税の納税通知書は毎年届きます。前述のとおり、相続人全員が連帯納税義務を負うため、市町村は「亡○○相続人代表者○○殿」のような宛名で同居家族・代表相続人へ送付します。
未登記の状態が長く続くと、市町村の課税台帳上では亡くなった人が所有者のままになり、相続人の誰が現所有者かが曖昧になります。代替わりが進むと、市町村が現所有者を把握できなくなり、最終的に「所有者不明土地」化するリスクがあります。
⚠️ 相続登記義務化(令和6年4月1日施行)の重要ポイント
・自己のために相続が開始したことを知り、かつ、対象不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記する義務(不動産登記法第76条の2第1項)
・正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料(不動産登記法第164条第1項)
・令和6年4月1日より前に不動産を相続で取得したことを知っていた場合は、令和9年3月31日までに相続登記が必要(経過措置)
・施行後に相続不動産の取得を知った場合は、その日から3年以内が期限
たとえば「父の死を知ったが、相続財産に不動産があることを後で知った」場合は、不動産の存在を知った時点から3年カウントが始まります。「相続開始を知った日」と「自分が所有権を取得したことを知った日」のいずれもが必要な点に注意してください。
過料は刑事罰ではなく行政罰です。実際の運用としては、登記官が相続登記の申請義務違反を把握した場合、まず申請を促す催告が行われます。催告に応じず、正当な理由もない場合に、裁判所の判断で過料が科される流れです。法務局が常に死亡や登記漏れを把握しているわけではありませんが、「催告が来るまで放置してよい」という制度ではない点に留意しましょう。
固定資産税の納税を続けていても、相続登記は別の手続きです。納税通知書が届いて毎年払っているから大丈夫と誤解されがちですが、納税と登記は別物であることに注意してください。
すぐに遺産分割協議がまとまらない場合の暫定的な救済として、令和6年4月1日から「相続人申告登記」(不動産登記法第76条の3)が新設されました。これは「自分が相続人の1人である」ことを単独で法務局に申し出れば、3年の登記義務を一旦履行したとみなす制度です。
ただし、相続人申告登記はあくまで暫定措置で、所有権を確定する正規の相続登記ではありません。遺産分割協議が整い次第、改めて通常の相続登記を申請する必要があります。固定資産税の請求先変更とも別の手続きですので、混同しないようにしてください。
相続発生後に、固定資産税の納税通知書の請求先を相続人代表者へ切り替える具体的な手順を解説します。相続登記をする前でも実施できる手続きです。
請求先変更の5ステップ
相続人代表者指定届(または現所有者申告書)の入手
市町村の固定資産税担当課(東京23区は都税事務所)の窓口、または自治体公式サイトのダウンロードページから書式を入手します。自治体により様式名は「相続人代表者指定届」「納税義務承継人代表者指定届」「現所有者申告書」など異なります。
必要書類の準備
被相続人の死亡が分かる戸籍(除籍謄本)、相続人全員が分かる戸籍(被相続人の出生から死亡までの戸籍一式)、代表者を含む相続人全員の同意書または委任状、代表者の本人確認書類(運転免許証など)を用意します。自治体により必要書類が異なるため、事前に問い合わせると確実です。
市町村役場の固定資産税担当課へ提出
不動産が所在する市町村の固定資産税担当課(東京23区は不動産所在地を所管する都税事務所)に書類を提出します。窓口持参のほか、郵送やオンライン申請に対応している自治体もあります。手数料は通常無料です。
翌年度から請求先が代表者宛てに切り替わる
届出が受理されると、原則として届出年度の途中で送付先が切り替わる場合と、翌年度(4月の通知書発送)から切り替わる場合があります。届出時に窓口で確認しましょう。
口座振替の変更手続き(任意)
亡くなった親が口座振替で固定資産税を払っていた場合、その口座は金融機関が相続発生を把握すると凍結されるため、新たに代表者の口座で振替設定をやり直す必要があります。金融機関の窓口、または市町村窓口で「口座振替依頼書」を提出します。
補足
この5ステップは、あくまで固定資産税の納税通知書の送付先を切り替えるための手続きです。所有権を確定するためには、別途法務局への相続登記申請が必要です。義務化(令和6年4月1日施行)の経過措置で、施行前に取得を知っていた方は令和9年3月31日まで、施行後に知った場合はその日から3年以内に相続登記が必要となるため、請求先変更と並行して相続登記の準備も進めましょう。
固定資産税の納付方法と、相続発生時の支払いに関する注意点をまとめます。
名義人が亡くなると、被相続人名義の銀行口座は金融機関が把握次第に凍結されます。口座振替で固定資産税を払っていた場合は、振替不能となり「納付書」が郵送されるため、コンビニ・金融機関窓口で支払うか、新たに相続人代表者の口座で振替設定をやり直す必要があります。
