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自動車の相続と名義変更|不動産相続と一緒に進める方法


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2026年3月9日
 

自動車の相続手続き|名義変更・必要書類・売却・廃車

ご家族が亡くなられた後、多くの方が預貯金や不動産の手続きを優先する一方で、自動車の相続は後回しになりがちです。しかし自動車も法律上は立派な相続財産であり、所有者が亡くなった時点で相続人全員の共有財産となります。名義を放置したままでは売却も廃車もできず、事故時の保険適用にも支障が出ます。本記事では、車検証の確認から名義変更の手順・必要書類、売却・廃車・保険の処理、相続税評価まで、自動車相続の実務を一通り解説します。

当センターについて:代表の板垣は司法書士のほか行政書士登録もしており、自動車の名義変更手続きを含む行政書士業務にも対応しております。不動産の相続登記と自動車・預貯金の手続きをまとめてご依頼いただくことが可能です。

名義変更を放置してはいけない理由

道路運送車両法第13条は、自動車の所有者に変更があった場合、変更の日から15日以内に移転登録の申請を行うよう定めています。実務上、相続による名義変更でこの期限が厳格に問われることは少ないですが、放置によるリスクは無視できません。

リスクの種類具体的な影響
法的処分が不可能故人名義のままでは、売却・譲渡・廃車の手続きを進めることができません。
任意保険の手続き上の支障名義変更を怠ると保険会社への報告が遅れ、事故時の保険手続きに支障が出るおそれがあります。速やかに保険会社へ連絡し、契約変更手続きを行うことが重要です。
自動車税の混乱納税通知書が故人の旧住所に届き続け、未納扱いによる延滞金が発生する場合があります。
権利関係の複雑化放置期間中に他の相続人が認知症を発症したり、新たな相続(数次相続)が発生すると、協議が困難になります。

不動産の相続登記や金融機関での預金手続きと並行して、できるだけ早期に対応することをお勧めします。

参考(国土交通省):自動車の相続による手続き|関東運輸局
普通自動車の相続手続き(単独相続・共同相続・第三者への名義変更・抹消登録)の概要が確認できます。各地域の運輸支局のページも合わせてご参照ください。

手続きの第一歩 — 車検証で所有権を確認する

名義変更に着手する前に、必ず「自動車検査証(車検証)」の「所有者の氏名又は名称」欄を確認してください。家族全員が「故人の車」と認識していても、法的な所有権が故人にあるとは限らないからです。

  • 所有者が故人本人:通常の相続手続きを進めることができます。
  • 所有者がローン会社・ディーラー(所有権留保):残債の処理が先決です。下記をご参照ください。
  • 所有者が別の家族(例:配偶者):その車は故人の遺産ではないため、相続手続きは不要です。
車検証を紛失している場合、そのままでは手続きを進めることができません。普通自動車の場合は管轄の運輸支局で「登録事項等証明書」の取得または車検証の再発行手続きが必要です。軽自動車の場合は管轄の軽自動車検査協会で「検査記録事項等証明書」の取得等を行います。相続が絡む再発行は手続きが複雑になることがあるため、行政書士への相談も選択肢の一つです。

ローン残債がある場合(所有権留保)の対処法

自動車ローンの返済中は、ローン会社が所有権を留保しているケースが一般的です。この場合、まずローン会社に契約者の死亡を連絡し、残債の有無と金額を確認します。その後の選択肢は主に三つです。

選択肢概要注意点
残債を一括返済して相続預貯金や生命保険金などで残債を完済し、ローン会社から所有権解除書類を受け取って名義変更する。完済後は相続人の単独財産となり、自由に売却・乗車が可能。
売却して返済に充てる査定額が残債を上回る(アンダーローン)場合、ローン会社の許可を得て売却し、差額を相続財産として分配する。査定額が残債を下回る(オーバーローン)場合は、不足分を手出しで支払う必要がある。
相続放棄を検討する残債が車の価値を大きく上回り、他の遺産も乏しい場合は、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことを検討する。相続放棄はすべての遺産(プラスの財産も含む)を手放すことになるため、遺産全体で慎重に判断する。

なお、ローンを完済済みであるにもかかわらず車検証の所有者がローン会社のままになっているケースもあります。この場合はローン会社から「所有権解除書類」を取り寄せ、改めて名義変更手続きを行う必要があります。また、マイカーリースの場合は契約者死亡により原則として契約が強制解約となり、中途解約違約金が発生することがあります。

