財産分与(離婚)による不動産名義変更手続きの必要書類・添付書類まとめ


《この記事の監修者》

司法書士法人不動産名義変更手続センター
代表/司法書士 板垣 隼 (→プロフィール詳細はこちら

最終更新日:2025年12月7日
 

財産分与による不動産名義変更の必要書類

財産分与による不動産名義変更の必要書類【一覧表】

財産分与(離婚)による不動産名義変更手続きに必要な書類は以下のとおりです。

所有権移転登記申請書と合わせて法務局へ提出します。

ご依頼の場合は、基本的に当センターにて書類をご用意いたします(印鑑証明書、登記済権利証を除く)。

区分書類名詳細・備考
現在の名義人
(譲り渡す方)
登記識別情報通知
(登記済権利証)
対象不動産のもの
【取得先】手元にあるもの
印鑑証明書3ヶ月以内のもの
【取得先】住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書名義変更する年度のもの
【取得先】不動産所在地の市区町村役場
新しい名義人
(譲り受ける方)
住民票期限はとくになし
【取得先】住所地の市区町村役場
その他離婚協議書
財産分与契約書
財産分与のあったことがわかる書類
【取得先】自分で作成(または司法書士が作成)
戸籍謄本離婚(離婚届けの提出)がわかる書類
【取得先】本籍地の市区町村役場
本人確認資料運転免許証等のコピー
※ご依頼の場合は、お二人分が必要

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財産分与による不動産名義変更の必要書類

財産分与による不動産名義変更の必要書類【詳細解説】

現在の名義人(譲り渡す方)の必要書類

登記識別情報通知

対象物件取得時の登記識別情報が必要となります。相続や売買等で物件を取得し名義変更を法務局に申請したさいに発行されたものです。

通常は登記識別情報通知として紙で発行されていることが多く、登記識別情報通知の発行時は登記識別情報の暗号化部分が目隠しされています(シールまたは折り返し)。

物件の取得の時期が平成17年以前の場合は、登記識別情報ではなく従来の登記済権利証(権利証)が必要となります。法務局によって登記済権利証から登記識別情報に変わった日が異なります(平成17~20年頃に変更されました)。平成17~20年頃に取得された場合は、どちらの場合もあります。

【登記識別情報通知とは】権利証とは違う?いつ使う?無くしたら?

印鑑証明書

譲り渡す方は、不動産の権利を失う重要な行為をするので、譲り渡す方の確認が厳重に求められます。

具体的には、申請書または委任状に実印での押印が必要となります。さらに、実印での押印したことの証明として、印鑑証明書を添付します。これにより、本人の意思で財産分与していることや、譲り渡す方の本人確認をすることにより虚偽の申請を防ぎます。

印鑑証明書は登記簿上の住所氏名と一致していることと、申請日から3ヶ月以内である必要があります。

提出した印鑑証明書の原本を法務局に提出し手続き完了後は戻ってきません。他の証明書と異なり原本を還付することはできません。

印鑑登録していない場合は、印鑑登録が必要となります。海外在住の場合で印鑑証明書が発行できない場合は、サイン証明書・署名証明書で代替することになります。

固定資産評価証明書

登記申請する際には登録免許税の納付が必要となります。納付の基準となる固定資産評価額が分からないと算出できませんので、固定資産評価額の確認が必要となります。

固定資産評価証明書を役所で取得するか、固定資産税の納税通知書(課税明細書)でも代用できる場合もあります。評価額は提出する年度のものが必要となります。

なお、登録免許税は固定資産評価額に2%の税率をかけて算出します。一般的には登記申請書に収入印紙を貼って納付します。登録免許税は譲渡所得等とは別の税金です。

新しい名義人(譲り受ける方)の必要書類

住民票

名義変更の際は、新名義人の住所氏名が登記簿に登録されます。登録する住所氏名は正確な情報が必要となるので、住民票で証明することになります。

住民票は、印鑑証明書と異なり発行からの期限はありません。住所氏名に変更がなければ古い住民票も利用可能です。また、戸籍附票や印鑑証明書でも代用可能です。

海外在住の場合で住民票が発行できない場合は、在留証明書で代替することになります。

その他の必要書類

財産分与契約書(離婚協議書)

離婚に伴い不動産を財産分与した内容の分かる文書が必要となります。法務局に譲渡した事実を証明する必要があるためです。司法書士に手続きをご依頼の場合は、報告形式の登記原因証明情報を作成する場合があります。

財産分与契約書や離婚協議書など、文書のタイトルに特に指定はないですが、誰から誰に・どの不動産を・いつ財産分与したか等の記載が必要です。通常は離婚当事者双方で契約書を作成して、署名押印することになるかと思われます。

譲渡所得の税金の申告の際にも必要となることもありますので、正式な文書を作成しておきましょう。

戸籍謄本

上記契約書を提出する場合は、別途離婚が成立した日が分かる証明書が必要となります。戸籍謄本が該当し、離婚後に戸籍謄本を取得すれば離婚した旨記載があります。

なお、財産分与協議が成立した後に、離婚が成立した場合は離婚届の届出日が所有権移転日(原因日付)となります。

報告形式の登記原因証明情報等で、提出する他の書類で離婚日の記載がある場合は戸籍謄本は不要です。

本人確認書類

法務局の申請手続きには本人確認は不要ですが、名義変更手続き完了後に完了書類を受け取るさいには通常本人確認書類が必要となります。

また、司法書士に手続きをご依頼の場合は、司法書士の本人確認が必須となりますので、本人確認書類の提示等が必要となります。

ケース別に必要となる追加書類

ケース別に必要となる追加書類

住所氏名が名義上と現在で異なる場合

登記簿では所有者の住所氏名が登録されていますが、物件取得後にお引越しなどで住所変更しても、法務局の情報は自動的には変わりません(今後、職権で変更できるようになる制度は予定されています)。

