登記識別情報通知の紛失・再発行(要点まとめ)
● 再発行制度はない:登記識別情報通知は登記完了時に一度通知されるのみで、紛失・盗難・受領期限経過の場合でも、同じ識別情報を再発行・再通知する制度は設けられていません
● 代替手段は3つ:①事前通知制度(不動産登記法第23条第1項)/②資格者代理人による本人確認情報の提供(同条第4項第1号)/③公証人による認証(同条第4項第2号)
● 事前通知制度(無料・2週間):法務局が登記義務者宛に本人限定受取郵便で通知を発送し、発送日から2週間以内に署名・押印して返送(規則第70条第8項。海外居住者は4週間)。決済当日の登記確実性が担保できないため売買・住宅ローンでは使えません
● 本人確認情報の提供(数万円〜20万円):司法書士が本人と面談し本人性・申請意思・登記義務者性を確認して書面作成。資料が揃っていれば決済日対応も可能で、売買・住宅ローン関連で最も多く利用されます
● 公証人による認証:この手続きで公証人が認証するのは主に委任状(代理権限を証する書面)で、手数料は通常4,000円(日本公証人連合会公式値)。本人が公証役場へ出向く必要があり、売買決済への組み込みは限定的です
● 失効申出(不動産登記規則第65条):紛失・盗難で第三者に識別情報を見られた可能性がある場合、法務局に失効申出を行えます。ただし失効後は当該識別情報を二度と使えなくなるため、後で通知書が見つかっても再有効化はできず、将来の売却時には本人確認情報の提供(数万円〜20万円)が必要になります
● 相続登記には不要:相続登記では登記識別情報通知(被相続人の権利証)の提供は不要。詳しくは権利証がない場合の相続登記を参照
登記識別情報通知に記載されている登記識別情報は、贈与や売買による不動産の名義変更をする際に本人確認の手段として提供するものです。
登記識別情報を紛失してしまった場合は、再発行はできないため、別の手段により本人確認を行う必要があります。具体的には、「事前通知制度」又は「資格者代理人による本人確認情報の提供の制度」によります。
その他、公証役場で認証する「公証人による申請情報等の認証」の方法もあります。
登記済権利証(権利証)を紛失した場合も、登記識別情報を紛失した場合と同様の手続きです。
| 方法 | 概要 | 適用場面 |
|---|---|---|
| 事前通知制度 | 法務局から登記義務者に通知を送付し、2週間以内に返送・持参することで登記実行 | 親子間の贈与など信頼関係がある場合に適している |
| 資格者代理人による 本人確認情報の提供 | 司法書士等の資格者が登記義務者の本人確認を行い、本人確認情報を作成 | 第三者との売買など確実な手続きが必要な場合に適している |
| 公証人による 申請情報等の認証 | 公証役場で認証を受ける方法 | その他の方法 |
相続登記は、相続人が単独で所有権移転登記を行うもので、登記済権利証や登記識別情報は基本的に添付書類になりません。
登記識別情報(登記済権利証)は、通常の所有権移転登記の際に、登記名義人が「その不動産の真の所有者である」ことを証明したり、登記申請時に登記識別情報を提供することで、その登記が真正なものであることが担保するために添付書類として求められますが、相続の場合は戸籍謄本等の別の証明書で相続人であることを証明するため不要となります。
登記識別情報通知を盗まれてしまった場合、それだけで土地や建物の権利を勝手に処分されることはありません(処分するには実印や印鑑証明書も必ず必要になります。)が、悪用される恐れはあります。
盗難等された場合に悪用されないうように、登記識別情報通知の効力を失効させる制度があります。
具体的には、法務局に対して申出を行います(オンラインでも書面でも申出可)。失効申出できるのは名義人やその相続人等に限られます。申出先は不動産を管轄する法務局になります。
登記識別情報を失効させても名義変更(登記)を禁止する効力はありません。
重要なこととしては、失効した登記識別情報通知は再発行されませんので、登記識別情報が必要な手続きの際は、下記で解説する事前通知や本人確認情報などの代替手段で行うことになります。
なお、登記識別情報ではなく登記済権利証(権利証)の場合は、失効する制度はありません。
登記識別情報通知の失効申出とは別に、不正登記防止申出という制度もあります。すぐに不正な登記がされる恐れがある場合(3ヶ月以内)に、不正な登記がされることを防止するための制度になります。
事前通知は、登記識別情報を提供できない場合の原則的な方法です。
例えば、申請人が贈与や売買による名義変更の登記申請をする際に、登記識別情報を提出しない場合は、法務局から名義を失う人(以下「登記義務者」といいます)に対し、「名義変更の登記申請がありましたが、間違いありませんか」という内容の通知がなされます。
この通知の発送日から2週間以内に、この通知に署名押印(登記申請書又は委任状に押印したものと同一の印)し、法務局へ返送又は持参することで、登記が実行されます。
期間内に申出しない場合は、当該申請は却下(取下げ)されます。
顔写真付きの公的身分証明書(いわゆる「1号書面」)、顔写真のない証明書(いわゆる「2号書面」)又は1号書面及び2号書面以外の公的証明書(いわゆる「3号書面」)です。
資格者代理人が、本人確認情報を作成するにあたって、登記義務者から提示を受けて確認すべき書類は、
「1号書面」の場合、次のいずれか1点です。
「2号書面」の場合、次のいずれか2点です。
「3号書面」の場合、次の2点です。
事前通知制度は、法務局が通知を発送した日から2週間以内に、登記義務者がこの通知に署名押印し、法務局へ返送又は持参しなければ、その登記申請は却下されてしまいます。
そこで、登記義務者と失う人との間に信頼関係があり、登記義務者が確実に名義変更手続に協力してくれることが期待できる場合は、事前通知制度の利用に適しているといえます。
例えば、親子間の贈与では、一般的に登記義務者の協力が期待でき、あえて手数料のかかる本人確認情報提供制度を利用する実益が少ないため、事前通知制度を利用する場合が多いでしょう。
一方、登記義務者が法務局からの通知を確実に返送等することが期待できるとはいえない場合は、本人確認情報提供制度を利用することになります。
例えば、第三者との売買では、売主と買主は他人であり、また売主と買主との間で利益が相反するため、一般的には親子間の贈与の場合のような当事者間の信頼関係があるとはいえません。
もし、第三者との売買で事前通知制度を利用した場合、売主が通知を返送等しないと登記手続が却下されてしまい、買主は売買代金を支払ったにもかかわらず、それと引き換えに登記名義を取得できないことになります。このようなリスクを避けるため、第三者との売買では本人確認情報提供制度を利用することが多いと考えられます。
| ケース | 推奨される方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 親子間の贈与 | 事前通知制度 | ・当事者間に信頼関係がある ・登記義務者の協力が期待できる ・手数料がかからない |
| 第三者との売買 | 本人確認情報 | ・売主と買主は他人 ・利益が相反する関係 ・事前通知が返送されないリスクを避けるため |
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