口座振替の変更は、市町村の固定資産税担当課または金融機関で「口座振替依頼書」を提出して行います。手続き完了までに1〜2か月かかるため、その間は納付書での支払いとなります。
亡くなった親が固定資産税を滞納していた場合、その滞納分は相続人が連帯して納付する義務を承継します(民法第896条)。延滞金も発生しているため、早期に市町村窓口で残額を確認し、相続人間で負担方法を協議しましょう。
滞納額が大きく一括返済が困難な場合は、市町村の徴収部門に分割納付や徴収猶予の相談ができることもあります。後述のH2-10「困った時の対処法」もご参照ください。
近年は多くの自治体で、口座振替や納付書による現金払いに加え、クレジットカード払い・コンビニ払い・スマホ決済アプリ(PayPay、楽天ペイ、auPAYなど)での納付に対応しています。自治体公式サイトで対応状況を確認できます。
ただし、クレジットカード払いは決済手数料が納税者負担となる自治体もあるため、年間税額が大きい場合は手数料額も事前に確認しましょう。
相続登記の必要書類でよく混同される「課税明細書」と「固定資産評価証明書」の違いを整理します。
課税明細書は、毎年4〜5月に届く固定資産税納税通知書に同封される書類で、所有している不動産の所在地・地番・地目・地積・固定資産税評価額・課税標準額などが記載されています。法務局によっては相続登記申請時に課税明細書で代用可能としているケースもあります。
ただし、申請年度の評価額を公的に証明する書類は固定資産評価証明書であり、当センターでも実務上は評価証明書を取得して申請しています。手元の課税明細書がない場合や、非課税地・公衆用道路等が含まれる場合は、評価証明書や近傍宅地評価証明書等を取得します。
固定資産評価証明書は、市町村役場の窓口(東京23区は都税事務所)で発行される正式な証明書で、その不動産の「固定資産税評価額」を公的に証明します。相続登記申請時の登録免許税の計算根拠として、原則として法務局へ提出する書類です。
取得時の手数料は1物件あたり300〜400円程度(自治体により異なる)で、相続人の1人が単独で取得できます(戸籍で相続人であることを証明)。
登録免許税の計算式と端数処理
相続登記の登録免許税は、固定資産課税台帳上の価格を合計し、課税標準額の1,000円未満を切り捨てたうえで0.4%を乗じて算出します。
算出した税額は100円未満を切り捨て、税額が1,000円未満となる場合は1,000円とします(登録免許税法第15条等)。
例:評価額の合計が1,234,567円なら、課税標準額1,234,000円×0.4%=4,936円→100円未満切り捨てで4,900円。
固定資産評価証明書は、不動産所在地の市町村役場の固定資産税課(東京23区は都税事務所)で取得できます。窓口持参のほか、郵送請求や、マイナンバーカードがあればコンビニ交付に対応している自治体もあります。
相続放棄をした場合、固定資産税の納税義務はどうなるか、また「現に占有している」場合の管理義務との関係を整理します。
相続放棄が家庭裁判所で受理されると、初めから相続人ではなかったものとみなされます(民法第939条)。固定資産税についても、放棄が受理された相続人は納税義務を負いません。すでに納税通知書を受け取っていた場合は、市町村窓口に相続放棄申述受理通知書のコピーを持参して、納税義務者から外してもらいます。
令和5年4月1日に施行された民法第940条改正で、相続放棄後でも「現に占有している」相続人は、次の相続人または相続財産清算人に引き継ぐまで、財産を保存する義務(管理義務)を負うことになりました。
この「管理義務」には、固定資産税の納付義務は含まれません。ただし、現実問題として、市町村が他の相続人や相続財産清算人を把握できないままだと、納税通知書が引き続き占有者宛てに届くことがあります。その場合は、家庭裁判所の受理通知書を提示して納税義務者から外してもらう必要があります。
⚠️ 注意(相続放棄前の支払いに関するリスク)
相続放棄を検討している間に納税通知書が届いても、安易に被相続人の預金から支払うのは避けてください。被相続人の財産を処分・費消したと評価されると、単純承認したものとみなされる法定単純承認(民法第921条1号)に該当するおそれがあり、放棄が認められなくなるリスクがあります。
放棄申述前に支払う必要がある場合は、ご自身の財産から立替えるか、家庭裁判所への放棄申述を先行させ、受理後に市町村窓口で相続放棄申述受理通知書のコピーを提示して納税義務者から外す対応を取りましょう。なお、放棄が家庭裁判所で受理された後は初めから相続人でなかったとみなされるため(民法第939条)、受理後の支払い自体は法定単純承認の対象になりません。
相続発生後、固定資産税の支払いや相続人間の調整で困ったときに使える制度・対処法を紹介します。
