空き家を所有することは、メリットよりも多くの義務と負担が発生します。
《この記事の監修者》
司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら)
最終更新日:2025年12月2日
近年、社会問題化している「空き家」。実家や親族の家を相続し、突然空き家の所有者になる可能性は、誰にでもあります。
「遠方だし、とりあえずそのままにしておこう」と考えるのは非常に危険です。空き家を放置すると、固定資産税の負担増や、損害賠償責任などの大きなリスクを負うことになります。
この記事では、空き家を相続した際に発生するリスクを明確にし、その後のトラブルを回避するための正しい相続手続きの順序をロードマップ形式で解説します。
空き家を所有することは、メリットよりも多くの義務と負担が発生します。
空き家であろうと住居であろうと、不動産を所有している限り、固定資産税と都市計画税の支払い義務が発生します。
さらに、人が住まない家は急速に老朽化するため、定期的な草刈り、清掃、修繕などの管理費用も継続的にかかります。
老朽化した空き家は、地震や台風で屋根や壁が崩落し、隣家に損害を与える可能性があります。もし人身事故でも起きれば、所有者として損害賠償責任を問われます。
また、不法投棄や動物の侵入など、近隣からの苦情対応といった精神的な負担も大きくなります。
最も避けたいのが、市町村から「特定空き家等」に指定されることです。これは、著しく倒壊の危険がある、衛生上有害などと判断された場合に指定されます。
空き家を相続したら、速やかに以下の手順で手続きを進める必要があります。
まず、故人の遺言書があるかを確認します。遺言書がない場合は、誰が相続人になるのかを戸籍謄本などを集めて確定させます。
不動産(空き家)、預貯金、株式、そして借金などの負債も含めた全ての財産を調査し、その価値を評価します。
負債が多い場合は、相続放棄(3ヶ月以内が期限)も選択肢に入ります。
相続人が複数いる場合、「誰が空き家を単独で相続するのか」、あるいは「売却して現金を分け合うのか」などを話し合いで決めます。この協議の結果を遺産分割協議書として書面化します。
空き家を複数人の共有名義にすると、将来の売却や建て替えの際に全員の合意が必要になり、手続きが非常に煩雑になるため、極力避けるべきです。
空き家の所有権を故人から相続人へ名義変更する手続きです。
2024年4月1日から、相続登記が義務化されます。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があるため、期限(相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内)までに必ず行いましょう。
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続発生を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告・納税が必要です。
相続登記を終えたら、空き家の今後の活用・処分方法を検討します。
最も手間がかからず、共有名義問題を解消しやすい方法です。
特に、一定の要件を満たした空き家を売却した場合、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」という特例を利用でき、大幅な節税が可能です。
立地が良い場合、賃貸物件として貸し出し、毎月の家賃収入を得る選択肢です。
ただし、賃貸化には初期のリフォーム費用や、賃貸管理の費用がかかります。
自分で住む場合や、別荘・趣味の場として利用する場合です。
この場合も、すぐに住める状態にするための修繕費用を念頭に置く必要があります。
空き家問題は「放置」が最大のリスクです。相続した空き家を放置することは、固定資産税の負担増や、近隣への損害賠償リスク、そして将来の売却の難しさにつながります。
ご自身の状況に合わせて、最適な活用・処分方法を選択することが、空き家問題の解決、ひいては相続人であるあなたの負担軽減につながります。

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