誰が相続するかを決める — 遺産分割協議

所有権が故人にあると確認できたら、次に「誰がその自動車を取得するか」を正式に決定します。

遺言書がある場合は、原則としてその内容に従います。自筆証書遺言(法務局保管制度を利用したものを除く)や秘密証書遺言については、事前に家庭裁判所の「検認」手続きが必要です。

遺言書がない場合は、法定相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめます。この協議書は自動車だけでなく、不動産・預貯金・株式を含む遺産全体を一括して規定できます。一つの協議書で相続全体の分割方法を決めておくと、その後の各手続きをこの書面一枚で進めることができます。

遺産分割協議書への自動車の記載例
第〇条 相続人「○○ ○○」は、被相続人「○○ ○○」が所有していた下記の自動車を取得する。
 登録番号:品川 XXX さ XXXX
 車台番号:ABC-1234567

※登録番号と車台番号は、車検証の記載通りに転記してください。

なお、相続人の中に未成年者がいる場合、親権者と未成年者が共に相続人となるときは法的な「利益相反」が生じることがあり、家庭裁判所で「特別代理人」の選任が必要になる場合があります。また、相続放棄をした相続人は遺産分割協議に参加せず、「相続放棄申述受理証明書」を取得して手続きに添付します。

普通自動車と軽自動車 — 手続きの違いを先に把握する

名義変更手続きは「普通自動車」と「軽自動車」で、手続き先・必要書類・費用が大きく異なります。普通自動車は国の登録制度に基づく厳格な審査が行われるのに対し、軽自動車は手続きの負担が軽減されています。

項目普通自動車軽自動車
手続き名称移転登録自動車検査証変更記録申請
手続き場所使用の本拠地を管轄する運輸支局使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所
遺産分割協議書原則として必要(相続人全員の実印押印)窓口提出は原則不要
必要な印鑑新所有者の実印署名(または認印)で可
車庫証明保管場所が変わる場合は必要一部地域を除き原則不要(届出が必要な地域あり)
手数料登録手数料500円+実費ナンバー変更がなければ原則無料
軽自動車の注意点:軽自動車は「届出」の扱いであるため、窓口では通常の名義変更と同じ書類(車検証・住民票等)で手続きが完了します。普通自動車で必要となる戸籍謄本の提出は求められず、遺産分割協議書の提出もありません。ただし、法的には遺産分割協議の対象となる共有財産であることに変わりありません。他の相続人に無断で名義変更を行うことは後日の親族間トラブルの原因になるため、自動車を誰が取得するか必ず全員の同意を得て書面に残してください。

普通自動車の名義変更手順

  1. 必要書類の収集 戸籍謄本・遺産分割協議書・印鑑証明書などを揃えます(詳細は後述のチェックリストを参照)。
  2. 車庫証明の取得 新所有者の保管場所が故人と異なる場合、管轄の警察署で「自動車保管場所証明書」を取得します。申請から交付まで3〜7日程度かかるため、早めに手続きを始めてください。
  3. 運輸支局へ 使用の本拠地を管轄する運輸支局(自動車検査登録事務所)に向かいます。管轄が変わる場合(例:東京→大阪)はナンバープレートの交換が必要なため、自動車を持ち込む必要があります。
  4. 窓口で申請書類を入手・記入 「申請書(OCRシート第1号様式)」「手数料納付書」「自動車税申告書」を窓口で入手して記入します。
  5. 手数料の支払い 印紙販売窓口で500円分の検査登録印紙を購入し、手数料納付書に貼付します。
  6. 書類提出と車検証の交付 書類に不備がなければ、30分〜1時間程度で新しい車検証が交付されます。
  7. ナンバープレートの交換(該当する場合) 管轄変更の場合は古いプレートを返納し、新しいプレートの交付を受けます。係員が封印を取り付けて完了です。

評価額100万円以下の場合 — 遺産分割協議成立申立書の特例

相続する普通自動車の査定価格が100万円以下の場合、相続人全員の実印・印鑑証明書を集める必要がある「遺産分割協議書」の代わりに、「遺産分割協議成立申立書」という簡易書類を使用できる特例があります。

比較項目通常の遺産分割協議書遺産分割協議成立申立書(特例)
対象財産すべての遺産(不動産・預貯金など)評価額100万円以下の普通自動車のみ
署名・押印相続人全員の署名と実印自動車を相続する代表者1名の署名と実印のみ
印鑑証明書相続人全員分代表者1名分のみ
追加書類特になし100万円以下を証明する査定書(運輸支局への提出は不要だが、親族間トラブル防止・税務申告のために取得を強く推奨)