災害・病気・事業の損失などにより一時的に納税が困難な場合、市町村に申請することで徴収猶予(最長1年、延長で最大2年)を受けられる場合があります(地方税法第15条)。猶予期間中は延滞金が減免または免除されます。
申請には、収入・財産・支出を示す資料が必要です。事前に市町村の徴収担当課に相談しましょう。
共有名義の不動産で、他の共有者が固定資産税の負担に応じないケースは少なくありません。この場合の選択肢は次のとおりです:
①代表者が立替えた分を、内容証明郵便で請求する(求償権の消滅時効は、立替日から原則5年。民法第166条第1項)/②それでも応じない場合、簡易裁判所での支払督促や少額訴訟(60万円以下)を検討/③根本的に共有関係を解消したい場合は、共有物分割請求(民法第258条)を検討する。
共有物分割請求は、まず共有者間で協議し、まとまらない場合は裁判所に分割方法を求める手続きです。実務上は、現物分割が難しい不動産では「代金分割(売却して代金を分ける)」「価格賠償(1人が単独取得し他へ代償金を支払う)」が選択されることが多いです。
令和5年4月27日施行の相続土地国庫帰属制度では、相続で取得した土地のうち、一定要件を満たすものを国庫に帰属させることができます。承認されれば、その後の固定資産税の負担からも解放されます。
負担金は「標準的な管理費用の10年分相当」が基準で、宅地・田畑・森林いずれも原則として1筆20万円です。ただし、市街化区域・用途地域内の宅地、農用地区域内の農地、市街化区域内の農地、一部の森林などは面積に応じた算定式となり、宅地で数十万〜100万円超になるケースも珍しくありません。
建物がある土地、担保権が設定されている土地、境界争いがある土地などは申請の対象外で、法務局国庫帰属窓口での事前審査と事案に応じた算定が必要です。詳細は国庫帰属制度の解説ページもご参照ください。
固定資産税の納税額自体を直接的に減らす方法は限定的ですが、以下の制度の活用余地があります:
①住宅用地の特例(小規模住宅用地(200㎡以下の部分)について、固定資産税の課税標準額が価格の1/6、都市計画税は1/3に軽減)の適用漏れがないか確認/②老朽家屋を解体すると住宅用地特例が外れ、土地部分の税負担が増えることがあるため事前確認/③不動産売却による固定資産税負担からの解放。
解体後の負担増は、家屋分の税額消滅や負担調整措置、都市計画税の有無で変わるため、必ず解体前に市町村の固定資産税担当課で試算を確認してください(「解体すると固定資産税が6倍になる」と単純化されることが多いものの、実際の増加額は事案ごとに異なります)。
住宅用地特例の適用や売却の判断は、税理士業務範囲のため、税理士にご相談ください。当センターは登記実務(相続登記)が中心です。
まとめ
相続不動産の固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税され、相続登記の前後で納税義務者・請求先が変わります。未登記期間は相続人全員が連帯納税義務を負い、市町村への「相続人代表者指定届」で請求先を一本化できます。
令和6年4月1日施行の相続登記義務化により、相続による不動産取得を知った日から3年以内(施行前に知っていた相続は令和9年3月31日まで/施行後に知った場合はその日から3年以内)の登記申請が必要です。固定資産税の納付と相続登記は別の手続きなので、毎年の納税を続けているからといって安心はできません。
トラブル予防のためにも、共有名義は避け、単独名義での相続登記+代償金清算が長期的に安全です。複雑な事案は年間2,000件超の相談実績を持つ当センターへご相談ください。
上記は司法書士報酬です。別途、登録免許税、戸籍・住民票・評価証明書等の取得実費、郵送費がかかります。登録免許税は、相続登記の場合、課税標準額(1,000円未満切り捨て)の0.4%(税額は100円未満切り捨て・1,000円未満の場合は1,000円)です。詳しくは料金プランの詳細をご覧ください。
相続による不動産名義変更(相続登記)の手続きに不安のある方は、以下のリンクをクリックしてください。
不動産の名義変更や、相続登記、生前贈与、離婚(財産分与)、売買等に関する手続きについて、ご不明な点やご相談などございましたら、電話・相談フォーム・LINE等よりお気軽にお問合せください。
司法書士法人 不動産名義変更手続センター
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書類収集から申請まで面倒な作業はワンストップで全てお任せください!明確でシンプルな料金体系でお客さまをサポートいたします。
※お電話でのお問い合わせの場合、簡単な料金説明や手続きのご案内は、事務所スタッフが応対する場合があります。司法書士へ直接ご相談をご希望の場合は、その旨お伝えください。
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