《この記事の監修者》
司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら)
最終更新日:2025年12月3日
離婚による不動産名義変更の手続きに不安のある方は、以下のリンクをクリックしてください。

離婚に伴う不動産の名義変更は、通常、民法に基づく「財産分与」を原因として行われます。財産分与とは、夫婦が婚姻生活の中で協力して形成・維持した財産を、離婚の際に清算し、公平に分配することを指します。
この清算を目的とする分与を清算的財産分与と呼び、その中心的な考え方は、夫婦の貢献度にかかわらず、原則として2分の1ずつ分ける(2分の1ルール)というものです。
財産の対象範囲は非常に広く、たとえ名義が夫婦の一方単独であっても、婚姻中に協力して築いた財産であれば、原則として共有財産とみなされ、分与の対象となります。
財産分与による不動産名義変更を完了させるまでの道のりは、明確な手順を踏む必要があります。
財産分与を原因とする所有権移転登記は、必ず離婚届を提出し、離婚が成立した後に行うのが原則です。
もし離婚成立前、婚姻中に名義変更を行ってしまうと、税務当局から夫婦間での「贈与」と認定され、高額な贈与税が課されるリスクが発生します。
民法上、財産分与の請求ができるのは、離婚成立から2年間です。この期間を過ぎてしまうと、財産分与を求める権利自体が消滅してしまいます。
協議や手続きが難航すると予想される場合は、期限を強く意識し、速やかに専門家へ相談し、行動を開始する必要があります。
不動産の名義変更を行う際、その所有権移転の「原因」を証明する公的な書類として、離婚協議書または財産分与契約書等が不可欠となります。
名義変更の登記申請は、原則として登記義務者と登記権利者の共同申請により行われるため、両者の協力が必須です。
特に公正証書として作成しておくことで、万が一元配偶者が非協力的になった場合でも、裁判所の強制執行力を得て手続きを進めるための強力な法的根拠となり得ます。
| ステップ | 内容(司法書士の視点) | 確認すべき資料 |
|---|---|---|
| 1 財産目録の作成 | 不動産、預貯金、保険などをリストアップし、評価額を算定 | 登記簿謄本、通帳、保険証券、固定資産税納税通知書など |
| 2 金融機関への相談 | ローン残高の確認と名義変更の可能性を打診。金融機関の承諾が必要な場合が多い | 住宅ローン残高証明書、ローン契約書 |
| 3 協議書の作成 | 財産分与の割合、登記申請義務者/権利者、費用の負担者を明確に決定 | 離婚協議書(公正証書推奨) |
| 4 離婚届提出 | 離婚を成立させる(登記申請の前提条件) | 戸籍謄本(離婚日の記載を確認) |
| 5 登記申請 | 必要書類を揃え、法務局へ提出(原則として共同申請) | 登記識別情報(権利証)、印鑑証明書、固定資産評価証明書、離婚協議書など |
財産分与(離婚)による不動産名義変更手続きに必要な書類は以下のとおりです。
所有権移転登記申請書と合わせて法務局へ提出します。
ご依頼の場合は、基本的に当センターにて書類をご用意いたします(印鑑証明書、登記済権利証を除く)。
| 区分 | 書類名 | 詳細・備考 |
|---|---|---|
| 現在の名義人 (譲り渡す方) | 登記識別情報通知 (登記済権利証) | 対象不動産のもの 【取得先】手元にあるもの |
| 印鑑証明書 | 3ヶ月以内のもの 【取得先】住所地の市区町村役場 | |
| 固定資産評価証明書 | 名義変更する年度のもの 【取得先】不動産所在地の市区町村役場 | |
| 新しい名義人 (譲り受ける方) | 住民票 | 期限はとくになし 【取得先】住所地の市区町村役場 |
| その他 | 離婚協議書 財産分与契約書 | 財産分与のあったことがわかる書類 【取得先】自分で作成(または司法書士が作成) |
| 戸籍謄本 | 離婚(離婚届けの提出)がわかる書類 【取得先】本籍地の市区町村役場 | |
| 本人確認資料 | 運転免許証等のコピー ※ご依頼の場合は、お二人分が必要 |
名義変更手続きの必要書類まとめ
必要書類の詳細案内はこちら離婚協議は親権のこと、慰謝料のことなど多岐にわたりますが、離婚に伴い、夫婦で購入した不動産や、二人で貯めてきた預貯金等の財産はどうするか?これが財産分与の話しです。
婚姻期間中に夫婦で築いた財産は基本的にはお二人の財産となります。法律で「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」とされています。よって、結婚前から持っていた財産などを除き、基本的にはお二人の財産となります。
離婚の際には、通常、共有関係を解消することになりますので、形式上一方の名義の財産を、譲渡・名義変更し、夫婦間の財産を調整することになります。
お金の管理方法は、夫婦それぞれ異なりますので、一概に離婚の場合は財産分与が必要というものではございません。
形式上も婚姻中からお二人の財産が分かれていて、財産分与の手続きが不要であることなどもございます。財産の名義変更などが必要なければ、何も精算しないこともございます。