申立書の様式は国土交通省のウェブサイトか管轄の運輸支局窓口で入手できます。関東運輸局の様式(PDF)は以下からダウンロードできます(他地域の方は管轄の運輸局サイトをご確認ください)。
遺産分割協議成立申立書(関東運輸局・PDF)

査定書について:遺産分割協議成立申立書は「当該自動車の価額が100万円以下である」と相続人が自己申告(誓約)する性質の書面であり、運輸支局の窓口では査定書の提出は求められません。ただし、実務上は相続人間のトラブル防止や税務署への疎明資料として、正式な査定書を取得しておくことを強くお勧めします。取得する場合、ウェブの無料査定サイトの画面印刷や購入時の売買契約書は証拠として認められません。実車の査定に基づく書面が必要であり、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が最も確実です(普通自動車で1万円程度)。中古車ディーラーに依頼する場合は、相続手続きに使用できる形式の書面を発行してもらえるか事前に確認してください。査定の結果、価格が100万円を超えた場合は、この特例は使用できず原則通り全員の遺産分割協議書が必要です。

軽自動車の名義変更手順

  1. 必要書類の準備 遺産分割協議書は不要です。後述のチェックリスト(ケース4)を参照してください。
  2. 軽自動車検査協会へ 使用の本拠の位置(お車をお使いになる場所)を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所に向かいます。事務所・支所の所在地は軽自動車検査協会の公式サイトで確認できます。
  3. 申請書類を入手・記入 窓口で「自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式)」「軽自動車税申告書」を入手し、記入します。
  4. 書類提出と車検証交付 書類を提出するとその場で新しい車検証が交付されます。ナンバー変更がなければ手数料は原則無料です。
  5. ナンバープレートの交換(該当する場合) 管轄が変わる場合は古いプレートを返納し、新しいものを購入します。普通自動車と異なり封印がないため、自分で取り付けることができます。

必要書類チェックリスト(ケース別)

ケース1:普通自動車(遺産分割協議・評価額100万円超)

書類名入手先備考・注意点
自動車検査証(車検証)自動車に保管原本が必要。紛失時は運輸支局で再発行手続きを先に行う。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等本籍地の市区町村役場相続人全員を確定するために必要。複数の役所にまたがることが多く、収集に時間がかかる。
または 法定相続情報一覧図の写し法務局戸籍謄本一式の代わりに使用できる。後述の制度を活用すると効率的。
遺産分割協議書相続人が作成(専門家への依頼を推奨)相続人全員の署名と実印の押印が必要。
相続人全員の印鑑証明書各自の住所地の市区町村役場発行から3ヶ月以内のもの。
新所有者の実印 または 委任状本人持参/本人が作成代理人申請の場合は新所有者の実印を押した委任状が必要。
自動車保管場所証明書(車庫証明)管轄の警察署保管場所が変わる場合のみ必要。証明日から1ヶ月以内のもの。
申請書(OCRシート第1号様式)・手数料納付書・自動車税申告書運輸支局の窓口当日窓口で入手・記入。登録手数料500円の印紙が必要。

ケース2:普通自動車(遺産分割協議・評価額100万円以下)

書類名入手先備考・注意点
自動車検査証(車検証)自動車に保管原本が必要。
被相続人の戸籍謄本等 または 法定相続情報一覧図の写し市区町村役場 / 法務局ケース1と同様。
遺産分割協議成立申立書運輸支局窓口・国土交通省ウェブサイト自動車を相続する1名が署名・実印を押印。
査定書(査定証)JAAI・ディーラー等運輸支局への提出は不要(自己申告書類のため)。ただし、親族間トラブル防止・相続税申告のために取得を強く推奨。ウェブ印刷等は不可で実車査定が必要。
新所有者の印鑑証明書住所地の市区町村役場発行から3ヶ月以内のもの。
新所有者の実印 または 委任状本人持参/本人が作成ケース1と同様。
自動車保管場所証明書・各申請書警察署 / 運輸支局窓口ケース1と同様。

ケース3:普通自動車(遺言書あり)

書類名入手先備考・注意点
自動車検査証(車検証)自動車に保管原本が必要。
被相続人の戸籍謄本等 または 法定相続情報一覧図の写し市区町村役場 / 法務局ケース1と同様。
遺言書故人が保管 / 公証役場等自筆証書遺言(法務局保管制度を除く)は家庭裁判所の「検認済証明書」が必要。
新所有者の印鑑証明書住所地の市区町村役場発行から3ヶ月以内のもの。
新所有者の実印 または 委任状本人持参/本人が作成ケース1と同様。
自動車保管場所証明書・各申請書警察署 / 運輸支局窓口ケース1と同様。

