準確定申告の必要書類(要点まとめ)
何の手続きか:亡くなった人の所得税確定申告を、相続人が代わりに行う手続き(所得税法第124条・第125条)
期限:相続の開始を知った日の翌日から4か月以内。納付税額がある場合、期限を過ぎると無申告加算税・延滞税の対象になります(還付申告のみの場合は対象年の翌年から5年以内まで申告可能)
対象者:給与収入が2,000万円超/公的年金等収入が400万円超/給与・年金以外の所得が20万円超/事業所得・不動産所得・譲渡所得あり など
必要書類10項目:①源泉徴収票(給与・年金)/②医療費の領収書(医療費控除を使う場合は明細書も添付)/③生命保険料控除証明書/④地震保険料控除証明書/⑤社会保険料控除証明書/⑥事業所得の帳簿(事業者の場合・青色申告決算書または収支内訳書)/⑦不動産所得の資料(不動産がある場合)/⑧準確定申告書(付表を含む)/⑨相続人全員のマイナンバーと本人確認書類/⑩寄附金受領証明書(ふるさと納税等を行っていた場合)
提出先:被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署
誰が提出するか:相続人等(相続人・包括受遺者)が連署して1通提出するのが原則(相続放棄者は除外)。連署が難しい場合は他の相続人等の氏名を付記して各人別々に提出も可
当センターの対応範囲:相続登記は当センターが対応。準確定申告など税務は提携税理士をご紹介(関東対応エリアを中心)
被相続人(亡くなった方)の所得税の確定申告を、相続人が代わりに行う手続きが 「準確定申告」 です。期限は 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 と短く、放置すると無申告加算税や延滞税の対象になります。本記事では、準確定申告が必要な人・不要な人、期限の数え方、相続人がやるべき4ステップを、司法書士の視点でやさしく解説します。税務の細かな計算式には踏み込まず、「自分の場合は必要か」「何から手を付ければよいか」を実務家の視点で整理しました。
通常の確定申告は、本人が1年間の所得を翌年に申告する手続きです。一方の準確定申告は、亡くなった方の 1月1日から死亡日まで の所得について、相続人が代わりに行う申告です。「準」は「〜に準ずる」の意味で、「故人の代わりに行う確定申告」と理解するとスムーズです。
通常の確定申告と準確定申告の違いを整理します。
とくに注意したいのが 期限と申告者 。通常の確定申告と違って4か月という短さで、相続人全員が共同で行う必要があります。
本来1月から3月15日までに行うべき前年分の確定申告を、被相続人が済ませないまま亡くなった場合、前年分の申告も相続人が引き継ぐ必要があります。
たとえば3月10日に亡くなった方が、前年(1月〜12月)の確定申告をまだしていなかったとき、相続人は次の2つを準確定申告として行います。
どちらも期限は 「相続開始を知った日の翌日から4か月以内」 。前年分には通常の3月15日期限が適用されない点に注意してください。
もう少し細かく、「義務として申告が必要な人」「不要な人」「申告した方が得な人」の3つに分けて整理します。
次のいずれかに該当する場合、準確定申告は 義務 となります。
該当するなら申告必須です。年金生活者の方でも、家賃収入があったり、高額の年金を受給していた場合は対象になります。なお、給与所得者・年金受給者では基準が細かく異なり、所得税の準確定申告が不要でも 住民税の申告が必要 になる場合があるため、迷ったら自治体や税理士に確認してください。
逆に、次のような場合は基本的に申告不要です。
こうしたケースでは、被相続人が源泉徴収だけで税金の精算が完了しており、追加の申告手続きは原則として不要です。
義務がなくても、準確定申告を 「した方が得」 になるケースがあります。代表的なのは次の3つ。
これらに該当すると、納めすぎた税金が 還付される可能性 があります。「義務はないけれど、申告したらお金が戻ってきた」というのは決して珍しくありません。
準確定申告の期限は、 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 。通常は被相続人の死亡日の翌日が起算日となりますが、海外在住で死亡を後から知った場合などは、実際に知った日の翌日が起点になります。
多くのケースでは、死亡日と「相続の開始を知った日」は同じ日になります。ただし、 疎遠な相続人・海外在住の相続人・先順位者の相続放棄により相続人になった人 などでは、死亡日と起算日がずれることがある点にはご注意ください。
納付すべき税額がある状態で期限を過ぎてしまうと、次のような不利益が発生します。
税額が大きくない場合でも、加算税・延滞税が積み重なると無視できない金額になります。「間に合わないかもしれない」と感じた段階で、早めに専門家へご相談ください。
相続人が複数いる場合、相続人全員で内容を確認し、原則として 連署 により提出します。ただし、事情により各相続人が別々に提出することも認められており、その場合は他の相続人に申告内容を通知する必要があります。実務上は、期限内に全員の確認を取る段取りが重要です。
相続人が複数いる場合は、通常、全員の氏名・住所・マイナンバー等を記載した 「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」 を添付し、連署により1通の準確定申告書として提出します。全員の連署が難しい場合には、各相続人が別々に提出する方法もありますが、他の相続人への通知が必要です。
実務では代表者を1人決めて窓口にすることが多く、書類のやり取り・税務署対応も代表者が行うケースが一般的。納税額・還付額は、原則として法定相続分で按分されます。
家庭裁判所で相続放棄が認められた人は、最初から相続人でなかった扱いになるため、準確定申告の義務もありません。
亡くなった後の相続全体の流れを把握したい方は、別途まとめた 亡くなった後の手続き完全チェックリスト もあわせてご覧ください。
ここからは、実際の申告手続きを4つのステップで紹介します。
実務上、最初の関門でありもっとも時間がかかるのが書類集めです。「亡くなった親がどこに源泉徴収票や控除証明書を保管していたか分からない」「通帳から天引きされていた保険料の証明書が見当たらない」というケースは少なくありません。遺品整理の段階で、税務署からの郵便物や保険会社の通知などは捨てずに一箇所にまとめておくと、後の手続きがぐっと楽になります。