登記上の住所氏名の変更手続きを行っていない場合は、現在取得する印鑑証明書と住所氏名が異なることになります。

現在の住所氏名と、名義上の住所氏名が異なる場合は、名義上の住所氏名の変更手続き(変更登記)が別途必要となります。その場合は住民票や戸籍謄本が別途必要となり、財産分与の申請とは別に住所氏名の変更登記も申請が必要となります

離婚の場合は、離婚前に別居して住所が変わっている場合や、離婚に伴いお名前を旧姓に戻すなどがありますので、名義上の住所氏名の変更が必要となるケースも多いです。

参考リンク:
住所変更登記とは?
氏名変更登記とは?

名義変更手続きや必要書類の準備を司法書士に依頼するメリット

名義変更手続きや必要書類の準備を司法書士に依頼するメリット

自分で手続きする場合の課題

上記のとおり、財産分与の手続きには各種書類が必要となります。

証明書であれば所定のものを役所に行けば取得可能ですが、財産分与契約書や登記申請書は自分で作成する必要がありますので、作成するには一定の知識が必要となります。インターネットや書籍を参考に作成できる方もいますが、一般の方ですと難しいケースもあります。

司法書士に依頼した場合のサービス内容

司法書士の財産分与による名義変更手続きをご依頼の場合は、基本的に司法書が各種書類の収集や作成を行い、法務局への申請も代行します。印鑑証明書の取得などは必要となりますが、それ以外は司法書士が作成した書類へ署名押印すれば、あとは全ておまかせで作業を代行してくれます。

司法書士に依頼する主なメリット

依頼者の精神的負担を軽減し、手続きのミスや登記漏れを防ぐことができます。

法務局の情報をみて各種アドバイスを貰えるのもメリットの一つです。名義が複雑になっていたり、一部の物件の名義が先祖のままだったり、古い担保権が残ったままだったり、一般の方ではなかなか気づきにくいことも、専門家が見ると判断できる場合などもあります。

財産分与の必要書類に関してよくある質問FAQ

財産分与の必要書類に関してよくある質問FAQ

財産分与契約書または離婚協議書は必須ですか?

財産分与契約は法的には口頭での契約でも有効です。

ただし、名義変更の提出先である法務局に証明する必要があるため、財産分与の内容の分かる文書は必須となります。

財産分与契約書、離婚協議書、登記原因証明情報など文書のタイトルに指定はないですが、財産分与した事実を客観的に分かる内容で作成する必要があります。

また、離婚の場合は、不動産の財産分与以外にも離婚当事者で取り決めをすることが多いので、他に取り決めがないことも含めて、全体の離婚協議書等を用意されることをお勧めいたします。

登記済権利証が無くても名義変更できますか?

登記識別情報または登記済権利証は必要書類ですが、無くしてしまった場合は再発行できない書類です。

無い場合でも代替手段での名義変更が可能です。通常は事前通知制度を利用することが考えられます。法務局に確認通知に回答する手間と時間がかかりますが、追加費用等はありません。

ただし、離婚の場合は相手方との信頼関係が破綻しているケースが多いので、名義変更を条件に他の離婚協議内容も進める場合などは、本人確認情報の利用も考えられます。

【紛失】登記識別情報通知を無くしたらどうする?(権利証がない!)

譲り受ける側の印鑑証明書は不要?

名義変更の手続上は、譲り渡す方には印鑑証明書の添付と実印での押印が求められますが、譲り受ける側は不要です。

不動産の権利を失う譲り渡す方の確認は厳格ですが、譲り受ける側の確認は求められていません。

ただし、法務局の手続きとは別に、離婚協議書などで不動産の財産分与以外にも契約されている場合などは、当事者両方とも実印で押印して印鑑証明書も添えてそれぞれが契約書を所持するようなこともあります。

法務局へ提出した書類は返して貰える?

財産分与契約書、住民票、固定資産評価証明書等は原本還付の処理をすることで、手続き完了後に原本を法務局より返却してもらえます。

譲り渡す方の印鑑証明書は原本は提出して戻ってきません。

司法書士に依頼しないと無理?

個人の調査能力等にもよりますので一概には言えませんが、平日日中に自由に動ける時間があれば頑張ればご自身でも可能と考えます。

逆に平日日中は仕事で休むことが難しい場合はご自身では難易度が高くなります。

費用との兼ね合いもありますが、不動産という重要財産の手続きとなりますので、基本的には司法書士へのご依頼をお勧めいたします。

ご参考までに、当センターに手続きをご依頼の場合の費用については以下のリンクをご参照ください。

財産分与費用【各種料金プラン】分かりやすい具体例あり!

監修者プロフィール - 板垣隼
司法書士 板垣隼
この記事の監修者
板垣 隼(いたがき はやと)
司法書士 / 行政書士 / 1級FP技能士
司法書士法人 不動産名義変更手続センター 代表
司法書士事務所開業から17年。「難しいことを、やさしく、早く、正確に」をモットーに、相続登記や不動産名義変更の手続きをサポート。KINZAI Financial Planやビジネスメディアへの寄稿実績多数。
不動産名義変更・相続登記専門年間2000件の実績全国対応
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不動産名義変更・相続登記の手続き詳細まとめ

不動産名義変更・相続登記の手続きの詳細(費用、書類、期間、義務等)は以下をご参照ください。

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