一方の形式的な財産(名義上の財産)が少なく、財産分与を希望する場合は財産分与の手続きが必要です。
協議離婚では、離婚届を役所に提出し受理されれば離婚は成立します。
財産分与に関しても夫婦の話合いによって成立しますが、その内容を必ず書面に残しておくことが大切です。その書面のことを離婚協議書や財産分与契約書と呼びます。
離婚協議書には、不動産・現金・預貯金等の財産分与に関する内容や、親権・監護権に関すること、年金分割なども状況によって記載します。
財産分与を請求できる権利には離婚後2年間という制限がございますので、期限内に請求が必要です。
2年を超えた場合、相手方が応じてくれる場合を除き、原則的に財産分与は認められなくなります。
財産分与を希望する場合は、お早めの対応をお勧めいたします。
財産分与により不動産の名義変更をするためには、法務局に所有権移転登記を申請する必要があります。
夫婦お二人での手続きになりますので、お二人が協力して手続きすることになります。相手方から協力を貰えない場合は手続きできません。
不動産を財産分与で譲り受けた時、単に離婚&契約しただけでは、第三者に対して権利を主張できません。
よって、不動産を売買することや担保を設定することもできません。第三者に対して不動産の権利を得たと主張するためには、登記による名義変更が必要となります。
なお、財産分与は当事者間の合意と離婚で権利は移転しますし、登記も義務ではありません。登記をしていなければ、上記不都合が生じるだけです。
財産分与による不動産の名義変更は、離婚前でも離婚後でも可能です。ただし、手続きの方法や必要書類、費用、税金面で違いがあります。
離婚前に名義変更する場合は「贈与」、離婚後は「財産分与」として扱われ、それぞれメリット・デメリットがあります。登録免許税の税率や不動産取得税の課税の有無など、タイミングによって費用が大きく変わることもあります。
→離婚に伴う自宅の名義変更:離婚前?離婚後?最適なタイミングと費用・税金徹底比較
大きく分けて、司法書士に依頼する費用と登録免許税などの実費の2つが必要です。
専門家への依頼は必須ではありません。当事者のお二人が納得し、離婚協議書なども取り交わすのであれば、自分たちだけでやることも可能です。
相手方と直接の話し合いが上手くできない場合は、弁護士への依頼が考えられます。
相手方と基本的に合意は取れていて、後は名義変更や離婚協議書の作成のみという状況であれば、司法書士への依頼が考えられます。
それぞれの状況によって、専門家に依頼すべきかどうか異なります。
→不動産の名義変更・相続登記は自分でできる?専門家に依頼が必要?
→離婚による不動産の名義変更を自分で!【司法書士が方法解説】
原則、不動産取得税が課税されます。
ただし、財産分与の場合、一定の要件を満たすと課税されない場合もあります。各都道府県によっても取り扱いが異なることがありますので、詳しくは都道府県税事務所に確認されることをお勧めいたします。
上記の要件を満たさない場合も、ご自宅の場合は別途軽減の対象になる場合もあります(築年数、床面積の要件あり)。
離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税はかかりません。
ただし、財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他を考慮し多過ぎる場合には贈与税がかかることがあります。
住宅ローンが残っている場合は、技術的には金融機関に関係なく名義変更可能ですが、通常のローン契約上は、名義変更する際には金融機関の承諾を要する旨の内容があるため金融機関の承諾なく勝手に名義変更すると契約違反になる恐れがあります。
相手方が協力してくれない場合は、家庭裁判所での調停の利用が考えられます。家庭裁判所の調停でも話がまとまらない場合は、審判の手続きになります。
その他の方法としては、弁護士へ依頼し、相手方との話し合いを促す方法なども考えられます。相手方との基本的な合意が取れていて、手続きの細かな調整だけであれば、中立な立場の司法書士に依頼することも考えられます。
費用や手間、相手方の対応などを考慮し、方法を選択することになるかと考えます。
慰謝料の代わりとして自宅を貰うこと(代物弁済等)や、慰謝料的財産分与としての手続きが考えられますが、いずれにしても不動産の評価額によっては贈与税等の税金について注意が必要です。税理士または税務署への確認をお勧めいたします。
財産分与(離婚)による不動産名義変更の費用プラン
離婚による不動産名義変更(財産分与)の手続きの流れは以下のとおりです。
基本的には、「電話」「郵送」「メール」にて進めさせていただきますので、必ずしも面談は必要ありません。お住まいが遠方の方でも、お気軽にご依頼ください。
※直接お会いしない場合でも、ご本人確認・手続きの内容確認は必要になりますので、財産分与により譲り渡す方・譲り受ける方のお二人に直接お電話や書類の郵送等を行うことになります。書類の郵送は、本人限定郵便や書留郵便等を利用いたします。