ケース4:軽自動車

書類名入手先備考・注意点
自動車検査証(車検証)自動車に保管原本が必要。
新所有者の住民票の写し または 印鑑証明書住所地の市区町村役場発行から3ヶ月以内のもの。マイナンバーの記載がないものを用意する。
申請依頼書(代理人申請の場合のみ)軽自動車検査協会窓口本人申請の場合は不要。代理人が手続きする場合に申請依頼書が必要(押印不要・署名で可)。
自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式)・軽自動車税申告書軽自動車検査協会窓口当日窓口で入手・記入。

法定相続情報証明制度を活用して手続きを効率化する

相続手続きで最も手間がかかる作業の一つが、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」の収集です。この書類一式を、不動産登記(法務局)・預貯金解約(各銀行)・自動車名義変更(運輸支局)のすべてにそれぞれ提出しなければならないため、各機関を順番に回る負担は相当なものになります。

この問題を解決するのが、2017年5月から運用が始まった「法定相続情報証明制度」です(法務局公式ページ)。

制度の仕組み
収集した戸籍謄本の束と、相続関係をツリー状にまとめた「法定相続情報一覧図」を法務局に一度提出すると、登記官が内容を確認した上で、公的な認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」を必要枚数だけ無料で交付してくれます。

この「写し」は戸籍謄本の束の代わりとして、運輸支局・法務局・金融機関・税務署などの各手続き窓口で正式に使用することができます。

取得した証明書を複数枚用意しておくことで、自動車・不動産・預貯金の手続きを同時並行で進めることができ、相続手続き全体の期間を大幅に短縮できます。当センターに不動産の相続登記をご依頼いただく際に、法定相続情報証明制度の利用も合わせてお申し付けいただければ、その後の自動車・銀行手続きもスムーズに進められます。

名義変更後の選択肢 — 乗り続ける・売却・廃車

名義変更が完了したら、その車を今後どう扱うかを決める必要があります。

乗り続ける場合 — 任意保険の手続きを忘れずに

自動車を引き続き使用する場合、運輸支局での名義変更だけでなく、任意保険の契約者名義変更も必ず行ってください。保険会社に連絡して契約者が亡くなった旨を伝え、新しい所有者への契約変更手続きを進めます。

この際、故人が長年無事故で積み上げてきた高い等級(割引率)を引き継ぐことができる場合があります。等級の引き継ぎが認められる相手方は、保険会社の約款に基づき、原則として以下のいずれかに限られます。

  • 配偶者(内縁関係を含む)
  • 亡くなった方(元の記名被保険者)と同居していた親族
  • 配偶者と同居していた親族
「同居」の要件は厳格です:別居している子が実家の車を相続した場合、死亡時点で同居の実態がなければ、原則として等級の引き継ぎは認められません。同居の事実を証明するために住民票の提出が求められることがあります。なお、すぐに乗る予定がない場合は、廃車・売却の際に保険会社から「中断証明書」を発行してもらうことで、高い等級を最大10年間保持することも可能です。

売却する場合

売却(換価分割)を前提とする場合、運輸支局では「被相続人から相続人への名義変更」と「相続人から第三者への移転」を同時申請できる場合もあります。ただし実務上は、一度代表相続人へ名義変更した上で売却する流れが取られることが多くあります。いずれの方法を選ぶ場合でも、遺産分割協議書に「代表相続人が取得し換価した上で売却代金を相続人全員で分配する」旨を明記しておくことで、後日の分配が贈与とみなされて贈与税が課されるリスクを回避できます。

実務上は、買取業者が「被相続人から相続人への名義変更」と「相続人から買取業者への名義変更」を運輸支局で同時に処理する「ダブル移転」を代行してくれるケースが多くあります。複数業者に見積もりを依頼するか、オンラインの一括査定サービスを活用して適正な市場価格を把握してから交渉することをお勧めします。

廃車にする場合

廃車手続きと名義変更の関係は、廃車の種類によって異なります。一時抹消登録の場合は、相続人への移転登録を先に行ってから抹消手続きを進めます。一方、永久抹消登録(解体)については、運輸支局の案内では相続移転登録を省略できる場合があるとされています。ただし手続きの詳細は管轄によって異なることがあるため、事前に管轄の運輸支局に確認するか、行政書士に相談することをお勧めします。廃車の種類は主に二つです。