準備するのは、被相続人の所得を裏付ける資料と、相続人全員のマイナンバー・本人確認書類です。
使用するのは 「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」 と、相続人全員の情報を記載する 「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」 の2点。
記入の細かなルールは通常の確定申告とほぼ同じですが、所得計算の途中で「死亡日まで」で区切る点が違います。間違いやすい部分なので、不安な場合は税理士に相談するか、税務署の相談窓口で確認しながら進めると安心です。
提出先は、 被相続人の最後の住所地を管轄する税務署 。相続人の住所地ではない点に注意してください。
提出方法は次の3つから選べます。
納税額が出た場合は、相続人それぞれが法定相続分(または遺産分割協議で決めた割合)で按分し、自分の負担分を期限内に納付します。納付方法は、税務署窓口・銀行・コンビニ・振替納税・e-Tax連動の口座振替などが選べます。
還付の場合は、各相続人が自分の相続分に応じて受け取る方法のほか、代表者が一括して受け取る方法もあります。 代表者が還付金を一括受領する場合は、付表とは別に「還付金の受領に関する委任状」が必要 ですのでご注意ください。
「自分でやるか、税理士に頼むか」の判断は、被相続人の所得の種類と複雑さで決まります。
次のような場合は、自分で対応できる可能性が高いといえます。
所得が給与・年金のみで控除も少ないケースでは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使ってご自身で作成・提出できる場合もあります。ただし、準確定申告には 付表の作成・相続人間の確認・死亡日までの控除判定 など、通常の確定申告にはない確認事項があるため、不安があれば税務署の相談窓口や税理士の確認を受けるのが安全です。
一方、次のような場合は税理士への依頼を検討するのがおすすめです。
被相続人の生前に確定申告を税理士に依頼していた場合は、その税理士にそのまま準確定申告も頼むのがもっともスムーズです。
当事務所は司法書士事務所のため、 税務判断や準確定申告の代理は税理士の業務 となり、当事務所では直接お引き受けできません。ただし、相続登記のご相談をお受けする中で準確定申告・相続税申告が必要と思われる場合には、 提携税理士をご案内 しています。
司法書士は不動産の名義変更を担当し、税務申告は税理士が対応する体制です。ご依頼者様がそれぞれの専門家を別々に探す手間を省くことができます。
料金やサービス内容の詳細は 費用ページ をご覧ください。無料相談のご予約は お問い合わせフォーム からどうぞ。
ご相談の中でもよく混同されるのが「準確定申告」と「相続税申告」。この2つは まったく別の手続き です。
両方の申告が必要な相続でも、計算する税金がそれぞれ違うため、 別々の書類で別々の期限 。混同しないよう注意しましょう。
より詳しく知りたい方は、 相続税の概要 や 相続登記(不動産の名義変更) もあわせてご参照ください。
A. 相続の開始を知った日の翌日から 4か月以内 です。たとえば6月10日に亡くなった場合は、翌日6月11日から数えて4か月後の10月10日が期限となります。通常は死亡日の翌日が起算日と考えて差し支えありません。
A. 1月1日から3月15日の間に亡くなり、かつ前年分の確定申告がまだ済んでいない場合は、 前年分も準確定申告として4か月以内に申告 する必要があります。前年分には通常の3月15日期限が適用されないので注意してください。
A. 公的年金の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下なら、原則として申告不要です。ただし、医療費が高額だった場合や生命保険料控除を使っていなかった場合は、申告すれば 還付を受けられる可能性 があるため、領収書を確認してみる価値はあります。
A. 納付すべき税額がある場合は、 無申告加算税や延滞税 といったペナルティが発生します。税額が大きくなくても加算税・延滞税は積み重なるため、間に合わないと感じたら早めに税理士へご相談ください。当事務所に相続登記をご相談中の方については、必要に応じて提携税理士をご案内します。なお、還付申告のみの場合は4か月の期限ではなく、対象年の翌年1月1日から5年以内であれば申告が可能です。
A. 主なものは「被相続人の源泉徴収票(給与・年金)」「事業収入の帳簿」「不動産収入の資料」「医療費領収書」「生命保険料控除証明書」「相続人全員のマイナンバーと本人確認書類」です。詳細は本記事の STEP1のチェックリスト をご確認ください。
A. 被相続人が 亡くなる前に支払った寄附金 は、準確定申告で寄附金控除の対象になります。ふるさと納税のワンストップ特例を申請していた場合でも、準確定申告をする際は申告書で寄附金控除を受ける手続きが必要となり、受領証明書等の確認が必要です。
A. 準確定申告は被相続人の 「所得」 に対する所得税の申告(4か月以内)、相続税申告は被相続人の 「財産」 に対する相続税の申告(10か月以内)。税目も期限もまったく別の手続きです。
A. 当事務所は司法書士事務所のため、準確定申告そのものは直接お引き受けできません。ただし 提携税理士をご紹介 しており、相続登記のご依頼とあわせて当事務所が窓口となってお取り次ぎします。それぞれの専門家を別々に探す必要はありません。
準確定申告は、相続人が亡くなった方の代わりに行う 所得税の申告 です。期限は 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 と短く、放置すると加算税・延滞税のリスクがあります。
本記事のチェックフローで「自分は必要か」を確認し、迷ったらまずは無料相談をご利用ください。当事務所では、 相続登記 とあわせて、提携税理士による準確定申告・ 相続税申告 のご相談もお取り次ぎ可能です。 費用の詳細はこちら 。
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