お電話やお問合わせフォームよりお問合せください。
費用・税金の案内や、今後の具体的な手続きの流れをご説明させていただきます。

名義変更手続きの費用概算を案内させていただきます。
資料が不足し税金等の実費が不明の場合は、算出方法を提示いたします。
固定資産評価額が分かれば、税金等を含めてた詳細の費用の計算も可能です。

費用や手続きについての説明を聞き、十分ご納得いただいた上でご依頼ください。
ご依頼後、すぐに手続きに入ります。
受付票と委任状の書類にご記入いただきます。
遠方の場合は書類をご郵送またはメールでお送りいたします。

固定資産評価証明書、住民票などの必要書類を収集いたします。
当センターでの収集作業になりますので1,2週間程お待ちいただきます。

収集した資料より、税金やその他実費部分の詳細が分かりますので、トータルの確定した費用をご提示いたします。費用のお振り込みをお願いします。

財産分与契約書などの書類を作成・送付いたします。
各書類に署名・押印いただき返送してください。
(公正証書プランの場合は、お二人にお近くの公証役場に出向いていただき契約手続きになります。)

電話で最終確認をさせていただきます。
手続き内容の確認と、ご本人の確認等を取らせていただきます。

不動産を管轄している法務局に、登記(名義変更)の申請をします。
インターネット上のオンライン申請で行います。
近場や遠方でも同様の手続きになります。

名義変更完了後の登記事項証明書(謄本)、登記識別情報(権利証)、登記完了証、その他関係書類を配達証明付きの書留郵便にてご郵送させていただきます。
(1)~(9)の手続きの期間の目安として3~4週間程度です。
(書類収集に1~2週間、お客様との書類のやり取りに1週間、法務局の審査に1~2週間程度が通常のパターンです。)
お急ぎのご依頼にも対応しますので、お問合せの際にご確認ください!

不動産を取得(購入や相続)すると不動産の登記簿には名義人の『住所』及び『氏名』が記載されます。
取得後に住所や氏名が変更している場合には、離婚による不動産名義変更の手続きをする前提として、住所変更や氏名変更の登記手続きが必要です。
住所変更や氏名変更の手続きは、離婚による不動産名義変更の手続きと同時にすることができます。
住所変更登記の手続きはこちら
氏名変更登記の手続きはこちら
当センターに離婚手続きををご利用いただいたお客さまの声を紹介させていただきます。
離婚以外のお客様につきましては、お客様の声一覧のページをご覧ください。
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相続による不動産名義変更(相続登記)の手続きに不安のある方は、以下のリンクをクリックしてください。
不動産名義変更・相続登記の手続きの詳細(費用、書類、期間、義務等)は以下をご参照ください。
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