廃車の種類概要主な効果・メリット
永久抹消登録車両を解体業者に依頼してスクラップにし、二度と公道を走れない状態にする。自動車税の課税が完全に停止。車検残存1ヶ月以上なら自動車重量税の還付を受けられる場合がある。
一時抹消登録ナンバープレートを返納してデータ上は残す。将来また使用する可能性がある場合に選ぶ。自動車税の課税を一時的に停止できる。

普通自動車を年度の途中で抹消登録した場合、先払いした自動車税の月割り還付が受けられます。乗らない車は早めに手続きを進めることが経済的にも得策です。また、廃車買取業者によっては鉄資源としての価値を評価し、無料引き取りや買取に応じてくれることがあります。

廃車に伴い自賠責保険が1ヶ月以上残っている場合は、抹消登録完了後に保険会社で解約手続きを行うことで未経過期間分の返戻金を受け取ることができます。

相続税申告における自動車の評価

自動車も課税対象の相続財産です。遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続開始日の翌日から10ヶ月以内に税務署への申告・納税が必要です。

自動車の評価は原則として「相続開始日(亡くなった日)における一般的な買取相場(査定価格)」で行います。実務上は、複数の業者やディーラーに査定を依頼して書面(査定書・見積書)を取得し、そのいずれかを評価証明として税務署に提出します。前述のJAAI(日本自動車査定協会)による査定書は公的証明力が高く、税務署への疎明資料としても有効です。

なお、ローンが残っていた場合、その残債の元本部分は「債務控除」として遺産総額から差し引くことができ、相続税の課税対象額を適正に引き下げることが可能です。

よくある疑問と対処法

相続人の一人と連絡が取れない、または協力してもらえない場合はどうすればよいですか?
遺産分割協議書には法定相続人全員の署名・実印が必要なため、一人でも欠けると手続きが止まります。まず相続人の戸籍附票から現住所を調べ、手紙等で連絡を試みてください。それでも連絡がとれない場合は、家庭裁判所への「不在者財産管理人」選任申立てという法的手続きがあります。意見の対立がある場合は「遺産分割調停」も選択肢です。いずれも専門的な知識が必要なため、司法書士・弁護士への相談をお勧めします。
相続人が海外に住んでいます。手続きはどうなりますか?
海外在住の相続人は日本の印鑑証明書・住民票が取得できません。代わりに、居住地の日本大使館または領事館で「サイン証明書(署名証明書)」(印鑑証明書の代わり)と「在留証明書」(住民票の代わり)を取得することで対応できます。国際郵便でのやり取りに時間がかかるため、早めに準備を始めることが重要です。
車検証の「所有者」がローン会社になっていました。
所有権留保が付いている場合、まずローン会社に連絡して残債の有無を確認してください。ローンが完済済みにもかかわらず名義がローン会社のままになっているケースもあります。その場合はローン会社から「所有権解除書類」を取り寄せることで、名義変更や売却・廃車の手続きを進めることができます。
親が認知症で施設に入っています。乗らなくなった親名義の車を家族が売却・処分できますか?
所有者本人が存命であっても、認知症等により意思決定能力が不十分な場合、家族が勝手にその方の財産を売却・処分することは法律上できません。家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立て、成年後見人が本人の利益のために財産管理や売却などの法律行為を代理で行う仕組みが必要になります。なお、所有者が亡くなって相続が開始された後は、生前の認知症の有無にかかわらず、通常通り相続人全員による遺産分割協議の対象となります。手続きについては司法書士にご相談ください。

不動産相続と自動車相続を同時に進めるメリット

自動車の相続と不動産の相続(相続登記)を別々に考えると、手間が二倍以上になることがあります。実際には、両手続きの根幹となる最も時間のかかる作業は共通しています。

  • 戸籍謄本の収集:不動産登記でも自動車の名義変更でも、被相続人の出生から死亡までの戸籍は必須です。
  • 遺産分割協議書の作成:不動産と自動車を一つの協議書で処理できるため、相続人全員の実印は一度集めるだけで済みます。

不動産の相続登記を専門とする司法書士にご依頼いただく際に、この法的基盤の整備を一度で完了させることができます。さらに法定相続情報証明書を合わせて取得しておくことで、法務局・運輸支局・各銀行での手続きを同時並行で進めることができ、相続手続き全体の期間を大幅に短縮することが可能です。

当センターでは、不動産の相続登記を中心に、遺産分割協議書の作成・戸籍収集・法定相続情報証明書の取得まで、相続手続きの法的基盤をまとめてサポートしております。代表の板垣は行政書士登録もしており、自動車名義変更の行政書士業務にも対応しております。

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司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
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